SHARE

国際取引で発生する費用|負担範囲や税金の支払いについて

2019.3.8
国際取引では、海外への輸出入の手続きに伴い、商品の売買以外にも費用が発生します。この記事では、国際取引で発生する費用の負担範囲や、税金の支払いについてご紹介します。
国際取引で発生する費用|負担範囲や税金の支払いについてというタイトルの記事のサムネイル画像

国際取引では、海外への輸出入の手続きに伴い、商品の売買以外にも費用が発生します。

事前にそのことを把握していないと、想定外の出費で取引が費用倒れになるケースもあります。事前にどのような費用が必要になるか確認しておくべきでしょう。

この記事では、国際取引で発生する費用やその負担範囲、税金の支払いなどをご紹介します。今後、海外企業との取引を検討している場合は、参考にしてみてください。

国際取引で必要になる費用

国際取引で必要になる費用の種類は多岐に渡りますが、代表例としては以下の2点が挙げられます。

  • 運搬費用
  • 保険費用

海外企業と物品の取引をする場合、船や飛行機での運搬が必要になるため、運搬費用が発生します。国内の運搬と比べて費用が高額になるので、費用倒れにならないよう注意しましょう。

また、国境をまたぐ長期間の運搬では、事故や時間経過の影響で商品に悪影響が及ぶリスクが高まります。そのため、運送中の商品を保障する保険への加入などの費用も事前に把握しておくべきでしょう。

費用負担の範囲は貿易条件で決まる

運搬費用と保険費用、買い手と売り手のどちらがどれくらい負担するかは、どの貿易条件(Incoterms)で取引の契約を結ぶかで決定します。

海外との貿易でよく用いられる代表的な貿易条件は、以下の3点です。

  • FOB
  • CIF
  • CFR

FOB

FOB(本船渡条件)とは、輸入側が指定した船舶上で貨物を引き渡すことを条件とした契約です。

例えば、日本が輸出側で中国が輸入側である場合、中国へ運搬する船に商品を渡すまでの費用が日本の負担で、船に商品を渡した後の費用は中国の負担となります。

CIF

CIF(運賃・保険料込条件)とは、輸出側が輸入側の貨物の送付先となる港までの費用を負担することを条件とした契約です。

例えば、日本が輸出側で中国が輸入側である場合、中国へ運搬する船が中国の港につくまでの費用が日本の負担で、中国の港に到着した後の費用は中国の負担となります。

CFR

CFR(運賃込条件)とは、輸出側が輸入側の貨物の送付先となる港までの運搬費用を負担することを条件とした契約です。

CIFとの違いは、保険料の負担範囲です。CIFは輸入側の国の港まで運搬費用と保険費用の両方の負担になりますが、CFRの場合は運搬費用だけの負担で、保険費用の負担は運搬する船に商品を渡すまでとなります。

国際取引の際の税金について

税金の有無や金額は、各国の政治体制によって異なります。そのため、国際取引での税金の支払いについて疑問をもつ人も多いでしょう。

ここでは、以下2つの税金の支払いについて解説していきます。

  • 消費税
  • 源泉徴収

消費税

国際取引での輸出には、消費税はかかりません。日本の消費税は日本での消費が課税対象だからです。

輸出の場合には、海外で日本の輸出品が消費されるので、日本では課税しない決まりになっています。これを『輸出免税』といいます。

そして、国際取引で輸入側の場合には、日本で輸入品が消費されるので、消費税の課税対象です。なお、輸入時に国に直接支払うことになるので、税金の申請時にその分の消費税は控除することが可能です。

源泉徴収

海外取引では、取引相手が以下のいずれかに該当する場合、支払いをする側に源泉徴収の義務が生じます。

プラント輸出の契約内容

非移住者

日本に1年以上の居所を持っていない人

外国法人

日本で登記をしていて、登記上の本店が日本にある会社を除いた会社

源泉徴収を支払うのは輸入側ですが、源泉徴収を負担するのは輸出側になります。国際取引の決済では、輸入側が源泉徴収を差し引いた請求額を輸出側に支払うケースが一般的です。

為替の変動には要注意

国際取引の支払いを他国の通貨で行う場合、為替の変動を考慮して取引に臨む必要があります。取引への利益に対する影響が非常に大きい要素だからです。

最後に、為替変動の注意事項とその対策をご紹介します。

売買の利益がなくなる可能性もある

外国為替の相場は日々変動するため、日本円の価値が安いタイミングでの取引になってしまうと、利益が大幅に減少することになります。

例えば、1ドル120円と1ドル100円の為替相場での取引では、利益に大きな差額が生じるでしょう。海外取引をする際には、このような為替変動のリスクに対して備えておく必要があります。

為替予約が対策として有効

為替予約とは、事前に決めた為替の相場で外国通貨を交換できる契約のことです。この契約によって、為替の急変動によって利益を損なうリスクを回避することができます。

国際取引でのリスクヘッジにおいて有効な手段ですので、国際取引をする際には、金融機関に相談をしてみましょう。

まとめ

国際取引に必要な費用は、主に運搬費用と保険費用です。これらの費用の負担範囲は、契約時に決定する貿易条件によって変わります。

国際取引は費用の計算だけでなく、その手続きも非常に複雑です。専門知識がないと完璧に手続きをこなすことは困難ですので、弁護士や税理士などの専門家のアドバイスを受けつつ万全の体制で臨みましょう。

国際取引の解決実績が豊富な
弁護士に問い合わせる
弁護士 澤田 剛司(弁護士法人若井綜合法律事務所)
東京都港区西新橋1丁目18-11ル・グラシエルBLDG.16 7階
初回相談無料スピーディーな対応に自信あり!早期解決を目指して、迅速に動きます。契約書のチェック・作成はお気軽にご相談を◎顧問契約に関するご相談も歓迎しています。【顧問契約月5.5万円〜
WEBで問い合わせる
24時間受信中
電話で問い合わせる
電話番号を表示
弁護士 飛渡 貴之(弁護士法人キャストグローバル)
東京都港区虎ノ門3丁目4-10 虎ノ門35森ビル1階
不動産・建築/知的財産】でお困りの方は当事務所にお任せください。元事業会社勤務(現上場企業)、会社経営をしている弁護士が「知財法務を経営に生かし経営判断における最良のパートナー」として貴社の成長のために伴走いたします。【司法書士土地家屋調査士】資格も保有。不動産関連にも対応
【広告に関するご相談なら】杉本法律事務所
群馬県高崎市栄町3−11高崎バナーズビル 5F(4F受付)
広告法務×労務問題×規約整備契約書・LP・バナー・動画台本など、広告に関するご相談多数!現実的な代替案のご提案とスピード対応を心がけます【初回相談0円|オンライン・全国対応】
編集部

本記事は企業法務弁護士ナビを運営する株式会社アシロ編集部が企画・執筆いたしました。

※企業法務弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。

本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

貴社の課題解決に最適な
弁護士とマッチングできます
契約書の作成・レビュー、機密性の高いコンフィデンシャル案件、M&A/事業承継など、経営者同士でも話せない案件も、
企業法務弁護士ナビでは完全非公開で相談可能です。貴社の課題に最適解を持つ弁護士、最大5名とマッチングできます。
弁護士の方はこちら