【医療法人向け】医療法務が得意な法律事務所の特徴と選び方!契約方式の違いも解説

専門家監修記事
医療法人が安定経営を目指すには、法律事務所との提携が不可欠です。幅広い業務に伴う法的リスクに対応し、日常業務からトラブル発生時までスムーズな対応を可能にします。本記事では、医療法人に合った法律事務所選びのポイント、契約形態、相談の流れを解説します。
企業法務
  • 「医療法人のような特殊な業務に対応してくれる法律事務所はある?」
  • 「医療法人が法律事務所を選ぶとき、どのようなポイントに注意すればいい?」

医療法人が安定的な経営体制を構築するなら、法律事務所との提携は不可欠です。

なぜなら、医療法人の業務内容は幅広いので、日常的にさまざまなリーガルリスクに晒される可能性があるからです。

法律事務所による継続的なサポートがあれば、日ごろの法律業務はもちろん、万が一法的トラブルに直面したときにもスムーズな対応を期待できるでしょう。

本記事では、医療法人が相談・依頼する法律事務所を選ぶときのポイント、顧問契約とスポット契約それぞれのメリット・デメリット、弁護士に相談・依頼するときの流れなどについてわかりやすく解説します。

医療法人のサポートが得意な法律事務所の特徴4選

日本には数多くの法律事務所がありますが、事務所によって専門分野は異なります。

医療法人が弁護士の力を借りる場合、医療法人が抱えることが多い法律問題や業界事情に精通した法律事務所を選ばなければ、十分なリーガルサービスを受けられないリスクがあるでしょう。

そこで、まずは医療法人が相談・依頼するべき法律事務所の特徴を4つ紹介します。

1.医療法人向けの専門チームを持っている

医療法人が弁護士への依頼を検討しているのなら、医療法人向けの専門チーム・専門部門を有しているかを確認するのがおすすめです。

医療法人は、対内的・対外的にさまざまな法律問題に直面することが多くあります。

医療法人が抱える可能性がある法律問題の具体例は、以下のとおりです。

対内的な法律問題

・社員総会や理事会の運営
・理事や監事の選任
・不祥事が発生したときの役員の法的責任追求
・内部統制システムの構築、運営
・持分なし医療法人へ移行するときの法的課題、手続き進行、その他M&A
・従業員による未払い残業代請求、ハラスメントを理由とする損害賠償請求などの労使紛争への対応
・労務管理体制の構築、運営 など

対外的な法律問題

・患者によるクレーム対応、医療過誤トラブルへの対応
・インターネットやSNSにおける誹謗中傷、風評被害に対する法的措置
・医薬品の取り扱い業者とのトラブル対応、契約書などの管理
・医療法人の広告宣伝活動に対する法的規制への対応
・行政指導がおこなわれたときの対応 など

このように、医療法人が抱える法律問題は多岐にわたります。

そして、弁護士ひとりだけではこれらの幅広い法律問題に対応しきるのは簡単ではありません。

そのため、専門分野が異なる弁護士同士がチームを組み、強固なサポート体制を整えている事務所を選ぶことが大切です。

2.医療系の資格を有している弁護士が在籍している

満足度の高い医療法務を希望するなら、以下のような弁護士が在籍しているかをチェックしてください。

  • 医師免許と弁護士資格のダブルライセンスの弁護士
  • メディカルサービス法人や医療機関への勤務歴がある弁護士
  • 医療経営士の資格を保有している弁護士
  • 医療関係の研究会・セミナーへの参加実績や講師としてのキャリアがある弁護士
  • 医療関係の顧問実績が豊富な弁護士 など

医療業界は、一般事業会社とは異なり専門性が高い業種・業界です。

医療業界の内部事情や業務フローなどを理解している弁護士に相談・依頼をすれば、医療法人の経営面を法的視点からバックアップしてくれるでしょう。

3.すでに多くの医療法人と顧問契約をおこなっている

医療法人が顧問契約先の法律事務所を選ぶときには、医療法人との顧問契約実績が豊富な法律事務所を選ぶのがおすすめです。

医療法人関係の法務で求められる業務には専門性・特殊性が求められるので、一般事業会社の顧問契約実績があるだけでは、医療法人に対して適切な法務サービスを提供できるとは限りません。

