顧問弁護士のメリット・デメリット|利用を検討すべきタイミングとは

専門家監修記事
コンプライアンスなどに対するニーズの高まりを受けて、会社が特定の法律事務所と契約を結ぶ、『顧問弁護士』を活用して業務を行うことが増えてきています。この記事では、顧問弁護士のメリット・デメリットや活用場面、顧問弁護士の選び方についてご紹介します。
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
顧問・セカンド顧問

顧問弁護士との契約を考えていても、本当に必要か確信が持てない、具体的にどのようなメリットがあるのかわからない人が多いかと思います。顧問弁護士は、普通の弁護士のように「問題があるから相談を受ける」こともしますが、基本的には、何も問題が起きないよう法的なリスクを管理し、予防を行う弁護士です。

 

この記事では、顧問弁護士の役割について以下のような事をご紹介します。

  • 顧問弁護士と契約するメリット・デメリット
  • 弁護士の選び方
  • 顧問弁護士に依頼する際によくある質問

顧問弁護士と契約する8つのメリット

顧問弁護士を雇うメリットとして、主に以下のようなものがあります。

  1. 法的トラブルについて気軽に相談できる
  2. 緊急を要するかの判断が可能
  3. 法的トラブルへの事前予防が可能
  4. 法務部を設置するよりも安価
  5. 弁護士を探す手間が省ける
  6. 優先して相談できる
  7. 自社のニーズに即したアドバイスが受けられる
  8. コンプライアンスの取り組みへの対応

それぞれで、具体的にどのようなことをしてもらえるのかについてご紹介します。

法的トラブルについて気軽に相談できる

企業が抱える法的トラブルにはさまざまなものが存在します。例えば、取締役会・株主総会などに関連する会社内のガバナンス問題から、取引の相手方との契約問題、消費者へのクレーム対応、SNS等による名誉毀損問題、会社の買収問題など、多種多様です。

 

このようなことについて、問題の大小にかかわらず気軽に相談できるのが、顧問弁護士のメリットです。大きい問題であれば、顧問弁護士がいなくても普通の弁護士に相談すると思いますが、小さな不安などは相談しにくいでしょう。

 

しかし、放置しておいた結果、大きな問題に発展するケースは多々あり、甚大な被害・手間・費用が掛かってしまうこともあります。顧問弁護士がいれば、最小限で解決することが可能です

こんなことも相談できます!

顧問弁護士には、以下のようなことも相談できます。

緊急を要するかの判断が可能

法的トラブルは、早期に対処することで時間や費用を節約できるケースが多く、対処が必要な案件なのか、そうでないのかには慎重な見極めが必要です。

一方、顧問弁護士がいる場合には、日常的に発生するトラブルについて、逐一連携を取って相談し、どのように対処するべきなのかを検討することが可能になります。

顧問弁護士を日常的に活用し、さまざまな法的トラブルを気軽に相談することで、誤った対応によりトラブルが肥大化し、時間や費用が浪費されてしまうことを防ぐことができます。

法的トラブルへの事前予防が可能

顧問弁護士がいることで、法的トラブルの発生を事前に予防することが可能です。

例えば、他社と契約を締結する際に、その相手企業の財務状況に先行きの不透明性があっても、自社にとって不利な状況にならないように契約内容を吟味し、スキのない契約書を作成することで、契約後に発生しうるトラブルを未然に防ぐことができます。

顧問弁護士は、トラブルが発生した後だけでなく、トラブルが発生する前にも日常的な契約書の作成やチェック、会社のコンプライアンスの確認などに活用することで、法的トラブルの発生を事前に予防することができます。

法務部を設置するよりも安価

法務部を設置するにあたっては、当然、新しい部署の設置費用や人件費などが必要になります。

企業自身ですべての法的事務を担当するより、一部の業務を弁護士に委託する方が、一般に安価であるといえるでしょう。

弁護士を探す手間が省ける

顧問弁護士がいないと、事案ごとに契約する弁護士を探さなければなりません。

顧問弁護士でなくても、継続的に付き合いのある弁護士に依頼するケースもあると思いますが、その弁護士が既に相手側の当事者から相談を受けている、または仕事を依頼されている、など自分との間に利害関係が生じている場合には、仕事を受けることができません(参考:弁護士職務基本規定第二十七条・第二十八条)。

