
未収金と売掛金は、混同されやすい勘定科目の一つです。
ともに「資産であり金銭債権に該当する勘定科目」という点では共通しているため、未収金と売掛金の判別を誤ったとしても、税務的に大きな問題が生じることはありません。
ただし金融機関から融資を受ける場合などは、判別を誤ることで決算書評価に悪影響を及ぼす可能性があるため、未収金と売掛金の違いについて知っておいた方が良いでしょう。なお、それぞれについては時効が定められており、時効が成立する前に回収対応を進める必要があります。
この記事では、未収金と売掛金の違いや回収方法、時効などについて解説します。
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未収金と売掛金の違い
ここでは、未収金と売掛金の違いについて解説します。
未収金の定義
未収金とは、メインではない取引によって発生した金銭債権を指します(財務諸表での正式表示は未収入金)。
例として、コンサルティング会社が不要になった業務用パソコンを売却し、後日代金を受け取る場合は未収金として扱います。
売掛金の定義
売掛金とは、メインで行っている営業活動によって発生した金銭債権を指します。
例として、コンサルティング会社がコンサルを行い、後日代金を受け取る場合は売掛金として扱います。
なお例外的に、「未収家賃収入(不動産賃貸業)」や「完成工事未収金(建設業)」など、メインで行っている営業活動で発生した金銭債権であるにもかかわらず、売掛金以外の名称が用いられる業種もあります。ただし、あくまでも名称が異なるだけであり、実質的には売掛金と同じです。
計上時の対応
未収金と売掛金は、ともに金銭債権に該当する勘定科目ではありますが、それぞれ計上時の対応が異なります。
未収金については、回収までの期間が決算日から1年以内であれば流動資産、1年を超えるのであれば固定資産として計上します。一方売掛金については、回収期間に関係なく流動資産として計上します。
未収金と売掛金の回収方法
未収金と売掛金の回収方法は、相手方に対して回収手続きを行う任意的手段と、裁判所を介して回収手続きを行う法的手段に大きく分類されます。ここでは、未収金と売掛金の回収方法を解説します。
任意的手段による回収
任意的手段による回収としては、主に以下の方法があります。
- 内容証明郵便
- 任意交渉
- 相殺
- 商品引き上げ
- 債権譲渡
内容証明郵便
返済金額や返済期限などについて記載した書類を作成し、内容証明郵便にて通知することで回収を行う手段です。内容証明郵便とは、提出日や記載内容などを日本郵便が証明する制度です。
なお作成にあたっては、以下の規定に則って行う必要があります。
- 作成通数…3通(提出用・郵便局保管用・自社用)
- 印鑑…実印以外も可能。書類が2枚以上になる場合は、綴目に契印が必要
- 文字数(縦書きで作成する場合)…1行20字以内・1枚26行以内
- 文字数(横書きで作成する場合)…1行20字以内・1枚26行以内、1行13字以内・1枚40行以内、1行26字以内・1枚20行以内
※句読点や括弧は1字として数える。
また表題は、以下に示した催告書など、記載内容が把握できるものを付けるのが一般的です。
任意交渉
相手方と話し合いの機会を設けて、交渉によって回収を行う手段です。
ただし任意による話し合いであるため、場合によっては交渉が行えないこともあります。また速やかに交渉をまとめるためには、ある程度の交渉力が必要になるでしょう。
相殺
相手方に買掛金がある場合、買掛金と相殺することで、実質的に回収を済ませる手段です。
なお相殺は、内容証明郵便にて通知することで完了し、買掛金の金額分まで相殺することができます。
商品引き上げ
相手方へ納品した商品がある場合、商品を引き上げることによって、実質的に回収を済ませる手段です。
なお引き上げは、相手方による同意のもとで行う必要があり、同意を得ないまま行うと窃盗罪として罰せられる恐れがあります(刑法第235条)。所有権留保がされている自動車販売などのケース以外では考えにくい手段です。
債権譲渡
相手方に対する債権を第三者に譲渡することで、その譲渡対価の限度で満足を得る手段です。
なお債権譲渡は、「債権譲渡契約書」を交わして行うのが通常です。
法的手段による回収
法的手段による回収としては、主に以下の方法があります。
- 民事調停
- 支払督促