医療法人との顧問契約実績が豊富なら、医療業界の事情に精通しており、信頼感のある医療法務サービスを期待できるでしょう。

4.Webサイトやポータルサイトで積極的にアピールしている

医療法人が弁護士を選ぶ際は、ホームページや法律系ポータルサイトで医療法務関係の実績を積極的にアピールしている法律事務所をピックアップするといいでしょう。

ホームページやポータルサイトの専用ページを参照すれば、その法律事務所が力を入れている業務内容が明確にわかるからです。

なお、企業法務弁護士ナビでは、さまざまな業界の企業法務に精通した弁護士を多数紹介中です。

法律事務所の所在地、業種、具体的な相談内容、対応体制から条件に合う弁護士を24時間無料で検索できるので、この機会にぜひご活用ください。

医療法人のサポートが得意な法律事務所を選ぶ際の3つのポイント

医療法人が相談・依頼先の法律事務所を選ぶときのポイントや注意事項は、以下の3つです。

  • 自分の希望や条件に合う法律事務所を探す
  • 無料相談を活用して実際に面会してみる
  • 複数の弁護士と会って依頼先を絞り込む

それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。

1.自分の希望や条件に合う法律事務所を探す

医療法人が法律事務所を決めるときには、希望や条件に合う法律事務所を選ぶのが重要です。

そもそも、弁護士によって専門分野・得意領域は異なります。

医療法人に関する業務に力を入れていない法律事務所に相談しても、満足のいくリーガルサービスを期待できません。

また、医療法務のなかにもさまざまな業務がある点にも注意が必要です。

たとえば、医療法人内で起きた労使紛争について相談する弁護士を探しているときに、医療法人関係のM&Aに特化した法律事務所を頼っても、スムーズに労使紛争をできるとは限りません。

医療法人における労使紛争の有利な解決を希望するなら、労働問題の企業側の弁護の実績が豊富な法律事務所が適切です。

医療法人が弁護士を探すときには、ホームページやリーガルサイトで、取り扱い業務や過去の解決実績をチェックしてください。

そのうえで、弁護士に相談・依頼を検討している具体的内容に対応できる法律事務所を選ぶといいでしょう。

2.無料相談を活用して実際に面会してみる

医療法人が法律事務所を選ぶ際は、できるだけ実際に弁護士と面会する機会を設けてください

なぜなら、ホームページなどで一方的に情報を受け取ったり、メールや電話などでコミュニケーションをとったりするだけでは、弁護士との相性をチェックしきれないからです。

直接弁護士と会えば、医療法人が抱えている法律トラブルに関する所感を聴く過程で、話しやすさや人間性、熱意、そしてどれだけ信頼できるかを確認できるでしょう。

ただし、弁護士と直接面会するには、相談料が発生する点に注意が必要です。

法律事務所によって相談料はまちまちですが、おおむね30分あたり5,500円〜11,000円(税込)の相談料が発生します。

実際に依頼するかわからないのに、相談するだけでこれだけの費用が発生することに抵抗感を抱く人も少なくはないでしょう。

そこで、「弁護士に直接面会したいものの、できるだけ費用を抑えたい」と希望するなら、無料法律相談の機会を積極的に活用することを強くおすすめします。

法律事務所のなかには、初回の法律相談無料などのサービスを用意しているところがあるので、このような事務所を選べば、相談コストを節約しながら弁護士との相性をチェックできます。

なお、弁護士と相談するときに確認するべき項目は以下のとおりです。

【弁護士との初回相談時に確認しておくべきポイント】
  • 最初に会ったときの印象の良し悪し
  • 弁護士の経歴、キャリア、過去の業務経験
  • 法律的な問題を説明するときのわかりやすさ、言葉選び
  • 弁護士から提案される内容が具体的かつ現実的か
  • 相談者の問いかけに対して適切に回答してくれるか
  • 相談者にとって不利な内容やリスクについても説明してくれるか
  • 費用体系が明確か

3.複数の弁護士と会って依頼先を絞り込む

医療法人が契約する弁護士を決めるときには、ひとつの法律事務所を決め打ちで選ぶのではなく、契約を締結する前に複数の弁護士と面会することをおすすめします。

「医療法務に詳しい弁護士なら誰に依頼しても同じではないのか?」と思われる人も少なくはないでしょう。

しかし、弁護士によってキャリア・経験・人柄などは異なる以上、複数の弁護士と実際に会って見比べたほうが、相性のいい専門家を見つけやすいのです。

医療法人として契約する弁護士を絞り込むときは、以下のようなポイントをチェックしましょう。

【自分に合った法律事務所を絞り込むときのポイント】
  • 弁護士側から提案された弁護方針やビジョンに共感できるか
  • 費用感に納得できるか
  • 人間的に相性がいいと感じるか、信頼できるか など

