著作権侵害の4要件と具体例|著作権侵害の判断基準まとめ

専門家監修記事
著作権侵害の要件は次の4つです。①著作物である、②著作権がある、③著作権が及ぶ範囲で利用された、④利用者が著作物を利用する権限を持っていない。今回は、上記4要件の詳細と、どんな行為が著作権侵害に当たるのかをご説明します。
弁護士法人ネクスパート法律事務所
寺垣 俊介
監修記事
知的財産

著作権侵害の要件は次の4つです。

  1. 著作物である
  2. 著作権がある
  3. 著作権が及ぶ範囲で利用された
  4. 利用者が著作物を利用する権限を持っていない

上記の要件を満たしているかどうかが著作権侵害を判断する際の基準になるわけですが、これだけを見てもピンとくる人は少ないでしょう。

今回は、著作権侵害の4要件に関して具体例を交えながら、どんな行為が著作権侵害に当たるのかをご説明します。

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著作権侵害の要件1|著作物である

大前提として、著作物でないものに対しては著作権侵害が当てはまりません

では、何が著作物にあたるのでしょうか。

著作権法第10条では、著作物の例として次のようなものを挙げています。

この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。

 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物

 音楽の著作物

 舞踊又は無言劇の著作物

 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物

 建築の著作物

 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物

 映画の著作物

 写真の著作物

 プログラムの著作物

引用元:著作権法第10条

著作権侵害の要件2|著作権がある

上記の例に当てはまるような創作物の場合、作られた時点で著作権が発生します(無方式主義)

さらに、次の条件を満たすものには著作権が認められます。

日本の著作権法に保護されている

日本の著作権法に保護されていない創作物には著作権がありません

日本の著作権法に保護される著作物は次の3つです。

  1. 日本国民の著作物
  2. 最初に国内で著作権が発生した創作物
  3. 条約で日本が保護義務を負う著作物

著作物は、次の各号のいずれかに該当するものに限り、この法律による保護を受ける。

一  日本国民(わが国の法令に基づいて設立された法人及び国内に主たる事務所を有する法人を含む。以下同じ。)の著作物

二  最初に国内において発行された著作物(最初に国外において発行されたが、その発行の日から三十日以内に国内において発行されたものを含む。)

三  前二号に掲げるもののほか、条約によりわが国が保護の義務を負う著作物

引用元:著作権法第6条

著作権が消滅していない

著作物には保護期間があり、著作者が死亡して50年たつと権利が消滅します。

著作物の性質ごとに保護期間に関する規定があります。

著作物の性質

保護期間

該当する条文

無名又は変名の著作物

著作者の死後50年

著作権法第52条

団体名義の著作物

著作物の公表後50年

著作権法第53条

映画の著作物

著作物の公表後70年

著作権法第54条

著作権侵害の要件3|著作権が及ぶ範囲で利用された

著作権が及ぶ範囲と及ばない範囲があります。

それぞれ確認していきましょう。

著作権が及ぶ範囲とは

著作権法第21条~第28条では、著作権者が持つ権利に関して次の表のように定義しています。

言い換えれば、著作者以外が次の行為をした場合は著作権侵害になります。

著作権が及ぶ行為

(著作権者が独占できる行為)

権利

該当する条文

(著作権法)

