弁護士が企業の法務部へ転職するのは難しい?必要な能力とチェック項目
弁護士が企業の法務部へ転職するのは難しい?必要な能力とチェック項目

企業の法務部門でのキャリアを築くことは、多くの弁護士にとって魅力的な選択肢のひとつです。しかし、企業の法務部門では法律事務所とは異なるスキルセットが求められるため、必ずしも転職は簡単ではありません。

本記事では、法務部門への転職が難しい弁護士の特徴や弁護士のニーズが高い業界、企業が法務部の弁護士に期待する点などを解説します。企業法務で役立つ能力や転職活動のポイントもチェックしましょう。

法務求人を探す(無料)

目次
  1. 弁護士が企業の法務部門に転職するのは難しいと言われるのはなぜ?
  2. 弁護士が企業の法務部門へ転職を希望する主な理由
  3. 法務部門における弁護士の転職市場
  4. 法務部門における弁護士のニーズが高い業界
  5. 法務部門への転職が難しい弁護士の特徴
  6. 企業が法務部の弁護士に期待すること
  7. 弁護士が法務部門のキャリアを実現するために身につけたい能力
  8. 弁護士が法務部門への転職でチェックしたい項目
  9. 弁護士が法務部門への転職を成功させるポイント
  10. 弁護士が法務部門への転職で活用したい転職サービス
  11. まとめ

弁護士が企業の法務部門に転職するのは難しいと言われるのはなぜ?

企業の法務部門への転職を考える弁護士の方にとって、いくつかの大きな壁が存在します。

以下では、弁護士が企業の法務部門へ転職する際に課題となる3つの点を解説します。

仕事内容や働き方が違う

法律事務所と企業の法務部門の仕事には大きな違いがあります。法律事務所では、弁護士は主にクライアントの代理人として法律問題の解決や訴訟の対応に専念します。そのため法律の解釈や適用に対する深い知識が求められます。

働き方としては、法律事務所に雇用されるのではなく、業務委託契約を結ぶことが一般的です。日々の業務を遂行するためには、裁判所や法務局、刑事施設などさまざまな場所を訪れる必要があります。

一方、企業の法務部門では契約書の作成やチェック、コンプライアンスの確保やリスク管理など自社に関係する業務を担当します。自社のビジネス全体を理解し、法律を実務にどのように適用するかを考える必要があるため、法律事務所の弁護士とは異なるスキルセットが要求されます。

また、企業の法務部門で働く場合、弁護士も自社の一員として雇用契約を結ぶのが一般的です。法廷に立つ機会は非常に少ないため、基本的には社内で業務が完結することが多いでしょう。

自社のビジネスに興味をもつことが前提

企業の法務部門においては、自社のビジネスに対する深い理解と興味が不可欠です。弁護士は法律に関する専門知識やスキルを提供できますが、企業内ではそれだけでは不十分です。法務部員として会社のビジネスモデルや業界のトレンド、競合他社の動向などを理解し、自社の利益を最大化するために法律を活用することが求められます。

法律事務所において弁護士としてのキャリアを築いてきた方にとっては、物事の見方や思考パターンを変える必要があり、大きな挑戦となる場合があります。

実務スキルを磨き続けられない

法律事務所で弁護士として働く場合、専門的な法律知識やスキルを磨き続けることが求められます。日々の業務を通じて法律の新しい判例や改正情報に触れ、継続的な勉強が必要です。とくに訴訟や交渉のスキルは実務経験を通じて磨かれるものであり、これらは弁護士にとって重要な資産です。

しかし、企業の法務部門では、これらの実務スキルを同じように磨き続けることが難しい場合があります。企業内では訴訟対応や法律相談の頻度が少なく、日常業務の多くは契約書のレビューや社内のコンプライアンスチェックなどに集中しがちです。

これにより、弁護士としての専門スキルが錆びつく可能性があります。とくに法曹界でのキャリアを続けたいと考えている場合、この点は大きな懸念材料となるでしょう。

法務求人を探す(無料)

弁護士が企業の法務部門へ転職を希望する主な理由

近年では企業の法務部門への転職を考える弁護士が増えています。その背景には、法律事務所での働き方やキャリアの方向性に関するさまざまな理由があります。以下では弁護士が企業の法務部門へ転職を希望する主な理由について解説します。

