AI契約書レビューサービスおすすめ主要9社を徹底比較！自社に合った選び方とは

市場には多種多様なサービスが存在し、大企業向けの包括的な契約ライフサイクル管理（CLM）機能を備えたものから、中小企業（SME）に特化した手頃な価格のツール、さらには無償で提供されるサービスまで、幅広い選択肢があります。

特に、「自社基準レビュー」（企業独自の基準に基づくレビュー）機能や、国際取引の増加に伴う英文契約書への対応能力は、多くの企業にとって重要な選定基準といえます。

各サービスは、AIを契約書レビュープロセスの異なる側面に活用しており、単にリスク箇所を指摘するだけでなく、修正案の提案、契約書ひな形の提供、バージョン管理、さらには契約管理台帳の自動作成支援など、多岐にわたる機能を提供しています。

しかし、「AIレビュー」という言葉が指す内容はサービスごとに異なり、高度な法的リスク分析を行うものから、書式チェックやデータ抽出を主とするものまで様々であるため、導入を検討する際にはそのAIが具体的に何を行うのかを正確に理解することが不可欠です。

また、日本の法的環境、特に弁護士法第72条（非弁行為の禁止）は、AI契約書レビューサービスの提供形態に大きな影響を与えています。多くのサービスは、AIをあくまで法務担当者や弁護士の「支援ツール」と位置づけることで、同法との抵触を回避しようと努めています。この点は、サービス選定における重要な考慮事項となります。

本記事が、各企業・組織の具体的なニーズ、予算、既存システムとの連携要件、そして法的リスク管理の方針に照らして、最適なAI契約書レビューサービスを選定するための一助となれば幸いです。

AI契約書レビューサービスおすすめ9社比較

まず、日本市場で注目されるAI契約書レビューサービス10社を選定し、その特徴を詳細に比較検討します。

以下、各サービスの詳細なプロフィールを記述します。

LegalForce(株式会社LegalOn Technologies)

LegalForceは、株式会社LegalOn Technologiesが提供するAI契約書レビュー支援サービスです。弁護士の法務知見と最新テクノロジーを融合させ、契約書レビュー業務の効率化と品質向上を目指しています 。国内外で多数の企業や法律事務所に導入実績があります。

公式サイト：https://www.legalon-cloud.com/legalforce

コアAIレビュー機能

AIが契約書を自動レビューし、一般的な基準やユーザーが設定した自社基準に基づいて、不利な条項、欠落条項、条文の抜け漏れなどを網羅的に指摘します 。約50類型以上の契約書に対応し、弁護士が監修した対応方針やサンプル条文、関連法規情報も提示されます 。

対応契約書種類と言語

和文・英文契約書に対応。自動レビュー機能は約50類型以上に対応しています 。具体的な契約類型としては、秘密保持契約（NDA）、定期建物賃貸借契約、普通建物賃貸借契約、労働者派遣基本契約、就業規則などが挙げられています 。

英文契約書については、日本語でのキーワード検索による参考条文リサーチも可能です 。

主な差別化機能

• 自社基準レビュー：企業独自の審査基準や修正方針を登録し、AIレビューに反映
• 条文検索機能：アップロードした契約書や2,000点以上の弁護士監修ひな形から、キーワードで必要な条文を瞬時に検索
• ナレッジ共有・蓄積：契約書の修正経緯や社内コメントを記録・共有し、属人化を防ぐ
• Wordアドイン連携：使い慣れたWord上でレビュー結果の確認や修正作業が可能
• LegalForceキャビネ：締結後の契約書管理に特化したAI契約管理システムとの連携も特徴的

UIと使いやすさ

直感的な操作が可能で使いやすいとの評価がある一方で、多機能ゆえに全ての機能を使いこなすには慣れが必要との意見も見られます 。画面デザインについては主観的な評価が分かれる可能性があります 。

他システムとの連携

Microsoft Wordとのアドイン連携が主要な連携機能です 。

また、契約管理システム「LegalForceキャビネ」はDocuSign eSignatureとのAPI連携が可能です 。契約審査依頼や法務相談に関連するメールのやり取りを自動で取り込み、LegalForceに集約する機能もあります 。

APIについては、外部公開されている汎用的な開発者向けAPIの提供は確認できませんでしたが、特定のサービス連携（例：LegalForceキャビネとDocuSign）ではAPIが利用されています 。

セキュリティ対策とコンプライアンス

ISMS認証 (ISO/IEC 27001) およびISMSクラウドセキュリティ認証 (ISO/IEC 27017) を取得しており、高いセキュリティ基準を維持しています 。

個人情報保護方針を定め、APPI（個人情報保護法）に準拠したデータ取り扱いを行っています 。GDPRやCCPAへの対応も謳っています 。

価格モデル

初期費用および月額費用は個別見積もり（要問い合わせ）となっています 。利用人数や業務内容に応じて最適なプランが提案されます。無料トライアルの有無は明記されていませんが、資料請求やデモンストレーションの機会は提供されています 。

対象顧客と理想的な利用シーン

一人法務から大規模法務部門、法律事務所まで幅広く対応可能です 。特に、契約審査の品質向上と効率化、ナレッジ共有による属人化防止、コンプライアンス強化を目指す企業に適しています 。

カスタマーサポートとオンボーディング

専任担当者による導入支援があり、活用方法の提案から運用定着までサポートが提供されます。チャットサポートも利用可能です 。

ユーザーフィードバック概要

AIレビューの精度が高く、レビュー時間の大幅な短縮に繋がったとの肯定的な評価が多いです 。豊富なひな形も便利とされています。一方で、価格が高めである点、IDごとの課金制である点を指摘する声もあります 。多機能であるため、全ての機能を有効活用するには習熟が必要との意見も見受けられます 。

LeCHECK (リチェック)

LeCHECKは、株式会社リセが提供するAI契約書レビュー支援クラウドです 。代表弁護士をはじめ、30名以上の各分野専門の弁護士が監修に関わっており、高品質なレビューを強みとしています 。中小企業から大企業、法律事務所まで幅広く導入されています 。

公式サイト：https://lisse-law.com/lecheck/

コアAIレビュー機能

AIが和文・英文契約書の不利な条項や抜け漏れを瞬時に検出し、企業の立場に応じた代替案や最新の法改正に対応した解説を提示します 。自社ひな形を登録し、それと比較してAIが類似条文を検索・提案する機能もあります 。

対応契約書種類と言語

和文契約書および英文契約書に対応しています 。具体的な対応契約類型については、資料請求や問い合わせによる確認が推奨されていますが、一般的な契約類型はカバーしていると考えられます 。

主な差別化機能

• 専門弁護士による徹底監修：30名以上の専門弁護士がレビュー品質を担保
• 高品質な英文契約書レビュー：国際取引に特有のリスク洗い出しや、ネイティブ弁護士監修の解説・代替条文案を提供
• ChatGPT連携機能(β版・オプション)：ChatGPT(GPT-4)を活用し、契約書内容や指摘リスクに応じた修正条文案を生成
• キャビネット機能：契約書の保管管理、タグ分類、契約期間アラートなどの機能
• Wordアドイン：Word上で直接LeCHECKのレビュー機能や校正機能を利用可能

UIと使いやすさ

直感的に操作できるとの評価がある一方で、UI/UXについては法務業務が未経験、または経験が浅い方が業務を担う場合もあるため、サービス画面のUI／UX リニューアルは定期的に行なっているようです。

他システムとの連携

Microsoft Wordとのアドイン連携が主要な連携機能です 。SSO（シングルサインオン）やMFA（多要素認証）にも対応しています 。OEM提供やAPI連携による導入実績もありますが、汎用的な開発者向けAPIドキュメントの公開は確認できませんでした 。

セキュリティ対策とコンプライアンス

ISMS認証 (ISO/IEC 27001) および ISMSクラウドセキュリティ認証 (ISO/IEC 27017)、プライバシーマークを取得しています。

WAF、通信の暗号化（SSL/TLS）、IPアドレス制限、第三者による脆弱性診断など、多層的なセキュリティ対策を講じています 。データは国内最高峰の安全基準を満たすクラウド環境で管理され、個人情報保護方針に基づき適切に取り扱われます 。

価格モデル

無料トライアルが用意されています 。有料プランにはライトプラン、基本プラン、プロフェッショナルプランがあり、

• ライトプランは和文月額¥10,000 (税別)
• 英文月額¥15,000 (税別)から

基本プランは和文月額¥59,000 (税別)英文月額¥89,000 (税別)で、初期費用が別途¥160,000 (税別)かかります（年間プラン）。

プロフェッショナルプランは要問い合わせです 。

対象顧客と理想的な利用シーン

法務担当者が少ない企業や中小企業を主なターゲットとしつつ、大企業のニーズにも対応可能です 。契約書チェックの効率化、英文契約書のコスト削減・迅速な翻訳、契約書管理の自動化、法務業務の品質向上を目指す場合に適しています 。