著作物を複製する

複製権

21条

著作物を公衆に上演・演奏する

上演権/演奏権

22条

著作物上映する

上映権

22条の2

著作物を公衆送信する

公衆送信権等

23条

著作物を公に口述する

口述権

24条

著作物を公に展示する

展示権

25条

著作物を複製して頒布する

頒布権

26条

著作物や複製物を公衆に提供する権利を譲渡する

譲渡権

26条の2

著作物や複製物を貸与する

貸与権

26条の3

著作物を翻訳・翻案する

翻訳権/翻案権

27条

二次的著作物の原著作物の著作者は、二次的著作物の著作者と同一の権利を持つ

二次的著作物の利用に関する原著作者の権利

28条

上記のうち複製権と翻案権に関して著作権侵害が成立するには、依拠性・類似性が認められなければいけません。

依拠性がある

特定の創作物が他の著作物を利用して作られた場合、依拠性があると判断されます。

依拠性が争点になった裁判に、『ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー事件』があります。

この事件では、被告が作詞作曲した歌謡曲が、既存の映画の主題歌に依拠しているかどうかが裁判で争われました。

被告は原告の著作物に触れたわけでも知っていたわけでもなく、偶然同一性のある作品ができあがったとして著作権侵害にならないとの判決が下りました

類似性がある

特定の創作物と既存の著作物が類似している場合、類似性があると判断されます。

類似性があると判断された例に、『パロディ・モンタージュ事件』があります。

原告の写真を被告がパロディとして雑誌で公開したことに対し原告が著作権侵害を主張し、最終的に被告は利用料として50万円を支払うことになりました

著作権が及ばない範囲

著作物の利用を促進する目的もあり、次のような場合は著作権が及びません。

私的複製

複製物を不特定多数に公開することなく、個人的に楽しむ分であれば著作物を複製しても構いません。

著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。

引用元:著作権法第30条

引用

公開されている著作物に関しては、自由に引用できます。

 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

引用元:著作権法第32条

著作権侵害の要件4|利用者が著作物を利用する権限を持っていない


特定の著作物に対する複製権を持っていない人が、他人の著作物を勝手に出版した場合は著作権侵害になります。

他人の著作物を出版するには、複製権を得なければいけません。

第二十一条又は第二十三条第一項に規定する権利を有する者(以下この章において「複製権等保有者」という。)は、その著作物について、文書若しくは図画として出版すること(電子計算機を用いてその映像面に文書又は図画として表示されるようにする方式により記録媒体に記録し、当該記録媒体に記録された当該著作物の複製物により頒布することを含む。次条第二項及び第八十一条第一号において「出版行為」という。)又は当該方式により記録媒体に記録された当該著作物の複製物を用いて公衆送信(放送又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。以下この章において同じ。)を行うこと(次条第二項及び第八十一条第二号において「公衆送信行為」という。)を引き受ける者に対し、出版権を設定することができる。

2  複製権等保有者は、その複製権又は公衆送信権を目的とする質権が設定されているときは、当該質権を有する者の承諾を得た場合に限り、出版権を設定することができるものとする。

引用元:著作権法第79条

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著作権が侵害されたときの対処法

著作権者は侵害者に対して、次の4つの請求ができます。

差止請求をする

侵害者に対して著作権侵害をやめるよう請求することを差止請求といいます

差止請求をすると、複製物のインターネット上での公開を辞めさせたり、YouTubeに上げた動画を削除させたりできます。

著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、その著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

引用元:著作権法112条

損害賠償請求をする

著作権侵害をされたことで本来得られるはずだった利益を得られなくなった場合は損害賠償請求ができます

具体的な損失額を計算しなくても、複製物の発行部数から被害額を推定して請求できます。

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

引用元:民法709条

不当利益返還請求をする

不当利得返還請求をすると、侵害者が複製物によって得た利益を返してもらえます

侵害者が著作権侵害だと気付いていなかった場合は利益のうち残っている額を、著作権侵害と知っていた場合は利益と同額の請求ができます。

法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

引用元:民法703条

 

悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。

引用元:民法704条

名誉回復等の措置請求をする

著作権侵害によって著作者の名誉が損なわれた場合、名誉回復等の措置請求をすることで、新聞に謝罪広告を掲載させるなどの措置を講じさせられます。

著作者又は実演家は、故意又は過失によりその著作者人格権又は実演家人格権を侵害した者に対し、損害の賠償に代えて、又は損害の賠償とともに、著作者又は実演家であることを確保し、又は訂正その他著作者若しくは実演家の名誉若しくは声望を回復するために適当な措置を請求することができる。

引用元:著作権法115条

著作権侵害をされた際の相談先

最後に、著作権を侵害された際の相談先をお伝えします。

法テラス

弁護士会によって運営される法律相談所です。

各相談先を紹介する窓口としても機能しているので、どこに相談すればいいかわからない場合は法テラスに相談するといいでしょう。

弁護士

被害の規模が大きく、損害賠償請求や不当利益返還請求をしたい場合などは、著作権侵害をやめさせる確実性を高めるためにも弁護士に相談することになります。

著作権侵害の被害を解決した実績を持つ事務所をさがしましょう。

まとめ

今回は、著作権侵害の4要件を具体例と共に確認しました。

著作権侵害の判断が難しい場合は、法テラスや弁護士に確認することもできます

もし侵害されているのであれば、このページでお伝えした各種請求をすることで、侵害をやめさせたり、損害賠償を支払わせたりといった対策をすることになります。

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