
近年、さまざまな業界で定額制のサブスクリプションサービスが広がりを見せています。
弁護士業界にもその波が到来し、「弁護士のサブスクリプションサービス」を提供する法律事務所が増えました。
弁護士のサブスクを利用すれば、これまで以上に気軽に弁護士のサポートを受けられるので、多くの企業・法人にとっては大きなメリットがあるでしょう。
一方で、従来の顧問弁護士制度との違いがわからず「どちらを利用すべき?」といった疑問を抱えている法務担当者も多いでしょう。
サブスクサービスと顧問弁護士には違いがあるので、両者の違いを把握し、最適なサービスを選ぶことが重要です。
本記事では、弁護士のサブスクの特徴や利用するメリット、また顧問弁護士との違いについて詳しく解説します。
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弁護士のサブスクとは?定額制で弁護士のアドバイスやサポートが受けられる
弁護士のサブスクとは、月額料金を支払うことで一定の範囲内で法律に関するアドバイスやサポートを受けられるサービスです。
企業だけでなく、個人でも利用できるプランもあり、法的なリスクに備える手段として注目されています。
弁護士サブスクの大きな特徴は、必要なときにすぐに弁護士に相談できる点です。
事前に契約しておけば、法的トラブルが発生してから慌てて弁護士を探す必要がなくなるので、迅速に対応することができます。
顧問弁護士や弁護士のサブスクを契約する共通のメリット
顧問弁護士や弁護士のサブスク(弁護士との継続契約)に共通するメリットは、主に以下の6点です。
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ここからは、それぞれのメリットを詳しく解説します。
法律に関する疑問・問題について気軽に相談できる
弁護士と継続契約を結んでいれば、日常業務で生じた些細な疑問でも気軽に相談することができます。
日常業務においては、契約書の締結やコンプライアンス研修の実施など、さまざまな法律の問題に直面します。
その都度弁護士に相談の予約を取るのは手間がかかるので、「このくらいのことなら相談しなくてもいいか」と思ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、些細なことが後々大きなトラブルにつながることも多いため、サブスクなどで常に弁護士に相談できる環境を整えておくことが大切です。
法的なトラブルが発生した際に、被害をおさえやすい
弁護士との継続契約を結んでいると、法律トラブルに迅速に対応できるのも大きなメリットです。
SNSでの誹謗中傷、消費者からのクレームなどは、企業側が細心の注意を払っていても発生してしまう可能性があります。
その際、初動で誤った対応をしてしまうと、トラブルがさらに拡大し、企業にとって重大な損害を引き起こすかもしれません。
その点、弁護士と継続契約を結んでいれば、自社の業務内容などを把握してくれているので、トラブルが発生した際に素早く対応してくれます。
結果として、被害が最小限におさえられるでしょう。
法的リスクを軽減するための予防や対策に関するアドバイスが受けられる
弁護士と継続契約を結んでいれば、会社の特徴やこれまでの経験を踏まえたうえで、「こういうトラブルが起きそうだから、あらかじめこうしておくとよい」といった具体的なアドバイスがもらえます。
トラブル発生後の対応ももちろん重要ですが、会社を安定して運営していくためには、そもそもトラブルを起こさないことが重要です。
また、弁護士は普段から多くの企業の法律相談に関わっているため、法的な話題やニュースなどを共有してくれます。
自分たちでは気づきにくい危険なポイントにも気づいてもらえるので、リスク管理にも役立つでしょう。
自社に適したアドバイスが受けられる
弁護士と継続契約を結ぶと、弁護士が自社の業務内容や経営方針、組織体制などを把握してくれます。
そのため、一般的な法的助言にとどまらず、自社の業種や事業の特性、現在の課題などを踏まえた、より実情に即したアドバイスを受けられるのもメリットといえるでしょう。
企業との関係が継続しているからこそ、将来の展望や経営戦略に沿った視点からの提案も期待できます。
法務部を設置するよりコストをおさえられる
弁護士との継続契約は、費用を抑えつつ法律トラブルに対応できる点も大きなメリットです。
社内に法務部を設置するとすれば、準備費用や専門的な知識を持った人材の採用、毎月の人件費、教育費用など、さまざまなコストが発生します。
とくに中小企業やまだ社内に大きな法務体制が整っていない企業にとっては、設置するのは大きな負担になるでしょう。
弁護士と継続契約を結ぶことで、法務部を設置せずとも必要なときに法的アドバイスを受けられるので、結果としてコストをおさえることにもつながります。
