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知的財産(知財)のトラブルは、ビジネスの根幹を揺るがしかねません。
「自社の技術やブランドが模倣された」「Webサイトのコンテンツが無断転載された」などさまざまなケースがありますが、誰に相談すれば良いのか、費用はどれくらいかかるのか、不安は尽きないものです。
本記事では、知的財産に関するトラブルを弁護士に依頼した場合の費用相場、信頼できる弁護士の選び方、混同しやすい弁理士との違いまでわかりやすく徹底解説します。
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知的財産とは、人間の創造的な活動によって生み出されたアイデアや創作物など、財産的な価値を持つ無形の権利の総称です(知的財産基本法第2条第1項参照)。
これらは形を持ちませんが、特許法、商標法、著作権法、不正競争防止法などの法律によって保護されています。
具体的には、技術的な発明を守る「特許権」、商品の顔となる名称やロゴを保護する「商標権」、文章や音楽、デザインなどの創作物を保護する「著作権」などが含まれます。
これらの権利は、創作者の努力に報い、さらなる創造活動を促すことで、私たちの経済や文化の発展に貢献しています。
知的財産にはさまざまな種類があり、それぞれ保護の対象や方法が異なります。
主なものとして以下の権利が挙げられます。
特許権とは、新規かつ進歩性のある「発明」を一定期間独占的に実施できる権利です。
この権利は、特許法に基づき、特許庁の審査を経て登録されることで発生します。
対象となる発明は「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」を指し、特許として認められるためには、主に以下の3つの要件を満たす必要があります。
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出願時には、発明の詳細な説明や権利範囲を特定する「特許請求の範囲」などを記載した書類を提出します。
特許権の存続期間は原則として出願日から20年です。
この期間中、権利者は第三者による無断実施を排除したり、ライセンスを与えて収益を得たりすることができます。
権利侵害に対しては、差止請求(特許法第100条)や損害賠償請求(民法第709条。損害額の推定等は特許法第102条)が可能です。
商標権とは、自社の商品やサービスを他社のものと区別するための文字、図形、記号、あるいはこれらの結合などを保護する権利です。
いわゆる企業名、商品名、サービス名、ロゴマークといった「ブランド」の保護に不可欠な権利と言えるでしょう。
この権利は、商標法に基づき、特許庁の審査を経て登録されることで発生します。
登録されると、その登録商標を指定した商品・サービスの範囲で独占的に使用でき(専用権、商標法第25条)、他人が類似範囲で使用することを排除できます(禁止権)。
登録の主な要件は、自他商品・サービスを区別できる力(識別力)があること(商標法第3条)、そして公益に反するなどの不登録事由に該当しないことです。
出願時には、使用したい商標と、それを使用する商品・サービスを指定します。
商標権の存続期間は登録日から10年ですが、更新手続により半永久的に維持でき、長年築いたブランドの信用を守り続けられます。
他社による無断使用や類似商標の使用には、差止請求(商標法第36条)や損害賠償請求で対抗できます。
著作権とは、文芸、学術、美術、音楽などの分野における思想または感情を創作的に表現した「著作物」を保護する権利です(著作権法第2条第1項第1号)。
この権利は、著作権法に基づいており、特許権や商標権とは異なり、作品が創作された時点で自動的に発生し、登録などの手続きは不要です(無方式主義、著作権法第17条第2項)。
具体例としては、小説、論文、絵画、楽曲、コンピュータプログラム(著作権法第10条第1項第9号)、Webサイトのデザインなどが挙げられます。
著作権者には、作品を公表するかどうかなどを決められる「著作者人格権」と、複製や公衆送信など財産的な利用をコントロールできる「著作財産権」があります。
