法務職は、コンプライアンス体制の整備やESG・サステナビリティといった観点から、多くの企業で人材のニーズが高まっています。
転職の際には、転職エージェントを使うことで転職活動のサポートを受けられるだけでなく、活動の改善点も見えてくるでしょう。
本記事では、法務の転職におすすめの転職エージェントを紹介するとともに、選び方のポイントや活用のコツ、転職で求められる要素などについて解説します。
法務の転職支援に強い転職エージェント3社 | |
---|---|
|
法務求人を多数保有する法務特化の転職エージェント。法務人材の転職支援実績が豊富なうえに無料で利用できるため、初めての法務転職でも利用しやすい。 |
|
弁護士資格を活かして、事業会社の法務に転職したい方におすすめ。取扱い求人は非公開求人なので、普通では見つけられないない求人に出会える。 |
MS Agent |
法務求人のみを取り扱っている転職エージェント。専任アドバイザーが無料で転職をサポート。企業に自分で応募できる直接応募も可能。 |
- 法務の転職に特化した転職エージェント6社
- 法務で働きたい弁護士(インハウス)向けの転職エージェントおすすめ4選
- グローバル企業・外資系企業の法務向け転職エージェント3社
- ハイクラス法務人材向け転職サービス3社
- 法務未経験で転職したい人向けの転職エージェント4社
- 法務の転職で転職エージェントを使うべき理由
- 法務向けの転職エージェントを選ぶ際のチェックポイント
- 法務向けの転職エージェントを効果的に使うコツと注意点
- 法務の転職は今がチャンス!転職市場で法務のニーズが高まっている背景
- 企業規模別|法務求人の傾向や法務の転職で知っておきたい点
- 法務の転職で求められるスキルや経験
- 法務としての市場価値を高めるために求職者ができること
- 法務の転職を成功させるために押さえておくべきポイント
- まとめ
法務の転職に特化した転職エージェント6社
まずは、法務の転職に特化した転職エージェントを6社紹介します。
BEET-AGENT|幅広い法務求人の紹介が可能
公式サイト:https://beet-agent.com/
BEET-AGENTは、法務部特化型の転職エージェントです。
運営元の株式会社アシロはリーガルメディア関連事業を展開しており、法律業界や弁護士の働き方に精通しています。
法務の転職に関する知識やノウハウも豊富で企業とのネットワークもあるため、質の高い求人紹介と的確なアドバイスをしてもらえます。担当アドバイザーとの綿密な面談によりマッチング精度の高い転職が可能です。
法務特化の転職エージェントだからこそ知りえる、最新の転職情報を活かした専門性の高いサポートを受けられるでしょう。
BEET-AGENTが保有している法務求人例
【法務担当/東京都港区のIT系企業】
想定年収 |
550万円 ~ 850万円 |
---|---|
勤務地 |
東京都港区 |
業務内容 |
・既存事業における法務関連の相談業務 |
求人元 | BEET-AGENTの法務求人 |
【法務担当/東京都新宿区のIT上場企業】
想定年収 |
800万円 ~ 1,500万円 |
---|---|
勤務地 |
東京都渋谷区 |
業務内容 |
・M&Aにおける法務DD対応(外部弁護士との連携) |
求人元 | BEET-AGENTの法務求人 |
公式サイト:https://beet-agent.com/
MS Agent
MS Agentは、管理部門・法務や弁護士などに特化した転職エージェントです。
上場企業の70%以上にあたる企業との取引実績があるため、上場企業の法務部門へ転職を希望される方に向いています。年収アップを実現したケースも多いので、今よりも年収を上げたい法務人材にもおすすめです。年収交渉も代行してくれます。
公式サイト:https://www.jmsc.co.jp/
法務求人.jp
法務の転職に特化した転職サイトです。弁護士のドキュメント誌「Attorney's MAGAZINE」も編集・発行しているため法律業界の事情に詳しく、法務求人.jpだけの独占求人も保有しています。
直接応募も可能ですが、数が限定されるため基本的にはエージェントのサポートを受けながら非公開求人に応募する流れです。スケジュール調整や給与交渉などをすべて任せられます。
公式サイト:https://www.houmukyujin.jp/
リーガルブリッジ