法律事務所での人間関係に嫌気が差した

法律事務所の弁護士は個人事業主のような立場なので、競争が激しく人間関係に悩まされるケースが少なくありません。ボス弁からのパワハラや同僚弁護士との出世競争、クライアントへの対応など、人間関係がストレスの一因となることは多々あります。

一方、企業の法務部門では、社内の同僚と協力しながら業務を遂行することが求められます。法務部員として働くことで、より安定した人間関係の中で業務を進められる環境が得られます。チームワークを重視し、共通の目的に向かって協力する文化の中で働くことができるため、人間関係のストレスが軽減されると感じる弁護士も多いでしょう。

ワークライフバランスを維持できない

法律事務所で働く弁護士の多くは、長時間労働と高いプレッシャーにさらされています。クライアントの緊急対応やタイトな締め切りに追われる日々では、ワークライフバランスを保つことが難しく、プライベートの時間を犠牲にすることが常態化しています。

企業の法務部門では、一般的に法律事務所ほどの長時間労働は要求されません。企業の一員として働くことで、定時退社や休暇の取得が比較的しやすくなり、家族や友人との時間をもつことが可能になります。ワークライフバランスを重視する弁護士にとって、企業の法務部門は非常に魅力的な職場環境となるでしょう。

企業の一員として自社のビジネスに貢献したい

弁護士としてのキャリアを積む中で、単に法律問題を解決するだけでなく、より広い視野でビジネスに貢献したいと考える方もいます。企業の法務部門では法律の専門知識を活かしつつ、企業全体の成長に寄与する役割を担うことができます。

とくに自社の製品やサービスに強い関心があり、その発展に貢献したいと考える弁護士にとっては、企業の法務部門での仕事は大きなやりがいとなるでしょう。法務部員として働くことで、自分の知識やスキルを直接的に会社の成功に結び付けることができるため、仕事へのモチベーションも高まるはずです。

法務求人を探す(無料)

法務部門における弁護士の転職市場

法務部門への転職を考える弁護士の方にとって、現在の転職市場の動向を理解することは重要です。法務部門における弁護士の需要や採用の動向について解説します。

法務部門の採用ニーズは強い

まず法務部門全体の採用ニーズをお伝えすると、近年はコンプライアンスやガバナンスの強化、グローバル化などを背景に法務部門における採用ニーズは非常に強い状態が続いています。専門的な法律知識をもつ人材を法務部門に迎え入れることで、法的課題への迅速な対応やリスクマネジメントの強化を図ろうとする企業が増えています。

インハウスローヤーは増加傾向にある

日本組織内弁護士協会のデータによると、2001年に66人だったインハウスローヤーは、2023年には3,184人にまで増加しています。

参考:日本組織内弁護士協会|企業内弁護士数の推移(2001年~2023年)

多くの企業が内部に法律の専門家を配置することで、法務コストの削減や迅速な法務対応を目指しています。これにより、魅力的な求人も増えており、弁護士にとってチャンスが広がっています。

弁護士が求められるかは企業事情によって異なる

企業の法務部門で弁護士が求められるかどうかは、企業の事情やニーズによって異なります。

たとえば海外展開を積極的におこなっている企業や、新規事業を立ち上げる企業では、高度な法律知識をもつ弁護士が必要とされることが多いです。

一方で、すでに法務部が充実している企業や、顧問弁護士との連携が強い企業では、弁護士の採用ニーズが低い場合もあります。そのため転職を検討する際には、各企業の法務部門の状況やニーズを事前にリサーチすることが重要です。

企業法務経験者が有利だが未経験でも若手ならチャンスがある

法務部門への転職において、企業法務の経験がある弁護士は確かに有利です。すでに実務経験があることで、企業のニーズに即した業務を迅速にこなすことが期待されるでしょう。

しかし、一般民事の経験しかないなど企業法務未経験の弁護士であっても、若手であればチャンスは十分にあります。若手弁護士の柔軟性や新しい視点を評価し、研修やOJTを通じて成長をサポートする姿勢をもつ企業は少なくありません。とくに熱意のある若手弁護士は、企業の法務部門でのキャリアを築くチャンスを掴むことができるでしょう。