そのため、事案によっては日頃から依頼している弁護士に断られる可能性もゼロではありません。

優先して相談できる

一方、顧問弁護士の場合には、常に会社とその弁護士が委任関係にあると認められ、通常顧問をしている会社の弁護士業務が優先されるので、相手側と重複する心配はありません。

顧問弁護士なら、日頃から会社のことも熟知しており、既に信頼関係も築けているので、弁護士を探す手間が省け、迅速に法的トラブルに対処していくことができます。

自社のニーズに即したアドバイスが受けられる

顧問弁護士は、顧問をする会社の状況を細かく把握しているので、その会社のニーズに即したアドバイスをすることができます。

顧問弁護士によっては、一般的な法的アドバイスはもちろん、その会社のためにより踏み込んだアドバイスをしてくれるかもしれません。そうすれば、会社の運営にとっても強力な助っ人になり得ます。

コンプライアンスの取り組みへの対応

顧問弁護士はコンプライアンスの取り組みへの対応も可能です。

例えば、株主総会は、会社法上細かな条件設定がされているため、複雑で紛糾しやすく、株主などから『株主総会無効』を提議されるといったトラブルが発生しやすい状況にあります。

顧問弁護士がいれば、会社の運営・管理状況について確認してもらうことで、会社の業務遂行がコンプライアンス関連の対応でストップしてしまうことを防止できます。

また、仮に会社でコンプライアンス違反が発生した場合でも、取締役などの経営陣は、弁護士に相談していたことを理由に、善管注意義務違反が否定されることもあります。  

顧問弁護士を雇うデメリット

顧問弁護士を雇うデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。

月額の顧問料が発生する

顧問弁護士は、通常月額の顧問料が発生します。毎月の固定コストが会社の負担になるかもしれません。

顧問料は月3〜5万円程度

会社の規模や、依頼する弁護士・法律事務所によっても異なりますが、顧問弁護士の顧問料は毎月3〜5万円程度と定めている場合が多いようです。

これを高いと感じるか、安いととるかは、会社の規模や財務状況により異なるでしょうが、前述の顧問弁護士によるメリットを多く享受できることを考えると、その費用対効果は大きいといえるでしょう。
 

顧問料以外にかかる費用

また、顧問料以外にも、業務に応じて費用が発生します。例えば、訴訟対応などをする場合には、別途料金が発生するといった契約が一般的なようです。

もっとも、顧問弁護士であれば、通常の依頼料金よりも割引されたり、その弁護士が持つほかの案件よりも優先的に対応してもらえたりするので、月額の顧問料を支払うことが一概にデメリットとはいえないかもしれません。
 

利用頻度が少ないと無駄なコストに

毎月の顧問料が発生する顧問弁護士は、その顧問料に見合う頻度で利用しないと、余分なコストとしての意味合いが強くなってしまいます。

月額顧問料制の弁護士は、利用頻度が多くなると予想される会社にとっては費用対効果が高いのですが、その逆の場合には費用対効果が下がることになるため、注意が必要です。

利用シーンがさほど多くなければタイムチャージ制を利用しよう

顧問弁護士の受任では、月額顧問料制を採用している法律事務所が多いですが、一方で、利用した時間分のみ料金が請求される、タイムチャージ制を採用するところもあります。

会社に合った料金体系を採用する弁護士に顧問を依頼することが重要だといえるでしょう。  

顧問弁護士がいると役立つ・安心できるケース

顧問弁護士がいると、役立つ・安心できるケースは数多くあります。

複数事案に包括的に対応してもらえる

例えば、自社製品の欠陥による損害賠償請求などは、複数の消費者から別々に行われることが考えられます。このような場合に、事案ごとに対応を弁護士に依頼をすると、その都度、着手金などの費用が発生する可能性があります。