法務および知財分野専門の転職エージェントです。求職者のキャリアプランと適性を考慮した転職支援を行うため、ミスマッチの少ない転職を実現できます。法務の転職事情に精通したベテランのコンサルタントが転職をサポートします。法務の中でも知財分野での経験や関心がある方におすすめです。
公式サイト:リーガルブリッジ
BUSINESS LAWYERS(EXCAREER)
企業法務ポータルサイトのBUSINESS LAWYERSが提供する管理部門特化型の転職支援サービスです。士業・バックオフィスの転職事情に精通したコンサルタントが転職活動を併走します。
丁寧なキャリアカウンセリングを通じ、求職者の強みや希望、転職活動の不安などを明らかにしていきます。キャリアプランや転職活動の悩みなどがあれば相談してみるとよいでしょう。
公式サイト:EXCAREER
SYNCA
管理部門・バックオフィス特化型転職サイトのSYNCAでは、求人を探して応募することも、スカウトを待って転職活動を始めることもできます。中小企業から大手企業、ベンチャー企業まで幅広い求人を扱っています。無料で市場価値診断もできるので、自分の市場価値を知りたい方は気軽に利用してみましょう。
公式サイト:SYNCA
法務で働きたい弁護士(インハウス)向けの転職エージェントおすすめ4選
企業の法務部門では弁護士有資格者を歓迎するケースも目立ちます。弁護士有資格者が転職するときは、弁護士向けの転職エージェントの利用が効果的です。
NO-LIMIT
NO-LIMITは、弁護士の転職支援に特化した転職エージェントです。
多様な業界のインハウス求人を保有しており、募集の背景や職場の雰囲気、求める人材像など細かい情報もしっかりと把握しています。アドバイザーは全員が弁護士業界出身です。弁護士の市場動向に詳しく、丁寧なヒアリングをもとに活躍できる環境を提案してくれるため、ミスマッチの少ない転職を実現できます。
公式サイト:https://no-limit.careers/
弁護士ドットコムキャリア
日本最大級の法律ポータルサイト弁護士ドットコムが提供する、弁護士特化型の転職エージェントです。インハウスの転職支援に特に強く、大企業から成長著しいベンチャー企業まで扱っています。
公式サイト:弁護士ドットコムキャリア
リーガルジョブボード
弁護士や司法書士などの法律系専門職に特化した転職サービスです。転職サポートを受けられるエージェントサービスと、求人企業と直接やり取りできるダイレクトリクルーティングの両方を使えるため、自分に合った方法で転職活動を進められます。各士業を専門とする担当者により、専門性の高いアドバイスやサポートを提供してもらえるのも魅力です。
公式サイト:リーガルジョブボード
弁護士転職.jp
弁護士専門の転職支援サービスです。弁護士に特化して15年以上の実績があり、ノウハウが蓄積されている安心感の高いエージェントです。転職サポートを受けるだけでなく、まずは情報収集から始めたい方やキャリア相談をしたい方も歓迎しています。
公式サイト:弁護士転職.jp
グローバル企業・外資系企業の法務向け転職エージェント3社
海外に事業展開するグローバル企業や、外資系企業に強い転職エージェントを3社紹介します。
JACリクルートメント
ミドル層やハイクラス人材向けの転職エージェントです。アジア8ヵ国と英国・ドイツ・アメリカに拠点をもつグローバルエージェントなので、海外に事業展開する日系大手企業や外資系企業の転職に強みがあります。グローバルネットワークを活かした転職サポートに実績があるためグローバルに活躍したい法務人材におすすめです。
公式サイト:JACリクルートメント
ランスタッド
世界39の国と地域で活動を続ける世界最大規模の転職エージェントです。グローバル企業や外資系企業の転職支援に実績があります。公開求人の80%以上が年収800万円以上で、1,000万円以上の高年収求人も多数あります。グローバルなコネクションで得た独自求人も豊富なので、ほかにはない求人を探している方はチェックしてみましょう。
公式サイト:ランスタッド
エンワールド
エンワールドはグローバル人材の転職支援に強みをもつ転職エージェントです。日本国内にある外資系企業の87%以上と取引があるため、外資系企業の法務を目指す方は利用を検討しましょう。ハイスペックな英語力を必要とする求人も多いので、英語力を活かしたい法務人材にもおすすめです。
公式サイト:エンワールド
ハイクラス法務人材向け転職サービス3社
管理職や経営幹部、スペシャリストなどハイクラス人材に特化した転職サービス3社です。企業からスカウトを受け取るタイプの転職サイトと、転職サポートを受けられるエージェントがあります。