カスタマーサポートとオンボーディング

電話、メール、Webフォームでの問い合わせに対応しています 。サポート時間は平日日中が基本ですが、臨時で短縮される場合もあります 。導入時や利用中の疑問点に対し、丁寧なサポートを提供しています。

ユーザーフィードバック概要

コストパフォーマンスの良さ、英文契約書への対応、直感的な操作性が評価されています 。AIによるリスクチェックや代替案提示が業務効率化に貢献しているとの声が多いです。一方で、UI/UXの改善要望や、一部の専門的な契約書への対応限界を指摘する意見も見られました 。

OLGA(GVA TECH株式会社)

OLGAは、GVA TECH株式会社が提供する「全社を支える法務OS」をコンセプトとしたクラウドサービスです 。AI契約レビュー機能に加え、AI法務アシスタント、法務データ基盤、契約管理といったモジュールで構成され、企業の法務業務全体を支援します 。旧名称は「GVA assist」でした 。

公式サイト：https://gvamanage.com/

コアAIレビュー機能

自社基準および弁護士監修の一般基準に基づき、AIが契約書のリスクや抜け漏れをチェックします 。WordやPDF（OCR対応）の文書比較機能や、表記ゆれ・条番号ずれの自動検知・修正機能も備えています 。

対応契約書種類と言語

数百種類の契約書ひな型を搭載し、キーワード検索で必要な条文を容易に発見できます。

弁護士に依頼されることが多い専門性の高い契約類型にも対応しているとされています 。NDA（秘密保持契約）や工事請負契約（発注者と元請間の契約）への対応が具体的に言及されています 。日本語および英語に対応しています 。

主な差別化機能

 法務OSとしての統合性: 契約レビューだけでなく、法務相談受付、案件管理、ナレッジ共有、契約書管理までを一つのプラットフォームで実現します。

• AI法務アシスタント：ChatGPTを活用し、Q&Aデータベースや過去案件に基づきチャットボット形式で回答します 。
• 自社基準レビューの高度化：保存データから取引背景を把握し、自社基準を効率的に整理した上でレビューを行います 。
• Salesforce連携：CRMシステムであるSalesforceとの連携が可能です 。
• CloudSign連携：電子契約サービスCloudSignと連携し、契約書のアップロードや締結済み契約書の自動取り込みが可能です 。

UIと使いやすさ

直感的に使える操作性が評価されています 。Word上で完結できる点も、ITに不慣れなユーザーにとって利便性が高いとされています 。

他システムとの連携

電子契約サービスCloudSign  やCRMのSalesforce  との連携が可能です。API連携に関する詳細な開発者向けドキュメントは公開されていませんが、特定のサービス連携は提供されています 。

セキュリティ対策とコンプライアンス

ISMS認証 (ISO27001) を取得しています 。通信経路の暗号化、第三者脆弱性診断、IP制限、不正アクセス対策、AWSの利用、MFA（多要素認証）、特定ドメイン制限など、包括的なセキュリティ対策を講じています 。

レビュー対象の契約書をAIの学習に利用することはなく、匿名化処理も不要としています 。個人情報保護方針を定め、APPIに準拠したデータ取り扱いを行っています 。

価格モデル

料金は個別見積もり（要問い合わせ）です。GVA assistとしての情報では、1アカウント目の月額費用が¥75,000（税別）で、追加アカウントは利用人数に応じて個別見積もりとされていました 。資料請求やデモンストレーションを通じて、詳細な料金プランが提示されます 。

対象顧客と理想的な利用シーン

全ての従業員規模に対応していますが 、特に契約業務の効率化、ナレッジマネジメントの強化、法務部門と事業部門間のコミュニケーション改善を目指す中堅～大企業に適しています。年間相談件数の大幅な削減や、法務案件の一元管理、属人化解消といった導入効果が報告されています 。

カスタマーサポートとオンボーディング

契約時のキックオフミーティングから始まり、業務フローのヒアリング、課題共有、ゴール設定を行います。

ひな形選定やプレイブック作成準備も支援し、利用開始後6ヶ月まではカスタマーサクセスチームが月1回のオンラインミーティングを通じて運用定着をサポートします。チャット形式での問い合わせも可能です 。

ユーザーフィードバック概要

自社ひな形とレビュー基準をセットできる機能や、不足条文・リスク単語の抽出機能が便利であると評価されています。

複数担当者間の業務品質の平準化、ナレッジ蓄積によるOJT時間短縮、レビュー時間の大幅短縮（最大75%）といった効果が報告されています 。特に経験の浅い担当者でも使いやすいとの声があります 。

一方で、表形式が組み込まれた契約書のAI処理に関する改善要望も見られました 。

LAWGUE(FRAIM株式会社)

LAWGUEは、FRAIM株式会社が提供するAI搭載のクラウドドキュメントワークスペースです 。契約書作成から検索、レビュー、管理までを効率化し、文書作成業務の非効率を解消することを目指しています。

ちなみに、丸紅情報システムズが販売パートナーとなっています 。

公式サイト：https://lawgue.com/
関連リンク：https://lawgue.com/news/4335/

コアAIレビュー機能

自社の過去文書やひな形との比較をAIがアシストし、差分をハイライト表示します 。

FRAIM社の特許技術により、契約書の類型を問わず、不足している可能性のある条項をAIが指摘・提案します 。表記ゆれや定義語の不統一などもAIがアラートします 。

対応契約書種類と言語

契約書以外にも、社内規程、仕様書、特許文書、IR文書、議事録、プレスリリースなど、幅広いビジネス文書に対応可能です 。日本語および英語の契約書レビューに対応しています 。

主な差別化機能

 AI搭載クラウドエディタ: クラウド上で複数人による同時編集が可能で、インデントの乱れや条番号のズレなどをリアルタイムに自動検出・補正する特許技術を備えています 。

• 高度な検索機能：キーワード検索に加え、AIによる類似文書の自動サジェスト機能
• ナレッジマネジメント：文書作成過程のコメントや修正履歴を全てLAWGUE内に記録・共有
• 自動体裁補正・表記ゆれアラート：文書の見た目を整える作業を自動化し、表記の不統一を警告
• CloudSign連携：電子契約サービスCloudSignとAPI連携し、契約作成から締結、管理を一気通貫

UIと使いやすさ

直感的でシンプルな操作性が評価されており、新たに覚えることは最低限で済むとされています 。旧書式と新書式を左右に並べて比較できる点も利用しやすいと好評です 。

他システムとの連携

電子契約サービスCloudSignとのAPI連携が提供されています 。Wordファイル(.docx)のインポート・エクスポートに対応しています 。汎用的な開発者向けAPIドキュメントの公開は確認できませんでしたが、特定の連携は存在します 。

セキュリティ対策とコンプライアンス

AWS上にサービスを構築し、通信の暗号化（TLS1.2）、保存データの暗号化（AES-256）、ファイアウォール、自動バックアップといったセキュリティ対策を講じています 。

第三者機関による脆弱性診断を定期的に実施。運営元のFRAIM株式会社はISMS (ISO27001) 認証およびプライバシーマークを取得しています 。個人情報保護方針を定め、APPIに準拠したデータ取り扱いを行っています 。

価格モデル

料金は個別見積もり（要問い合わせ）となっています 。

一部情報では、文書のセグメント数に応じたプラン（Starter, Premium, Enterprise）が存在する可能性が示唆されていますが、公式サイトでは詳細な価格は公開されていません 。ライブデモを通じて機能や価格を確認できます 。

対象顧客と理想的な利用シーン

数百社を超える企業、弁護士法人、社会保険労務士事務所、自治体、官公庁など、幅広い業界・事業規模で導入実績があります。

契約書業務の時間削減、規程管理の効率化、法改正対応の迅速化、英文契約書の正確な翻訳、文書検索の効率化、ナレッジ共有の促進などを目指す組織に適しています 。

カスタマーサポートとオンボーディング

導入から運用開始まで専任担当者によるサポートが提供されます 。問い合わせフォームからの相談が可能で、カスタマースタッフがヒアリングを行い、必要に応じてセールススタッフが詳細提案を行います。日本語、英語での契約書レビューが可能です 。

