【管理職向け】テレワークでよくある社員の悩みとマネジメントで意識すべきポイント

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テレワークの適切な運用には、社員のマネジメントが大切です。しかし、何をすべきかわからない方も多いのではないでしょうか。この記事では、テレワーク時に社員が抱きやすい悩みやマネジメントをする上で大事なポイントなどを解説します。
当社在籍弁護士
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人事・労務

新型コロナの蔓延が叫ばれた2020年頃、世間的にも多くの企業が一斉にテレワークの導入に踏み切ったかと思います。しかし、慣れない遠隔でのコミュニケーションにマネジメントが上手くいかず、部下の成果が上がらないことに悩んでいる管理職は多いのではないでしょうか。

実際、仕事の効率面でみても、テレワークの導入によって仕事が効率的に回るようになったかというアンケートでは、テレワーク利用者の大多数が効率よく仕事ができるようになったとは感じていないようです。

Q6. 新型コロナウイルスの感染拡大の出来事がなく、2023 年 10 月 2 週目(10 月 9 日~15 日)に通常通りの勤務をしていた場合を想像してください。通常通りの勤務に比べて、時間あたりの仕事のパフォーマンス(仕事の効率)はどのように変化したと思いますか。通常通り勤務していた場合の仕事の成果を 100 とした場合の数字でお答えください。たとえば、仕事のパフォーマンスが1.3 倍になれば「130」、半分になれば「50」となります。上限を「200」としてお答えください。 

仕事の効率の変化

参考:NIRA総合研究開発機構|第10回テレワークに関する就業者実態調査(速報)

また、『部下のテレワークに対する満足度』『組織のテレワークという働き方の効果への満足度』をみても、はっきりと部下の仕事ぶりを満足だと判断しているのは23.2%しかおらず、潜在的にはもやもやした管理職が多いのが伺えます。

部下のテレワークに対する満足度・ 組織のテレワークという働き方の効果への満足度

参考:公益財団法人日本生産性本部|テレワークに関する意識調査

テレワークをしている雇用者目線では、テレワークを行っていない雇用者と比べ、「仕事ぶりや態度」よりも「成果や業績」による評価を望んでいる傾向がありますが、評価する管理職側からすれば、仕事は『成果や業績』だけでは測れない要素も多くあることは理解しているため、このギャップを埋める作業は難しい問題といえます。

こういった評価のズレは退職などにつながりますので、会社や上司のマネジメント方法をいま一度見直すべきかもしれません。もちろん、社員を管理する側にいる多くの方が、テレワーク時のマネジメントについて、試行錯誤をしながら改善に励んでいるでしょう。

とはいえ、これといった正解がわからないまま、試行錯誤を続けるのも大変ですし、成果が上がらない状態が続けば、テレワークの実施を中止する動きも出てくるはずです。そこで本記事では、テレワーク実施時に社員がどのような点に不満を感じているのか、マネジメントで意識すべきポイントなどについて解説します。

この記事に記載の情報は2024年10月28日時点のものです
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テレワーク実施時に社員が感じる7つの悩み

テレワークでのマネジメントを上手く行うためには、まず社員がどのような不安や悩みを抱えているのか、把握することが大切です。

テレワーク実施時に社員が感じやすい不安や悩みを確認していきましょう。

仕事に適した環境で働けない

テレワークを行う際、サテライトオフィスを所有している企業でもない限り、職場ほどの業務環境が整っているのは稀なことだと思います。

会社では当たり前だったデュアルディスプレイも、テレワーク環境では1つしかなくても不思議ではないですし、ネットの通信環境が万全という人も多くはないでしょう。

また、セキュリティの観点から実施できない業務もあり、テレワーク中は思ったように仕事が進まないと感じる人は少なくないかもしれません。

さらに、小さな子供がいる家庭の場合には、業務中に面倒を見ないといけないため、より仕事の効率に影響が出やすいといえます。

評価をしてもらえない

評価に対する不安もテレワーク実施中は生じやすいです。テレワーク中は勤務態度の確認ができないため、成果以外で評価するのは難しいといえます。

となると、テレワーク中の社員は成果を出すしかありませんが、簡単に成果が出せるのであれば、そもそも苦労はありません。

また職種によっては、わかりやすい成果が存在しないことあります。そうした職種で働いている場合、成果だけで評価が決められては非常に不利です。

公平な人事評価制度があれば問題ありませんが、テレワークを長年にわたって実施している会社であればまだしも、導入したばかりで評価制度が整っているところはそれほど多くはないでしょう。