ビズリーチ
管理職やリーダーポジション、高度専門職などに強いスカウト型転職サイトです。スカウトの量や内容を確認することで、自身の市場価値を把握し、転職活動に活かすことができます。またスカウトオファーにより厳選された求人企業の担当者と直接コンタクトが取れるため、自分で探して応募する必要がなく、効率的な転職活動を展開できます。
公式サイト:ビズリーチ
リクルートダイレクトスカウト
ハイクラス・エグゼクティブ向けの転職スカウトサービスです。匿名レジュメを登録することで、それを見た企業やヘッドハンターからのスカウトを受け取ることができます。取り扱い求人は年収800万~2,000万円の高年収求人が多いため、マネジメント経験者や高度な知識やスキルがある法務人材などに向いています。
公式サイト:リクルートダイレクトスカウト
doda X
doda Xはハイクラス人材に特化した転職サービスです。通常版のdodaと同様に、スカウトを待つだけでなく求人に自分で応募することも可能です。自己応募とスカウトの2つの方法をとることで、よりスピーディーに、より精度の高い転職活動を進めることができます。掲載求人が1.6万件と非常に多いため、多くの選択肢の中から自分に合った企業と出会いたい方におすすめです。
公式サイト:doda X
法務未経験で転職したい人向けの転職エージェント4社
法務はもちろん、ほかの管理部門系職種などにも興味がある方は、さまざまな職種・業界の求人がある総合型の転職エージェントの利用も検討しましょう。
リクルートエージェント
転職支援実績No.1、業界最大級の求人件数を誇る総合型の転職エージェントです。非常に求人数が多いため、さまざまな業界・企業の中から自分に合った求人を紹介してほしい法務人材は登録しましょう。法務求人も多数扱っています。
公式サイト:リクルートエージェント
doda
dodaは豊富な求人数と多様なサービスが魅力の転職サイトです。求人情報検索から応募、転職サポートまで多彩な方法で転職活動を進められます。業界トップクラスの求人数があるため、選択肢の幅を広げることができます。サイト内コンテンツも充実しているため転職活動における利用価値が高いサイトです。
公式サイト:doda
マイナビエージェント
丁寧なヒアリングとサポートに定評のある総合型のエージェントです。20代・30代の転職に強いため、若手法務人材に向いています。転職に不安が大きい方でも、専任のアドバイザーがじっくり話を聴きながらサポートしてくれるので安心です。
公式サイト:マイナビエージェント
パソナキャリア
ハイクラス人材向けの総合型エージェントです。年収800万円以上の高年収求人が多いので、法務の管理職経験者やスペシャリストの転職で活用できます。パソナキャリアだけが保有する独占求人も多いので、ほかにはない求人と出会える可能性があります。
公式サイト:パソナキャリア
法務の転職で転職エージェントを使うべき理由
法務の転職では、転職エージェントを使うことで転職活動を有利に進められます。
具体的には、以下の点がポイントです。
キャリアカウンセリングで法務の転職における方向性が明らかになる
転職エージェントを利用すると、専門的なキャリアカウンセリングを受けることができます。現在の市場動向や求人情報、自分の強みや適性などを分析し、最適な転職先を探すための方向性を提示してもらえます。また、自分のキャリアについて客観的なフィードバックを得ることもできます。
これにより、自分のキャリアに対する認識や目標を見直すことができ、より納得のいく転職活動を行えます。
キャリアプランや希望条件に合った非公開求人を紹介してもらえる
転職エージェントは求職者のキャリアプランや希望条件をヒアリングして、非公開求人の中から最適なものを紹介してくれます。非公開求人には法務部門の新設や拡大、組織変更などのタイミングで発生するポジションが含まれており、法務としてスキルアップやキャリアチェンジができるチャンスがあります。
非公開求人は競合他社に知られたくない場合や応募者の質を高めたい場合に採用されることが多いため、待遇面でも優遇される可能性があります。
応募書類の添削や面接対策で選考通過率が上がる
転職エージェントは求職者の強みや適性を最大限にアピールできるように応募書類の添削を行ってくれます。面接では、企業の事業内容や業界動向、面接官の特徴などに合わせた対策を提供してくれます。これらのサポートにより、求職者は自信をもって面接に臨むことができ、選考通過率が高まります。