著作財産権は譲渡やライセンスが可能です。
保護期間は原則として著作者の死後70年です。
他人が著作物を無断でコピーしたりインターネットにアップロードしたりする行為は著作権侵害にあたり、差止請求(著作権法第112条)や損害賠償請求などができます。
クリエイター自身の権利保護、また他者の権利を侵害しないためにも正しい理解が重要です。
不正競争防止法は、事業者間の公正な競争を確保し、正当な営業努力によって築かれた営業上の利益や信用を保護するための法律です。
この法律は、特許法や商標法などではカバーしきれない、さまざまな不正な競争行為を規制しています。
具体的には、以下のような行為が禁止されています。
周知表示混同惹起行為 | 他人の広く知られた商品名やロゴなどを無断で使用し、混同を生じさせる行為。 |
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著名表示冒用行為 | 他人の極めて有名な表示を不正に利用する行為。 |
商品形態模倣行為 | 他人の商品の形態をそっくり模倣した商品を販売する行為。 |
営業秘密侵害行為 | 不正な手段で他社の顧客情報や技術ノウハウといった営業秘密を取得・使用・開示する行為。 |
例えば、他社の有名商品と酷似したパッケージの商品を販売する行為や、退職した従業員が顧客情報を不正に持ち出す行為などがこれに該当します。
これらの行為によって営業上の利益を侵害された場合、差止請求(不正競争防止法第3条)、損害賠償請求(同法第4条)、信用回復措置請求などが可能です。
知的財産に関する問題を弁護士に相談することで、専門的な知見に基づく最適な解決策を得られ、法的リスクを最小限に抑えることができます。
弁護士は法律の専門家であり、交渉から訴訟まで一貫して代理できる唯一の資格者です(弁護士法第3条参照)。
専門家のサポートは、問題解決への確実な一歩となります。
具体的にどのようなメリットがあるのか、主な4つのポイントを見ていきましょう。
権利侵害の発見時など、すでに知的財産に関するトラブルが発生している場合、弁護士は迅速な初動対応と法的手続により、被害の拡大を防ぎます。
まず、事実関係を正確に把握し、権利侵害の有無や程度を法的に分析します。
そのうえで、証拠保全のアドバイス、侵害行為の中止や損害賠償を求める警告書の作成・送付、相手方との交渉、そして必要に応じて仮処分申立てや訴訟提起といった法的手段を、状況に応じて適切に選択・実行します。
例えば、模倣品を発見した場合、弁護士が速やかに販売差し止めを求める警告書を送付し、交渉を開始することが考えられます。
こうした専門的かつ迅速な対応により、問題の早期解決と権利の回復を目指します。
自社の権利が侵害されたと考え権利行使をする際には、逆に相手方から反論されたり、訴訟を起こされたりするリスクも伴います。
弁護士に相談すれば、権利行使の際に生じうるこのような法的リスクを専門的見地から分析し、最小化するための戦略を立てることができます。
具体的には、権利行使前に、自社の権利の有効性(例:特許が無効理由を含んでいないか)や相手方の行為が確実に侵害といえるのかを、法律や判例に基づき多角的に検討します。
また、相手方から予想される反論(例:権利侵害には該当しない、権利の濫用である、など。)を想定し、それに対する再反論を準備します。
例えば、警告書を送る前にこれらの点を十分に検討し、主張内容を精査することで、不測の反撃を受けるリスクを減らします。
このように弁護士は、単に権利を主張するだけでなく、それに伴うリスク管理も行います。
知的財産に関する法的手続は専門知識が必要で、非常に複雑かつ時間を要します。
弁護士に依頼することで、これらの手続きを一任できるため、経営者や担当者は本業に専念できます。
例えば、訴訟になった場合、訴状、準備書面、証拠申出書といった専門的な法的書類の作成や、裁判所との期日調整、期日への出頭などが必要になります。
これらを全て自社でおこなうのは大きな負担です。
弁護士は、これらの書類作成、裁判所や相手方とのやり取り、期日への出頭などを代行します。
また、ライセンス契約書や秘密保持契約書などの作成・レビューも行います。
