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弁護士監修記事
人事・労務

高齢者に関する知っておきたい法律3選

2018.9.26
高齢化は日本社会の「アキレス腱」といわれるほど、深刻な問題。高齢者とどう接し、関わっていくのか、そして歳をとった自分がどう生活していくのかを考える上で、知っておかなければならない法律があります。今回はそんな高齢者に関する法律を紹介します。
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弁護士法人プラム綜合法律事務所
弁護士 梅澤 康二
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 高齢化は日本社会の「アキレス腱」といわれるほど、深刻な問題。歳を重ねた人が増える中で、社会全体が高齢者を「どのようにケアしていくのか」という課題を突きつけられています。

高齢者とどう接し、関わっていくのか、そして歳をとった自分がどう生活していくのかを考える上で、知っておかなければならない法律があります。

今回はそんな高齢者に関する法律を紹介します。  

老人福祉法

老人福祉法は、法律上「老人」とされる人の定義や、待遇などについて、基本的な考え方が定められている法律です。
第一条には、目的として、以下のようにうたわれています。  

老人の福祉に関する原理を明らかにするとともに、老人に対し、その心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じ、もつて老人の福祉を図ることを目的とする。

さまざまな規定があるなかで、最も多くの人が関わることになると思われるのが、老人ホーム・介護施設に関する規定です。 第二十九条から、設置を届け出る際の規定や条件などがこと細かに規定されています。  

有料老人ホーム(老人を入居させ、入浴、排せつ若しくは食事の介護、食事の提供又はその他の日常生活上必要な便宜であつて厚生労働省令で定めるもの(以下「介護等」という。)の供与(他に委託して供与をする場合及び将来において供与をすることを約する場合を含む。)をする事業を行う施設であつて、老人福祉施設、認知症対応型老人共同生活援助事業を行う住居その他厚生労働省令で定める施設でないものをいう。以下同じ。)を設置しようとする者は、あらかじめ、その施設を設置しようとする地の都道府県知事に、次の各号に掲げる事項を届け出なければならない。
一 施設の名称及び設置予定地
二 設置しようとする者の氏名及び住所又は名称及び所在地
三 条例、定款その他の基本約款
四 事業開始の予定年月日
五 施設の管理者の氏名及び住所
六 施設において供与される介護等の内容
七 その他厚生労働省令で定める事項
引用:老人福祉法

届け出をしていない介護施設や、規定されている条件を満たしていない場合は、老人福祉法違反となり処罰されます。介護事業を始める際には、絶対に知っておかねばなりません。  

高齢者住まい法

正式名称は「高齢者の居住の安定確保に関する法律」。その名のとおり、高齢者の居住の安定的な確保を図り、もってその福祉の増進に寄与することを目的とした法律です。

高齢者が安心して生活することができる住まいづくりを推進する狙いがあり、この法律によって介護・医療と連携した『サービス付き高齢者向け住宅』が提供できるようになりました。

サービス付き高齢者向け住宅とは、バリアフリーや広さ・設備の充実と、専門家による安否確認・生活相談サービスを提供する住宅。高齢者の孤独死などを防ぐ効果があることから、昨今需要が高まっています。

高齢者住まい法には、サービス付き高齢者向け住宅の概要や定義が盛り込まれており、設置を考えている事業者は、これに準拠した施設を整備することが求められます。  

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律

高齢者の雇用に関する法律です。第一条に、目的として、以下のように謳われています。  

この法律は、定年の引上げ、継続雇用制度の導入等による高年齢者の安定した雇用の確保の促進、高年齢者等の再就職の促進、定年退職者その他の高年齢退職者に対する就業の機会の確保等の措置を総合的に講じ、もつて高年齢者等の職業の安定その他福祉の増進を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与することを目的とする。
引用:高齢者等の雇用の安定等に関する法律

見てのとおり、高齢者の雇用について定められた法律で、事業主の高齢者に対する処遇や、職業安定の方針などが盛り込まれています。 特に多くの人が関係してくるのが、定年に関する規定。第八条に、以下のように定められています。

第八条 事業主がその雇用する労働者の定年(以下単に「定年」という。)の定めをする場合には、当該定年は、六十歳を下回ることができない。ただし、当該事業主が雇用する労働者のうち、高年齢者が従事することが困難であると認められる業務として厚生労働省令で定める業務に従事している労働者については、この限りでない。
引用:高年齢者等の雇用の安定等に関する法律

つまり、定年は60歳を下回っていけないとことになります。そして65歳未満とする場合は、第九条に以下のようにしなければならないと定められています。  

第九条 定年(六十五歳未満のものに限る。以下この条において同じ。)の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の六十五歳までの安定した雇用を確保するため、次の各号に掲げる措置(以下「高年齢者雇用確保措置」という。)のいずれかを講じなければならない。
一 当該定年の引上げ
二 継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。以下同じ。)の導入
三 当該定年の定めの廃止
引用:高年齢者等の雇用の安定等に関する法律

このように、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律は、高齢者がより長く働くことができるよう配慮された法律です。  

まとめ

高齢者に関するさまざまな法律を紹介しました。超高齢化社会が進む中で、あらゆる形で高齢者の社会参加を促し、また保護しようとする日本政府の方針を垣間見ることができますね。  

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梅澤 康二
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事は企業法務弁護士ナビを運営する株式会社アシロ編集部が企画・執筆いたしました。

※企業法務弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。

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