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医療費の未払いに関する時効|時効期間や中断方法などポイントを解説

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二 弁護士
監修記事

病院経営を行う上で、患者による医療費(薬代などを含む)の未払いは大きな問題の1つです。病院側としては、債権未回収に終わらないためにも、債務者である患者に対して適切に回収対応を行う必要があるでしょう。

ただし、医療費には時効が設定されています。対応に時間をかけてしまうと時効が成立し、回収できなくなる可能性もあるため、迅速な対応力なども必要といえます。トラブルなくスムーズな回収対応を実現するためにも、医療費にかかる時効について要点を押さえておきましょう。

この記事では、医療費の未払いに関する時効期間や中断方法などを解説します。

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医療費の未払いに関する時効のポイント①|時効期間

医療費の時効は、民法第170条1号にて3年と定められています。

時効の起算点(時効が開始される日)は、支払期限の翌日です。例えば、2019年の5月1日を支払い期限とした場合、原則的な起算点は2019年の5月2日となります。

なお国公立病院における医療費については、地方自治法第236条1項会計法第30条にて5年と定められています。

しかし、2005年11月に最高裁判所で行われた裁判では「公立病院についても民法を適用して3年とするべき(文献番号|2005WLJPCA11210002)」との判断が下されています。

したがって、医療費の時効は原則3年と考えた方が良いでしょう。

医療費の未払いに関する時効のポイント②|中断方法

医療費の時効については、以下いずれかの対応を行うことで中断することができます。

ここでは、時効の中断方法について解説します。

  • 請求
  • 差押え(仮差押え・仮処分)
  • 債務者による債務承認

請求

請求には「裁判上の請求」と「裁判外の請求」2つの方法があります。

裁判上の請求

裁判上の請求方法としては、主に以下があります。

  • 民事調停…裁判官・調停委員が間に立ち、債権者と債務者で話し合う方法。債務名義は調停調書
  • 支払督促…簡易裁判所を通じて、債務を支払うよう債務者へ督促する方法。債務名義は仮執行宣言付支払督促
  • 訴訟…債務の支払いについて、債務者へ裁判を起こす方法。債務名義は確定判決仮執行宣言付判決など。

上記いずれかの方法を行い、請求が認められて裁判所より債務名義が獲得できれば、時効期間を10年間延長できます。また債務名義を獲得することで、財産などを強制的に回収する強制執行(差押え)手続きの申立てを行うこともできます。

裁判外の請求

裁判外の請求方法として、債務者に対して債務の支払いを要求する催告書の作成・通知があります。なお通知にあたっては、内容証明郵便を利用するのが一般的です。

催告書による通知を行うことで、時効完成を6ヶ月間延長できます。「裁判上の請求」とは異なり、あくまでも一時的な延命手段ではありますが、時効成立が近い場合などは有効といえるでしょう。

催告書の作成形式としては以下の通りです。

差押え(仮差押え・仮処分)

債務者の財産などを強制的に回収する「差押え」や、差押えの前段階にあたる「仮差押え・仮処分」などを行うことでも、時効を中断することができます。また、差押えを行うには債務名義が必要ですが、仮差押え・仮処分については不要です。

裁判所にて、「差押え」または「仮差押え・仮処分」の申立て手続きを行って許可された場合、裁判所の指定する期間だけ時効を中断することができます。ただし債務者が異議申立てを行い、裁判所にて申立てが認められた場合は中断できません。

債務者による債務承認

債務承認とは債務の存在を認める行為のことで、債務者によって以下の行為が行われることでも、時効を中断することができます。

  • 債務の同意…「債務確認書」「債務承諾書」など、債務に関する書類作成に応じること。
  • 債務の一部弁済…債務の一部を返済すること。
  • 債務の支払猶予願…返済期限や返済額など、債務の支払いについて猶予を申し入れること。

上記いずれかの行為が行われた場合、時効経過は振り出しに戻り、一から時効を数え直します。また、これは時効経過にかかわらず適用されます。よって、時効期間を過ぎている場合でも、債務者が「債務の一部弁済」を行った場合などは、時効経過は振り出しに戻ります。

医療費の未払いに関する時効のポイント③|時効期間後の対応

医療費の時効期間を過ぎていたとしても、必ずしも回収不可能となるわけではありません。

時効は、時効成立や支払放棄などを主張する時効の援用が、債務者によって行われることで成立します。

そして、時効期間を過ぎていたとしても、時効の援用前に債務承認が行われれば時効は成立せず、回収対応を行うことができます。

なお、時効の援用方法について厳密な規定はなく、援用する意思が明確にされていれば、書面やメールなどでも認められます。なお、援用前に有効な中断行為は債務承認だけです。

援用される前に請求(訴訟提起)したとしても、訴訟手続きにて援用の主張がされれば時効は完成して、請求は棄却されます。

医療費の未払いに対応する際は弁護士に相談

未払い分の医療費の対応にあたっては、時効が成立する前に手続きを済ませる必要があるため、できるだけ迅速な対応力が求められます。しかし場合によっては、対応時に思わぬ手間・時間がかかることもあります。

特に「裁判上の請求」によって時効中断を行う場合などは、最低限の法律知識を携えた上で、書類準備や出廷などの裁判手続きを不備なく行う必要があります。自力でスムーズに対応できるか不安がある場合は、債権回収について実績のある弁護士に相談すると良いでしょう。

弁護士であれば、医療費の時効について「どのような中断方法が適しているか」など、ケースごとに適したアドバイスが見込めます。さらに法律知識も豊富であるため、書類準備や出廷などの裁判手続きの代理も依頼でき、スムーズな対応の進行が望めます。

まとめ

医療費の時効は原則3年と定められており、治療費だけでなく薬代なども時効の対象となります。また時効については、「請求」「差押え(仮差押え・仮処分)」「債務者による債務承認」などを行うことで、中断することができます。

なお時効が成立するには、債務者による「時効の援用」が行われる必要があります。たとえ時効期間を過ぎている場合でも、債務者が「時効の援用」を行う前に債務承認を得ることで、回収対応を行うことができます。

ただし、未払い分の医療費の対応にあたっては、迅速な対応力が求められます。少しでも疑問や不安がある場合は、債権回収について実績のある弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談することで、今後の対応に関するアドバイスや対応時のサポートが望め、スムーズな問題解決が期待できます。

債権回収に注力している弁護士であれば、回収対応についてのアドバイスや各手続きについてのサポートなどが受けられるため、スムーズな回収が望めます。特に、自力で回収対応を進める自信がない場合などは依頼することをおすすめします。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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編集部

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