弁護士に債権回収を相談するメリット|解決事例つき

専門家監修記事
債権回収は弁護士を通して行うことで、驚くほど簡単に相手が支払いに応じることがあります。この記事では相談窓口や相談するメリット、実際の解決事例などをご紹介していきます。
阪神総合法律事務所
曾波 重之
監修記事
取引・契約

企業間の債権回収は、弁護士に相談し催告書を送付してもらうことで、今まで支払いに応じなかった相手が、すぐに応じることもありえます。また、債権回収にはさまざまな対応方法があり、ケースごとに適切な手段で行っていかなければなりません。

  • 催告書の郵送
  • 相手先との交渉(公正証書の作成)
  • 仮差押えの申立て
  • 裁判手続きの実施(民事調停・支払督促・訴訟など)
  • 強制執行の実施

例えば、証拠などの面で不利な立場にいるにも関わらず、裁判を行ってしまうと最悪全額回収できないことになりかねません。そのような事態を回避するためにも、弁護士への相談が重要になります。

この記事では、債権回収を弁護士に相談する際のメリットや費用など、依頼時のポイントについて解説します。

【アンケートに答えて無料モニター応募!】2022年4月施行のパワハラ防止法についてのアンケートにご回答いただいた企業様へ、抽選で「パワハラ防止法対策ツール(当社新サービス)」の無料モニターへご案内させていただきます。アンケートはこちら

債権回収を弁護士に相談するメリット

ここでは、債権回収を弁護士に相談するメリットについて解説します。

企業状況に合った対応方法を提案してもらえる

債権回収にあたっては、交渉や民事調停、支払督促や訴訟など様々な対応方法があります。

対応内容によっては、多くの時間・労力が取られるだけでなく、望ましい結果が得られないこともあるため、自社だけでなく相手先の状況も踏まえて適切に選択する必要があるでしょう。

弁護士であれば、これまでの経験やノウハウなどを活かして、企業状況に合った対応方法を提案してもらうことができるため、自力で対応するよりもスムーズな問題解決が望めます。

幅広いサポートが受けられる

債権回収の相談先としては、弁護士のほかに、債権回収会社(サービサー)や認定司法書士などもあります。

しかし債権回収会社の場合は、回収できる債権が限定されている上に、請求手続きや交渉などの法律事務は対応していません。また認定司法書士の場合は、対応範囲が「債権総額140万円まで」と限定されており、140万円を超える場合は依頼できません。

弁護士であれば、債権種類や債権額などの対応制限がない上に法律事務も行うことができるため、裁判時の書類作成や訴訟時の出廷代理など、債権回収に関する幅広いサポートが受けられます。特に弁護士は法律知識・経験が豊富であるため、法的手段の実施時は心強い味方となるでしょう。

時間的負担・精神的負担が軽減できる

債権回収を行う際は、書類作成や裁判手続きなどの対応が必要となるため、これまで債権回収を行ったことがない場合は、予想以上に時間・労力がかかることもあります。

また、これまで懇意にしていた取引先に対して債権回収を行う場合など、対応時に一定の配慮が必要なケースもあります。

弁護士であれば、各手続きの代理を依頼することができるため、対応にかかる時間的負担だけでなく精神的負担も削減でき、本業に注力することができます。

今後、未回収債権が発生しなくなる対策を相談できる

弁護士には、現在発生中の問題だけではなく、今後、未回収の債権が発生しないよう対策やリスク管理を相談・依頼することができます。具体的には、契約書やお金の取引体制の見直しや変更などが挙げられます。

企業間の債権回収に成功した解決事例

弁護士に相談したことで、債権回収に成功した事例についてご紹介します。

弁護士名からの催告ですぐに応じてもらえた事例

今まで支払いを拒んでいましたが、「売掛金の全額支払いの請求」「誠意ある対応がない場合、法的処置を行う」旨を記載した催告書を弁護士名入りで送付したところ、相手側企業の代表者様からすぐに連絡を頂くことに成功しました。

相手側の経済状況により、分割支払いに応じる代わりに、代表者様に個人保証をつけることで和解に至りました。その結果、滞納されることなく、数ヶ月で全額回収に成功した事例です。

