インハウスローヤー(企業内弁護士)に転職するメリットとは?求められるスキルや経験、キャリアパスなど徹底解説
インハウスローヤー(企業内弁護士)に転職するメリットとは?求められるスキルや経験、キャリアパスなど徹底解説

近年、企業内で力を発揮するインハウスローヤーが増加しています。

2013年には953名であったインハウスローヤーの数も、2023年には3184名となり、その数はおよそ10年で3倍となっています。統計を始めた2021年から、インハウスローヤーの数は今日に至るまで右肩上がりとなっており、増加の一途を辿っています。


参照:日本組織内弁護士協会|企業内弁護士数の推移(2001年~2023年)

 

本記事では、インハウスローヤーへの転職を考えている方に向けて、転職のメリット・デメリットに加え、インハウスローヤーのキャリアパスや今後求められるものをご紹介していきます。

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主なポイントのまとめ

  • インハウスローヤーは、社内弁護士のことであり、法務の専門性の高さと、リーガルマインドを軸にしたバランス感覚・交渉力を発揮して、会社としての事業推進にコミットしていくことが求められる仕事である。
  • インハウスローヤーは、ワークライフバランスの高さ、収入の安定、事業を通じた社会的なインパクトに関わるといった点に魅力がある。反面、弁護士業務における自由度に制限があることなどがデメリットとして挙げられる。
  • インハウスローヤーのキャリアは、法務を軸にしつつも、法務以外のポジションでの活躍や、社内外での信頼を獲得して事業の要衝を担うキャリアパス、官公庁への出向など幅広く展開することができる可能性がある。

インハウスローヤーとは

そもそも、インハウスローヤーとは、どのような仕事でしょうか。増加した背景や法律事務所に所属する弁護士との違いと含めて解説していきます。

インハウスローヤーが増加した背景

インハウスローヤーは、企業内弁護士とも呼ばれ、企業内で法務に携わる弁護士のことです。

より詳細に定義すれば、企業内弁護士とは、日本法に基づく会社、外国会社の日本支社、特殊法人、公益法人、事業組合、学校法人、国立大学法人等、国と地方自治体以外のあらゆる法人に役員又は従業員として勤務する弁護士のうち、当該法人の所在地を自身の法律事務所所在地として弁護士登録している者をいうとされています。

参照;日本弁護士連合会「企業内弁護士とは」

冒頭で述べたようなインハウスローヤーの増加の背景には、グローバル化やイノベーションの加速、コンプライアンス要請の高まり等の事情が挙げられます。

海外を相手にビジネスを展開する上では、法務の迅速性・契約書やビジネスモデルの法的問題点の検討等、法務が果たすべき役割は非常に重要になってきます。また、イノベーションの加速に伴い、これまでにない法的問題点への直面、コンプライアンス要請の高まりに伴う法務の強化という要請から、法務を強化する必要が生じたことが要因であるといえるでしょう。

インハウスローヤーと事務所勤務弁護士の違い

インハウスローヤーと法律事務所に所属する弁護士とは、様々な点において違いがありますが、主に①業務内容と②業務の遂行方法、③問題・課題に対する解決のアプローチがあります。

業務内容

まず、インハウスローヤーは、一般的に、契約書のチェックや各部署からの法務相談、社内規程の作成や株主総会の開催等を行います。業務の範囲は幅広いものの、会社に問題が生じた場合には、社内の弁護士ではなく、外部の弁護士に委託するケースもあります。したがって、インハウスローヤーはビジネスサイドで問題解決に励むことはあるものの、実際の裁判や相手方との交渉等の業務には携わらないケースもあります。

他方、事務所勤務弁護士は、通常の街弁であれば、個人のクライアントがメインになります。離婚、労働問題や交通事故といった特定の分野における法的問題を抱えた依頼者からの相談を受け、裁判や交渉等を行うことが典型です。

企業のクライアントに対しては、法務顧問が典型ですが、その延長で代表者個人の法律問題に対しての相談や案件を受任することもあります

業務の遂行方法

インハウスローヤーの場合、問題は複雑かつ多様であり、その問題が法的問題か、あるいはビジネス的課題も含まれているそれ以外の問題なのかは不特定な状態で問題解決に励むことも多々あるでしょう。

