変形労働時間制だった場合の残業代はどう計算する?

専門家執筆記事
「変形労働時間制」という言葉をご存知でしょうか。言葉は何となく聞いたことがあっても、どんな制度なのかを正確に知っている方は、あまり多くないものと思います。本記事では、この変形労働時間制における、残業代計算の方法について解説します。
Ad Libitum(フリーランス人事)
松永 大輝
執筆記事
人事・労務

変形労働時間制」という言葉をご存知でしょうか。言葉は何となく聞いたことがあっても、どんな制度なのかを正確に知っている方は、労務など労働法の実務に携わっている担当者の方でもあまり多くないものと思います。

本記事では、この変形労働時間制における、残業代計算の方法について解説します。

変形労働時間制とは

残業代計算の方法を知る前に、そもそも変形労働時間制とはどのような制度なのかを確認しておきましょう。

変形労働時間制とは、簡単に言えば「週・月・年単位で労働時間を調整する制度」です。少し難しいですが、労働基準法では以下3つの変形労働時間制を導入することが認められています。

  • 1ヶ月単位の変形労働時間制
    →1ヶ月間を平均して週の労働時間が40時間以内になるように調整
  • 1年単位の変形労働時間制
    →1年間を平均して週の労働時間が40時間以内になるように調整
  • 1週間単位の変形労働時間制(※特定の業種のみ導入可能)
    →1週間の合計の労働時間が40時間以内になるよう調整

要するに変形労働時間制とは、ある期間(1ヶ月間・1年間・1週間)の労働時間を平均して週40時間になるのであれば、残業代の支給が不要になる制度、ということがいえます。

変形労働時間制における残業代計算の考え方

では、変形労働時間制ではどのような場合に残業代が発生するのでしょうか。ここでは、よく導入されている1ヶ月単位、1年単位のケースについて、それぞれ解説します。

1ヶ月単位の変形労働時間制の場合

1日単位、1週間単位、1ヶ月単位で、それぞれ残業代が発生するかどうかを計算することになります。

1日単位

  • 8時間を超える所定労働時間を定めた日は、その超えた分の時間
  • それ以外の日は、法定労働時間である8時間を超えて働いた時間

1週間単位

  • 40時間を超える所定労働時間を定めた週は、その超えた分の時間
  • それ以外の週は、法定労働時間である40時間を超えて働いた時間
    ※1日単位ですでに残業にカウントされた時間を除く

なお、変形労働時間制の対象期間の法定労働時間の総枠を超えて労働した時間は「時間外労働」にあたります(上記2つで残業とカウントした時間を除く)。

1年単位の変形労働時間制の場合

1日単位、1週間単位、1年単位で、それぞれ残業代が発生するかどうかを計算することになります。

1日単位

  • 8時間を超える所定労働時間を定めた日は、その超えた分の時間
  • それ以外の日は、法定労働時間である8時間を超えて働いた時間

1週間単位

  • 40時間を超える所定労働時間を定めた週は、その超えた分の時間
  • それ以外の週は、法定労働時間である40時間を超えて働いた時間
    ※1日単位ですでに残業にカウントされた時間を除く

ここまでは上記の1ヶ月単位のケースと同じです。

全ての期間(1年なら1年間)

  • 週の所定労働時間である40時間に期間内の週の数を乗じた時間を超えた時間(上記2つで残業とカウントした時間を除く)

このように、変形労働時間制における残業代計算は非常に複雑なので、計算式や考え方を間違えている企業も多いです。計算方法に迷った場合は、専門家に相談することをおすすめします。

給与計算・確定申告のコストを削減できます!【PR】

新しく専用の方を雇用する手間も、会計士に依頼するコストもゼロに!

給与計算が初心者でも簡単!

 

まずは無料でお試しする 

 

人事・労務の解決実績が豊富な
無料相談できる弁護士一覧
船井法律事務所
東京都渋谷区渋谷2丁目24番12号渋谷スクランブルスクエア39階
渋谷駅直結◆アクセス至良◆】契約書作成、取引先や従業員とのトラブル対応、知的財産権の保護など◎経営者のブレインとして、法的側面から事業をサポートします。【初回相談無料【顧問先は24時間365日対応】
弁護士佐々木公明(桜田通り総合法律事務所)
東京都港区虎ノ門2-10-1虎ノ門ツインビルディング 東棟17階
上場企業の社外役員経験20年以上】【弁護士経験29年以上】【顧問契約可能豊富な経験に基づいて幅広い分野を取り扱っています契約書の作成・チェック企業側に立った労働法務の対応に注力しています。示談交渉や訴訟など紛争処理案件にも対応します。
弁護士 春山 和紀
埼玉県さいたま市大宮区桜木町1-8-2NMビル6階
迅速かつ丁寧に対応契約書の作成・チェック債権回収インターネット問題労務問題など企業経営のお悩みに幅広く対応◆個人事業主中小企業を中心に様々な企業からご相談いただいております【顧問契約◎
貴社の課題解決に最適な
弁護士とマッチングできます
契約書の作成・レビュー、機密性の高いコンフィデンシャル案件、M&A/事業承継など、経営者同士でも話せない案件も、
企業法務弁護士ナビでは完全非公開で相談可能です。貴社の課題に最適解を持つ弁護士、最大5名とマッチングできます。
弁護士の方はこちら