社風や上司の人柄など募集要項から見えづらい情報も提供してもらえる
転職ではできるだけ多くの情報を得て、納得のいく選択をすることが必要です。特に社風や上司の人柄などは働きやすさやモチベーションにも関わってくるため、事前に把握しておきたいところです。しかし、こうした情報は募集要項や企業HPなどからは把握しづらく、転職後に後悔するケースが少なくありません。
転職エージェントは企業とのネットワークがあるため、企業の内部事情にも精通しています。詳細情報を提供してもらうことで法務の転職における不安やリスクを減らし、成功に近づけることができます。
面接や入社日の調整、年収交渉などを代行してもらえる
転職活動は各プロセスに時間がかかるため、現職が忙しい方は思うように活動を進められない場合があります。また年収を上げるために年収交渉する場合、自分の価値を正しく判断し、希望を的確に伝える必要がありますが、自分で直接交渉するのは難しい場合も少なくありません。
転職エージェントに依頼するとスケジュール調整などのプロセスを代行したり、適正な年収や待遇を提案したりしてくれます。転職活動が効率化するだけでなく、年収アップにも期待できます。
法務向けの転職エージェントを選ぶ際のチェックポイント
先に紹介したようにエージェントにも特化型や総合型などさまざまな種類があるので、まずは自分に合った種類を選ぶことが大切です。そのうえで、以下の点をチェックして適切なエージェントを選定しましょう。
法務職を求める企業とのネットワークが豊富か
求人企業とのネットワークが豊富かどうかは、転職エージェントの質を判断する重要な要素です。法務職は求人数がそれほど多いわけではなく、求人があっても非公開求人であるケースが主流です。この点、企業とのコネクションがある転職エージェントは、より多くの求人情報を提供できる可能性が高くなります。
また、法務職は専門性が高く、企業ごとに求められるスキルや経験が異なります。企業とのネットワークが豊富な転職エージェントであれば企業のニーズを把握しているため、求職者のスキルや志向に合った求人を紹介してくれる可能性が高いでしょう。
法務の市場動向や専門性を理解しているか
法務の転職市場動向や業務の専門性、給与水準などを理解しているかどうかも重要です。法務の市場動向や給与水準は一般的な転職市場とは異なる部分があります。
そのため、法務に精通しているエージェントでなければ適正な評価や交渉をサポートしてもらえない可能性があります。また法務の仕事は業界や分野によって異なるスキルや知識が求められるため、法務の専門性を理解しているエージェントでなければ適切な求人や企業を紹介してもらえません。
サポート体制は充実しているか
サポート体制の充実度もチェックポイントのひとつです。法務の転職は専門性が高く、求人数も限られているため、個々のキャリアプランや志向に合わせた細やかなアドバイスができるエージェントが求められます。また採用ハードルも高いため、面接対策や応募書類の添削が欠かせません。
サポート体制が充実している転職エージェントでればこうしたサポートを提供してもらえるため、転職活動を有利に進められます。
法務の転職に関する実績や評価がよいか
法務の転職に関する実績や評判は、エージェントの信頼性や品質を示す指標です。たとえば法務の転職に成功した人からの口コミや評判が高く、法務の求人情報に豊富にアクセスできるエージェントであれば信頼できる可能性が高いでしょう。
また、法務のキャリアパスや市場動向を詳しく把握しており、個々のニーズに合わせた最適な提案ができるエージェントも利用価値が高いです。
求職者のキャリアプランに寄り添った提案をしてくれるか
いくら多くの求人を紹介してくれても、自分のキャリアプランに合わないものであれば意味がありません。そのためエージェントを選ぶ際には求職者のキャリアプランに寄り添った提案をしてくれるかどうかが大切です。ポイントとしては、求職者のキャリアプランをしっかりとヒアリングしてくれるか、求職者の強みや弱みを的確に分析してくれるかといった点が重要になります。そのうえで希望にそった求人を紹介してくれるエージェントを選びましょう。
法務向けの転職エージェントを効果的に使うコツと注意点
転職エージェントを効果的に使いこなすためには、求職者自身が意識するべきポイントがあります。
アドバイザーに嘘やごまかしをしないこと
転職では転職エージェントの担当者とのコミュニケーションが重要です。担当者は求職者のキャリアや希望を理解し、適切な求人を紹介してくれます。しかし、そのためには求職者自身が担当者に対して正直に情報を伝える必要があります。