専門家である弁護士に任せることで、手続きがスムーズに進み、時間と労力の大幅な節約につながるだけでなく、精神的な負担も軽減されます。
新規事業や新製品開発の際に、意図せず他社の特許権や商標権などを侵害してしまうリスクがあります。
弁護士に相談すれば、このようなリスクを事前に回避するための専門的な調査とアドバイスを受けることができます。
具体的には、新しい技術や製品が他社の特許権に抵触しないか(特許調査)、新しいサービス名やロゴが他社の登録商標と類似していないか(商標調査)などを、専門データベースや過去の判例分析を通じて調査・評価します。
例えば、新しいサービス名を考案した際、弁護士に依頼して類似商標がないか調査し、安全性を確認した上で事業を開始できます。
調査結果に基づき、侵害の可能性がある場合は、設計変更や名称変更、あるいはライセンス交渉といった回避策を提案し、法的な紛争を未然に防ぐサポートを行います。
知的財産の相談先として弁護士と弁理士がいますが、どちらに頼むべきか迷うことがあるかもしれません。
結論として、弁理士は主に権利化(出願・登録)手続きを(弁理士法第4条第1項、第2項参照)、弁護士は紛争解決や契約関連業務を担当します(弁護士法第3条参照)。
それぞれの業務範囲は法律で定められており、両者が連携することでより包括的なサポートが可能です。
では、弁理士と弁護士、それぞれの得意分野と連携のメリットについて詳しく見ていきましょう。
弁理士は、発明や考案、商標などを特許庁に出願し、権利として登録するための手続きを代理する専門家です。
特許、実用新案、意匠、商標といった産業財産権の取得(権利化)に特化しています。
主な業務は、発明内容を詳細に記述した特許出願書類や、商標登録願などの作成、特許庁への出願手続の代行です。
出願後、審査官から拒絶理由通知(例:新規性がない、識別力がない)が来た場合には、意見書や補正書を作成して応答する「中間処理対応」も重要な業務です。
権利登録後の年金管理や、権利の有効性を争う審判請求(例:無効審判)も行います。
例えば、新しい発明について特許を取得したい場合、弁理士に依頼して発明の内容を伝え、適切な権利範囲で出願書類を作成してもらうのが一般的です。
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弁護士は、知的財産権の侵害に関する交渉、警告書の作成・送付、訴訟代理といった「紛争解決」のプロです。
ライセンス契約、共同開発契約、秘密保持契約(NDA)などの「契約」に関する書類作成やレビュー、契約交渉も得意分野です。
具体的には、他社から特許侵害の警告書が届いた場合の対応方針の協議や交渉代理、自社の権利を侵害された場合の差止請求や損害賠償請求訴訟の提起などを行います。
また、自社の技術を他社にライセンス供与する際の契約書作成や、逆に他社からライセンスを受ける際の契約内容のチェックも弁護士の重要な役割です。
不正競争防止法違反(模倣品の販売や営業秘密の不正利用など)への対応も行います。裁判所での代理人活動は弁護士の独占業務です。
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弁護士と弁理士がそれぞれの得意分野を活かして連携することで、権利取得から紛争解決、契約まで、知的財産に関するあらゆる問題を一貫してサポートする「ワンストップサービス」が可能となり、依頼者にとって効率的です。
この連携による主なメリットは以下の通りです。
包括的なサポート | 権利化から活用、紛争解決まで一貫してサポートできます。 |
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専門性の相乗効果 | 特許出願時から紛争リスクを考慮したり、訴訟で高度な技術的・法律的主張を展開したりできます。 |
情報共有の円滑化 | 依頼者の手間を省き、迅速かつ的確な対応が可能です。 |
戦略的なアドバイス | ビジネス全体を見据えた知財戦略の立案・実行が期待できます。 |
例えば、スタートアップ企業が新しい技術で特許を取得し(弁理士)、その技術ライセンス契約を結び(弁護士)、万が一模倣品が出た場合には法的措置を講じる(弁護士)という一連の流れをスムーズに進められます。