リーガルイシューが取り出された状態で相談が持ち込まれる場合もあれば、「困ったこと相談」のようなものになる場合もあります。問題を1つ1つ分解して、スピーディーに対応することが求められます。

問題解決にあたっては、それぞれの関係者の意見を聞き、どういった点にどのような問題点が潜んでいるかについて、インハウスローヤーが自ら特定しなければなりません。

また、問題を特定した上で、実際に問題解決をする場合、内容や性質によって、インハウスローヤーが独断で意思決定をすべきでない場合もあります。

契約書の軽微な修正だけであれば自己完結であるとしても、事業に関わる法令に対する体制整備など影響度が大きいものは、社内の権限分掌・指揮系統に従って適切にエスカレーションすることが重要です

他方、事務所勤務弁護士の場合、依頼者が会社である場合はともかく、個人である場合には、相談の段階である程度の法的な解決を求められることがサービスに対する事前期待としてあります。

また、職人的な性質もある業務であることから、1人前の弁護士であれば基本的には弁護士自身が1人1人裁量をもってアウトプットをすることになります。

そして、裁判や交渉といった弁護士ならではの実務経験を積むことができるのも、事務所勤務弁護士ならではといえます。

問題や課題に対する解決のアプローチの違い

インハウスローヤーは、もしその役割が「トラブルや訴訟対応」というような状況の場合、会社としてはかなり危機的な状況にあるということになります、

主軸としては、実際に問題が生じ、あるいは将来的に生じる可能性のある問題を予防する役割を担っています。したがって、いかなる法的問題が生じているか、あるいはこれから生じようとしているのかについて事前に予測し、あらゆる仮説を立てて問題に対処する姿勢が求められます。

また、事業や経営の戦略から、スキームを設計していくためのルール化や規制に対する対応、そして外部のステークホルダーとの渉外対応にこそ、価値が見出されると考えられます。

インハウスローヤーと事務所勤務弁護士は、以上の3点において主な違いが生じてきます。インハウスローヤーは、会社の内部から問題解決に励む一方、事務所勤務弁護士は、外部から適切なアドバイスをし、問題解決に励むという特徴があるため、以上のような違いが生じてくるといえます。

わかりやすく表現すれば、「インハウスは選手であり、外部弁護士は監督でありコーチである」という位置づけになるでしょう。
参照;法曹人の新しいフィールド 第9回 企業内弁護士の魅力と悩み

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インハウスローヤーに求められるスキルや経験

インハウスローヤーには、どのようなスキルや経験が求められるでしょうか。

ここでは3つご紹介していきます。

法律に関する専門性の高さ

1つは、専門性です。

企業において、法務が弁護士の独占業務・専売特許というわけではありません。そのため、弁護士資格があるかないかの違いによって、実際の業務上顕著な違いが生まれるわけではありません。

むしろ、法的な知識が希薄でもビジネスマインドの高い人材で交渉力の高さがあるような人であれば、法務としての素養が伏在していると考えられます。

一方で、法務が扱う知見は専門性が高いものではあります。現代では、検索エンジンひいてはAIを活用することで、法律の専門家でなくても十分にアプローチできると考えられますが、法律の解釈や適用と、それが体系化されていることで法律の扱い方に幅が広がります。

また、法曹実務家のナレッジなどは、常にオープンソースであるわけではありません。

インハウスローヤーは、まさにリーガルマインドを身に着け、徹底的に法的思考に刷り込んできて、そのトレーニングが積まれていること、そして法曹実務に精通しているといった専門性の高さが求められます。

弁護士資格の効果的な活用

弁護士資格を効果的に活用できることも求められます。

企業としても、どのような人材を採用するかは人事戦略であり、ビジネス上の重要な位置づけを占めるものです。

まず、その位置づけを認識して、自ら弁護士資格を「使っていく」ことが求められます。

どのように使うのか・使うことが求められるのかは、事業の内容や性質、企業の規模やフェーズなどにより異なると考えられます。

例えば、事業内容が銀行や証券会社など、コンプライアンスの意識が非常に高い企業の中では、弁護士資格があることを1つのスタンダードとして信頼性を担保する位置づけであることもあります。

