社員が音信不通に|連絡を絶つ理由と対処法・退職させる方法

専門家監修記事
社員が音信不通になるのには、いくつかのパターンがあります。理由や動機がはっきりしないまま解雇してしまうのは、トラブルになる可能性があるため、危険です。この記事では、「社員が音信不通になる理由」と「音信不通の社員を退職させる方法」を解説しています。
阪神総合法律事務所
曾波 重之
監修記事
人事・労務

会社を経営していれば、社員が突然出勤しなくなったり、音信不通になったりすることもあるでしょう。しかし、そうなったときの正しい対処法がわからず、ただ困ってしまう人もいるのではないでしょうか?

 

音信不通が続き、もうどうしようもない場合には、「解雇・退職」を検討しますが、必要な手順を踏まずに解雇してしまうのは危険です。例えば、音信不通になった理由がはっきりしないまま解雇してしまうと、後に理由がわかったときに不当解雇として訴えられてしまうかもしれません。

 

この記事では、「社員が音信不通になる理由」、「音信不通になった社員を退職させる方法」などをご紹介します。

 

社員が音信不通になってしまった経営者の方はもちろん、現在会社と連絡を断っている従業員の方も一度読んでみてください。

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社員が音信不通になる理由

そもそも、社員はどうして音信不通になってしまうのでしょうか?音信不通になる理由は人それぞれ。代表的な理由を一つひとつ確認していきましょう。

 

単純に会社に行きたくないから

音信不通になる理由としてはこれが一番多いのではないのでしょうか。

 

  • 入社してみたが実態がイメージと違った
  • 退職を告げる勇気がない
  • 退職を受け入れてもらえなかった
  • 今すぐにでも退職したい
  • 退職日まで勤務するのが嫌

 

このパターンは、「入社して間もなく音信不通になる」傾向にあります。

 

連絡は比較的取れるようになりやすいのが特徴ですが、本人の後ろめたさも相まって、そのまま退職となる可能性が高いです。

 

会社に対して不満があるから

会社に対して不満があり、音信を断つことで「嫌がらせをしたい」もしくは「会社の現状を変えたい」と考えているパターンです。

 

嫌がらせが目的の場合

嫌がらせが目的の場合、「退職することになっても構わない」という意思のもと音信不通になるので、そのまま退職になってしまう可能性が高いでしょう。

 

  • 職場環境に問題はなかったか
  • 仕事の量に明らかな偏りがなかったか
  • セクハラ・パワハラなどはなかったか

 

など、原因は何だったのか、会社としても体制を見直してみる必要がありそうです。

 

「会社の現状を変えたい」と考えている場合

会社内でも比較的重要なポジションであったり、業務が集中するようなポジションにいたりする人が、このような行動に走ることがあります。

 

音信不通になる理由の根底にあるのは、「現状を変えたい」という気持ちです。こちらが何度も連絡をしたり、「聞く姿勢」を見せたりすることで連絡がつくようになり、職場復帰してくれる可能性もあります。

 

自宅で死亡しているから

心疾患による急死や、自殺などの可能性も考えられます。

 

自殺の場合は兆候が見られるかもしれませんが、急死の場合は兆候なく音信不通になるので、会社としても戸惑ってしまうかもしれません。

 

念のため家族に連絡したり、自宅を訪問してみたりしたほうがいいでしょう。

 

逮捕されているから

社員が逮捕されてしまった場合、本人と連絡を取るのが困難になります。

 

  1. 本人の家族と連絡を取ることで逮捕の事実が発覚する
  2. 弁護士から会社に連絡が来る
  3. 身元引受人として上司が指定され、警察署から連絡が来る

 

など

 

社員が逮捕されたという事実を知るにはいくつかの方法がありますが、本人と直接連絡を取るのは難しいです。

 

逮捕が疑われる場合には、社員の家族に連絡を取るくらいしかできることはないかもしれません。

 

体調を崩している・入院をしているから

うつ病などの精神疾患で連絡を取るのが難しい状態になっている、もしくは事故や病気で入院してしまい、連絡を取ることが難しくなっているパターンです。

 

こちらも逮捕の場合と同様、本人と連絡を取るのが難しい状態なので、自宅を訪問したり、社員の家族に連絡を取ったりするくらいしかできることはないでしょう。

 

無断欠勤している社員を退職させるのは簡単ではない

音信不通になり、無断欠勤が続けば、会社としては「解雇」や「自己都合の退職」などの手続きを検討すると思います。

 

しかし、音信不通になった理由もよくわからないまま、処分だけを下すのは非常に危険です。

 

なぜなら、「やむを得ず連絡もできず、出勤もできない状況」に置かれている可能性もあるからです。

 

例えば、解雇させてしまった後で、本人から連絡があり、出勤できる状態になった場合、「不当解雇」で訴訟を起こされる可能性もあります。

 