担当者に嘘やごまかしをすると、紹介された求人が自分の本当の希望と合わなくなる可能性が高まります。また担当者からの信頼が失われ、積極的にサポートしてくれなくなる可能性も生まれるでしょう。担当者と信頼関係を築き、自分のキャリアや希望を正確に伝えることで、スムーズな転職活動を行うことができます。
希望を明確に伝える
担当者に希望を明確に伝えることは、自分のキャリアプランや志向性を理解してもらい、適切な求人情報や企業情報を提供してもらうために必要です。もし自分の希望と合わない求人ばかりを紹介される場合は、自分の価値観や条件をしっかりと伝えているか振り返りましょう。
担当者と定期的に連絡を取り合う
エージェントの担当者と定期的に連絡を取り合いましょう。連絡をただ待っているだけでなく、求職者自らが積極的に連絡を取り、自分の状況や考えを伝えることが大切です。
定期的に連絡を取り合うことで、担当者は求職者の転職活動の進捗や変化に対応できるため、よりスムーズな転職活動を展開できます。また担当者との信頼関係を築けるため、気軽に相談できるようになります。
担当者のアドバイスや面接のフィードバックを活かす
転職エージェントを使うことで、自分ひとりで転職活動を進める場合には得られない「客観的な視点」を得ることができます。この視点を最大限に活用するには、担当者からのアドバイスを素直に受け入れて改善点を見つけることが大切です。
また、面接での評価や感想を参考にして、次回の面接に備えることができます。通常、求人企業が求職者に対して面接のフィードバックをすることはありません。転職エージェントを使った場合はエージェント経由でフィードバックが受けられるため、活かすことが大切です。
複数登録して2~3社に絞る
複数のエージェントに登録することで、より多くの求人情報や市場動向を知ることができます。また、各エージェントのサービスや対応の質を比較することもできます。
ただし、あまりにも多くのエージェントとやり取りすると、時間や労力がかかりすぎたり、情報が錯綜したりする可能性があります。そのため、登録したエージェントの中から自分に合った2~3社に絞ることがおすすめです。絞る基準としては求人情報の量や質、サポート体制やコンサルタントのスキル、自分との相性などを判断しましょう。
法務の転職は今がチャンス!転職市場で法務のニーズが高まっている背景
ここでは、転職市場における法務人材のニーズや求人動向について解説します。
法務の転職市場は「売り手」傾向で転職活動を始める人も増加
コンプライアンス意識やリスク管理意識の高まりなどを受け、法務人材のニーズが高まっています。それに対して法務人材は十分に供給されているとはいえず、人手不足状態にある企業も少なくありません。
そのため転職市場は売り手傾向にあり、法務経験者にはチャンスが大きい時期です。売り手傾向を受けて、転職活動を始める法務人材も増加しています。
企業の社会的責任や倫理観に関する期待や要求が高まっている
法務のニーズが大きい理由として、企業の社会的責任や倫理観に関する期待や要求が高まっているという背景があります。社会は、企業の事業活動が社会や環境に与える影響を考慮し、適切な対策や取り組みを行うことを求めています。
また、企業が消費者やステークホルダーからの信頼や評価を得るためには、透明性や公正性を重視したコミュニケーションや情報開示が必要です。これらのことを実現するためには、法務の専門知識や経験が不可欠です。
グローバル化やデジタル化により法律問題の複雑さが増している
ビジネスのグローバル化やデジタル化に伴い、国際的な取引や契約、データ保護や知的財産権などの法律問題の複雑さが増しています。
たとえば企業が海外進出をする際には、現地の法律や規制に適合しなければなりませんし、オンラインサービスを提供する際にはユーザーのプライバシーを守るために適切な対策を講じなければなりません。これらの法律問題に対応するためには専門的な知識や経験をもった法務担当者が必要です。
市場競争が激化し、経営戦略や事業戦略に法的な視点が求められている
ビジネス環境が日々変化している中で、企業は自社の強みを活かし、競合他社との差別化を図るために経営戦略や事業戦略を見直す必要があります。その際には、法律や規制に適合することはもちろん、リスク管理やコンプライアンスも重要な要素となります。
また競争力やブランド力を高めるためには、知的財産権や契約交渉などの法務活動が欠かせません。