- 訴訟
- 差押え(強制執行)
また法的手段による回収については、裁判所にて請求が認められることで、債権に関する公的文書である債務名義を取得できます。債務名義を取得することで、強制的に相手方の財産などを取り上げる差押えに移行することができます。
民事調停
裁判官や調停委員による仲介のもと、相手方と交渉を行うことによって回収を行う手段です。民事調停において当事者間で合意が成立すれば債務名義である調停調書を取得できます。
支払督促
簡易裁判所より、債務の支払いを命じる「督促状」の作成・通知を行ってもらうことによって、回収を行う手段です。相手が一定期間内に異議を述べなければ債務名義である仮執行宣言付支払督促を取得できます。
訴訟
裁判を起こすことによって回収を行う手段です。裁判所にて、訴訟による請求が認められることで、債務名義である確定判決や仮執行宣言付判決を取得できます。
差押え(強制執行)
相手方の保有財産などについて、強制的に取り上げることによって回収を行う手段です。なお差押えを行うためには、債務名義を取得していなければなりません。
ただし相手方の状況によっては、望み通りの結果とならない可能性もあるため、ほかの方法では回収不能な場合など、あくまでも最後の手段として考えておくべきでしょう。
未収金と売掛金の時効
未収金と売掛金には時効期間が定められており、回収できる期間には制限があります。
ここでは、未収金と売掛金の時効や中断方法、時効期間後の対応について解説します。
時効期間
時効期間は債務種類によって異なり、主なものとしては以下の通りです。時効期間を過ぎて時効成立した場合は、原則回収することができません。
中断方法
時効は、以下の手段が行われることによって中断(延長)できます。
中断方法 |
中断条件 |
中断期間 |
請求 |
法的回収での債務名義獲得 (裁判上の請求) |
10年 |
内容証明郵便による通知 (裁判外の請求) |
6ヶ月 |
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差押え(仮差押え・仮処分) |
左記手続きの申立て許可 |
裁判所が指定する期間 |
債務者による債務承認 |
下記承認行為の実行 ・債務関係書類の作成 ・債務の一部弁済 ・支払猶予願の申入れ |
時効期間のやり直し (時効経過後でも対象) |
時効期間後の対応
すでに時効期間を過ぎているものであっても、必ずしも回収できないというわけではありません。未収金や売掛金の時効は、時効成立や債務放棄などの意思を示す時効の援用を、債務者が行うことで成立します。
時効期間を過ぎていても、相手方が時効の援用前に債務を承認すれば、時効中断を理由として請求を続けることは可能です。
未収金や売掛金の回収を弁護士に依頼するメリット
未収金や売掛金については、時効期間が定められているため、時効が成立するまでに迅速に回収対応を進める必要があります。ただし、任意的手段や法的手段など回収方法はさまざまであるため、現在置かれている状況などによって適切な回収方法を選択する必要があります。
特に「これまで未収金や売掛金の回収を行ったことがない」という場合などは、債権回収に注力している弁護士に対応を依頼すると良いでしょう。弁護士に依頼することで、回収方法の選択に関する助言や、書類作成や裁判手続きなどの回収対応に関するサポートが望めます。
まとめ
未収金と売掛金は、債権の発生元がメインで行っている営業活動か否かという点で判別します。
また、ともに「資産であり金銭債権に該当する勘定科目」という点では共通していますが、計上時の対応が異なります。未収金については、回収期間に応じて流動資産や固定資産、売掛金については回収期間に関係なく流動資産として計上を行います。
なお未収金や売掛金の回収対応を行う際は、任意的手段や法的手段など、複数の選択肢から対応を判断する必要があり、適切な判断力が求められます。また債務種類ごとに時効期間が定められているため、迅速な対応力も必要になるでしょう。
債権回収に注力している弁護士であれば、回収対応についてのアドバイスや各手続きについてのサポートなどが受けられるため、スムーズな回収が望めます。特に、自力で回収対応を進める自信がない場合などは依頼することをおすすめします。
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