裁判で負ける可能性のある債権を最大現回収できた事例

実際、契約と履行内容に相違点があり、裁判を行った場合、債権者側が負ける可能性がありました。そのため、裁判を行わず粘り強く交渉を行うことで、300万円の回収に成功できた事例です。

このように、最適な方法で債権回収することでより多くの債権回収を行うことが可能です。

債権回収を弁護士に相談する際の費用

債権回収を弁護士に相談する場合、相談料・着手金・報酬金などの費用が発生します。ここでは、各費用の中身や相場などについて解説します。

相談料

相談料とは、弁護士に法律相談する際に発生する費用です。

相場としては5,000円/30分程度ですが、事務所によっては無料相談を実施しているところなどもあります。

着手金

着手金とは、弁護士に案件を正式依頼する際に発生する費用です。

相場としては10~30万円程度ですが、特に債権回収については「依頼内容ごとに料金設定している事務所」や「債権額ごとに料金設定している事務所」などがあり、依頼内容だけでなく事務所によっても費用は大きく異なります。具体的な費用が気になる場合は、直接事務所に確認することをおすすめします。

着手金相場|依頼内容に応じた料金設定の場合

依頼内容に応じて料金設定している事務所の場合、着手金相場は以下の通りです。

なお、費用は事務所などによって異なるため、あくまで参考としてご覧ください。

依頼内容

着手金相場

内容証明郵便

1~5万円程度

支払い督促

3~20万円程度

強制執行

5~20万円程度

民事調停・交渉

10~20万円程度

訴訟

10~30万円程度

着手金相場|債権額に応じた料金設定の場合

債権額に応じて料金設定している事務所の場合、着手金相場は以下の通りです。

また、この場合については「債権額のパーセンテージで着手金を算出する事務所」のほか、「債権額に応じて着手金の具体額が設定されている事務所」などもあります。

なお、費用は事務所などによって異なるため、あくまで参考としてご覧ください。

債権額

着手金相場

100万円以下

10万円程度

or請求額10%程度

100~500万円

15~30万円程度

or請求額8%程度

500~1,000万円

30~50 万円程度

or請求額6%程度

1,000~3,000万円

50~100万円程度

or請求額4%程度

3,000万円以上

100万円以上

or請求額2~3%程度

成功報酬

成功報酬とは、弁護士による案件完了後、業務の成功程度に応じて発生する費用です。

相場としては回収額の10~20%程度ですが、着手金と同様に、依頼内容や事務所によって費用は大きく異なります。具体的な費用が気になる場合は、直接事務所に確認することをおすすめします。

また成功報酬については、何をもって成功と判断するのかという点もポイントとなります。

「和解が成立した時点」や「実際に債権額を回収した時点」など、事務所によって成功の定義が異なることもあるため、費用倒れを防ぐためにも依頼前は十分確認しておく必要があるでしょう。

実費

上記費用以外にも、依頼内容や事務所によっては「実費」として費用が加算される場合もあります。債権回収を行う場合に発生する実費としては、主に以下のものがあります。

催告書の発送

  • 内容証明郵便代(1通あたり):1,470円~

公正証書の作成

  • 手数料:5,000~95,000円(債権額に応じて異なる)
  • 印紙税:200~100,000円(債権額に応じて異なる)

仮差押えの申立て

  • 印紙代:2,000円
  • 予納郵券(債権仮差押え):3,000円程度
  • 予納郵券(不動産仮差押え):2,000円程度
  • 予納郵券(不動産仮処分など):1,000円程度
  • 資格証明書(1社あたり):500円
  • 不動産全部事項証明書(1件あたり):500円
  • 登録免許税:債権額の0.4%

支払督促の実費

  • 通常訴訟時の半額の印紙代(債権額に応じて異なる)
  • 予納郵券:4,000円未満(裁判所によって異なる)
  • 資格証明書(1社あたり):500円
  • 連絡用官製ハガキ:50円

訴訟の実費

  • 印紙代(訴額に応じて異なる)
  • 予納郵券:6,000円程度(裁判所によって異なる)
  • 資格証明書(1社あたり):500円

強制執行の実費

  • 印紙代:4,000円
  • 予納郵券:5,000円程度(裁判所によって異なる)
  • 資格証明書(1社あたり):500円

また、仮差押えの申立ての場合は、一時的に担保を立てることを要求される場合が一般的です。担保の額は、債権の種類や額によって大きく増減します。弁護士であれば、経験によりある程度担保の額を予想することができるので、事前に担保の額を聞いておくと良いでしょう。