そこで法務の専門知識や経験を持つ人材が求められています。法務は企業の経営陣や事業部門と連携し、戦略的な判断や提案を行うことで、企業の成長や競争力に貢献することできます。また企業のイノベーションや変革において、新たなビジネスモデルやサービスに対応できる柔軟性や創造性を発揮することも可能です。
企業規模別|法務求人の傾向や法務の転職で知っておきたい点
法務求人の傾向や法務に求められる役割、働き方の特徴は企業規模によって大きく異なります。ここでは企業規模別の求人傾向や働くメリット・デメリットなど法務の転職で押さえておくべき点を解説します。
大企業の法務
大企業では独立した法務部門が設置されているケースが多く、法務人材のニーズは高い状態です。特に近年はESGやサステナビリティの観点からコーポレートガバナンスを強化する大企業が多く、この領域での課題解決実績や知識がある法務人材が求められています。
大企業の法務として働くメリットは、安定した給与や福利厚生、ブランド力やキャリアアップの機会などが挙げられます。また、専門的な業務や国際的な案件に携わることができるので、法務としてのスキルや知識を高めることができます。一方で、デメリットとしては分業制が進んでいるため業務の幅が狭くなりがちな点や、組織が大きく複雑なために事業部などとの調整が難しい点などが挙げられます。
中小企業の法務
中小企業では独立した法務部門が存在するケースは多くないものの、法務領域に強い人材のニーズは高い状態が続いています。ただし中小企業の場合は大企業に比べて法務担当者の数が少なく、幅広い業務をひとりでこなす必要があります。
そのため、法務のスキルだけでなく、人事や総務などほかの管理部門の経験やビジネスの知識など幅広い経験や知識が求められます。業務の幅を広げたい方には多様な経験を積めるというメリットがある一方で、法務としての専門性を深めたい方には向いていない場合があります。
ベンチャー・スタートアップ企業の法務
ベンチャー・スタートアップ企業では事業の成長に合わせて法務体制を柔軟に変化させ、整備する必要があるため、法務経験者は高いニーズがあります。ここではM&Aなどの契約交渉や審査、知財権の保護や管理、コンプライアンスやリスク管理など多岐にわたる法務業務を担当することになります。やりがいの大きい環境を手に入れやすいメリットがある一方で、業務量が多くワークライフバランスは崩れがちになるのがデメリットといえます。
また、ベンチャー・スタートアップ企業の法務は経営陣や開発部門などと綿密に連携する必要があるため、積極的に関与することが求められます。さらに法務には守りに入るのではなく、イノベーションを起こすために自ら学び発信する姿勢が必要とされます。
法務の転職で求められるスキルや経験
法務の転職市場ではどのようなスキルや経験をもつ人材が求められているのでしょうか。以下に重要なポイントを挙げます。
応募先の業務に関連する法律や規制に関する知識
法務の業務内容や必要とされる知識は業界によって異なるため、応募先の業務に関連する法律や規制に関する知識が求められます。たとえば金融業界に転職する場合は金融商品取引法や金融機関の監督規制などに詳しくなる必要があります。IT業界に転職する場合は、個人情報保護法や電子署名法などに精通しておくべきです。
コミュニケーション能力や交渉力
コミュニケーション能力や交渉力は、法務の転職において重要なスキルです。法務は社内外のさまざまな関係者と連携し、法的な問題を解決する役割を担っています。法務部門のメンバーや外部の弁護士などと協力し、プロジェクトを推進することもあります。
そのため法務人材には相手の立場やニーズを理解し、説得力や調整力を発揮することが求められます。
ビジネス感覚や経営者視点
法務部門は企業のリスク管理や契約交渉など、ビジネスに直結する業務を担っています。そのため業界や市場の動向、競合他社の戦略などを理解し、経営層の意思決定に貢献できる法務担当者が求められています。
ビジネス感覚や経営者視点を身につけるには、新聞や書籍などで学ぶのはもちろん、法務以外の部署とも積極的にコミュニケーションをとりビジネスの全体像を把握することが大切です。
語学力
法務業務では国際的な取引や契約、紛争解決など、さまざまな場面で語学力が必要とされます。特に英語は、ビジネスの共通言語として広く使われているため、法務の転職では高い評価を受けるスキルです。国際的な取引や契約に関わる場合、英語での読解や書類作成ができることが求められます。