長時間労働になりがち

テレワークを社員にさせる場合、オン・オフの境目があいまいとなりやすく、しっかりと労務管理をしないと長時間労働になってしまいがち

上司の目が行き届かない状況はサボることができる一方で、真面目な社員は根を詰めて仕事に取り組んでしまいます。

会社として長時間労働に対して歯止めをかけておかないと、身体を壊すまで働き続けてしまう社員が出るかもしれません。

光熱費・通信費がかかる

自宅で仕事をするとなると、その分の光熱費や通信費が社員負担となってしまいます。

それほど大きな金額ではないにしても、オフィスで働いていれば発生しない負担です。

社員が不満に感じても不思議ではありません。会社の指示でテレワークとなった場合はなおのことでしょう。

情報共有がしづらい

テレワークだと社員間の情報共有が上手くいかず、重要なタスクの見逃し、個々の進捗状況が把握できないといった問題が、オフィス勤務時に比べて起こりやすいです。

分業体制が整っている企業でもない限り、1つのミスや見逃しは全体の進捗に大きく影響します。

そうした余計なストレスはさらなるミスを招くとともに、また社内の雰囲気も悪くなってしまうでしょう。

コミュニケーションが減る

テレワークで働く社員はオフィスで一緒に働く社員と比べると、コミュニケーションの頻度が大幅に少なくなります。

黙々と仕事をするのが好きなタイプもいますが、独りでの作業にストレスを感じてしまう人も…

オフィスで働いていた時はちょっとした雑談も気軽にできましたが、テレワーク中だと相手の状況がわからないため、遠慮しがちです。

次第に他の社員との間に壁を感じ始めてしまい、孤独感から会社を辞めてしまうかもしれません。

社員間での扱いの違い

業務内容によっては、テレワークを認められない社員が出てしまうのも致し方ないことです。

しかし、致し方ないことだからといって、テレワーク可能な社員との扱いの違いについて、すんなりと納得できるとは限りません。

他の社員ばかりが優遇されて、自分は差別的な扱いをされていると感じる社員がいてもおかしくはないでしょう。

テレワークでのマネジメントおいて意識すべきポイント

テレワーク中の社員に対するマネジメントは、オフィスで働いている社員と同様のやり方では対応しきれない部分が多々あります。

しっかりとマネジメントができれば、オフィス勤務時と同等もしくはそれ以上の成果を出してくれるかもしれません。

テレワーク中の社員へのマネジメントにおいて、意識しておきたいポイント確認していきましょう。

1日の業務内容・進捗状況の共有

テレワークだと監視の目がないから、社員がサボるのではと疑っている会社は多いかもしれません。

ですが、社員がサボるのは情報共有がきちんとできていないからであり、会社のマネジメントに問題があるといえます。

ではどのように管理すべきかというと、一例として、業務開始時に1日の作業予定を、終了時には作業内容の報告に合わせて、成果物を提出してもらいましょう

そうすれば、もし社員がサボっていてもすぐにわかるはずです。

人事評価制度をテレワーク向けに調整する

会社によっては、テレワークに合わせた人事評価制度の見直しも必要となるでしょう。

テレワーク社員を評価する場合、勤務態度や協調性などの情意考課での加点は難しくなります

もし、テレワークをしている社員とオフィスで働く社員が出した成果が一緒だとしたら、情意考課が反映させにくいテレワーク社員のほうが不利になりかねません。

テレワークだから評価されなかったと利用した社員が思うことがないよう、評価制度も調整しておきましょう。

雑談をしやすい環境を整える

業務中といえども、多少の雑談は必要不可欠であり、特にテレワークの場合は社員同士のコミュニケーションが減りがちなので、意識的に環境を整えておく必要があります。

例えば、テレワークでチャットツールを活用しているなら、雑談用のグループを用意してもよいでしょう

また、テレワークだからといって、社員の様子をまったくうかがわないのもよくありません。

週1、月1でもよいので、ビデオ会議システム使い、ミーティングを行うことをおすすめします。

テレワーク社員向けの手当てを拡充

可能であれば、テレワーク社員向けに手当てを設けてもよいでしょう。

社員がテレワークを行うことにより、これまで掛かっていた通勤費や光熱費の負担が減るはずです。

会社としては支払う必要がなくなった分、そのまま節約したいところでしょうが、社員に還元するのも一つの手