医療法人が法律事務所に相談してから実際に契約するまでの大まかな流れ

医療法人が法律事務所との間で契約を締結するまでの流れは、以下のとおりです。

  1. 候補の法律事務所を探して予約を取る
  2. 予約当日になったら弁護士と相談をする
  3. 依頼する場合は弁護士と委任契約を締結する
  4. 事件に着手してもらったり、サポートしてもらったりする

それぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。

1.候補の法律事務所を探して予約を取る

まずは、面談してみたいと感じる法律事務所に直接連絡をして、相談日の予約をしてください。

法律事務所によって面談の予約方法はさまざまです。

たとえば、電話でしか予約できない事務所もあれば、メールやLINE、問い合わせフォームなどを用意して24時間予約受付してくれるところもあります。

予約方法や予約時間帯については、各法律事務所のホームページなどを確認しましょう。

2.予約当日になったら弁護士と相談をする

予約日がきたら、法律事務所に訪問して弁護士と直接面談をしてください。

医療法人として弁護士と面談するときには、以下のポイントに留意をしましょう。

  • 相談時間内に効率的にコミュニケーションを図るために相談したい内容を事前にメモするなどしてまとめておく
  • 相談内容に関係しそうな証拠や書類(定款、就業規則、組織図、契約書、訴状など)を持参する
  • 経営者だけではなく相談内容に詳しい担当者を同席させる など

3.依頼する場合は弁護士と委任契約を締結する

面談を経た結果、その弁護士に任せたいと判断したら、弁護士との間で委任契約を締結します。

契約前には、社内の法務担当が委任契約書の内容を確認し、必要に応じて法律事務所側と調整を行いましょう。

なお、一般的な弁護士の委任契約書には、以下の事項が記載されることが多いです。

  • 委任契約の目的、委任する業務内容、契約期間
  • 弁護士の氏名・住所
  • 依頼者の氏名・住所
  • 弁護士報酬に関する事項(着手金・報酬金・実費などの計算方法、支払い時期、支払い方法)
  • 損害賠償責任に関する事項
  • 委任契約の解除・解約に関する事項
  • 弁護士が負担する報告義務に関する事項
  • 弁護士が負担する秘密保持義務に関する事項
  • 弁護士との間で紛争が生じたときの管轄に関する事項
  • その他、弁護士との間で特に合意をした内容

委任契約書の内容に問題がなければ、医療法人の代表者が署名・捺印をして契約を交わしましょう。

4.事件に着手してもらったり、サポートしてもらったりする

委任契約を締結したあとは、弁護士が業務を開始します。

たとえば、医療法人が雇用している従業員との間で労使紛争が発生している場合には、相手方との間で示談交渉を進めたり、労働審判の手続きに対応してくれたりします。

また、医療法人内で支配権の争いが生じているケースでは、社員総会で過半数の議決権を確保するために社員との間でコミュニケーションをとって調整を図ったり、問題がある役員の法的責任を追求する準備をしてくれたりするでしょう。

なお、弁護士には委任契約に基づく報告義務が課されています。

業務の進捗状況を確認したくなったり、弁護士の業務内容に問題があると感じたりしたときには、速やかに弁護士に連絡をして報告を受けるようにしてください。

医療法人が法律事務所と契約する際はスポット契約と顧問契約のどちらがよい?

医療法人が法律事務所と契約するときには、スポット契約と顧問契約のどちらかの契約類型を選択できます。

弁護士へに依頼を検討中している方のなかには、どちらで依頼すべきか迷っている方もいるでしょう。

ここでは、スポット契約と顧問契約それぞれの内容やメリット・デメリットについて見ていきましょう。

1.スポット契約|月額料金は発生しないが、トラブルごとに依頼する必要がある

スポット契約とは、法的トラブルに直面したときに弁護士にその対応を任せるための契約類型のことです。

スポット契約を締結する場合、一般的には以下の流れを経ることが多いです。

  1. 法律問題が発生する
  2. 弁護士に相談してスポット契約を締結する
  3. 弁護士が紛争解決に向けて業務をおこなう
  4. 紛争が解決して弁護士との間の委任契約が終了する

スポット契約のメリット・デメリットは以下のとおりです。

スポット契約のメリット

・紛争発生時にピンポイントで弁護士に力を借りることができる
・紛争発生時以外には弁護士費用を負担する必要がない
・紛争の内容ごとに最適な弁護士を選ぶことができる

スポット契約のデメリット

・スポット契約を締結するたびに着手金・報酬金などの費用負担が発生する
・結果として、毎月顧問料を支払うよりも高額の弁護士費用を負担しなければいけなくなるリスクが生じる
・紛争発生時に毎回法律相談からスタートする必要があるので、初期対応に遅れが生じる危険性がある
・紛争が発生するたびに信頼できる弁護士と出会えるとは限らない