一方で、いわゆるリーガルテックベンダーであれば単にバックオフィスの一部ではなく、サービスの開発や導入におけるアドバイスなど営業やCSのような側面でも弁護士資格が活用できると考えられます。

さらには、規模感の小さいベンチャー・スタートアップ企業では、資金力的にインハウスローヤーを採用することが困難な側面もあるところ、その存在自体から、事業推進の上での信頼性を確保するといった狙いがあることもあります。

弁護士実務ならではの経験

3つ目として、弁護士実務ならではの経験が期待されることもあります。

特に、すでに述べたような街弁業務に携わってきた弁護士であれば、様々困難な事件に対して、いわばプロジェクトレベルの案件を膨大な数処理して、解決に導いてきたというバックグラウンドがあるといえます。

そうしたバックグラウンドから、トラブルや紛争対応においては、弁護士実務ならではのタフな経験により、社内からの信頼を集める要素になるでしょう。

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インハウスローヤーに転職するメリット3つ

インハウスローヤーへの転職には、どのようなメリットがあるでしょうか。ここでは3つご紹介していきます。

ワークライフバランスを保てる

昨今の物価上昇や少子高齢化に伴う生産人口の減少、政府による働き方改革の推進等から、働き方は多様化しています。終身雇用が当たり前であった時代は既に終わりを告げ、個々人が特定のスキルや資格を習得して自らの手でビジネスチャンスを掴む時代へと突入しました。

そうした時代の変化とともに、ワークライフバランスを重視した働き方を志す者も増加してきています。

弁護士業務は、毎月の受任件数によって個々人の間に業務内容や量の差があるといえますが、一般的には激務であると言われています。

特に、四大事務所などの大手法律事務所や独立した弁護士の場合は、深夜や休日においても業務を遂行することもあります。裁判ともなると、期日や書面の提出等、期限が設けられていることから、それに合わせて業務をこなすことが求められます。

ある程度定型化できるものがあれば効率的に業務を行うことができますが、法的問題は十人十色であり、定型化が難しいものもあるでしょう。また、案件の進み具合によっては、安易に有給を使用することも難しいです。

このような弁護士業務ならではの特色から、激務である弁護士にとっては仕事が生活の中心となり、ワークライフバランスを保つことが困難となる傾向にあるのではないでしょうか。

これに対して、インハウスローヤーは、会社の社員という立場であることから、雇用契約上労働者として保護される立場にあり、業務時間の管理はそうした面で枠が定まっているという側面があります。

また、近年では人材を確保するために福利厚生に力を入れている企業も多く存在します。フレックスタイム制度やテレワークの導入、育児・介護特別休暇等、従業員が快適に働ける環境を目指す取り組みを積極的に行っている企業が増加しています。

現に、子育て事業支援を行っているアクトインディ株式会社では、「子どもと毎日夕飯を一緒に食べられる働き方をしたい」という一人のエンジニアの声をきっかけに、ワークライフバランスに取り組み、育児短時間勤務制度を子どもが小学校を卒業するまで利用することが可能となりました。
参照:ワーク・ライフ・バランスEXPO東京2019

以上のように、ワークライフバランスを重視した働き方が可能となる点において、インハウスローヤーに転職することはメリットであるといえます。

収入の安定さ

インハウスローヤーは、会社員である以上、毎月会社から固定の給料が振り込まれます。

業務は基本的に会社から割り振られるため、インハウスローヤーが自らの手で仕事を取ってくる必要はありません。したがって、インハウスローヤーは、業務量にかかわらず、毎月安定して固定の収入を得ることができる点で、メリットがあるといえるでしょう。

他方、事務所勤務弁護士の場合、毎月の受任件数によって収入の変動があります。弁護士自ら事件を受任する必要がありますが、受任はそう簡単にできるものではありません。

数多くの法律事務所が存在する現状、顧客は事務所のブランド力や価格帯、弁護士の人間性等、あらゆる要素から依頼をするか判断します。

受任に至るまでには、個々の顧客が重視する数々のハードルを乗り越える必要があります。

受任件数が多い月であれば、インハウスローヤー以上の高収入を得るチャンスがあるという点で魅力ですが、毎月安定した収入を得ることができるのは、インハウスローヤーの強みであるといえます。