会社を辞めてもらう場合には、きちんとした手順を踏む必要があります。

 

音信不通になった社員に会社を辞めてもらう方法

音信不通になった社員をいつまでも放置しているわけにはいかない、というのが会社の本音でしょう。こちらでは、「音信不通になった社員に対し、会社を辞めてもらうための正しい手順」を紹介します。

 

①就業規則に則り退職してもらう

まずは、会社の就業規則を確認してみましょう。

 

  • 「○○日以上無断欠勤が続いた場合、退職とする」
  • 「行方不明となり、〇ヶ月以上連絡がつかない場合、退職とする」

 

など

 

就業規則にはたいてい、「退職・解雇の条件について」記載されています。しかし、条件を満たしたからといってすぐ退職扱いにするのではなく、会社としてできる限りの手を尽くし、それでも連絡がつかず、どうにもならなかった場合に、退職扱いとしましょう。

 

  • 定期的に連絡(電話・メール)をする
  • 自宅を訪問する
  • 家族(緊急連絡先)に連絡を取る
  • 内容証明郵便を送る

 

上記以外にも、できることがあれば思いつく限り実践しましょう。また、電話や訪問については、その日時や架電者、訪問者を記録しておきましょう。

 

どんな理由で音信不通になっているのかわからない状態のまま、就業規則に当てはめて退職扱いにしてしまうのはリスクがあるからです。

 

②内容証明郵便・公示送達を用いて解雇する

こちらは、書面を用いて社員を解雇する方法です。

 

「〇年〇月〇日までに連絡をいただけなかった場合、懲戒解雇といたします」

 

音信不通となった社員に対し、上記のような郵便を送ったとします。それだけで返信が来るなら困りませんが、後々になって、「そんな手紙届いていない、読んでいない」と言われ、トラブルになる可能性もあります。

 

そこで重要なのが、「内容証明郵便」「公示送達」です。

 

内容証明郵便

該当する社員とその家族が同居している場合には、内容証明郵便を家族が受け取った時点で、郵便を受け取り、読んだのと同様の効力を持ちます。

 

配達証明のオプションをつけることにより、郵便を受け取ったことを示す証拠も手元に残ります。

 

しかし、同居の家族に内容証明郵便を届けることができない場合には効力を発揮しないため、下記で説明する「公示送達」を行う必要があります。

 

公示送達

公示送達とは、「相手方がどこにいるのかわからないなどの場合に、文書を掲載することによって、法的に文書が送達されたとみなす手続き」のことです。

 

行方や消息が不明で、連絡を取るのが難しい相手に対し、こちらが連絡を行ったことを法的に証明するための手続きです。

 

社員が住んでいる(いた)であろう住所を管轄する簡易裁判所でこの制度を利用すると、本人に実際に意思表示が届いたかどうかに関係なく、会社の意思表示がなされたと認められます。

 

つまり、公示送達を行うと、「解雇通知書を受け取ったが、それでも返信をしていない」という状態になるので、懲戒解雇手続きを行ってもそれが適切であると主張できるでしょう。

 

公示送達の制度を利用する場合、社員の住民票や、社員の住所の現地調査をした際の調査報告書を要求される場合が多いです。

 

内容証明郵便よりも手続きが煩雑となるので、まずは内容証明郵便を発送し、内容証明郵便が届かない場合に、公示送達の手続きをするほうがよいでしょう。

 

裏技:探偵を使って社員の所在を調査

理由があって、「本人にどうしても会いたい」「本人の所在を知りたい」という方は「探偵」を使って本人の所在を調べることができます。

 

探偵というとピンとこない方も多いかと思いますが、探偵とは「興信所」のことです。

 

「人探し調査」は探偵が行う調査の中では定番のもので、本名や住所、電話番号などの個人情報がわかっている状態だと、発見できる可能性が高いです。

 

ほとんどの探偵事務所が無料相談を受け付けています。気になる人は相談してみてはいかがでしょうか。

 

【おすすめ:人探しの窓口

まとめ

社員が音信不通になってしまう理由としては、「仕事が嫌になってしまった」というパターンが一般的ですが、「死亡」「逮捕」「病気」など、連絡を取りたくても取れない状態に陥っている可能性もあります。

 

音信不通になってしまった理由がどうであれ、会社は、本人と連絡を取るべく、ベストを尽くしていくべきでしょう。トラブルを回避するためだけでなく、本人のためでもあります。

 

それでも連絡がつかなかった場合には、就業規則に照らし合わせて退職の手続きを行ったり、公示送達を用いて懲戒解雇の手続きを行ったりすることになります。

 

一連の手続きを自力で行うのは難しいと感じた場合には、弁護士に相談しましょう。助言をくれたり、あなたの代わりに手続きを行ったりしてくれます。

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