企業法務経験者なら年齢の壁は低い

一般的に転職では年齢が課題となることも少なくありませんが、企業法務の経験が豊富な弁護士にとって年齢の壁は比較的低いです。経験と専門知識をもつ中堅からベテランの弁護士は、即戦力としての期待が高く、企業にとって非常に価値がある存在です。

そのため、年齢が高くても採用される可能性が十分にあります。

法務求人を探す(無料)

法務部門における弁護士のニーズが高い業界

あらゆる業界において法務部門における弁護士のニーズは年々高まっていますが、とくに以下の4つの業界では、弁護士の役割が重要性を増しています。

メーカー

メーカーでは、製品開発から製造、販売にいたるまで幅広い法務問題が発生します。とくに知的財産権の保護や製品の安全性に関する規制遵守、サプライチェーン管理、国際貿易に関する法律問題などが大きなテーマとなります。

メーカーへの転職では、知的財産や契約、国際取引などに関する法律に精通していることが重要です。また、製品リコール対応や環境規制に関する知識も求められることがあります。

総合商社

総合商社は多岐にわたるビジネスを展開しており、取引先や業界も多様です。そのため業務範囲が広いのが特徴で、取引契約の作成・交渉やM&A、紛争解決など多様な業務に携わることになります。

総合商社ではM&Aや国際取引、クロスボーダー取引に関する深い知識が求められます。国際法や各国の商習慣に関する理解も必要です。商社ではビジネスを推進するために迅速な意思決定が求められるため、問題解決能力や交渉力も欠かせません。

IT系

IT業界では、技術革新のスピードが速く、新たなビジネスが次々と誕生しています。それにともない、法的課題もプライバシーの保護やデータセキュリティ、知的財産権やライセンス契約など多岐にわたります。
  
IT業界への転職では、個人情報保護やサイバーセキュリティ、ソフトウェア特許などに関する専門知識が必要です。インターネットは国や地域を越えたビジネスを可能にするため、GDPR(EU一般データ保護規則)などの国際規則に関する知識が必要となることもあります。新しい技術やビジネスモデルに対する理解力、変化に対応できる柔軟性も求められます。とくにAIやブロックチェーンなどの新興技術に関する知識があると評価されるでしょう。

金融業界

金融業界は公益性が高いビジネスなので、法令遵守やリスク管理がより厳格に求められます。金融取引や金融商品に関する規制の対応、コンプライアンス管理などが法務業務の中心です。

金融業界への転職では、金融商品取引法や銀行法、保険法などの知識が必要です。金融業界は規制環境の変化が速いため、最新の法改正に対応できる継続的な学習意欲も求められます。

法務部門への転職が難しい弁護士の特徴

転職市場においては、弁護士が企業への転職において難しさを感じることがあります。とくに以下の特徴をもつ弁護士は転職が難しいことがあるため注意が必要です。

企業法務への転職動機が弱い

なぜ企業法務を希望するのか、しかも外部の弁護士ではなく企業内で携わりたいのかが不明確だと、採用側の懸念材料となり転職が難しくなります。

転職動機が弱いと、仮に転職できたとしても結局法律事務所に戻りたくなってしまうでしょう。とくに、ワークライフバランスの改善や安定性ばかりが先行して業務内容やキャリアについて深く考えていないケースでありがちなケースです。

自由な働き方は譲りたくない

独立した弁護士や法律事務所で働く弁護士は、勤務時間や勤務場所に縛られることが少なく、自由な働き方に慣れていることが多いです。

しかし、企業内の法務部門では、組織の一員としての規律やチームワークが求められます。自由な働き方に固執すると、企業文化になじめないと見なされることがあります。

年収は下げたくない

法律事務所や独立した弁護士として高い年収を得ている場合、企業法務への転職で年収が下がることがあります。とくに企業法務を扱う法律事務所は一般に高年収なので、企業への転職では下がるケースが多いでしょう。

しかし、年収が下がることに対する抵抗感が強すぎると、応募できる求人が少なくなります。選考に通過しても年収面での折り合いがつかずにうまくいかないことがあります。

法務以外の業務に携わりたくない

法律事務所では、弁護士は専門家として法律業務に専念できる環境が整っています。

一方、企業の法務部門では法務に限定されず、ビジネス全体を理解しながら多岐にわたる業務に携わることが求められます。そのため法務以外の業務に対して消極的な姿勢が見られると、企業側からの評価が低くなる可能性があります。

