債権回収の代行を依頼する際のポイント|依頼先・費用・回収方法を解説

専門家監修記事
債権回収にあたっては、状況に応じて適切に回収対応を行う必要があります。対応に自信がない場合は、外部に代行を依頼すると良いでしょう。依頼先としては弁護士や代行業者などがあり、ケースによって適切な依頼先は異なります。この記事では債権回収の代行先や費用を解説します。
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
債権回収

債権回収にあたってはさまざまな回収方法があり、状況に応じて適切に対応する必要があります。回収対応に慣れていない場合は、外部に債権回収の代行を依頼すると良いでしょう。主な依頼先としては弁護士がありますが、そのほか代行業者などにも依頼できます。

 

この記事では、債権回収の代行先について複数ピックアップして比較したのち、弁護士に依頼する場合の流れや依頼費用などを解説します。

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債権回収の代行の依頼先

債権回収の代行先としては、主に以下の3つがあります。

ここでは債権回収の代行先について、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。

 

  • 弁護士
  • 債権回収会社(サービサー)
  • ファクタリング会社

弁護士

弁護士は、債権回収に必要なさまざまな手続きの代行ができる、という点が特徴的です。

例として、弁護士名義での書類通知や債務者との交渉代理、裁判書類の準備や出廷代理などが依頼でき、対応にかかる手間・時間を大きく削減することができます。さらに、問題解決に向けた回収方法の提案など、依頼状況や債権種類などに応じたサポートも望めます。

 

ただし弁護士に依頼する場合、着手金や成功報酬金などの弁護士費用が発生します。弁護士費用については「債権回収の代行を依頼する際の費用」にて後述しますが、対応内容によって費用は異なり、場合によっては費用倒れになる可能性もあります。

 

弁護士に依頼するメリット・デメリットをまとめると、以下の通りです。

メリット

デメリット

・対応範囲が幅広い

・依頼状況に適した回収方法の提案

・回収対応にかかる手間・時間の削減

・費用倒れになる可能性がある

・相手が破産した場合は十分な回収が困難

・相手方と関係悪化するおそれがある

債権回収会社(サービサー)

債権回収会社とは、債権者に代わって債権回収を行う会社を指します。依頼時は「債権回収会社に債権を買い取ってもらう」という形になります。したがって、弁護士のように費用倒れになる心配がない上、未回収分について確実に資産化できるという点が特徴的です。

 

ただし債権回収会社の場合、以下のように対応可能な債権が限定されており、依頼できる債権者は金融機関などに限られます。また債権の買取価格については、債権回収会社によって債権価格より低く設定されることが通常で、満額回収できた場合と比べると回収金額は少額になります。

 

<対応可能な債権>

  • 金融機関等が有する貸付債権
  • リース・クレジット債権
  • 資産の流動化に関する金銭債権
  • ファクタリング業者が有する金銭債権
  • 倒産手続き中の者が有する金銭債権​
  • 保証契約に基づく債権
  • その他政令で定める債権

 

債権回収会社に依頼するメリット・デメリットをまとめると、以下の通りです。

メリット

デメリット

・未回収分を確実に資産化できる

・相手方が破産しても損失が発生しない

・回収対応にかかる手間・時間の削減

・対応可能な債権が限られる

・未回収分より安値で売却することになる

・違法な悪徳業者も存在する

ファクタリング会社

ファクタリング会社とは、売掛債権を買い取ることで資金調達をサポートする会社であり、金融機関が主体となって行われています。依頼時は「ファクタリング会社に債権を買い取ってもらう」という形になり、債権回収会社と同様、未回収分について確実に資産化できるという点が特徴的です。

 

ただしファクタリング会社の場合、主な対応債権は売掛金となる上、売却時には手数料(一般的に債権額の10~20%程度)が発生します。そのほか、債権の譲受人であるファクタリング会社が、債務者へ回収対応を行うために必要な手続き(対抗要件の取得)にかかる費用なども負担する必要があります。

 

ファクタリング会社に依頼するメリット・デメリットをまとめると、以下の通りです。

メリット

デメリット

・未回収分を確実に資産化できる

・相手方が破産しても損失が発生しない

・回収対応にかかる手間・時間の削減

・手数料が発生する

・対抗要件の取得にかかる費用が発生する

・売却できない場合もある

依頼先を判断する際のポイント

弁護士・債権回収会社・ファクタリング会社については、依頼時の対応内容費用の発生条件など、さまざまな点で異なります。債権回収の代行を依頼する際は、それぞれの特徴について把握した上で、債権状況や企業状況などに応じて依頼先を判断する必要があるでしょう。

 