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過去の裁判例(判例)は、知的財産トラブルにおける法的な判断基準や解釈の指針となります。
弁護士はこれらの判例を深く分析し、個別の事案が法的にどう評価されるか、どのような戦略が有効かを判断し、最適な解決策を導き出します。
裁判所の判決は、法律の解釈や適用に関する重要な先例となるためです。
ここでは、知的財産に関する代表的な判例をいくつかご紹介し、弁護士がどのように事案を分析・対応するのかを見ていきましょう。
特許発明の構成と一部異なる製品であっても、実質的に同一と評価される場合には特許権侵害(均等侵害)が認められることがあります。
この均等論の適否が争点となった「切り餅事件」(知財高裁平成23年9月7日判決・平23(ネ)10002号)では、餅の側面に設けられた切り込みに関する特許が問題となりました。
最高裁は過去の判例(ボールスプライン軸受事件・最高裁平成10年2月24日判決)で、均等侵害が成立するための以下の5つの要件を示しています。
非本質的部分 | 相違部分が特許発明の本質的部分ではないこと。 |
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置換可能性 | 相違部分を特許発明の構成に置き換えても、同一の作用効果を奏すること。 |
置換容易性 | 製造時等において当業者が置き換えを容易に想到できたこと。 |
イ号製品等の非自明性 | 相手方製品等が、出願時の公知技術と同一または容易に推考できたものではないこと。 |
意識的除外でないこと | 相手方製品等が、出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものなどに当たらないこと。 |
切り餅事件では、これらの要件を検討した結果、均等侵害が認められました。
弁護士は、このような判例に基づき、相手方製品が特許発明の構成と異なる点があっても、上記5要件を満たすかを分析し、均等侵害の主張や反論の戦略を立てます。
商標権の判例としては、ヘルメットなどの製造で知られるA社が、同社の登録商標(本件商標)および登録防護標章が付されたステッカーの模倣品をインターネットオークションで販売した個人に対し、商標権侵害を主張した事件(東京地裁平成30年2月28日判決・平29(ワ)39594号)があります。
裁判所は、被告が販売したステッカーが本件登録防護標章と同一であり、指定商品に該当することから、商標法67条1号および2号に基づき商標権侵害にあたると認定しました。
被告は過失がなかったと主張しましたが、模倣品の流通を認識していたことなどから、通常の注意を払えば侵害を認識できたとして退けられました。
結果、被告に対し、商品の譲渡などの差止め、廃棄、および弁護士費用相当額10万円の損害賠償が命じられました。
このように弁護士は、権利者に代わり模倣品販売者へ警告書を送付したり、販売差止めや廃棄を交渉したり、応じない場合は訴訟を提起し、差止命令や損害賠償の獲得を目指します。
意匠権の判例としては、床材メーカーA社が持つタイルカーペットのデザイン(登録意匠)と、インテリアB社が販売するタイルカーペットのデザインが似ているかが争点となった事件があります(大阪地裁平成24年3月15日判決・平22(ワ)805号)。
裁判所はB社のデザインがA社の特徴とよく似ていると判断した結果、B社に対し問題となったカーペットの販売中止、廃棄、そしてA社への損害賠償(約367万円)の支払いを命じました。
この裁判は、一見複雑に見えるデザインでも、その「かなめ」となる特徴が似ていれば、意匠権の侵害にあたる可能性があることを示しています。
弁護士は、このような事案で、意匠に係る物品の用途や機能、公知意匠などを踏まえ、需要者の視点で意匠の類似性を慎重に判断し、侵害差止や損害賠償請求の可否、あるいは非侵害の主張について効果的な法的手段を講じます。