法務求人を探す(無料)

企業が法務部の弁護士に期待すること

企業への応募に際して、企業が弁護士にどんな点を期待しているのかを理解しておくことも大切です。

組織の法的課題を的確に把握し、解決に導くこと

企業の法務部に所属する弁護士には、組織が直面する法的課題を的確に把握し、それを解決に導く能力が求められます。企業が日々直面する法的課題を迅速に特定し、適切な法的アドバイスを提供することは、企業の安定運営に欠かせません。

弁護士としての専門知識と実務経験を活かしつつ、複雑な法的問題をクリアに整理し、具体的な解決策を提示することが求められます。

法務問題にスピーディに対応すること

ビジネスを取り巻く環境は日々変化し、突発的な法務問題が発生することも少なくありません。

そのため、法務部の弁護士にはスピーディな対応が求められます。迅速な初動対応は問題の拡大を防ぎ、企業のリスクを最小限に抑えるために重要です。とくに緊急を要する法務問題に対しては、迅速かつ的確に行動し、関連部門と連携しながら解決を図ることが期待されます。

法務部門の信頼性や質を上げること

法務部門の信頼性や質を高めることも、企業が弁護士に期待することのひとつです。弁護士を採用することで優秀な法務人材が増えることになるため、法務部門への影響が大きく、質の底上げにつながります。法務部が提供する法的アドバイスや書類が常に正確で信頼性が高いものであることは、社内外のステークホルダーに安心感を与えるでしょう。

また、弁護士がプロフェッショナルとしての高い倫理観と責任感をもち、常に最新の法的知識を習得し続けることで、ほかの法務部員の向上心によい影響を与えます。

将来の管理職としての期待もある

企業は弁護士に対して、将来的な管理職としての役割も期待しています。組織全体の法務戦略を策定し、法務部のメンバーを指導・育成できる人材としての役割が期待されるでしょう。リーダーシップを発揮し、チームを率いて成果を出すことで、企業の成長に貢献することが求められます。

社内のコンプライアンスを高める

企業で働く弁護士には、社内のコンプライアンスを高める役割も求められます。法令遵守の徹底はもちろんのこと、企業の倫理規範やガバナンスを強化するための施策を推進することが期待されます。弁護士はコンプライアンス教育の実施や啓蒙活動などを通じて、企業全体が法令遵守の重要性を理解し、実践する環境を整えることが求められます。

法務求人を探す(無料)

弁護士が法務部門のキャリアを実現するために身につけたい能力

弁護士としての経験を活かし、企業の法務部門でのキャリアを実現するには、特定のスキルセットが求められます。以下では、主に身につけたい能力について解説します。

転職先の業界知識

企業法務では、法律の知識だけでなく、業界特有の規制やビジネスモデルについての理解が求められます。たとえば製薬会社の法務部門で働く場合、医薬品に関する規制や医薬特許、製造プロセスなどについての知識が必要です。

このため、転職を考える際には、希望する業界の最新動向や主要な規制についての知識を積極的に学びましょう。業界関連のニュースや専門誌、業界団体が主催するセミナーなどに参加することで、知識を深めることができます。

英語力

グローバル化が進む現代のビジネス環境では、英語力は不可欠です。とくに外資系企業や海外との取引が多い企業の法務部門では、契約書のレビューや法的文書の作成、国際会議でのコミュニケーションなどで英語が必要となります。

法務における英語力は、ビジネス英語だけでなく、法律用語や契約書の英訳・和訳のスキルも求められます。英語力を高めるためには、法律英語に特化した学習や、英語での契約書作成の練習などが有効です。日常的に英語の法律文書を読む習慣をつけることも役立ちます。

ITリテラシー

デジタル化が進むなかで、法務部門では契約管理システムや電子署名、リサーチツールなどを効率的に使いこなす能力が求められます。また、サイバーセキュリティや個人情報保護に関する分野の知識も必要です。

ITリテラシーを高めるためには、法務に特化したソフトウェアやツールの使用方法を学び、実際に操作してみることが重要です。また、IT関連の法律や技術についての書籍を読んだりセミナーを受けたりすることで、最新の知識を得ることができます。