ユーザーフィードバック概要

文書検索機能の利便性、コメントや修正履歴を含めたナレッジ共有機能、体裁自動補正機能が高く評価されています 。契約書レビューの精度向上やリードタイム短縮に貢献しているとの声が多いです。

過去の契約書との比較や誤字修正機能により、一人法務でも効率的に業務を遂行できるようになったという事例もあります 。

一方で、PDFやWord文書でのレイアウト崩れ（特に図表）、不足条項提案の精度、表記ゆれ表示の邪魔になるといった改善要望も見られました 。

CloudSign Review (弁護士ドットコム株式会社)

CloudSign Reviewは、日本最大級の電子契約サービス「クラウドサイン」を提供する弁護士ドットコム株式会社のAI契約書レビュー支援サービスです 。AIの力で質の高いレビューを誰でも行えるようにすることを目指しています。

公式サイト：https://www.cloudsign.jp/

コアAIレビュー機能

大手法律事務所出身の弁護士が監修したAIが、契約書ファイルをアップロードするだけで、自社に不利な条項や欠落条項を指摘し、修正・追加すべき文案を提案します。

指摘箇所には法的根拠や改善提案、解説も表示され、法務知識の習得にも繋がるとされています 。自社のひな形を登録し、独自の基準でチェックすることも可能です 。

対応契約書種類と言語

和文・英文契約書に対応しています 。弁護士作成のひな型が和文・英文合わせて数百種類用意されており、幅広い契約類型をカバーしていると考えられます 。

主な差別化機能

 弁護士監修の高精度AI: 経験豊富な弁護士がAIの監修に関わり、レビューの精度を高めています 。

• CloudSign連携：契約書レビューから電子契約締結までをスムーズに行えます 。
• 英文契約書対応の強化：英文契約書を日本語に翻訳してチェック
• 国際取引：特有のリスクヘッジを考慮した指摘や修正案を提案します 。
• 業界特化パッケージ：不動産業界や化学メーカー業界など、特定の業界に特化したレビュー機能やひな形を提供しています 。
• 自社基準レビュー：自社ひな形を登録することで、企業独自の基準に基づいたレビューが可能です 。

UIと使いやすさ

ユーザーインターフェースは洗練されており、操作が簡単で分かりやすいとの評価があります [ (CloudSignとして)]。

他システムとの連携

主力の電子契約サービス「クラウドサイン」との連携が強みです。

クラウドサイン自体はSalesforceやkintoneなど多数の外部システムとのAPI連携を提供しており、CloudSign Reviewもそのエコシステムの一部として機能することが期待されます 。CloudSign Web APIはRESTful APIとして提供されています 。

セキュリティ対策とコンプライアンス

CloudSignブランドとして、ISMS (ISO27001)、ISMSクラウドセキュリティ (ISO27017) 認証、SOC2 Type1保証報告、ISMAP登録など、多数のセキュリティ認証を取得・維持しています 。

通信の暗号化（TLS）、保存ファイルの暗号化（AES-GCM）、ファイアウォール、データのバックアップ、二要素認証、IPアドレス制限など、厳格なセキュリティ対策を講じています 。データセンターは国内にあり、個人情報保護法に準拠したプライバシーポリシーを定めています 。

価格モデル

初期費用は要問い合わせ。月額料金プランとして、

• 「スタンダードプラン」が月額¥40,000（税別、5ユーザー込み、年間チェック数500件）
• 「英文契約プラスプラン」が月額¥55,000（税別、5ユーザー込み、年間チェック数500件）

などがあります 。無料トライアルが提供されています 。

対象顧客と理想的な利用シーン

法務人材が不足している企業、契約レビュー品質を均一化したい企業、英文契約書対応に課題がある企業に適しています 。契約書レビュー業務の属人化解消や時間的コスト削減を目指す企業、新人教育に活用したい企業にも推奨されます 。

カスタマーサポートとオンボーディング

豊富な導入支援経験に基づくサポート体制が提供されています 。ヘルプセンターや問い合わせフォームを通じてサポートが受けられます 。業界特化パッケージの導入など、専門的なサポートも期待できます 。

ユーザーフィードバック概要

AIによる指摘が的確で、法的根拠や改善提案も提示されるため、法務知識の向上にも役立つと評価されています 。レビュー時間の短縮効果も報告されています。電子契約CloudSignとの連携による業務効率化もメリットとして挙げられています。

MNTSQ (MNTSQ株式会社)

MNTSQは、MNTSQ株式会社が提供するAI契約書レビュー支援サービスであり、特に大企業向けの契約ライフサイクル管理（CLM）プラットフォーム「MNTSQ CLM」の中核機能として位置づけられています 。長島・大野・常松法律事務所が開発に協力しています。

公式サイト：https://mntsq.co.jp/

コアAIレビュー機能

最大の特徴は、企業の過去の契約書データやメールのやり取りといった「自社ナレッジ」をAIが学習し、それを基にレビュー時に適切な条文案や修正方針を提案する点です。

定型的な契約だけでなく、イレギュラーな契約や複雑な契約書にも対応可能で、使えば使うほどAIの提案が自社に最適化されていきます 。

対応契約書種類と言語

あらゆる種類の契約書に対応可能と謳われています 。定型的な契約書だけでなく、従来のAIレビューが苦手としていた種類の契約書でも利用可能とされています 。日本語および英語に対応しており、英語UIも提供されています 。

主な差別化機能

自社ナレッジ活用型AI: 過去の契約データや法務相談履歴などをAIが自動で収集・分析し、レビュー時に最適な提案を行います 。

• CLMとの統合：契約作成・審査・管理からナレッジ化まで、契約業務プロセス全体をMNTSQ CLM上で一気通貫サポート
• Microsoft Wordアドイン：使い慣れたWord上で、契約書本文とナレッジ情報を同一画面に表示し、効率的なレビュー作業を実現
• 大手法律事務所監修：長島・大野・常松法律事務所の知見がAIの精度向上

UIと使いやすさ

Microsoft Wordアドイン形式で提供されるため、Wordに慣れたユーザーは新たな操作を覚える必要が少なく、スムーズに導入できるとされています 。

他システムとの連携

電子契約ソリューションのDocuSignやクラウドサインとの連携が可能です 。メール連携や他システム連携、ユーザー情報連携（SAML認証によるSSO対応）も提供されています 。

API連携に関する具体的な開発者向けドキュメントの公開は確認できませんでした。

セキュリティ対策とコンプライアンス

ISMS (ISO/IEC 27001) 認証を取得しており、金融機関をはじめとする大手企業のセキュリティ要件に対応しています 。個人情報保護方針を定め、APPIに準拠したデータ取り扱いを行っています 。

価格モデル

料金は個別見積もり（要問い合わせ）となっています 。一部情報では月額¥330,000～といった価格帯が示唆されていますが 、正式には企業規模や利用状況に応じた提案となります。

無料トライアルの有無は明記されていませんが、デモンストレーションやウェビナーが提供されています 。

対象顧客と理想的な利用シーン

主に大企業をターゲットとしており、各業界のリーディングカンパニーでの導入実績があります 。契約審査業務の変革、業務効率化、契約交渉やガバナンスの高度化を目指す企業に適しています。

自社内に大量の契約ナレッジが蓄積されており、それを有効活用したい企業にとって特に価値が高いと考えられます 。

カスタマーサポートとオンボーディング

初期導入時から専任コンサルタントがつき、最適な業務オペレーション構築を支援します。

既存環境からの法務ナレッジや契約データの移行もサポート。利用開始後も、担当コンサルタントが状況やニーズに応じた活用支援を継続的に行います。ユーザーカンファレンスやユーザー会も開催しています 。

ユーザーフィードバック概要

自社ナレッジを活用できる点、Word上で作業が完結する点が評価されています 。契約審査業務の効率化や質の向上に貢献しているとの声があります。大手法律事務所の監修による信頼性もポイントとされています。

LawFlow(LawFlow株式会社)

LawFlowは、LawFlow株式会社が提供するAI契約書レビューサービスです 。最大の特徴は、法人・個人を問わず、初期費用・月額料金ともに完全無料で利用できる点です 。弁護士が開発し、元裁判官が監修したAIを搭載しています 。

公式サイト：https://www.lawflow.jp/

コアAIレビュー機能

アップロードされた契約書の全条文をAIが自動チェックし、瞬時にリスクや必要な条文、注意点、抜け落ちなどを指摘します 。法的リスクの検出、不明確な条項の指摘、改善提案などを行うとされています 。