著作権の判例としては、新聞社A社が自社のニュース記事の見出しを無断で利用されたとして、Webサイト運営会社B社に対し著作権侵害などを主張した事件があります。(知財高裁平成17年10月6日判決・平17(ネ)10049号)
ニュース記事の見出しについて、個別の創作性は認められず著作物性は否定されましたが、被告による見出しの無断利用は、A社の法的保護に値する利益を違法に侵害する不法行為にあたると判断され、最終的に損害賠償23万7,741円の支払いが命じられました。
このような事件では、弁護士は著作物性が否定されても、記事見出しなどの無断利用に対し、不法行為として損害賠償請求の戦略を立案し、証拠収集、交渉、訴訟代理を行い、権利者の正当な利益保護を目指します。
知的財産分野は専門性が高いため、実績や専門知識、自社の事業への理解度などを慎重に見極めて弁護士を選ぶことが重要です。
適切な弁護士を選ぶことで、問題解決の質とスピードが大きく変わります。具体的にどのような点に注意して弁護士を選べばよいのか、3つの重要なポイントを解説します。
弁護士を選ぶ際は、事務所のWebサイトや弁護士の経歴などで、企業法務、特に知的財産分野を主要な取扱分野として「注力」しているかを確認しましょう。
特定の分野に注力している弁護士は、その分野の最新の法改正や判例動向、実務の運用に精通している可能性が高く、より専門的で質の高いアドバイスが期待できます。
具体的には、Webサイトの取扱業務欄に「知的財産」「特許」「商標」などが明確に記載されているか、関連分野のセミナー講師や書籍・論文の執筆活動をおこなっているか、弁護士会などの知的財産関連委員会に所属しているかなどをチェックします。
「知的財産専門チームあり」「特許訴訟経験多数」といった具体的なアピールも参考になります。
次に、企業法務や知的財産に関する「相談・解決実績」が豊富かどうかを確認します。
多くの案件を扱ってきた弁護士は、多様なケースに対応できるノウハウや交渉力、的確な状況判断能力を持っていると考えられます。
Webサイトなどで具体的な案件の解決事例(守秘義務に配慮した形での紹介)や、同業他社の顧問経験などが公開されていれば参考にしましょう。
どのような種類の知的財産(特許、商標、著作権など)のどのようなトラブル(侵害警告、訴訟、ライセンス交渉など)を、どのような結果に導いたのか、具体的な実績を確認できるとよいでしょう。
相談時には、過去の類似案件の経験について直接質問してみるのも有効です。
特に特許権が絡む案件では、弁護士がその発明の「技術内容」を正確に理解できることが不可欠です。
技術的側面を理解していなければ、発明の本質や侵害の成否を的確に判断できません。
弁護士が理系のバックグラウンド(理系学部卒、技術者経験など)を持っているか、過去に自社の技術分野に近い案件を扱った経験があるかなどを確認しましょう。
事務所内に弁理士が在籍しているか、技術に明るい弁理士と緊密に連携しているかもポイントです。
相談時に、専門用語を交えて技術説明をした際の理解度や、的確な質問をしてくるかなど、コミュニケーションを通じて技術への理解度や関心の高さを測ることも重要です。
弁護士費用は、相談料、着手金、成功報酬金、顧問料などがあり、案件の複雑さや規模によって変動するため、事前に確認することが大切です。
弁護士の報酬は自由化されており、事務所ごとに基準が異なります。
主な弁護士費用には、以下のようなものがあります。
相談料 | 法律相談の際に発生する費用。30分5,000円~10,000円程度が目安です。事務所により無料相談に対応している場合もあります。 |
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着手金 | 案件依頼時に支払う費用。案件に応じて20、30万円~数百万円になります。 |
成功報酬金 | 案件が成功した場合に支払う費用。経済的利益の10%~20%程度が目安です。 |
手数料 | 書類作成など定型的な事務処理に対する費用。 |
日当 | 弁護士が事務所外で活動する場合の費用 |
実費 | 印紙代、交通費など、業務遂行に実際にかかった費用。 |
顧問料 | 継続的な法的アドバイスを受ける場合に毎月支払う費用。中小企業は月額3万円~5万円、大企業は月額10万円以上が目安です。 |