事業を通じて社会にインパクトを与えられる

3つ目としては、事業を通じて社会課題の解決など、社会を的にした影響を与えることができる点が大きな魅力の1つとして挙げられます。

街弁のような弁護士業務では、個人の人生における大事件を解決していくイメージですが、事件解決による影響が、必ずしも社会全体の課題解決まで広がるわけではありません。

一方で、特にベンチャー・スタートアップの企業は、ビジネスモデルや技術の先進さと、社会課題の解決を志向する場合、事業自体のインパクトが社会を的にしています。

インハウスローヤーが携わる部分も、法務という部分的なものではあるものの、事業自体が規制の枠に阻まれることが往々にしてあります。

その際に、法令の適用範囲を区別したり、法令上の位置づけを形成することにより事業の正当性をリーガル面で担保することでマーケットを作っていくことが考えられます。

こうしたインハウスローヤーの活躍も、事業を通じた社会的なインパクトを与える可能性があるといえます。

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インハウスローヤーに転職するデメリット3つ

では、インハウスローヤーへの転職においてデメリットとなるのは、どのようなポイントでしょうか。こちらも3つ解説していきます。

基本的にフルコミットで会社の業務に専念する必要がある

1つ目は、会社の業務しかできなくなる可能性があることです。

法律事務所の勤務弁護士と異なり雇用契約であることから、使用者の会社との関係では服務専念義務があります。

そのため、片手間で弁護士業務を行うことはできないのが基本です。そのため、自由度高く自分でお金を稼ぎたいという人にとっては、向かない要素であるといえます。

もっとも、副業・兼業が許容される潮流があることから、許可制のもとで弁護士業務ができる場合もあります。

ただし、それも会社の業務との両立ができる範囲である必要があるので、よほど理解のある企業でない限り、弁護士として自分のクライアントを持って幅を広げていくことには限界があります。

通常の弁護士業務の感覚がフィットしない

2点目としては、弁護士業務の感覚とは異なる点が少なくない点です。

弁護士としては、訴訟や紛争を中心とした案件を行っていると、法的な解決を提供することがサービス価値であると考えられるため、法的な観点で物事を分析して解決策を考えがちになります。

一方で、インハウスローヤーとしては、事業の現場で、法律上の問題に対するアンサーだけで解決することができる問題ではなく、むしろビジネス観点や顧客へのサービス価値ありきで解決策を出すことが求められます。そのため、法的な観点でもアウトプットが、適合しないことがあります。

そうした弁護士業務との感覚の違いについても、注意すべきポイントです。

事務所勤務弁護士への転職の難しさ

すでに述べた通り、インハウスローヤーと事務所勤務弁護士とでは、業務内容及び業務の遂行方法が大きく異なります。したがって、インハウスローヤーが法律事務所への転職を望む場合、どのような点をアピールポイントとするかによって、法律事務所が望む人材と乖離が生じてしまう可能性があります。

特に、インハウスローヤーは、訴訟や交渉等、多くの事務所勤務弁護士が経験するであろう実務経験が浅い者も多く存在します。そうなると、法律事務所に入所した場合、ほとんど新卒のような扱いとなり、一から教育しなければならないという法律事務所の負担が生じかねません。

そのような負担を危惧し、法律事務所としては、インハウスローヤーとして秀でた成績や経験を有する者でない限り、積極的に採用することはハードルが高いと考え、採用においてハードルになる可能性があります。

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インハウスローヤーの主なキャリアパス

インハウスローヤーもキャリアの形が多様化している中で、どのようなキャリアパスのイメージが考えられるでしょうか。

社内での昇進・経験値の向上

令和4年に行われた日本弁護士連合会の調査によると、「企業内弁護士としてキャリアを積む」と回答した者が全体の52.2%であり、最も多い結果となりました。


参照:2022年(令和4年)3月 日本弁護士連合会 第3回「企業内弁護士キャリアパス調査」に関する調査結果

法務は、法務責任者をはじめとする従業員の大半が弁護士の資格を有していないのが現状です。したがって、インハウスローヤーである自身の上司が弁護士ではないケースが多々あります。