対応契約書種類と言語

秘密保持契約や業務委託契約書などのチェックに対応しているとされています。幅広い契約書に対応しているとの記述もありますが、特化分野はないとの指摘も見られます。

対応言語については、日本語のほか、中国語版のチェック機能を備えているとの情報があります 。英文対応については明確な情報がありません。

主な差別化機能

•  完全無料：初期費用・月額料金が一切かからず、全ての機能を無料で利用可能
•  弁護士開発・元裁判官監修AI：法律専門家の知見を活かしたアルゴリズムによるレビューが提供
•  文書比較機能：自社ひな形や過去にレビュー済みの契約書と対象契約書を比較

 ドラッグ＆ドロップで簡単に修正できるなど、操作性に優れているとされています 。

UIと使いやすさ

操作性に優れており、ドラッグ＆ドロップ機能で修正などが簡単に行えると評価されています 。法務の専門知識がない企業や個人事業主にも推奨されています 。

他システムとの連携

他システムとの具体的な連携機能に関する情報は公開されていません。

セキュリティ対策とコンプライアンス

セキュリティ対策やデータ取り扱い方針、準拠データ保護規制に関する具体的な情報は公開資料からは確認できませんでした。無料サービスである点を考慮し、機密性の高い契約書の取り扱いには慎重な判断が必要です。

価格モデル

初期費用・月額料金ともに完全無料です 。以前は有料プランも存在しましたが、2022年12月より個人向け・法人向けプランともに無償化されました 。

対象顧客と理想的な利用シーン

法務の専門知識がない中小企業や個人事業主、スタートアップなど、コストをかけずにAI契約書レビューを試したい場合に適しています 。契約業務の属人化に悩む企業や、交渉経緯が不明な契約書がある場合に、基本的なリスクチェックツールとして活用できます 。

カスタマーサポートとオンボーディング

無料サービスであるため、手厚い個別のカスタマーサポートやオンボーディング支援は期待できない可能性があります。公式サイトやヘルプドキュメントでの情報提供が主になると考えられます。

ユーザーフィードバック概要

無料で利用できる点が最大の魅力として挙げられています。ドラッグ＆ドロップでの簡単な操作性や、幅広い契約書に対応している点が評価されています 。一方で、無料であるがゆえに機能の深さやサポート体制には限界がある可能性も示唆されています。ノウハウ共有やバージョン管理といった契約管理機能も評価する声があります 。

クラウドリーガル(a23s株式会社)

クラウドリーガルは、a23s株式会社が提供する法務DX・アウトソースサービスです 。経験豊富な弁護士によるアドバイスとAI技術を組み合わせ、契約書レビューを含む幅広い法務業務をサポートします。

公式サイト：https://www.cloudlegal.ai/

コアAIレビュー機能

「AI Lab」という実験的機能として、AIによる無料の契約書レビューサポートを提供しています 。

このAIレビューは、法務相談や契約書のリスク指摘、修正案提案、法的チェックの範囲や深さについて、まだ実験段階であると位置づけられています。主力はあくまで提携専門士業（弁護士等）によるレビューであり、AIはその補助的な役割を担うものと考えられます 。

対応契約書種類と言語

弁護士によるレビューは多種多様な契約書に対応可能です 。AI Labの対応契約書種類や対応言語（日本語以外）については詳細不明ですが、サービス全体としては英語対応も可能な弁護士が豊富とされています 。

主な差別化機能

• 弁護士相談とAIの組み合わせ：月額低コストで、経験豊富な弁護士への相談とAIレビュー（実験的機能）を併用
• 迅速な対応：基本1日以内の返答スピード
• 幅広い法務サポート：契約書レビューだけでなく、契約書作成、電子契約締結、法令調査、登記、商標登録代行など、法務業務全般のアウトソースが可能
• オンライン完結：Webからいつでもどこでもアクセス可能で、申し込みもオンラインで迅速に

UIと使いやすさ

直感的に利用できるシンプルな画面構成であると評価されていますが、一部でデザインや操作性の改善、反応速度に関する要望も見られます 。

他システムとの連携

他システムとの具体的な連携機能に関する情報は公開されていません。

セキュリティ対策とコンプライアンス

セキュリティ対策やデータ取り扱い方針、準拠データ保護規制（ISO認証等）に関する具体的な情報は公開資料からは確認できませんでした。弁護士が関与するため、弁護士としての守秘義務は遵守されると考えられます。

価格モデル

月額制のプランがあり、ブロンズプランは月額¥10,000（税別、旧価格¥11,000）から利用可能です 。シルバープラン月額¥50,000（税別）、ゴールドプラン月額¥100,000（税別）などがあり、年間契約が基本です 。AI Lab機能は無料で利用できるとされています 。

対象顧客と理想的な利用シーン

スタートアップ企業や中小企業など、法務部門を持たない、あるいはリソースが限られている企業に適しています 。契約書レビューだけでなく、法務全般に関するアドバイスや業務委託を低コストで利用したい場合に有効です。

カスタマーサポートとオンボーディング

弁護士に直接相談できる体制が特徴です。Slack経由でのやり取りも可能とされています 。

ユーザーフィードバック概要

スタートアップに詳しい弁護士から親身なアドバイスを受けられる点、タイムチャージを気にせずレビュー依頼ができる点、Slackでのスムーズなやり取りが高く評価されています 。

コストダウンに繋がったとの声もあります。AI機能よりも弁護士によるサポートが中心的な価値となっているようです。

GMOサイン契約レビューパック (GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)

GMOサイン契約レビューパックは、電子契約サービス「GMOサイン」で知られるGMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社が、契約ライフサイクル管理（CLM）サービス市場シェアNo.1の「ContractS CLM」と共同開発したサービスです 。

契約作成から締結、文書管理までを一元管理できるオールインワンサービスと位置づけられています 。

公式サイト：https://www.gmosign.com/clm_dx/

コアAIレビュー機能

AI-OCR機能により、契約書から必要な情報（契約当事者名、契約締結日、契約金額など）を自動抽出することが可能です 。

これにより契約管理台帳の作成を効率化します。ただし、契約書の内容自体のリスク指摘や修正案提案といった、法的な意味での「AIレビュー」機能については、現時点の公開情報では明確にされていません。

AIの主たる役割はデータ抽出とプロセスの効率化にあるようです。

対応契約書種類と言語

対応する具体的な契約書種類や言語に関する情報は公開されていません。契約ライフサイクル全体を管理するサービスであるため、幅広い種類の契約書に対応できると考えられます。

主な差別化機能

• 契約ライフサイクルの一元管理：契約書の作成支援（Wordひな形登録・編集制限）、承認ワークフロー設定、締結（GMOサイン連携）、締結後の管理（レビュー履歴自動保存、AI-OCRによる台帳作成支援）までをカバー
• GMOサインとの連携：作成・承認された契約ファイルをそのままGMOサイン上で締結・管理可能
• Slack連携：コミュニケーションツールをSlackに統一し、通知受信などが可能
• はじめやすい料金設定：両社が開発部門を持つことによるコスト抑制で、比較的導入しやすい価格設定を実現

UIと使いやすさ

契約書の進捗状況が一目でわかるダッシュボードなど、効率的な案件管理を支援するインターフェースが提供されます 。

他システムとの連携

電子契約サービス「GMOサイン」との連携が中核です。AI-OCR機能、Slack連携も提供されます 。API連携に関する一般的な開発者向けドキュメントの公開は確認できませんでしたが、GMOサイン自体はAPI連携・インテグレーションのオプションを提供しています 。

セキュリティ対策とコンプライアンス

GMOサインとしてのセキュリティ基準（電子署名法準拠など）が適用されると考えられます。セキュリティ・内部統制パックがオプションとして提供され、クラウドサービスレベルチェックリストも公開されています 。

価格モデル

初期費用は0円。月額費用は¥50,000（税込¥55,000）からとなっています 。無料トライアル（約1ヶ月、延長可能）が提供され、本番環境と同等の機能を利用できます 。

対象顧客と理想的な利用シーン

法務部門があり、契約書の作成からレビュー、締結、文書管理までを一元的に効率化したい企業、特に従業員数100名以上の企業に好評とされています 。

カスタマーサポートとオンボーディング

GMOサインのサポートデスクにて電話での無料相談が可能です。導入支援サービス（オプション）として、運用コンサルティング、社内向け説明会・勉強会実施サポート、各種設定支援などが提供されます 。導入までの期間は最短で約1ヶ月とされています 。

ユーザーフィードバック概要

本サービスに特化したユーザーレビューはまだ少ない状況ですが、共同開発元であるGMOサインやContractS CLMの既存の評価は参考になる可能性があります。契約プロセス全体をカバーする点、AI-OCRによる情報抽出の効率化が期待されます。