一方、顧問弁護士に依頼すれば、契約次第で複数事案に対しても追加費用なしで、包括的に対応してもらうことが期待できます。

事業・経営の相談にも応じてもらえる

顧問弁護士に相談できるのは、法的なトラブルについてのいわゆる『法律相談』だけではありません。

そもそも、会社の資金集めを始めとする会社の業務は、会社法などの法規制下にあります。また、下請けの会社や特定の業種の会社に対して、法律上の優遇措置が行われていることもあります。

こうした法的な知見を生かし、顧問弁護士は事業や経営などについてもアドバイスをすることが可能です。顧問弁護士の視点を導入することで、会社の業務改善に役立てることが可能なのです。

M&Aや事業承継時の対応も可能

M&Aや事業承継を行う場合には、株主や会社債権者、相手方の会社の利益を保護するため、さまざまな手続きを履践することが会社法などにより要求されています。手続きを行っていく中で、幅広い関係者に対しての説明などの対応も求められることになります。

このような手続きにミスが生じた場合、合併などが無効になり、双方の会社に大きな損害が生じることにもなりかねません。

M&Aや事業承継などによりほかの会社と合併する場合にも、顧問弁護士は従来どおり、会社の利益を保護するために対応してくれます。

契約関係の手続きにも迅速に対応

経営を行っていく中では、ほかの会社に対して優位に立つためにも、スピード感のある意思決定が求められます。新たな契約を締結する際に、その都度、弁護士と委任契約を結び、契約書の確認を依頼すると時間がかかります。そうすると、ビジネスチャンスを逃す結果にもなりかねません。

既にあなたの会社のことを熟知している顧問弁護士であれば、すぐに契約書の確認を依頼できるのはもちろん、確認自体もスピーディーです。

また、契約交渉中に新たな契約条項が加わった場合などにも逐一、確認が可能です。 このように、契約関係の手続きにも迅速に対応することで、他社との差別化を図ることも望めるでしょう。  

どんな弁護士と顧問契約を選べばよいか?

顧問弁護士を選ぶにあたっては、以下のポイントに着目しましょう。

自社の業界・事業への理解や知見があること

顧問弁護士に、自社の業界・事業への理解や知見があることが重要です。いわゆる『業界の常識(慣習)』を知っておくことは、法律の解釈や、実際に生じた法的なトラブルに対処する際に役に立ちます。

顧問を依頼したい弁護士に、同じ業界に関わる事件の紛争解決実績や、同業他社での顧問経験があるかなどを確認してみましょう。

説明がわかりやすいこと

弁護士は皆、法律の専門家です。しかし、企業法務を顧問弁護士に依頼したからといって、弁護士にすべてを丸投げできるわけではありません。 最終的な意思決定は、依頼者である会社、つまり経営者が行うことになります。

ですので、現在抱えている法的なトラブルがどのような状況にあるのか、裁判となった場合には判決の行方はどうなりそうかなどを、弁護士に的確に、わかりやすく説明してもらえることが大切です。

レスポンスがよいこと

法的トラブルに対処する際は、そのスピード感が大切です。顧問弁護士の対応が遅いと、返事が来るまで経営がストップしてしまうことになりかねません。

顧問弁護士とは合意すれば、相談から一定期間以内に回答をしてもらう、などの契約を結ぶことも可能です。また、休日などの対応が可能な弁護士もいます。 自社の利用ニーズに合った対応をしてくれる顧問弁護士を探すことが重要だといえるでしょう。  

まとめ

この記事では、顧問弁護士のメリット・デメリットや活用場面、顧問弁護士の選び方などについてご紹介しました。

顧問弁護士をうまく活用できれば、会社に大きなメリットをもたらすことができます。この記事を参考に、顧問弁護士を企業に導入するべきか、ぜひ一度ご検討ください。

 

 

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