依頼先を判断する際のポイントとしては、以下が挙げられます。

弁護士に依頼すべきケース

・債権額がある程度高額

・相手方が回収対応に応じる可能性が高い

・相手方に差押えの対象となる資産がある

債権回収会社に依頼すべきケース

・特定金銭債権を保有している

・回収可能性が乏しく自主回収が難しい

ファクタリング会社に依頼すべきケース

・回収可能性の高い売掛債権がある

・すぐに資金調達したい

債権回収の代行を依頼する際の流れ

債権回収について弁護士に依頼する場合、主に以下の流れで進めるのが一般的です。

 

  1. メールや電話による連絡
  2. 現状や希望内容などのヒアリング
  3. 面談日時の確定
  4. 面談の実施
  5. 依頼内容の確定
  6. 依頼先による業務遂行

 

面談にあたっては、相手方の社名や住所など債権に関する情報を整理した上で、契約書や納品書など取引内容を証明する書類を持参して臨みましょう。また、必ずしも「面談した弁護士に依頼しなければならない」というわけではなく、面談後に別の弁護士に依頼することもできます。

 

なお弁護士は、事務所によって注力分野や実績などが異なります。依頼時は事務所HPなどを参考にした上で、債権回収に注力している事務所を選ぶ必要があります。

債権回収の代行を依頼した場合の回収対応

債権回収を弁護士に依頼する場合、「どの回収方法を選択するか」によって費用は異なります。依頼時に手続きをスムーズに済ませるためにも、あらかじめ債権の回収方法について知っておいた方が良いでしょう。

 

債権を回収する方法としては、債務者から直接回収する任意的手段のほか、裁判所を介して回収する法的手段などがあり、主なものを挙げると以下の通りです。

 

ここでは債権回収にあたって、債務者に対して行う回収対応について解説します。

任意的手段

法的手段

・催告書による通知

・任意交渉

・民事調停

・支払督促

・訴訟

・強制執行(差押え)

催告書による通知

債務者に対して、債務の支払いを求める催告書を作成し、内容証明郵便にて通知する方法です。

内容証明郵便とは、提出書類の情報について郵便局が証明するサービスです。支払いを強制する効力はありませんが、訴訟に発展した場合などは証拠として働きます。

 

また催告書による通知を行う場合、以下のような形式で作成するのが一般的です。

 

 

任意交渉

債務の支払いについて、債務者と交渉する方法です。

ただし、あくまでも任意的な手段であるため、債務者から拒否されることもあります。交渉が拒否された場合や協議が妥結しなかった場合は、別の手段で回収対応を行う必要があります。

民事調停

裁判所にて、裁判官・調停委員の仲介のもと、債務者と協議する方法です。

調停が成立した場合、双方の合意内容について記載した調停調書が作成され、債務者が調書の内容を履行しない場合は強制執行に移行することができます。

 

ただし民事調停は法的手段ではあるものの、債務者に対する参加義務・合意義務はありません。債務者が調停に応じる意思がない場合は、別の手段によって回収対応を行う必要があります。

支払督促

簡易裁判所へ支払督促を申し立て、債務者に対して督促状による督促を行ってもらう方法です。

督促後、一定期間を過ぎても債務者からの異議申立てがない場合、督促状に記載された権利義務などについて認められ、強制執行に移行することができます。

 

ただし、督促後に債務者から異議が申立てられた場合は、訴訟手続きへと移行します。

訴訟

債務者に対して訴訟提起する方法です。裁判所にて請求の理由について認められ、債権があることを証明する確定判決を得ることで、強制執行に移行することができます。

 

ただし訴訟は手続きが複雑であり、法的手段のなかでも特に手間・労力のかかる方法です。「相手方が任意支払いに応じてくれない」など、スムーズな回収が見込めない場合の最終手段と言えるでしょう。

強制執行(差押え)

債務者が保有する財産について強制的に回収することで、債権の満足を得る方法です。

 

なお強制執行を実施するには、調停調書や確定判決など、権利法律関係を確定する公的文書である債務名義が必要です。ほかの法的手段を講じても回収できないケースなど、債務名義を取得しており債務者が支払いに応じない場合は、速やかに強制執行へと移行するのが通常です。

 

また債権回収にあたっては、債務者による財産の処分や隠匿を防ぐために、仮差押え・仮処分なども実施されます。仮差押え・仮処分とは、財産処分の禁止など「債務者の保有財産を固定して債権を保全する行為」を指します。なお、強制執行を行うためには債務名義が必要ですが、仮差押え・仮処分については不要です。

債権回収の代行を依頼する際の費用

債権回収を弁護士に依頼する際、相談料・着手金・成功報酬金・その他費用などが発生します。

相談料の相場としては5,000円/30分程度ですが、なかには無料相談を行っている事務所もあります。なお着手金や成功報酬金については、回収方法によって金額が大きく異なります。