AI契約書レビューサービスの7つのメリット

AI契約書レビューサービスを導入すると、従来の手作業によるチェックでは得られなかった多くのメリットが得られます。

1. 第一：レビュー時間の短縮による業務効率の大幅な向上
2. 第二：人間による見落としや判断のばらつきを低減し、レビュー品質の向上と均一化
3. 第三：契約書に潜むリスク要因（不利な条項や欠落条項など）を網羅的に洗い出すことで、リスク管理体制を強化

さらに、過去の契約書やレビュー結果をナレッジとして蓄積・活用することで、組織全体の法務対応能力の向上にも繋がります。

これらのツールに共通して見られる主な機能としては、以下のようなものがあります。

• リスク検知・指摘：契約書中の不利な条項、法的に問題のある可能性のある条項、欠落している重要な条項などをAIが自動で検知し、ユーザーに警告します 。
• 条文比較（差分比較）: レビュー対象の契約書と、自社のひな形や過去の契約書との間で、条文単位での差異を瞬時に表示し、変更点の把握を容易にします 。
• ひな形・参考条文の提供：様々な契約類型に対応したひな形ライブラリや、修正・追加の際に参考となる条文例を提供します 。
• バージョン管理：契約書のドラフト作成から締結に至るまでの各バージョンを管理し、修正履歴を追跡可能にします。
• ナレッジマネジメント：レビュー結果や修正ノウハウを組織内で共有・蓄積する機能を提供します。

リーガルチェックの時間短縮

AIが契約書の内容を高速に分析し、関連する法令・判例や過去の契約データを参照してくれるため、情報収集に費やす時間を大幅に削減できます。

人手で一つひとつ調べなくても、AIが必要な参考文献や類似条文を提示してくれるので、確認作業が効率化されます。これにより契約書チェックにかかる作業時間が短縮され、担当者は他の重要業務に時間を充てられるようになります。

契約締結スピードの向上

リーガルチェックに要する時間が短くなることで、契約書のやり取り全体のリードタイムも短縮されます。とくにこれまで契約書レビューを社外の弁護士に依頼していた場合、AIによる即時チェック導入の効果は顕著です。

社内の現場担当者が一次チェックをAIで迅速に行い、法務の最終確認へ回せるようになるため、契約締結までのプロセスがスピーディーになりビジネスの機会損失を減らせます。

契約リスクの軽減

契約書をアップロードするだけで、AIが内容を詳細に分析し、潜在的なリスク条項や不足している条項を自動で洗い出して指摘してくれます。

法的知識や契約実務の経験が浅い場合でも、重要なチェックポイントを見逃さずに済むのは大きな利点です。

人間とAIがダブルチェックを行うことで見落としや抜け漏れを防ぎ、契約に潜むリスクを確実に低減できます。結果として、後から契約トラブルが発生する可能性を減らし、安心して契約を締結できるようになります。

ヒューマンエラーの防止

AIは文書の細かなミスや不整合も検出できます。例えば、契約書の条番号のズレや用語の表記ゆれなど、人手では見逃しがちなミスもツール上で自動修正・指摘可能です。

注意深くチェックしていても人間にはミスがつきものですが、AI契約書レビューサービスなら校正機能によりケアレスミスを大幅に減らせます。

特に経験の浅い担当者でも、AIのサポートによって一定の品質を担保できるため、契約書の品質向上につながります。

人的コストの削減

レビュー業務の大半が自動化されれば、外部の法律事務所や弁護士に契約書チェックを依頼する費用を削減できますし、社内法務にかかっていた工数（人件費）も大幅にカットできます。

高度な文書検索スキルや専門知識がなくてもAIが下支えしてくれるため、新人を育成するコストや時間も減らせます。総じて、契約関連業務にかかるコストパフォーマンスが向上し、限られたリソースでより多くの契約書を捌けるようになります。

契約業務ノウハウの蓄積

AI契約書レビューサービスには、契約書の審査内容や修正履歴をデータベース化して蓄積できる機能があります。

過去の契約チェックで得た知見（有用な条文例や修正コメント等）をシステム上にストックし再利用できるため、組織としてリーガルチェックのナレッジが貯まります。

これにより属人的になりがちだった契約ノウハウを組織全体で共有し、担当者の異動・退職時にも知見が失われないようにできます。蓄積されたノウハウを活かすことで、契約書レビューの質を継続的に向上させることが可能です。

契約審査の標準化・属人化の解消

契約書チェック業務は担当者の経験やスキルに依存しがちですが、AIを活用すれば誰が対応しても一定水準のチェックが行える体制を構築できます。

例えば、各サービスでは自社独自のチェック項目や言い回しをAIに学習させたり、リスク判定基準を事前設定する機能があります。

これにより、「ベテランのAさんしか分からないポイント」が減り、チーム全体で均一なレビュー品質を維持できます。実際にAIが社内基準を学習していれば、法務担当者が異動・退職しても同じ基準で契約審査を続けられるため、業務の属人化防止に役立ちます。

経験の浅いスタッフでもAIのサポートを得てベテランと同じレベルでチェック可能となり、組織全体の契約実務力が底上げされます。
 

AI契約書レビューサービスの選び方と機能別の評価ポイント

AI契約書レビューサービスは、単に契約書を「読む」行為を代替するだけでなく、法務業務の質と効率を多角的に向上させる可能性を秘めています。

ここでは主要な機能群を深掘りし、各サービスがそれらをどのように実現しているか、そしてそれがユーザーにとってどのような意味を持つのかを考察します。

AIレビューの精度や深さ、カスタマイズ性を評価

AI契約書レビューサービスの中核を成すのは、言うまでもなくAIによるレビュー機能そのものです。

しかし、その「精度」や「深さ」はサービスによって大きく異なります。単純なキーワードのマッチングや、あらかじめ設定されたルールに基づくチェックに留まるものから、より文脈を理解し、契約書全体のリスク構造を分析しようと試みる高度なものまで様々です。

表：AIカスタマイズ機能 比較表

自社基準レビュー機能の評価

多くの高機能サービスで共通して重要視されているのが「自社基準レビュー」機能です 。

これは、企業が独自に持つ契約書ひな形、審査基準、修正ポリシー、あるいは過去の契約事例といったナレッジをAIに学習させ、その企業特有のリスク許容度や取引条件に合致したレビューを実現しようとするものです。

例えば、LegalForceでは自社ひな形をベースに独自の審査基準を登録でき 、LeCHECKでは登録した自社ひな形とレビュー対象契約書を比較し、類似条文をAIが自動検索して代替案として提示できます 。

OLGAも自社基準でのAIリスクチェックを主要機能としています 。CloudSign Reviewも自社のひな型契約書を登録することで自社独自の基準に基づいたチェックが可能です 。

この自社基準レビュー機能は、画一的なレビューでは捉えきれない、各企業固有のビジネスリスクや法務戦略を反映できる点で非常に価値が高いと言えます。一般的な法原則に基づくアラートも有用ですが、最終的にビジネス判断を下す上で重要なのは、「自社にとってそのリスクは許容できるのか」「自社の標準的な条件からどの程度逸脱しているのか」といった点です。

自社基準レビューは、こうした個別具体的な判断を支援するための情報を提供します。ただし、この機能の有効活用には、初期設定として自社の基準をAIに正確に「教える」作業が必要となり、一定の労力と時間を要する可能性があります。また、このカスタマイズの深さや柔軟性、設定の容易さもサービス選定の重要なポイントとなります。

弁護士の監修の有無

AIのレビュー結果の信頼性を高めるため、多くのサービスが「弁護士監修」を謳っています 。これは、AIの学習データやロジック構築に法律専門家が関与することで、法的に妥当性の高い分析や提案を行うことを目指すものです。特に、法改正への迅速な対応や、複雑な法的論点の解釈においては、弁護士の知見が不可欠です。ユーザーレビューにおいても、AIの精度に対する評価は様々であり 、AIが万能ではないこと、最終的な判断は人間が行うべきであるという認識は重要です 。

翻訳の対応言語数

グローバルビジネスの拡大に伴い、英文契約書の取り扱いが増加しており、AI契約書レビューサービスにおける多言語対応、特に英語対応の重要性はますます高まっています。単に契約書を機械翻訳するだけでは不十分で、当該言語の法体系や商慣習に基づいたリーガルチェックが求められます。

多くの主要サービスが日本語と英語の契約書レビューに対応しています。例えば、LegalForceは英文契約書もAIレビュー支援が可能で、英国法と米国法に準拠し、特定の契約類型に対応しています。