ビジネス視点

企業法務では、法律の適用だけでなく、ビジネスの視点から法的アドバイスを提供することが求められます。法律的に正しいだけでなく、企業の戦略や利益に沿った解決策を提案できる能力が重要です。そのためには、ビジネスモデルや財務状況、市場のトレンドなどを理解していることが前提となります。

ビジネス視点を養うためには、企業の財務報告書や市場分析レポートを読む習慣をつけるのがひとつの方法です。実際のビジネス環境での経験を積むことも重要なので、企業への出向経験などがあれば活かすことができます。

協調性や適応力

企業の法務部門では他部門と協力して業務を進めることが多く、協調性が重要です。事業部門や研究開発部門などさまざまな部門と連携し、円滑に業務を進める能力が求められます。

また、企業は法律事務所と比べて大規模な組織であることが多いので、企業の方針や環境の変化に柔軟に対応できる適応力も重要です。

協調性や適応力を高めるためには、チームで協力する経験や各種プロジェクトへの参加経験を積むことが有効です。コミュニケーションスキルを磨くことも必要となります。

法務求人を探す(無料)

弁護士が法務部門への転職でチェックしたい項目

弁護士が企業の法務部門へ転職を考える際には、さまざまな視点から転職先を評価することが重要です。転職を検討する際にチェックすべきポイントについて解説します。

業務内容

転職先においてどのような業務を担当するのかを事前に把握することは非常に重要です。企業の法務部門での業務は契約書の作成・レビューや法的リスクの管理、コンプライアンス業務、知的財産管理など多岐にわたります。日常的な業務の種類と量のほかに、自身の専門知識や経験がどのように活かせるか、新しい分野の知識を習得する機会があるかなどもチェックしておきましょう。

応募先のカルチャー

企業のカルチャーや風土は、働きやすさや職場でのパフォーマンスに大きな影響を与えます。カルチャーを理解するためには、企業が掲げるミッションやビジョン、価値観が自分に合っているかどうかの確認が必要です。

人間関係やコミュニケーションの取り方、チームワークの程度などもチェックしましょう。可能であれば、面接時に職場の見学をさせてもらったり、現在の従業員に直接話を聞いたりすることも有益です。

企業内における法務人材の立場や求められる役割

企業内で法務人材がどのような立場にあり、どのような役割を果たすことが求められているかを把握することも重要です。

まずは、法務部門が企業内でどのように位置づけられているかを確認しましょう。経営陣に近い位置での役割があるのか、それともサポート的な位置づけなのかといった点です。また、企業が法務部員に期待する具体的なスキルセットや知識は何か、法務部門での昇進やキャリアの発展可能性はどうかといった点も確認しましょう。

弁護士会費の負担

企業に転職する際に忘れがちなポイントとして、弁護士会費の負担についても確認しておくことが重要です。

インハウスローヤーの弁護士会費の負担については、一般的には企業が負担するケースが多いですが、企業によって異なります。また、全額負担なのか一部負担なのか、支払いのタイミングはどうなっているのかなども確認しておくとよいでしょう。

法務求人を探す(無料)

弁護士が法務部門への転職を成功させるポイント

弁護士が法律事務所とは異なる環境でのキャリアを成功させるためには、以下のポイントを押さえておく必要があります。

法律事務所との違いを理解しておく

まず、法律事務所と企業の法務部門の違いを理解することが重要です。

法律事務所では主にクライアントの法律相談や訴訟対応が中心となりますが、企業法務部門では多岐にわたる業務を担当します。

また、法律事務所では法的問題が発生したあとの対応にあたることが一般的ですが、企業では問題が発生する前にリスクを予測し、予防策を講じることが重視されます。さらに企業では法令遵守を推進するだけでなく、企業の戦略や目標に沿った法的アドバイスが求められます。

これらの違いを理解し、自分が本当に企業で適応できるかを考えておくことが重要です。

自己分析を丁寧におこなう

弁護士の転職活動では、しばしば自己分析が不足している人が見られます。弁護士だからという理由で転職できると考えている人や、一般民事の経験だけで企業法務に転職できると考えている人は少なくありません。また、「ワークライフバランスが改善される」と聞いて闇雲に転職活動を始めるケースもあります。