例えば、テレワーク時にかかる光熱費や通信費に対する手当を支給したり、テレワークに必要な機材の購入費用を負担したりしてもよいでしょう。

労務管理ツールの導入

テレワーク中の勤務時間について、本人の自己申告任せにしてしまうと、責任感から残業申請を行わず、長時間労働の温床となってしまうかもしれません。

テレワークを実施する社員の働きすぎに気をつけ、正確な勤務時間を把握するのであれば、労務管理ツールの活用を検討したほうがよいでしょう

また、不必要な残業をされてしまうと、無駄に時間外手当の支給が必要となるため、テレワーク時の残業は許可制にすることをおすすめします。

テレワークでのマネジメントに役立つITツール

テレワーク時のマネジメントを効率よく行うのであれば、ITツールを積極的に活用したいところです。

なかでも、以下のITツールはテレワーク時のマネジメントで役立ちます。

チャットツール

チャットワーク

slack

ビデオ会議システム

Skype

Google ハングアウト

勤務管理システム

ジョブカン

jinjer

進捗管理ツール

Asana

イノピーエム

グループウェア

G Suite

Microsoft Office 365

ツールを利用するには、もちろん費用がかかりますので、会社の予算、状況に応じて、必要なものを導入しましょう。

【関連記事】

テレワークの勤怠管理を円滑に行うポイントとおすすめツールを解説

テレワークをうまく活用する企業が行うマネジメント対応事例

テレワークを実際に導入してみると、思った以上にマネジメントが難しいと感じている方は多いはずです。

これだけ大変なテレワークを上手く運用できている会社では、どのようにマネジメントをしているか、気になりますよね。

この項目では、テレワークをうまく活用できている企業のマネジメント対応事例を紹介します。

株式会社Agoop

テレワークを効果的に運用するため、全社員のスケジュール表を共有し、誰がどこで何をしているか可視化できるようにした。

また、テレワークを行う際には事前申請と当日の業務内容・成果を報告させることで、業務の質の向上。長時間労働防止を図っている。

参考:

令和元年度テレワーク先駆者百選取り組み事例|総務省

e-Janネットワークス株式会社

テレワークの活用拡大・定着のため、まずマネジメント層が率先して実施。

また推進担当チームが各部署でヒアリングを行い、課題を洗い出し、業務フローの改善・システム導入、専用貸出PCの購入など、組織・個人双方が抱える問題解決に取り組みました。

テレワークによる長時間労働対策としては、自社製品を活用して、作業システムへのアクセスを時間帯で制御。

さらには、社内規程でテレワーク時の深夜残業を原則禁止とする旨を明文化しました。また、テレワークによる社内コミュニケーションの低下をさけるため、実施を週2営業日に限定しています。

参考:

令和元年度テレワーク先駆者百選取り組み事例|総務省

株式会社ティーケーネットサービス

育児・介護が必要な従業員を対象にテレワークを試験導入。

自社開発した電話応対システム+仮想デスクトップ+Office365活用すればオフィスと同等の仕事ができることがわかったため、その後本格運用を開始しました。

社内での情報共有においては、相手の勤務状況を事前確認にしてもらい、状況に応じた連絡手段を選択させることで、円滑にコミュニケーションが取れるようにしています。

また、作業に要した時間を自動的にデータ化し、AIツールによって各人の働き方を分析。可視化した情報を社員と共有することで気づきを促し、長時間労働の防止や無駄を減らす工夫を考える機会としています。

参考:

令和元年度テレワーク先駆者百選取り組み事例|総務省

まとめ

テレワーク中のマネジメントは、オフィスで一緒に働いているときよりも、社員に対する配慮が大事となります。

社員がテレワークによって不安や悩みを感じていないか、まずしっかりとヒアリングをしてみましょう。

もちろん、ヒアリングだけで満足してはいけません。挙げられた内容を元に、マネジメントの改善を図る必要があります。

場合によっては、ITツールの導入も有効です。社員が働きやすい環境を整え、適切なマネジメントができれば、テレワークでもオフィスと働くのと変わらない、生産性が得られるでしょう。

参考:

【激増中】もう働きたくない、仕事したくない!心と体を守る仕事選びのコツ | グッドカミング

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