さらに、日本語で入力したキーワードで英文契約書の参考条文を検索する機能も提供しています 。LeCHECKも英文契約書レビューに力を入れており、国際取引を専門とする弁護士が監修した条文解説や、企業の立場に応じた和文・英文双方の代替条文案を提示します 。

サービス名	対応言語	主な特徴（多言語対応に関して）
LegalForce	日本語、英語	・英国法、米国法に準拠したレビューが可能 ・日本語のキーワードで英文契約書の参考条文を検索できる
LeCHECK	日本語、英語	・国際取引専門の弁護士が監修した条文解説を提供 ・企業の立場に応じた和文・英文双方の代替条文案を提示
CloudSign Review	日本語、英語	・翻訳機能に加え、国際取引特有のリスクヘッジを考慮した指摘や修正案を提供
LAWGUE	日本語、英語	・英語契約書への対応を明記
MNTSQ	日本語、英語	・英語契約書への対応を明記
LawFlow	日本語、中国語	・中国語版のチェック機能を備えているという情報あり

CloudSign Reviewも英文契約書のチェックに対応し、翻訳機能に加え、国際取引特有のリスクヘッジを考慮した指摘や修正案を提供します 。LAWGUE  やMNTSQ  も英語対応を明記しています。

一方で、LawFlowは中国語版のチェック機能を備えているという情報もあり 、特定の地域との取引が多い企業にとっては付加価値となり得ます。法務担当者にとって、外国語の契約書を正確に理解し、リスクを評価することは大きな負担です。

高度な言語対応能力を持つAIレビューサービスは、この負担を軽減し、国際的な契約交渉においてより有利な立場を確保するための強力な武器となり得ます。

重要なのは、AIが単に言語を置き換えるだけでなく、その言語が使用される法域の法的ニュアンスやリスク要因をどの程度理解し、レビューに反映できるかという点です。

例えば、英文契約書におけるコモンロー特有の概念や、特定の国・地域で一般的な条項などをAIが認識し、適切なアラートや提案を行えるかどうかが、サービスの真価を測る上で重要になります。

ワークフロー統合・ユーザビリティ・CLM

AI契約書レビューサービスがその真価を発揮するためには、既存の業務フローにいかにスムーズに統合できるか、そして契約業務全体の効率化にどこまで貢献できるかが鍵となります。

単にレビュー機能を提供するだけでなく、契約ライフサイクル全体を管理する包括的なソリューション（CLM: Contract Lifecycle Management）の一部としてAIレビュー機能を提供するサービスが増えています。

多くのサービスが、法務担当者が日常的に使用するMicrosoft Wordとの連携機能（アドイン）を提供しています。LegalForce  やLeCHECK  などは、Word上で直接レビュー結果を確認したり、修正作業を行ったりすることができ、作業環境を大きく変えることなくAIの支援を受けることが可能です。

また、電子契約サービスとの連携も進んでいます。OLGAはCloudSignと連携し、OLGA内で最終化した契約書ファイルをCloudSignにアップロードする手間を削減し、締結済み契約書の自動取り込みも可能です 。

LAWGUEもCloudSignとのAPI連携を提供しています 。GMOサイン契約レビューパックは、その名の通り電子契約サービスGMOサインとのシームレスな連携を前提として設計されています 。

これにより、契約書の作成・レビューから承認、電子締結、そして締結後の保管・管理までを一気通貫で行うことが可能になり、業務効率の大幅な向上が期待できます。

さらに、OLGA  やMNTSQ 、LegalForce（LegalForceキャビネと連携）、Hubble 、GMOサイン契約レビューパックといったサービスは、契約書の保管、バージョン管理、検索、更新期限管理、アクセス権限設定など、契約管理業務全般を支援するCLM機能を提供、あるいはその一部を担っています。

契約書レビューは契約プロセスの一部分に過ぎず、その前後の工程も含めてデジタル化・効率化を図ることで、法務部門全体の生産性向上に繋がります。AIレビュー機能が強力であっても、その結果を他のシステムに手作業で移し替える必要があれば、効率化の効果は半減してしまいます。

そのため、既存システムとの連携性や、将来的なCLM導入の展望も踏まえてサービスを選定することが重要です。

セキュリティコンプライアンス・データガバナンス

契約書は企業の機密情報や戦略的情報が凝縮された文書であり、AI契約書レビューサービスにアップロード・保管する際には、最高レベルのセキュリティ対策と厳格なコンプライアンス体制が求められます。

多くの主要サービスは、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格であるISO/IEC 27001 (ISMS) 認証や、クラウドサービスに特化したISO/IEC 27017認証を取得しています。

例えば、LegalForce 、LeCHECK 、OLGA 、LAWGUE 、MNTSQ 、CloudSign (CloudSign Reviewの母体サービス)  などがこれらの認証を取得しており、第三者機関による客観的な評価を受けていることを示しています。一部サービスではSOC2報告書を取得している場合もあります 。

具体的なセキュリティ対策としては、通信の暗号化（SSL/TLS）、保存データの暗号化（AES-256等）、ファイアウォールによる不正アクセス防止、データのバックアップ、アクセスログの監視、IPアドレス制限、二要素認証（MFA）などが挙げられます 。

データガバナンスの観点では、日本の個人情報保護法（APPI）への準拠は必須です。各社はプライバシーポリシーを公開し、個人情報の適切な取り扱いを宣言しています 。

国際的な事業展開を行う企業にとっては、GDPR（EU一般データ保護規則）への対応も重要な検討事項となります。LegalForceはGDPR対応を明記しています 。データセンターの所在地も関心事の一つであり、CloudSignは国内データセンターを利用していることを明らかにしています 。

NTTアドバンステクノロジのインテリジェント契約チェッカーは、オンプレミスでの提供も可能としており 、これは金融機関や官公庁など、特に厳しいデータ管理ポリシーを持つ組織にとっては重要な選択肢となります。

AIの学習データとして顧客の契約書データがどのように扱われるかも確認すべき点です。OLGAは、レビュー対象の契約書をAIの学習に利用することは一切行わないと明言しています。

Hubble miniも、利用規約にAI学習に使用されない旨の記載があるMicrosoft社のAzure OpenAI Serviceを利用しており、Hubble社側でも顧客データを学習データとして活用することはないとしています 。このような透明性の高い情報開示は、ユーザーの信頼を得る上で不可欠です。

価格構造と価値提案

AI契約書レビューサービスの価格設定は、サービス内容や対象顧客層によって大きく異なります。主な価格モデルとしては、完全無料、透明性の高い階層型サブスクリプション、そして個別見積もり（要問い合わせ）の3つに大別できます。

完全無料

LawFlowが代表的で、初期費用・月額費用なしでAIレビュー機能を提供しています 。

これは特にコストを抑えたい個人事業主や小規模事業者、あるいはAIレビューを試してみたいと考えるユーザーにとって魅力的な選択肢です。ただし、機能の範囲やサポート体制には限りがある可能性があります。クラウドリーガルの「AI Lab」も実験的機能として無料提供されています 。

階層型サブスクリプション

 LeCHECK  やCloudSign Review  などがこのモデルを採用しています。

利用ユーザー数、レビュー可能な契約書件数、利用可能な機能（例：英文対応、自社基準レビューの有無）などに応じて複数のプランが用意されており、企業規模やニーズに合わせて選択できます。

料金が明示されているため、予算策定が比較的容易です。LeCHECKのライトプランは月額1万円台からと、中小企業にも導入しやすい価格帯から始まります。

個別見積もり（要問い合わせ）

LegalForce 、MNTSQ 、OLGA 、LAWGUE 、インテリジェント契約チェッカー  など、特に大企業向けやカスタマイズ性の高いサービスで多く見られます。

これらのサービスは、顧客の具体的な利用状況、契約ボリューム、必要なサポートレベル、導入するモジュールなどを詳細にヒアリングした上で、最適な料金プランを個別に提案します。

初期費用や月額費用が高額になる可能性もありますが、その分、企業のニーズに合致した高度な機能や手厚いサポートが期待できます。ユーザーレビューでは、LegalForceなどの高機能サービスについて、価格は安くないものの機能には満足している、という声や 、費用対効果を検討すべき、という意見が見られます 。

価格を評価する際には、単に月額費用だけでなく、初期費用、ユーザー追加費用、オプション機能の費用、サポート費用なども含めた総コスト（TCO）を考慮する必要があります。

また、AIレビューサービス導入によって得られる時間削減効果、リスク軽減効果、業務品質向上効果などを定量・定性的に評価し、投資対効果（ROI）を検討することが重要です。