不動産の強制執行の場合にも、不動産を鑑定するための予納金を要求されることが一般的です。裁判所によって額も様々なので、経験のある弁護士に、事前に聞いておくとよいでしょう。

債権回収を弁護士に相談する際の流れ

債権回収を弁護士に相談する際、主に以下の流れで手続きを進めます。

  1. メール・電話にて弁護士へ連絡
  2. 弁護士による現状や希望内容などのヒアリング
  3. 面談日時の確定
  4. 弁護士との面談
  5. 依頼内容の確定~正式依頼
  6. 弁護士による業務遂行~問題解決

なお面談にあたっては、相手先の企業名債権額などの情報や、納品書請求書などの関係資料を準備しておくことで、スムーズに手続きを進めることができます。

また「面談した弁護士には必ず依頼しなければならない」ということはなく、面談のみの利用も可能です。

債権回収を弁護士に相談する際のポイント

料金体系や対応スピードなど、弁護士ごとに対応内容は細かく異なります。スムーズな問題解決を実現するためには、企業状況ごとに合った弁護士を選ぶ必要があります。

ここでは、債権回収を弁護士に相談する際のポイントを解説します。

債権回収に注力している弁護士を選ぶ

「離婚問題に注力している弁護士」や「交通事故問題に注力している弁護士」など、弁護士ごとに注力分野は異なります。

特に債権回収については、企業状況ごとに取るべき対応が異なるため、早期解決のためには債権回収に関する十分な知識・経験が必要です。依頼時は債権回収に注力している弁護士を選びましょう。

ほかにも、これまでの問題解決実績なども判断材料の一つとなります。注力分野や解決実績については、事務所HPを参照することで確認できます。また、事務所ごとにHPを比較検討するのも効果的です。

説明が丁寧でわかりやすい弁護士を選ぶ

弁護士に依頼することで、交渉や裁判手続きの代理など、債権回収に関するさまざまなサポートを受けることができますが、最終的な意思決定はあくまで依頼者が行います。適切な意思決定を行うためには、債権回収に関する知識のほか、ある程度の法的知識なども必要となります。

依頼時は、「弁護士による説明の分かりやすさ」「アドバイスの具体性」などが判断材料となります。専門用語を極力使わずにわかりやすい言葉を用いて、依頼者の目線に立って具体的なアドバイスを提示してくれる弁護士を選ぶべきでしょう。

無料相談を活用する

事務所によっては、回数や時間に制限を設けた上で無料相談を実施しているところもあり、それを活用するのも効果的です。

事務所HPからもある程度の情報を入手することができますが、話の聞き方や言葉遣いといった対応姿勢や相性など、実際に相談することでわかることもあります。複数の事務所の無料相談を活用し、それぞれの対応を比較するのも有効でしょう。

まとめ

債権回収については、ケースごとに適切な対応方法が異なります。

自力で対応することも可能ではありますが、場合によっては多くの手間・労力がかかるだけでなく、望ましい結果が得られないこともあります。特に「これまで債権回収を行ったことがない」という場合は、債権回収に注力している弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談することで、企業状況ごとに合った対応方法を提案してもらえるだけなく、交渉や裁判手続きなどに関するサポートも受けられるため、自力で行うよりもスムーズな問題解決が望めます。

ただし、問題解決実績や相性などは弁護士によって異なるため、依頼時は事務所HPや無料相談などを活用しながら、依頼内容に合った弁護士を選びましょう。

融資融資でもう悩みたくない方へ【PR】

金融機関で融資を受けられなかった方も、売掛金さえあればファクタリングサービスを受けられます!即日現金化だから、取引先への支払いにも、従業員への給料払いにも間に合います。

まずは、資金をいくら調達できそうか、無料診断はコチラ

ページトップ
貴社の課題解決に最適な
弁護士とマッチングできます
契約書の作成・レビュー、機密性の高いコンフィデンシャル案件、M&A/事業承継など、経営者同士でも話せない案件も、
企業法務弁護士ナビでは完全非公開で相談可能です。貴社の課題に最適解を持つ弁護士、最大5名とマッチングできます。