法律事務所の場合、弁護士である上司の姿を見て実務を学び、質の高い教育を受けることが期待できます。しかし、インハウスローヤーの場合、実務や質の高さという点においては法律事務所と比較して劣ることは避けがたいと考えられます。

2003年に行われたインハウスローヤー座談会においては、「法務部の上の者が弁護士である場合とそうでない場合とでは、配下の弁護士が受けることのできる、実務を通しての訓練の質や仕事のやり方がおのずから異なってくる」としています。(参照:インハウスローヤー座談会 第4回 インハウスローヤーのキャリアパスをどう考えるか 3頁

したがって、今後のキャリアを向上させていくため、弁護士の下で質の高い教育を受けたいと考える場合には、他のインハウスローヤーが在籍する企業に転職することも手段の一つです。もっとも、上司が弁護士資格を有していなくとも、実務に精通し、弁護士以上に法的専門知識を有する者は存在します。

したがって、インハウスローヤーとしてのキャリアを向上するため、自分自身が何を求めているのか、どういう自分になりたいのかというビジョンを明確にし、最適な手段を選択することが求められます。

法務以外のポジションも経験してユーティリティに

法務以外のポジションで活躍することも考えられます。

規模感の小さい会社の中では、法務以外にも経理や人事・労務、情シスなどの業務とも密接に関わることから、法務以外の素養を高めていくこともできるでしょう。

そうした法務以外の幅広い隣接分野の経験を重ねていくことで、インハウスローヤーは、法務人材としての枠を超えてキャリアを伸ばしていくことが考えられます。

法務部長から社外役員なども

社内で昇進して、よりビジネスマンとしての経験を積んでいけば、他社での役員・社外役員になることができるケースもあります。

法務人材として経営に近い立場まで関わった経験があれば、とりわけ社外役員のニーズの高さから、ビジネスに精通した弁護士として、経営に深く関わる法務としてのポジショニングを取ることもできるでしょう。

官公庁への出向

近年では、官公庁への出向も1つのキャリアプランとして考えられます。

Fintech企業であれば金融庁、健康・ヘルスケア分野であれば厚労省ないし経産省、エンタメ系の分野であれば文化庁や観光庁などの省庁への出向など、事業に関連する規制所管庁での経験を積むことも、キャリアの深みになるでしょう。

独立・起業

企業法務に特化した弁護士として、独立して事務所を構えることも考えられます。

インハウスローヤーとしての経験に特化すれば、法務受託の形で法人クライアントを多数抱えて、一定の収入を確保して弁護士業を展開していくことができるでしょう。

また、法務・弁護士業務に囚われることなく、起業していくことも魅力的なチャレンジです。

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インハウスローヤーを取り巻く競争環境

インハウスローヤーも、弁護士業務における1つのビジネスチョイスですが、どのような競争環境があるのでしょうか。

様々な言説がありますが、この記事では、ポイントとなる視点について、企業の内側にいる弁護士という立ち位置の重要性の観点から考えていきます。

時代の変化に翻弄されず、持続可能な経営を可能とするためには、インハウスローヤーをはじめとする法務が果たすべき責任は非常に大きいです。これからの時代を勝ち残っていくためには、法務が積極的に経営をサポートし、経営者とともにビジネスを進めていくパートナー的存在となる必要があることは既述のとおりです。

従来のような困った際の相談役というよりは、日常的に社内の様々な業務オペレーションに伏在するリーガルイシューに向き合ってくれる立場として、エキスパートの存在が価値を増していると考えられます。

令和の時代に日本企業の法務がどうあるべきかについて研究した報告書によると、「パートナーとしての法務機能の重要性も一層高まっており、法務機能の強さが企業の生き死にを左右する一要素となりかねない」としています。(出典:国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会 報告書~令和時代に必要な法務機能・法務人材とは~ 2頁