無料トライアルやデモを活用し、実際の機能や使い勝手を確認した上で、自社の課題解決に最も貢献するサービスを選定することが賢明です。

サポート、ベンダーの信頼性、将来展望

AI契約書レビューサービスのような専門性の高いソフトウェアを導入し、その効果を最大限に引き出すためには、ベンダーによる適切なサポート体制と、ベンダー自体の信頼性および将来性が極めて重要です。

特に法務という機微な情報を扱う分野であり、かつAIという進化の速い技術領域であるため、これらの要素はサービス選定において軽視できません。

カスタマーサポートとオンボーディング

多くのベンダーは、導入初期のつまずきをなくし、サービスをスムーズに業務に定着させるためのオンボーディング支援を提供しています。

例えば、LegalForceは専任担当者による導入支援やチャットサポート 、OLGAは契約時のキックオフミーティングから運用定着までの伴走型サポート 、MNTSQは初期導入時の担当コンサルタントによる最適な業務オペレーション構築支援  を提供しています。

CloudSign Reviewも豊富な導入支援経験に基づくサポート体制を謳っています 。サポートの質（応答時間、問題解決能力、専門知識）や提供チャネル（電話、メール、チャット、対面）、対応時間（平日日中、24時間365日など）は、サービスによって異なります。

無料トライアル期間だけでなく、導入時のトレーニングやマニュアルの充実度も確認すべきポイントです 。

ベンダーの信頼性と将来性

サービスの提供元企業が、リーガルテック分野で十分な実績と専門知識を有しているか、安定した経営基盤を持っているか、そして将来にわたってサービスを継続的に開発・改善していく意欲と能力があるかを見極めることが重要です。

導入実績（企業数や有名企業の導入事例など）は、一つの判断材料となります。例えば、LegalForceはグローバルで多数の導入実績があり 、LAWGUEも大手企業を含む数百社での導入実績を公開しています 。

MNTSQは大手法律事務所の協力を得て開発されており、大企業での採用が進んでいます 。

AI技術や関連法規は常に変化しているため、ベンダーが最新の動向をキャッチアップし、サービスに迅速に反映していく能力も問われます。定期的な機能アップデートや法改正への対応状況などを確認するとよいでしょう。

将来展望

AI契約書レビューサービスは、今後さらに進化していくことが予想されます。AIの自然言語理解能力の向上により、より文脈に即した高度なリスク分析や、契約書全体の整合性チェックなどが可能になるでしょう。

また、ChatGPTのような生成AI技術の活用が進み、契約書のドラフト作成支援や修正案の自動生成、さらには交渉戦略の提案といった機能が強化される可能性もあります 。

契約ライフサイクル管理（CLM）システムとのよりシームレスな統合や、特定の業界・法分野に特化したAIモデルの開発も進むと考えられます。

ユーザーとしては、単に現時点での機能だけでなく、ベンダーが将来どのようなロードマップを描いているのか、技術革新に対してどのようなスタンスで取り組んでいるのかも、長期的な視点で評価することが望ましいでしょう。

AI契約書レビューサービス利用時の注意点

法務オペレーションにおけるAIの進化する役割

近年、法務部門におけるデジタルトランスフォーメーション（DX）が急速に進展しており、その中でもAI（人工知知能）は、伝統的な契約書レビュー業務の自動化と高度化において中心的な役割を担いつつあります。

契約件数の増加、契約内容の複雑化、ビジネススピードへの対応要求、そしてコスト管理の必要性といった要因が、AI導入の追い風となっています 。かつては膨大な時間と人手を要した契約書の確認作業も、AI技術の活用により、より迅速かつ効率的に行えるようになりつつあります。

ChatGPTのような生成AIの登場は、契約書作成や初期チェックの段階においても新たな可能性を示唆しています 。

日本のリーガルテック市場における主要な考慮事項

日本のリーガルテック市場、特にAI契約書レビューサービスを選定・導入する際には、特有の、あるいは特に重要となるいくつかの考慮事項が存在します。

言語の壁と日本語処理能力

契約書は極めて正確な言語表現が求められる文書であり、AIが日本語の機微や法務特有の言い回しを正確に理解し処理できる能力は、サービスの品質を左右する最も重要な要素の一つです。

英文契約書への対応

グローバル化の進展に伴い、英文契約書を取り扱う機会は増加しています。単なる翻訳機能だけでなく、英文契約特有のリスクや準拠法に関する知見に基づいたレビュー支援機能の重要性が高まっています 。

弁護士法第72条との関係

日本の弁護士法第72条は、弁護士または弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることを禁じています（非弁行為の禁止）。

AI契約書レビューサービスが提供する情報が「鑑定」（法律上の専門的知識に基づき法律的見解を述べること）に該当すると解釈される場合、この規定に抵触する可能性があります。

法務省の見解では、AIがユーザーの方針等に従ってレビューを行うものは鑑定に該当し違法となる可能性があり、自社ひな形との言語的な差異を発見・表示するに止まるものであっても、鑑定に該当（違法）する可能性がないとはいえないとされています 。

このため、多くのサービス提供事業者は、自社のサービスをあくまで「法務担当者や弁護士の業務を支援するツール」と位置づけ、最終的な法的判断は人間が行うことを前提としています。

この法的制約は、サービス内容やマーケティング戦略に大きな影響を与えており、導入検討時には各サービスがこの点にどのように配慮しているかを確認することが肝要です。

「弁護士監修」といった表示も、この法的背景とユーザーの信頼性確保の観点から多く用いられています。

データセキュリティとプライバシー

契約書には機密性の高い情報が多数含まれるため、堅牢なセキュリティ対策と適切なデータ取り扱いが不可欠です。

個人情報保護法（APPI）への準拠はもちろんのこと、データの暗号化、アクセス制御、国内データセンターの利用（可能な場合）、そして国際的な取引がある場合にはGDPR（EU一般データ保護規則）への配慮も求められます。

各サービスが取得しているISO認証などの第三者認証は、セキュリティレベルを評価する上での一つの指標となります 。

AI契約書レビューサービスにおける「AI」の役割や能力には幅があり、単純なキーワード検索や書式チェックに近いものから、文脈を理解し複雑なリスク評価を試みる高度なものまで存在します。

例えば、LawFlowのような無料サービス  と、企業のナレッジを学習して進化するMNTSQのようなエンタープライズ向けAI  とでは、その機能の深さに大きな違いがあると考えられます。

利用者は、単に「AIレビュー」という言葉だけでなく、そのAIが具体的にどのような処理を行い、どの程度の精度と範囲で契約審査を支援するのかを、各サービスごとに見極める必要があります。

AI契約書レビューサービスを導入する際のアドバイス

AI契約書レビューサービスの導入は、法務業務の効率化と品質向上に大きく貢献する可能性がありますが、その効果を最大限に引き出すためには、自社の状況に合致したサービスを戦略的に選定し、計画的に導入プロセスを進めることが不可欠です。

事業ニーズに応じたサービス能力のマッチング

AI契約書レビューサービスは多種多様であり、それぞれの特徴を理解した上で、自社の規模、業種、取り扱う契約書の種類、法務部門の体制、そして解決したい課題に最も適したサービスを選ぶ必要があります 。

中小企業（SME）やスタートアップの場合

予算が限られていることが多いため、LeCHECKのライトプラン  やCloudSign Review  のような比較的安価で透明性の高い料金プランのサービス、あるいはLawFlowのような無料サービス  が検討対象となります。

クラウドリーガルのように、低コストで弁護士相談とAIレビュー（実験的機能）を組み合わせられるサービスも有効でしょう 。操作の簡便さ、導入・設定の手軽さ、そして迅速なサポートが重要な選定ポイントとなります。

大企業の場合

取り扱う契約書の量が多く内容も複雑であるため、拡張性、堅牢なセキュリティ（ISO認証、SSO対応など）、詳細なカスタマイズ機能（「自社基準レビュー」の高度な設定）、そして包括的な契約ライフサイクル管理（CLM）機能との連携が求められます。

LegalForce 、MNTSQ 、OLGA  などが有力な候補となります。これらのサービスは、組織全体の法務ガバナンス強化やナレッジマネジメントにも貢献します。ベンダーによる手厚い導入支援や継続的なコンサルティングも重要です。

国際契約の取り扱いが多い企業の場合

英文契約書レビュー機能の品質が最優先事項となります。単なる翻訳機能だけでなく、準拠法（例：英米法）に関する知識や国際取引特有のリスクをAIがどの程度理解し、レビューに反映できるかが重要です。