英語以外の言語も、海外のクライアントやパートナーとのコミュニケーションに役立ちます。たとえば中国語やフランス語、ドイツ語などは日本との貿易や投資が盛んな国や地域の言語です。これらの言語を話せると転職市場における競争力が高まります。
変化する環境や状況に対応できる柔軟性
法律は常に変化し、新しい事例や判例が生まれます。また、グローバル化やデジタル化などの社会的な動きにも対応しなければなりません。
そのため、法務の転職では変化する環境や状況に対応できる柔軟性が求められます。柔軟性がある法務人材は、より多様な法的課題に対応できるだけでなく、新しい視点やアイデアを得ることもできます。企業のビジネスへの貢献度が高いため、転職で高い評価を受けます。
法律だけでなく社会的責任に基づいて行動できる倫理観
法務は法律にもとづいて企業や組織の利益を守るだけでなく、社会のルールや価値観にも配慮しなければなりません。そのため法務人材には社会的責任にもとづいて行動できる高い倫理観が求められます。
これは、自分の行為が社会にどのような影響を与えるかを考え、その結果に責任を持つことができる姿勢のことです。
たとえば自社の製品やサービスに不良やトラブルが発生したとき、それを隠蔽するのではなく公正かつ透明に対応することは社会的責任にもとづいた行動だといえます。
法務としての市場価値を高めるために求職者ができること
自身の市場価値を高めることで、より好条件の求人や希望に合った求人に応募できます。以下では法務としての市場価値を高めるためにできることを解説します。
法律知識やビジネススキルを継続的に向上させる
法律の分野は日々変化しているため、新しい法令や判例に対応できるように最新の情報をキャッチアップする必要があります。ビジネススキルも重要な資質です。
法務では自社のビジネスの目的や背景を理解し、効果的なコミュニケーションや交渉ができる能力が求められます。法律知識やビジネススキルを継続的に向上させるためには、定期的にセミナーや研修に参加したり、書籍やオンラインコースなどで学習したりすることが有効です。
これらの取り組みは、求職者の市場価値を高めるだけでなく、自信やモチベーションの向上にもつながります。
社会や業界の動向やニーズを常に把握し、自分をブラッシュアップする
社会や業界の動向やニーズを把握し、自分のスキルや考え方を柔軟に変化させることで市場価値を高めることができます。たとえば企業のグローバル化や多様化に伴って必要とされる国際法や外国法、人権やコンプライアンスなどの分野に関心を持ち、専門性を高めることなどです。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進による技術革新で生じる契約や紛争などの法的な課題に対応できるように、関連する法律や知識を学ぶのもよいでしょう。
AIやリーガルテック分野の知識やスキルを磨く
AIやリーガルテックは法律業界においてますます重要な役割を果たしており、その活用方法や最新動向に精通していることは、求人企業にとって魅力的なポイントとなります。
AIやリーガルテックを使うことで、法務の効率化や品質向上にも貢献できます。たとえばAIを用いた契約書の自動作成やチェック、リーガルテックを用いた訴訟予測やリスク分析などが挙げられます。
視野や人脈を広げる
法務として求められる能力のひとつは、多様な視点から問題を分析し、解決策を提案することです。そのためには、視野や人脈を広げることが重要です。これにより、自分の知識やスキルを広げるだけでなく、新しいチャンスや情報を得ることができます。
また自分の価値観や考え方を柔軟にすることにもつながります。視野や人脈を広げる方法としては、セミナーや勉強会に参加する、オンラインで情報交換するといった方法があります。
法務の転職を成功させるために押さえておくべきポイント
法務人材が希望先から内定を獲得し、転職後も活躍するためには以下の点を押さえておくことが必要です。
自分の専門分野や関心領域を明確にする
まずは自分の専門分野や関心のある領域を明確にすることが大切です。これにより、自分に合った転職先を見つけやすくなり、自分の専門性や強みをアピールする際にも有利になります。
専門分野や関心領域を明確にするためには、現在の仕事内容やキャリアプランを振り返ることが大切です。どんな業務にやりがいを感じるか、どんなスキルや知識を身につけたいか、どんな法律問題に関わりたいかなど自分の希望や目標を明確化しましょう。
応募書類や面接では自分の強みや適性を具体的に示す