どのくらいの費用を、どのタイミングで、どのような方法で支払わないといけないのか、料金体系は事前にしっかり確認しておきましょう。
弁護士へ知的財産に関する相談・依頼を検討する場合、どのような流れで進んでいくのか事前に知っておくとスムーズに対応しやすくなります。
ここでは、一般的な相談から依頼までの流れを5つのステップでご紹介します。
まず、相談したい法律事務所に電話やWebサイトの問い合わせフォームなどから連絡を取り、希望の相談日を伝えて予約します。
その際、以下の情報を伝えておくと当日の話し合いがスムーズになります。
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事務所によっては、休日やオンライン面談に対応しているところもあります。
相談日時が決まったら、当日までに相談内容に関わる資料を整理し、問題の経緯を時系列でまとめ、弁護士に聞きたいことをリストアップしておきましょう。
相談時間は限られているため、以下のような資料を準備しておくと、現状を正確に弁護士へ伝えられるため、より的確なアドバイスをもらえます。
権利関係書類 | 特許証、商標登録証、意匠登録証、著作物の現物やデータなど |
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契約書 | ライセンス契約書、秘密保持契約書、共同開発契約書など |
侵害の証拠 | 模倣品の写真や現物、無断転載されているWebサイトのURLやスクリーンショット、相手方とのやり取り(メール、手紙など)、受け取った警告書、送付した警告書など |
関連情報 | 自社の商品カタログ、Webサイト情報、相手方の企業情報、商品情報など |
その他 | 問題の経緯を時系列でまとめたメモ、弁護士に聞きたいことのリストなど |
予約した日時に弁護士と面談し、準備した資料に基づいて相談内容を説明します。
直接話すことで、これまでわからなかった実際の弁護士の雰囲気や人柄もわかります。
このとき「何だか話しにくい…」「本当のことを言いにくい」と感じる場合は、相性が悪い可能性があるため、ほかの弁護士に相談して比較してみるのもおすすめです。
また、弁護士からの質問には正直かつ正確に答えることが重要です。
たとえ自分に不利と思われる情報でも隠さず伝えることで、弁護士は適切な法的判断や見通しを立てやすくなります。
嘘をつくと、弁護士との信頼関係を損なうだけではなく、大きな方針転換も必要になる可能性があるので注意が必要です。
弁護士から、相談内容に基づき、問題解決のための具体的な方針(法的手段、今後の進め方など)と、それに伴う費用の見積もりが提示されます。
依頼する前に、対応内容と費用について十分に説明を受け、理解し、納得してから契約をすることが重要です。
見積書の内容をよく確認し、不明な点がある場合は遠慮なく質問しましょう。
弁護士から提示された方針と見積もりに納得できれば、弁護士と委任契約を締結します。
委任契約書には、弁護士の業務範囲や費用などが明記されていますので、契約内容をよく確認し、不明な点は質問してから契約しましょう。
委任契約を締結し、通常は着手金を支払うことで、正式に弁護士による事件対応が開始されます。
その後は弁護士と密に連携を取りながら、方針に沿って具体的な対応が進められます。
知的財産は、事業の成長と競争力の源泉となる大切な資産ですが、その権利は侵害されやすく、また、知らずに他者の権利を侵害してしまうリスクも常に存在します。
模倣品問題やコンテンツの無断利用といったトラブルに直面したとき、あるいは自社の技術やブランドを法的にどう守り、活用していくかという戦略を考えるとき、専門家である弁護士のサポートは不可欠です。
弁護士は、あなたの権利を的確に守り、法的リスクを最小限に抑え、事業の発展を力強く後押しするパートナーとなり得ます。
まずは信頼できる弁護士に相談し、具体的な解決への一歩を踏み出すことが重要です。
本記事は企業法務弁護士ナビを運営する株式会社アシロ編集部が企画・執筆いたしました。
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