2.顧問契約|月額料金は発生するが、トラブル発生時に迅速な対応が期待できる

顧問契約とは、毎月一定額の顧問料を支払う代わりに普段から弁護士によるリーガルサービスを受けられる契約類型のことです。

顧問契約のメリット・デメリットとして、以下のものが挙げられます。

顧問契約のメリット

・電話やメールでいつでも弁護士にアクセスできる
・一般相談に比べて顧問案件は優先されるので、弁護士によるスピーディーな対応を期待できる
・紛争発生時だけではなく、日常的な契約書のチェックや法人の内部体制の管理なども任せることができる
・弁護士に相談する機会が多い場合、トータルでの費用負担を節約できる
・継続的に関係性を構築できるので、弁護士の判断に対する信頼感が高まる

顧問契約のデメリット

・毎月一定額の顧問料を負担しなければいけない
・弁護士に相談する機会が少ないと、顧問料の払い損が生じる

スポット契約と顧問契約のどちらがいい?

スポット契約と顧問契約のどちらがいいかは医療法人の業務実態次第です。

たとえば、すでに医療法人の安定的な経営体制が確立されており、法人内に優秀な人材がそろった法務部門を構えている状況なら、あえて外部の法律事務所との間で顧問契約を締結する必要性は低いでしょう。

日常的な契約書チェックや労務管理体制の構築などの業務は法人内で処理をしたうえで、法律トラブルが顕在化したタイミングでスポット契約を締結すれば足りるはずです。

一方、医療法人を立ち上げたばかりの場合や、法人内の体制を抜本的に見直す必要がある場合、リーガル部門を外注して医療法人のスリム化を目指している場合などでは、信頼できる法律事務所との間で顧問契約を締結してしまったほうがスムーズです。

また、最初はスポット契約を締結して法的トラブルの対応を任せた結果、その弁護士を信頼できると判断して、スポット契約終了後や契約途中で顧問契約に切り替えるなどの柔軟な対応も可能です。

スポット契約と顧問契約のどちらを締結するべきか迷ったときにも、依頼を検討している法律事務所まで直接相談してください。

医療法人の現状やリーガルリスクを測定したうえで、どちらの契約のほうが依頼者のニーズを満たしやすいかを判断してくれるでしょう。

さいごに|医療法人の法的リスクを減らすなら法律事務所選びが重要!

医療法人の業務内容は多岐にわたるので、さまざまな法的トラブルに巻き込まれるリスクがあります。

ただし、医療法務に精通した法律事務所は限られている点に注意が必要です。

医療法務は高度かつ特殊性の高いスキルが要求されるので、弁護士選びは慎重でなければいけません。

企業法務弁護士ナビでは、医療業界を得意とする法律事務所を多数紹介中です。

法的トラブルが顕在化したときだけではなく、安定的な経営体制の構築を目指す状況でも弁護士によるリーガルサービスは役立つので、この機会にぜひ信頼できる弁護士までお問い合わせください。

企業法務の解決実績が豊富な
弁護士に問い合わせる
弁護士 畑田 正彦(公智法律事務所)
東京都千代田区有楽町1-7-1有楽町電気ビル南館4階
【法律と税務の両面からビジネスをサポート】豊富な経験を活かしリスク予防から緊急のトラブル対応までトータルサポート◎法的観点だけでなく、税務の観点も踏まえたアドバイスの提供が可能【顧問契約も歓迎
中野法律事務所
埼玉県さいたま市大宮区桜木町1-398-1アドグレイス大宮7階
初回相談30分無料◎ベンチャー企業創業期の会社を中心に、リーガルチェック/企業間トラブル/労務人事を筆頭とした様々な法務問題を迅速解決/業界問わず!システム、IT業界の経験豊富【顧問契約歓迎◎
弁護士 飯塚 遥祐(Kollectパートナーズ法律事務所)
東京都渋谷区代々木1-47-9ザ・パークレックス代々木2階
全国対応可能|幅広い業種で法務の経験あり】リスクマネジメントからトラブル対応、契約書作成、労務対応、M&A支援まで幅広くサポート!税理士などの他士業連携で包括的にサポート可能◎当日面談も可能!
貴社の課題解決に最適な
弁護士とマッチングできます
契約書の作成・レビュー、機密性の高いコンフィデンシャル案件、M&A/事業承継など、経営者同士でも話せない案件も、
企業法務弁護士ナビでは完全非公開で相談可能です。貴社の課題に最適解を持つ弁護士、最大5名とマッチングできます。
弁護士の方はこちら