応募書類や面接では、自分がどのような法務業務に対応できるか、どのような成果や貢献を出せるかを明確に伝える必要があります。応募書類では、過去の実績や担当した案件の内容、解決策や効果などを具体的な数字や事例で示しましょう。面接では、志望動機やキャリアプランだけでなく、自分の専門知識やスキルをアピールする機会を見逃さないことが大切です。
応募先の成長性や財務状況を確認する
応募先の企業が将来的に安定しているかどうか、法務部門に十分な予算や人員が割り当てられているかどうかの確認も必要です。法務としてのキャリアパスが明確になっているかどうかもチェックしましょう。
これらは転職後の働きやすさややりがいに直結する要素です。応募先の成長性や財務状況などは、企業の公式サイトや有価証券報告書、面接の質問や転職エージェントなどから入手できます。
企業風土や職場の雰囲気が自分と合っているか確認する
自分にとって快適な環境で働くことは、法務としてのパフォーマンスやキャリアアップに大きく影響します。そのため企業風土や職場の雰囲気の確認が欠かせません。
企業内における法務の役割や責任はどの程度か、上司や同僚とのコミュニケーションは円滑にできるかなど、自分の価値観や働き方に合致するかどうかを見極める必要があります。
面接や企業説明会などで積極的に質問したり、社員や元社員の口コミを調べたりすることで、より具体的な情報を得ることができます。
転職エージェントに頼りすぎず自分で積極的に転職活動を進める
転職エージェントは希望や条件に合った求人を紹介してくれますが、それだけで転職が成功するわけではありません。求職者自身が自分の強みや魅力をアピールし、企業とのコミュニケーションを取ることが必要です。
また、転職エージェントに任せきりにすると自分のキャリアプランや目標がぼやけてしまう可能性もあります。転職エージェントはあくまでサポート役であり、転職するのは自分自身です。
自ら積極的に転職活動を進めることで、より自分に合った法務の仕事を見つけられるでしょう。
法務が円満退職して新しい道へ進むために
法務職として今の企業で働いてきた経験は、今後のキャリアにおいても大きな財産となります。しかし、その財産を活かすためには、円満に退職することが重要です。
なぜ円満退職する必要があるのか
円満退職することで、退職後も元上司や同僚と良好な関係を維持できます。これは、今後の仕事やキャリアの可能性を広げるのに役立ちます。また退職時に感謝や敬意を表すことで、自分自身の成長や学びを振り返ることができます。自己肯定感や自信を高めることにつながり、元の職場で得た経験やスキルを新しい職場で活かすことができるでしょう。
さらに円満退職することで希望の退職日に退職できます。退職日に関するトラブルが起きないことで、転職先の入社日を調整してもらう必要もなく、転職先に迷惑をかけることもありません。
退職の意思はできるだけ早めに伝える
法務職は企業にとって重要なポジションであり、後任者の確保や引き継ぎに時間がかかる場合が多いです。そのため、退職する場合は、できるだけ早めに上司や人事部に退職の意思を伝えましょう。
最低でも法定通知期間(2週間)よりも前には連絡するべきですが、一般には1ヵ月以上前に伝えるのがマナーです。
業務の引継ぎを丁寧に行う
引き継ぎは円満退職のための重要項目です。自分が担当していた業務やプロジェクトの進捗状況、重要な書類やデータなどを後任者や関係部署に説明し、引き継ぎ資料を作成しましょう。
また、引き継ぎ期間中は後任者からの質問や相談に応じる姿勢を示すことも大切です。最終在籍日までは自社の従業員なので、有給休暇の消化にあてる場合も、「分からないことがあれば連絡してほしい」といった姿勢を示すと好印象です。
最後まで真摯に仕事と向き合い、しっかり挨拶する
退職するからといって手を抜いたり、無責任な態度をとったりするのは避けましょう。自分がやり残した仕事は同僚に迷惑をかけるだけでなく、自分の評判も悪くします。最終日には自分と関わった人たちに感謝の気持ちを伝え、しっかり挨拶しましょう。
最後まで真摯に仕事と向き合い、挨拶することで自分のプロフェッショナルさを示すことができます。退職は一つの区切りですが同時に新たなスタートでもあります。今まで培った経験やスキルを活かして新しいステージに向かいましょう。
まとめ
法務は自社のビジネスを守り、加速させる重要なポジションです。企業側は採用に慎重になることが多いので、採用を勝ち取ることはそれほど簡単ではありません。転職エージェントを活用し、戦略的に転職活動を進めましょう。