不動産売買契約で弁護士に依頼できる6つのこと

不動産売買契約で弁護士に依頼できる6つのこと

不動産売買など高額なお金が動く上に、トラブルに発展しやすい取引に関して、不動産売買契約書を作成する際は弁護士に作成または確認してもらうことで不要な紛争を回避できます。

この他にも、弁護士に依頼できること主に5つあります。

この記事では、不動産売買契約書の作成を弁護士に依頼するメリットなどについてご紹介します。

この記事を監修した弁護士
梅澤 康二
梅澤 康二弁護士(弁護士法人プラム綜合法律事務所)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

不動産売契約を弁護士に依頼できる主な5つのこと

結論から申し上げますが、弁護士が日常的な不動産取引に関わることはあまりありません。

不動産売却における登記処理も弁護士ではなく司法書士がおこなうのが通常です。

では、どのようなケースで不動産売買を弁護士に依頼できるのでしょうか。1つずつ紹介します。

1:不動産売買契約書の作成・確認

不動産売買契約書に限ったことはではありませんが、契約書全般に言えることとして、法律が盛り込まれた書面は非常に難しく明記されており、相手方の有利になるような条件が記載されていることも多いです。

このような場合に、相手方に有利な条件を記載されていても法律の知識を有していなければ、気づけない部分も多々あります。

つまり、不動産売買契約書を取り交わす前に、法律の専門家である弁護士に確認したもらった方がより安心です。

2:契約内容の作成・確認

不動産は、資産価値が非常に高いものですので、契約後のトラブルにも発展しやすい性質があります。

そのような観点から、契約書にあたっては複数作成し、それぞれ各当事者が1通ずつ保管する方が良いでしょう。

契約書を複数作成するのは、手間もかかりますし、印紙税もかさみますが、その後のトラブルを回避し、万一のトラブル時でも有力な証拠を残せます。

宅建業者が関与する場合、重要事項に関する説明などが要求されますが、登記上の権利の種類や内容などについて、業者が事実とは異なる説明をする、不動産の購入者側の不利益となるような状況を説明しなかった場合には、売買契約を取り消すことも可能です。

事前に、契約書の内容を法律の専門家である弁護士に確認してもらうことで、適正な契約内容になっているのか判断してもらえます。

また契約書作成の段階で、法律上問題のない契約内容とするため、弁護士と協議をして契約書を作成するのも良い方法のひとつです。

3:登記簿上での権利関係の確認・整理

土地に関する登記簿は、その所有者の権利を明確にする重要な書類のひとつです。

特に、不動産取引をおこなう場合には、土地や建物の所有者は売主か、抵当権などの担保権がついていないかなどを事前に確認します。

また、売買契約が成立した場合、速やかに登記を変更する必要があります。

この登記変更を速やかにおこなわない場合、当該不動産を二重譲渡されてしまうこともあるかもしれません。

このような権利関係の確認を弁護士に依頼することはあり得ます。

なお、登記処理自体は司法書士に依頼するのが通常でしょう。

4:不動産取引で想定されるトラブルや問題について

不動産トラブルでは、資産価値の高い取引をおこなうため、権利関係や瑕疵についてトラブルに発展しやすい傾向があります。

その中で、特にトラブルになりやすい問題として「土地の面積が足りない」という状況が挙げられます。

登記簿上の土地面積と実測した土地面積とでは数字が異なっているという事態も珍しいことではありません。

この場合、売買契約時に1平米あたり○円で売買するという方法で契約したのか、土地全体で○円という契約をしたのかによって、減額請求の対象になり得るのかも異なります。

5:隠れた瑕疵の問題について

不動産取引におけるトラブルに発展しやすい問題として「土地や建物に関する瑕疵」が挙げられます。

不動産売買契約が成立して、当該不動産を引き渡した後に瑕疵(土地の汚染などの事実的瑕疵や法律上の制限などの法律上の瑕疵など)が見つかるということも珍しくありません。

このような瑕疵を巡る対応を弁護士に依頼することも考えられます。

不動産売買契約を弁護士に依頼するメリット

ここでは、不動産売買契約書を弁護士に依頼するメリットをお届けします。

ぜひ、弁護士のサポートを受けて、不動産売買契約におけるトラブルを未然に防止しましょう。

全般的なサポート

当該不動産を事前に確認しておくことは重要ですが、不動産問題に詳しくない素人が不動産の確認をしても、床が傾いているなどの明らかな瑕疵がなければ土地や建物に隠れた問題を見つけることは難しいです。

また、不動産売買契約書の内容に関しても、法律的な文言が多く購入側の不利な条件に気づかないことも。

このような場合に、弁護士にサポートしてもらうことで、契約書の内容をチェックしてもらえるだけでなく、交渉や代金決済の際に同行してくれるなど、非常に手厚いサポートを受けられます。

権利関係の整理・助言

土地の権利関係を整理するうえで弁護士のサポートは有用です。

もしこの段階で何かしらの問題を発見した場合、有益な助言を得られることもあります。

スムーズな手続きが可能

弁護士にできることは限られるのではないかという意見もあるかと思いますが、弁護士には税理士や土地家屋調査士、不動産鑑定士などの不動産関連の専門家とのネットワークがあります。

つまり、不動産問題での実績がある弁護士にサポートをお願いすれば、必要に応じてこれら専門家と連携を図り、課題や問題に対処してもらえるでしょう。

不動産売買を相談できる弁護士の選び方

不動産売買を相談すべき弁護士の選び方として、留意すべきは以下の2点です。

  • 企業間の不動産契約に実績がある
  • 建築士・不動産鑑定士などの専門家と繋がりがある

HP内などに不動産とのネットワークがあります等と記載されていることもあります。

相談する際に、どのようなことまで対応してくれるのかも確認すると安心です。

まとめ

不動産取引は、高額なお金のやりとりに加えて、手続きが複雑で関連した法律への知識も必要です。

失敗が許されない大きな買い物となりますので、ぜひ一度法律の専門家である弁護士に相談しましょう。

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この記事の調査・編集者
みーさん
2017年にライターとしてアシロに入社し、主に交通事故とIT分野の執筆に携わる。2019年によりIT媒体の専任ディレクターになり、コンテンツの執筆・管理などを行っている。
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