LeCHECK 、LegalForce 、CloudSign Review  など、英文レビューに強みを持つサービスを選定すべきです。中国など特定の国との取引が多い場合は、LawFlowの中国語対応  のようなニッチな機能も評価対象となります。

特定の業界要件がある場合

不動産業界や建設業界、製薬業界など、業界特有の契約書や規制が存在する場合があります。

CloudSign Reviewが不動産業界向けの特化パッケージを提供しているように 、自社の業界に特化したテンプレートやレビューロジックを持つサービスがあれば、より的確な支援が期待できます。

このように、画一的な「最高のサービス」は存在せず、自社の具体的なニーズと各サービスの特性を照らし合わせる「マッチング」の作業が不可欠です。

ベンダーへの主要確認事項

契約を締結する前に、ベンダーに対して以下の主要な点について詳細な情報を求め、納得のいく回答を得ることが重要です。

AIの能力と限界について

• AIはどのように訓練され、どのようなデータに基づいているのか？
• 法改正や最新判例はどの程度の頻度でAIモデルに反映されるのか？
• AIはレビュー結果の根拠や理由をどの程度説明できるか？
• AIが不得意とする契約類型や条項、あるいは既知の限界は何か？

カスタマイズ性について

• 自社基準レビューはどの程度詳細に設定できるか（条項単位、リスクレベル、優先順位など）？
• カスタマイズのプロセス、必要な作業、期間、および関連コストは？
• 設定変更の柔軟性や容易さはどうか？

データ取り扱いと所有権について

• アップロードされた契約書データはどこに（国・地域、具体的なデータセンター）保管されるのか
• データの所有権は誰に帰属するのか
• 顧客データがベンダー側のAIモデル改善のために匿名化・集計されて利用されることはあるか（その場合、オプトアウトは可能か）
• サービス解約時のデータエクスポートの可否、形式、および手順　など

セキュリティとコンプライアンスについて

• 具体的なセキュリティアーキテクチャ（暗号化、アクセス制御、監視体制など）の詳細
• 取得している第三者認証（ISO等）の範囲と有効性は？
• セキュリティインシデント発生時の対応計画（レスポンスプラン）
• 弁護士法第72条への具体的な対応方針と見解　など

システム連携について

• APIが提供される場合、その仕様、機能範囲、利用制限、ドキュメントの有無
• 既存の社内システム（文書管理、CRM、ERPなど）との連携実績や連携方法
• 連携設定のプロセスと必要な技術的サポート　など

サポート体制について

• サービスレベルアグリーメント（SLA）の内容（サポート受付時間、応答時間、解決目標時間など）
• 専任のカスタマーサクセスマネージャーはアサインされるか
• オンボーディングやトレーニングの具体的な内容と方法　など

価格体系について

• 初期費用、月額/年額費用、ユーザー追加費用、契約書ボリュームによる従量課金、オプション機能費用など、全ての潜在的なコストの内訳は？
• 契約期間の縛り、中途解約の条件、料金改定のポリシー
• 将来的な利用規模拡大に応じた価格スケーラビリティ　など

これらの質問を通じて、サービスの透明性を確認し、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。

AI契約書レビューサービス導入のベストプラクティス

効果的なAI契約書レビューサービスの導入と運用のためには、以下のベストプラクティスを参考にすることが推奨されます。

明確な目標設定とKPI

何を達成するためにAIレビューサービスを導入するのか（例：レビュー時間〇%削減、特定リスクの見逃しゼロ、法務担当者の戦略業務へのシフト時間創出など）、具体的な目標と測定可能なKPI（重要業績評価指標）を設定します。

パイロットプロジェクトの実施

全部門への一斉導入ではなく、特定の部門や契約類型に限定したパイロットプロジェクトから開始し、効果測定や課題の洗い出しを行います。

関係部門との連携

法務部門だけでなく、実際に契約業務に関わる事業部門、情報システム部門など、関連するステークホルダーを早期から巻き込み、ニーズの吸い上げや協力体制を構築します。

十分なトレーニングとチェンジマネジメント

新しいツールや業務プロセスの導入には、従業員の理解と協力が不可欠です。ベンダーが提供するトレーニングプログラムを活用し、操作方法だけでなく、AIの特性や限界、新しい業務フローについても周知徹底します。変化に対する抵抗感を和らげ、積極的な活用を促すためのチェンジマネジメントも重要です。

AIは支援ツールであるとの認識

AIは非常に強力なツールですが、万能ではありません 。特に複雑な法的判断や、ビジネス上の微妙なニュアンスが絡む交渉においては、依然として人間の法務専門家の知識と経験が不可欠です。AIのレビュー結果を鵜呑みにせず、必ず専門家が最終確認を行う体制を維持することが重要です。

継続的な評価と改善

導入後も定期的に利用状況やKPI達成度を評価し、設定の見直しや業務プロセスの改善を継続的に行います。ベンダーからの新機能リリースや法改正情報なども活用し、常に最適な利用方法を追求します。

社内ナレッジの整備と活用

特に自社基準レビュー機能を活用する場合、AIに学習させるための社内ひな形や審査基準、過去事例などのナレッジを整理・整備することが重要です。これにより、AIのレビュー精度が向上し、より自社に適したアウトプットが得られます。

これらのプラクティスを実践することで、AI契約書レビューサービスの導入効果を最大化し、法務業務の変革を成功に導くことができるでしょう。

AI契約書レビューの将来動向予測

AI契約書レビューの分野は、技術革新とともに急速な進化を続けており、今後もそのトレンドは続くと予想されます。

AIの理解能力の深化

現在のAIは条項単位でのリスク指摘や修正案提示が主ですが、将来的には契約書全体の構造やビジネス上の文脈をより深く理解し、契約全体を通じた包括的なリスク評価や、複数の契約書間の関連性分析などが可能になるでしょう。

これにより、単なる「チェック」から、より戦略的な「アドバイス」に近いアウトプットが期待できるようになります。

生成AIの本格活用

ChatGPTに代表される生成AI技術は、契約書のドラフト作成、修正案の自動生成、さらには交渉相手への反論案作成など、より能動的な契約業務支援へと応用範囲を広げる可能性があります。

LeCHECKが既にChatGPT連携のベータ版を提供しているように 、この動きは加速するでしょう。ただし、生成AIが生成する内容の法的正確性や倫理的な課題については、引き続き慎重な検証とガイドライン整備が必要です。

契約ライフサイクル管理（CLM）との完全統合

AI契約書レビュー機能は、契約作成支援、交渉支援、電子署名、締結後の契約管理、期限管理、コンプライアンスチェックといった契約ライフサイクル全体の管理機能と、よりシームレスかつ高度に統合されていくでしょう。

これにより、法務部門は契約関連業務全体を一つのプラットフォームで効率的に管理できるようになります。

専門分野・業界特化型AIの発展

一般的な契約類型だけでなく、特定の法分野（例：知的財産、金融、M&A）や業界（例：建設、医療、IT）に特化した知識を学習したAIモデルが登場し、より専門的で精度の高いレビューサービスが提供されるようになる可能性があります。

CloudSign Reviewの業界特化パッケージはその初期の動きと言えます。

予測分析と戦略的法務支

過去の契約データや紛争事例などをAIが分析し、将来起こりうるリスクを予測したり、契約交渉における最適な戦略を提案したりするなど、より高度な戦略的法務支援への応用も期待されます。

これらの進化は、法務専門家が定型的な作業から解放され、より高度な法的判断や戦略立案といった付加価値の高い業務に集中することを可能にし、企業全体の競争力強化に貢献するでしょう。

ただし、技術の進化と同時に、弁護士法との整合性や倫理的側面に関する議論も深めていく必要があります。

結論

AI契約書レビューサービスは、日本国内においても法務業務の効率化と品質向上を実現するための重要なツールとして、その地位を確立しつつあります。本記事で比較検討した9社のサービスは、それぞれ異なる特徴と強みを持ち、多様な企業のニーズに応えるべく進化を続けています。

サービスの選定にあたっては、AIによるレビュー機能の深さとカスタマイズ性（特に「自社基準レビュー」の可否とその質）、日本語および英語（必要に応じてその他言語）への対応能力、既存の業務フローや他システムとの連携の容易さ、そして何よりもデータのセキュリティとコンプライアンス体制が重要な判断基準となります。

また、価格体系の透明性と費用対効果、ベンダーによるサポート体制の充実度も、長期的な視点で見れば極めて重要です。

AI契約書レビューサービスは、適切に選択し導入すれば、契約審査にかかる時間を大幅に削減し、見落としリスクを低減させ、組織全体の契約管理レベルを引き上げる強力な武器となり得ます。