事業承継とは|基礎知識と承継先として考えるべきこと

専門家監修記事
日本に数多く存在する中小企業の社長が頭を悩ませることの1つ『事業承継』。次の社長を誰にするのか、どうやって会社を引き継がせるのか…など、考えることは多岐にわたります。この記事では、事業承継の方法や、事業承継を考えはじめたときにすべきことについて解説します。
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
M&A・事業承継

日本に数多く存在する中小企業の社長が、頭を悩ませることの1つに『事業承継』があります。次の社長を誰にするのか、どうやって会社を引き継がせるのか…など、考えることは多岐にわたり、「何から手を付けていいのかわからない」という人もいることでしょう。

この記事では、事業承継の方法や、事業承継を考えはじめたときにすべきことについて解説していきます。

【アンケートに答えて無料モニター応募!】2022年4月施行のパワハラ防止法についてのアンケートにご回答いただいた企業様へ、抽選で「パワハラ防止法対策ツール(当社新サービス)」の無料モニターへご案内させていただきます。アンケートはこちら

事業承継の基礎知識

事業承継とは

事業承継とは、『会社の経営を後継者に引き継がせること』を指します。

すなわち、会社の経営権を後継者に譲渡し、経営者は一線を退くことになります。

事業承継の方法によって、会社の存続の仕方は変わります。従来どおりの商売を続けるのか、経営方針を転換して経営にテコ入れをするのか、それは後継者次第です。

そのため、後継者選びと事業承継の方法の選択が何より重要になってきます。

事業承継の現実

中小企業白書によれば、中規模企業の経営者のうち、何らかの形で事業を引き継ぎたいと考えている人は、約6割にのぼります(参考:2014年度版中小企業白書)。

しかし、実際には事業承継がうまくいかず、結果的に廃業を選択する人も多いのです。ここで事業承継がうまくいかなかった理由としては、『将来の業績低迷が予測され、事業承継に消極的になった』という理由が大半を占めます。

他にも、『後継者が見つからなかった』『事業承継に関して誰にも相談しなかった』という理由も挙げられました。

事業承継先の2つのパターン

事業承継先としては、①親族への承継②親族以外への承継の2パターンが考えられます。

ここでは、それぞれの手続きの概要、メリット・デメリットを見てみましょう。

①親族への承継

事業承継の方法として最もメジャーなのは、親族へ承継する方法です。

手続き

前提として、後継者となるべき親族を決め、必要であれば早めに育成をします。最終的な事業承継の手段として、株式を承継させることが多いようです。

株式を承継させる方法としては、相続・生前贈与・売買の3種類の方法があります。なお、株式会社ではなく、個人事業主である場合そもそも株式がありませんので、この方法を採ることはできません。

もし、株式譲渡の方法によらないのであれば、事業資産(不動産、預貯金、商品など)を一括で譲渡する方法(事業譲渡)があり得ます。

しかし、この方法は株式譲渡に比べて煩雑であるため、特に必要がある場合(個人事業主であるなど)以外は選択されることは少ないと思われます。

上記の処理は税金の処理も問題となりますので、税理士などに相談しながら手続きを進めましょう。

メリット

親族への承継は、会社の従業員や取引先から抵抗感が少ない、というメリットがあります。

また、親族ですので、早いうちに後継者として任命し、時間をかけて経営者としての育成をすることができます。

デメリット

親族への承継のデメリットとして、親族内に必ずしも経営者としての資質を持っている者がいるとは限らない、という点が挙げられます。

また、後継者争いが起こりやすいという問題点もあります。

②親族以外への承継

事業承継を親族以外の者との間で行うことも可能です。優秀な従業員や、まったくの第三者を選ぶこともあります。

手続き

手続きは親族への事業承継と同様、株式譲渡や事業譲渡の方法が考えられます。

また、承継先が法人であれば、株式移転、会社分割、吸収合併による方法もあるでしょう。このような親族以外に事業を承継する行為をM&Aと呼びます。M&Aを行うためには、承継先との間で承継方法や対価額について協議し、最終契約を締結してこれを行うのが一般的です。

メリット

親族以外の承継の場合、能力や実績から後継者を選ぶことができるため、すぐれた経営者に引き継がせることが可能となります。

例えば、外部の優れた経営者がトップに立ち、会社に新たな風を吹き込むことで、会社のさらなる発展をのぞむことができます。また、合併や買収により、相手会社との相乗効果が発生することも期待できます。

他方、前経営者は、会社の売却代金を得ることができるという金銭的なメリットもあります。

デメリット

親族外承継の場合、経営者の交代を従業員にすんなり受け入れてもらえるとは限りません。

中小企業では家族のような一体感をもって経営している会社も多いため、外部から異分子が入り込むとなかなか受け入れられないことがあるのです。

また会社の経営方針が変わり、今まで培ってきたイメージやポリシーがまったく別物になってしまうこともあります。

なお、M&Aは承継先との交渉により進められるため、必ずしもうまくいくとは限りません。こちらが望んでも、相手の会社が『No』と言うこともあり得ます。

事業承継を考える人がすべきこと

「事業承継をしたい」と考えはじめたら、まずは何をすべきなのでしょうか。

親族に承継するにしろ、親族以外に承継するにしろ、どのような形であれ承継先は自ら選定する必要があります。

実際に難航するのはこの承継先の選定であるため、事業承継を考えているのであれば、承継先についても普段から検討しておいたほうがよいかもしれません。

M&Aを企図するのであれば、M&Aのマッチング会社に早めに相談することも検討しましょう。

事業承継に関する制度|非上場株式の相続税・贈与税の免除・猶予

事業承継を考えている方は、国の制度も積極的に活用しましょう。

上場していない会社の株式を後継者に贈与・相続する場合、一定の要件を満たすと相続税・贈与税が免除・猶予されます。これを事業税承継制といいます。

この制度の適用を受けるためには、会社や受贈者について一定の要件を満たす必要があります。詳しくは国税庁HPで確認してください。

事業承継は早めの準備が肝心です。「自分の会社を今後どうしていきたいのか」をよく考え、専門家に相談した上で最適な道を選びましょう。

M&A・事業承継の解決実績が豊富な
無料相談できる弁護士一覧
弁護士佐々木公明(桜田通り総合法律事務所)
東京都港区虎ノ門2-10-1虎ノ門ツインビルディング 東棟17階
上場企業の社外役員経験20年以上】【弁護士経験29年以上】【顧問契約可能豊富な経験に基づいて幅広い分野を取り扱っています契約書の作成・チェック企業側に立った労働法務の対応に注力しています。示談交渉や訴訟など紛争処理案件にも対応します。
ページトップ
貴社の課題解決に最適な
弁護士とマッチングできます
契約書の作成・レビュー、機密性の高いコンフィデンシャル案件、M&A/事業承継など、経営者同士でも話せない案件も、
企業法務弁護士ナビでは完全非公開で相談可能です。貴社の課題に最適解を持つ弁護士、最大5名とマッチングできます。