スピード感を持ってビジネスを展開し、世界を舞台に戦う企業となるためには、法務を強化することは必要不可欠です。

高度な法的専門知識のみならずビジネス的視点も持ち合わせたインハウスローヤーの存在は、法務に活気をもたらし、法務全体の業務の質を高めることに繋がります。まずはインハウスローヤーとしての経験を積み、多角的な視点を養うことが必要となるでしょう。

【インハウスローヤーの転職】おすすめ転職エージェント3社

NO-LIMIT(ノーリミット)|弁護士特化型の転職支援サービス

NO-LIMIT
公式サイト:https://no-limit.careers/

NO-LIMITは、弁護士に特化した転職エージェントです。

法律事務所の集客サービスから派生した人材事業のため、広いネットワークを活かして大手法律事務所からブティック系まで幅広い事務所を紹介してくれます。

上場企業のインハウスローヤーやスタートアップ企業の法務責任者など、事業会社の弁護士求人も取り扱っています。

弁護士に特化した転職エージェントのため、アドバイザーが応募先の業務内容から雰囲気など、細かい情報まで事前に提供してくれます。ミスマッチが生じづらく、選考突破率が高いことが強みです。

公式サイト:https://no-limit.careers/

BEET|法務・企業内弁護士に強い管理部門特化型

BEET
公式サイト:https://beet-agent.com/

インハウスローヤーや企業の法務部に転職するなら、BEETがおすすめです。

BEETは、管理部門・バックオフィス人材に特化した転職エージェントです。インハウスローヤー・法務部の求人を多数保有しています。

インハウスローヤーなど有資格者の求人は採用ハードルが高いため、BEETのような特化型転職エージェントが保有し、企業と求職者をつないでいます。

法律事務所以外の可能性を見出すなら、登録してみましょう。

公式サイト:https://beet-agent.com/

弁護士ドットコムキャリア|弁護士ドットコム運営

弁護士ドットコムキャリア

弁護士相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」が運営。

法律事務所との繋がりが強固な転職エージェントであるからこその、弁護士ドットコム独自の求人紹介を受けることが可能です。

公式サイト:https://career.bengo4.com/

まとめ|これからのインハウスローヤーに求められるもの

最後に、これからの時代においてインハウスローヤーに求められることを2点、解説していきます。

ビジネスセンス

上記のように、これからのインハウスローヤーに求められる役割は、会社経営を積極的にサポートする攻めの姿勢です。会社経営を積極的にサポートしていくためには、単に法的知識が豊富であるというだけでは足りません。

法的観点からのみのアドバイスは、経営者の希望と合致しなかったり、時にはビジネスそのものを停滞させたりすることもあります。

ビジネス的視点に特化した経営者との間で建設的なコミュニケーションを図り、スピード感を持ってビジネスを進めていくためには、まずは経営者が描いているビジネスを理解するところから始めなければなりません。

その上で、ビジネスに内在するあらゆるリスクを多角的な視点から検討し、個々のビジネスに合致した具体的な案を出すことができれば、経営者のパートナーとして、ともにビジネスを進めていくことが可能となります。

課題発見力

これからの時代は、法務においてもAIとどのように向き合うかという戦略が求められます。インハウスローヤーは、弁護士資格がある中ではありますが、弁護士資格の価値と今後技術が進展した際のAIの提供価値とでは、同等か、逆転現象が起こる可能性があると考えられています。

そのため、AIの技術を知りつつ、AIをコントロールできるようなポジショニングを取ることが重要です。法務業務においてAIを活用し、定型業務を徹底的に効率化していくことでAIにできない部分での付加価値を高めていくことが考えられます。

具体的には、契約書レビュー、案件管理、そしてリサーチ業務の場面でAIを活用し、アウトプットまでのリードタイムを徹底的に短縮していくことが重要です。そして、既存の論点にないような未解決の課題に対して取り組むようなこと、ルールメイキングなどに注力していくことが考えられます。

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この記事の執筆者

士業チーム

LEGALS[弁護士]

弁護士の実務、転職市場に知見のある経験者に向けてお役立ちコンテンツを発信。士業チームの中でも弁護士に特化した情報発信をしています。