ほかの職種と同様に、弁護士も自己分析を丁寧におこなうことが不可欠です。自己分析を通じて自分の強みや弱み、キャリアの目標を明確にしましょう。企業のカルチャーや価値観が自分に合っているかを評価し、自分がどのような職場環境で最もパフォーマンスを発揮できるかを考えることも大切です。

ビジネス視点での貢献をアピールする

応募する際には、ビジネス視点でどんな貢献ができるのかを伝えることが重要です。これにより、企業が求める法務人材としての適性をアピールできます。

たとえば、企業のビジネスモデルや業界特有の規制についての理解を示すことで、法的リスクをビジネスの観点から評価し、適切な助言ができることをアピールします。また、法律知識を活かして、具体的なビジネス上の問題をどのように解決した経験があるかを説明することも有効です。成功事例や具体的な成果を示すとよいでしょう。

転職サービスを活用する

転職エージェントやスカウト型転職サイトなどの転職サービスを活用することも転職成功の大きなポイントです。

転職エージェントを利用することで、キャリアカウンセリングや求人情報の紹介、応募書類の作成や面接対策などのサポートを受けることができます。一般には公開されていない非公開求人を紹介してもらえることも大きなメリットです。より適したポジションに出会える可能性が高まります。

スカウト型転職サイトを使えば企業との接点が増え、より多くの選択肢から自分に合ったキャリアを選択できます。

法務求人を探す(無料)

弁護士が法務部門への転職で活用したい転職サービス

法務部門への転職を検討中の弁護士におすすめの転職サービスを紹介します。

NO-LIMIT

NO-LIMITは弁護士の転職支援に特化した転職エージェントです。

弁護士業界に精通したアドバイザーが、弁護士の希望や志向を丁寧にカウンセリングし、最も活躍できる環境でのキャリアを提案しています。企業の強みや内情などに詳しいので、転職活動の情報収集に厚みがでるでしょう。

公式サイト:https://no-limit.careers/

BEET-AGENT

BEET-AGENTは、法務や人事などの管理部門系人材を専門とする転職エージェントです。

年収600万~2,000万円以上のハイクラス求人を豊富に扱っているため、インハウスを目指す弁護士にもおすすめします。管理部門の働き方に精通したアドバイザーが希望のキャリアの実現をサポートします。

公式サイト:https://beet-agent.com/

MS Agent

MS Agentは管理部門と士業に特化して転職をサポートしています。

上場企業との取引実績が豊富なので、上場企業の法務部門へ転職を検討中の弁護士におすすめです。MS Agentにしかない独自求人もあるので、他社では出会えなかった企業との出会いにも期待できます。

公式サイト:https://www.jmsc.co.jp/

ビズリーチ

ビズリーチは即戦力人材向けのスカウト型転職サイトです。

登録すると企業やヘッドハンターからスカウトが届くので、気になる企業があれば直接やり取りできます。プロフェッショナル人材向けの求人が多く、年収水準も高いのが特徴です。

公式サイト:https://www.bizreach.jp/

まとめ

企業の法務部門で弁護士が活躍するには、法律知識だけでなく業界知識やビジネス視点などが必要です。

法律事務所の弁護士とは異なる視点で自社の成長を支えることが求められるため、自己分析をしっかりおこない、自分に合った環境なのかを熟考しましょう。

法務求人を探す(無料)

アイコン

この記事の執筆者

士業チーム

LEGALS[弁護士]

弁護士の実務、転職市場に知見のある経験者に向けてお役立ちコンテンツを発信。士業チームの中でも弁護士に特化した情報発信をしています。

目次
  1. 弁護士が企業の法務部門に転職するのは難しいと言われるのはなぜ?
  2. 弁護士が企業の法務部門へ転職を希望する主な理由
  3. 法務部門における弁護士の転職市場
  4. 法務部門における弁護士のニーズが高い業界
  5. 法務部門への転職が難しい弁護士の特徴
  6. 企業が法務部の弁護士に期待すること
  7. 弁護士が法務部門のキャリアを実現するために身につけたい能力
  8. 弁護士が法務部門への転職でチェックしたい項目
  9. 弁護士が法務部門への転職を成功させるポイント
  10. 弁護士が法務部門への転職で活用したい転職サービス
  11. まとめ