 

ここでは、債権回収を弁護士に依頼する場合の費用相場について、回収方法ごとに解説します。

ただし、事務所によって費用や料金体系にはバラつきがあるため、具体的な費用については直接確認を取ることをおすすめします。

催告書による通知

催告書による通知を行う場合、「弁護士名義で通知するかしないか」によって費用は異なります。費用相場は以下の通りです。

 

着手金

本人名義による通知

1~3万円程度

弁護士名義による通知

3~5万円程度

その他費用

・内容証明郵便:1,470円~

任意交渉

任意交渉を行う場合、債権額によって費用は異なります。費用相場は以下の通りです。

債権額

着手金

100万円未満

10万円程度

100~300万円

15万円程度

300~500万円

20万円程度

500~1,000万円

30万円程度

1,000~5,000万円

40万円程度

5,000~1億円

60万円程度

1億円以上

80万円程度

また、回収金額の10~15%が成功報酬として発生します。

その他費用

・郵券代:1,470円~

・登記簿取寄費用:600円

民事調停

民事調停を行う場合、債権額によって費用は異なります。費用相場は以下の通りです。

債権額

着手金

100万円未満

12万円程度

100~300万円

18万円程度

300~500万円

24万円程度

500~1,000万円

36万円程度

1,000~5,000万円

48万円程度

5,000~1億円

70万円程度

1億円以上

90万円程度

また、回収金額の10~20%が成功報酬として発生します。

その他費用

・郵券代:1,015円

・収入印紙代:訴訟金額によって異なる

支払督促

支払督促を行う場合、債権額によって費用は異なります。費用相場は以下の通りです。

債権額

着手金

100万円未満

15万円程度

100~300万円

24万円程度

300~500万円

30万円程度

500~1,000万円

50万円程度

1,000~5,000万円

80万円程度

5,000~1億円

100万円程度

1億円以上

150万円程度

また、回収金額の15~20%が成功報酬として発生します。

その他費用

・予納郵券代:4,000円

・資格証明書:1,000円

・官製ハガキ:50円

・収入印紙代:通常訴訟時の半額の印紙代

訴訟

訴訟を行う場合、債権額によって費用は異なります。費用相場は以下の通りです。

債権額

着手金

100万円未満

15万円程度

100~300万円

24万円程度

300~500万円

30万円程度

500~1,000万円

50万円程度

1,000~5,000万円

80万円程度

5,000~1億円

100万円程度

1億円以上

150万円程度

また、回収金額の15~20%が成功報酬として発生します。

その他費用

・予納郵券代:6,000円

・資格証明書:1,000円

・官製ハガキ:50円

・収入印紙代:訴訟金額によって異なる

仮差押・仮処分

仮差押・仮処分を行う場合、費用相場は以下の通りです。

着手金

成功報酬金

原則30万円~

獲得金額の15~20%

その他費用

・予納郵券代(債権仮差押えの場合):3,000円程度

・印紙代:2,000円

・資格証明書:1,000円

・不動産全部事項証明書:1,000円

・登録免許税:請求額の0.4%

・担保金:債権額の20%程度(事件終了時の返却金銭)

強制執行(差押え)

強制執行を行う場合、費用相場は以下の通りです。

着手金

成功報酬金

原則20万円~

獲得金額の15~20%

その他費用

・予納郵券代:5,000円程度(裁判所によって異なる)

・印紙代:4,000円

・資格証明書:1,000円

・予納金:不動産の場合は90万円程度(事件終了時に回収分から返却される金銭)

まとめ

債権回収に慣れていない場合は、外部に代行を依頼することでスムーズな問題解決が望めます。

依頼先としては弁護士・債権回収会社・ファクタリング会社などがあり、以下のようにケースに応じて依頼先を判断する必要があります。

 

  • 債権額がある程度高額であり、相手方が差押え対象となる資産を保有している場合…弁護士
  • 特定金銭債権を保有しており、自ら回収することが困難である場合場合…債権回収会社
  • ファクタリング可能な売掛債権を保有しており、資金調達要請が強い場合…ファクタリング会社

 

なお弁護士に依頼する場合、費用は回収方法ごとに異なります。この記事では一般的な費用相場を紹介しましたが、具体的な費用については、事務所に直接確認を取ることをおすすめします。

 

また弁護士は事務所ごとに注力分野などが異なるため、依頼時は事務所HPを参考にして、債権回収に注力した弁護士を選びましょう。

 

債権回収に注力している弁護士であれば、回収対応についてのアドバイスや各手続きについてのサポートなどが受けられるため、スムーズな回収が望めます。特に、自力で回収対応を進める自信がない場合などは依頼することをおすすめします。

 

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