問題が発生するたびに弁護士を探したり契約したりする手間が省ける
法的トラブルが発生した際、これまでに相談したことのある弁護士に引き続き相談できるケースもあるでしょう。
しかし、弁護士がすでに競合他社から相談を受けているなどの事情があれば、利害関係を理由に依頼を断られてしまうかもしれません。
弁護士と継続契約を結んでいれば、依頼を断られることが少なくなるので、必要なときにすぐ相談できる体制を整えられます。
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弁護士のサブスクと顧問弁護士の違い
弁護士のサブスクと顧問弁護士とでは、主に以下の3点が異なります。
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違いを理解して、自社にとってどちらを利用するのが好ましいか判断しましょう。
弁護士のサブスクは顧問弁護士に比べ料金をおさえられる傾向がある
弁護士のサブスクは、従来の顧問契約に比べて低額なことが多いです。
そのため、スタートアップ企業や個人事業主など、法務にあまり予算をかけられない場合でも利用しやすいでしょう。
顧問弁護士のほうが弁護士のサブスクに比べ柔軟なサービスの提供が可能
弁護士と顧問契約を結んでおけば、サブスク型のサービスに比べて、より柔軟で幅広い内容に対応してもらえることが多いです。
顧問契約では、契約書のチェックや法律相談といった日常的な業務だけでなく、企業の状況に応じて個別の対応が求められるような複雑な案件にも対応してもらえます。
専門的なアドバイスや支援が必要であれば、顧問契約を締結したほうがよいでしょう。
弁護士のサブスクは、長期契約の縛りを受けにくい
弁護士と顧問契約を結ぶ場合、契約期間は1年程度に設定されるのが一般的です。
一方、弁護士のサブスクでは、1ヵ月単位で契約できるものが多いです。
そのため、期間の縛りを気にせず、自分に合ったサービスを試しながら利用できます。
顧問契約を結ぶべきかどうか悩んでいる場合でも、手軽に利用できる点がメリットです。
弁護士のサブスクは料金の相場がどのくらいになる?
弁護士のサブスクの料金は月額数千円〜3万円以上、顧問契約の料金は月額5万円〜10万円程度が相場です。
料金相場に幅があるのは、選ぶプランによって受けられるサービスの内容が変わるためです。
なお、最近では複数のプランを用意している法律事務所も増えてきており、自分のニーズに合ったプランを選べるケースもあります。
弁護士のサブスクサービスをつかうときの注意点
弁護士のサブスクにはさまざまなメリットがある一方で、利用に際して注意すべき点もあります。
以下では、主な注意点を2つ紹介するので、確認しておきましょう。
一般的なサブスクサービスのような「使い放題」ではない
弁護士のサブスクは定額制で提供されるため、「使い放題」のように感じるかもしれません。
しかし、実際には全てのサービスが無制限に利用できるわけではありません。
月に利用できる法律相談や契約書チェックの件数が決まっているほか、サービスの利用時間に上限がある場合もあります。
また、特定のサービスがプランに含まれていない場合や、追加料金が発生するケースもあるので注意しましょう。
自社にとって十分なサービスが含まれているか、契約前にしっかりと確認することが大切です。
サブスクサービスの範囲外で個別の案件を依頼する際は別途費用が必要
弁護士のサブスクは、日常的な法律相談や定型業務には定額料金で対応しますが、特定の個別案件に対しては追加費用がかかることが一般的です。
たとえば、訴訟対応や裁判所への出廷、M&Aや企業再編などの大規模なプロジェクトに関する法的サポート、高度な専門知識を要する法的問題の処理などには、追加料金が発生する場合があります。
想定される相談内容によっては、顧問契約のほうが適していることもあります。
弁護士に対応してもらいたい業務範囲をあらかじめ明確にしておきましょう。
さいごに|弁護士のサブスクサービスは特徴や注意点を把握してから検討しよう
弁護士のサブスクは、月額定額で法的相談やアドバイスを受けられるサービスです。
顧問契約より低コストで、利用頻度に応じた柔軟なプランを選べるため、とくに弁護士の利用頻度が低い企業や個人にとって使いやすいサービスといえるでしょう。
しかし、全てのサービスが無制限に利用できるわけではなく、追加費用がかかる場合もあります。また、特定の案件や高度な法的対応には別途料金が発生することも多いです。
事前に対応範囲や料金体系を確認したうえで、ニーズに応じたサブスクサービスを選ぶようにしましょう。
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