下請法・取適法(中小受託取引適正化法)の現状【2026年最新データ】
下請法(下請代金支払遅延等防止法)は、2026年1月1日に中小受託取引適正化法(取適法)として改正・施行されました。適用対象の拡大や新たな禁止行為の追加など、委託取引のルールが大きく変わっています。
下請法の運用状況の推移
| 年度 |
勧告件数 |
指導件数 |
原状回復総額 |
| 令和4年度(2022年度) |
6件 |
8,665件 |
- |
| 令和5年度(2023年度) |
13件 |
8,268件 |
約37億2,789万円 |
| 令和6年度(2024年度)※1 |
- |
584者 |
約13億5,279万円 |
出典:公正取引委員会「令和6年度における下請法の運用状況」(令和7年5月)、同「令和5年度における下請法の運用状況」(令和6年6月)
※1 令和6年度は2025年5月公表時点の集計値。令和5年度以前とは集計方法が異なる場合があります。
違反行為の類型別内訳(令和5年度・勧告事案)
| 違反類型 |
件数 |
| 下請代金の減額 |
6件 |
| 購入等強制 |
3件 |
| 返品 |
2件 |
| 不当な経済上の利益の提供要請 |
4件 |
| 買いたたき |
1件 |
| やり直し等 |
1件 |
出典:公正取引委員会「令和5年度における下請法の運用状況」
※令和5年度は勧告13件で直近10年度で過去最高。174の親事業者から6,122の下請事業者に対し原状回復が行われた。
取適法(2026年1月施行)の主な変更点
| 項目 |
旧法(下請法) |
新法(取適法) |
| 法律名 |
下請代金支払遅延等防止法 |
中小受託取引適正化法 |
| 発注者の呼称 |
親事業者 |
委託事業者 |
| 受注者の呼称 |
下請事業者 |
中小受託事業者 |
| 適用基準 |
資本金のみ |
資本金または従業員数(製造委託等300人超 / 役務提供委託等100人超) |
| 価格協議 |
規定なし |
受注者からの価格協議の求めに応じる義務(拒否は違反) |
| 手形払い |
サイト120日以内等 |
手形での支払い禁止(2027年3月末までに紙の約束手形・小切手を廃止) |
出典:公正取引委員会「中小受託取引適正化法(取適法)関係」、中小企業庁「取適法 改正ポイント説明会資料」
下請取引を取り巻く環境の変化
- 令和5年度の勧告件数13件は直近10年度で過去最高であり、公正取引委員会の取締り強化が顕著
- 令和5年度には日産自動車に対する勧告(30億2,367万円返還命令)など、大企業への勧告が相次いだ
- 令和6年度は運送事業者間の取引で勧告2件・指導530件、自動車ディーラー取引で勧告2件・指導160件と、業種別の集中調査が強化
- 取適法の施行により適用対象が従業員基準にも拡大され、従来は下請法の保護を受けられなかった中小事業者やフリーランスも保護対象に
- 価格協議の求めを拒否する行為が新たに禁止され、「言い値」による取引の是正が進む見通し
下請法・取適法で弁護士に相談すべきタイミング
下請法・取適法に関する問題は、放置すると取引関係の悪化や行政処分につながるおそれがあります。以下のような状況では、早期に弁護士へ相談することで、適切な対応が可能になります。
受注者(中小受託事業者)側の相談タイミング
- 発注者から一方的に代金を減額された、または減額を要求された
- 納品後60日を超えても代金が支払われない
- 発注者から不当な返品・やり直しを求められた
- 原材料費や人件費が上昇しているのに、価格交渉に応じてもらえない
- 発注者から自社製品の購入や協賛金の負担を強制された
発注者(委託事業者)側の相談タイミング
- 取適法の施行に伴い、自社の取引条件が法令に適合しているか確認したい
- 公正取引委員会から書面調査(アンケート)が届いた
- 取引先から価格協議の申入れがあり、対応方法を知りたい
- 手形払いを行っており、支払方法の変更を検討している
- 従業員基準の新設により、自社が取適法の適用対象になるか判断したい
その他の一般的な相談タイミング
- 取引先との契約トラブルが発生した場合
- 行政機関からの調査・指導を受けた場合
- コンプライアンス違反の疑いがある場合
弁護士に依頼するメリット
下請法・取適法に関する問題で弁護士に相談・依頼することで、以下のメリットが期待できます。
- 法的リスクの事前回避:取引条件や契約書のリーガルチェックにより、取適法違反を未然に防止
- 専門的な交渉力:法的根拠に基づいた価格交渉や代金回収により、適正な取引条件を確保
- 行政対応の支援:公正取引委員会からの調査・指導への対応を専門家がサポート
- 社内体制の整備:取適法に準拠した社内規程・契約書ひな形の整備を支援
- 紛争の早期解決:代金未払い・不当減額等の紛争を、訴訟に至る前に解決
弁護士費用の目安
下請法・取適法に関する弁護士費用は、案件の内容や複雑さによって異なります。一般的な費用体系は以下のとおりです。
| 費用種別 |
目安 |
備考 |
| 相談料 |
初回無料~30分5,500円(税込) |
当サイト掲載事務所は初回無料相談が多数 |
| 契約書レビュー・作成 |
3万円~15万円程度 |
取適法準拠の取引基本契約書等 |
| 代金回収(交渉) |
着手金10万円~+成功報酬10~16% |
回収金額により変動 |
| 顧問料 |
月額3万円~10万円程度 |
企業規模・相談頻度により変動 |
| コンプライアンス体制構築 |
50万円~200万円程度 |
社内規程整備・研修含む |
正確な費用は各事務所にお問い合わせください。多くの事務所では初回相談時に見積もりを提示します。代金回収では成功報酬型(回収できた場合のみ報酬が発生)に対応する事務所も多く、初期費用の負担を抑えられる場合があります。
下請法・取適法の無料相談窓口
下請法・取適法に関する取引上のトラブルでお困りの方は、以下の窓口で相談が可能です。
企業法務弁護士ナビ掲載事務所
当サイトでは、下請法・取適法に対応できる弁護士事務所を多数掲載しています。初回相談無料の事務所も多く、お気軽にお問い合わせください。
取引かけこみ寺(中小企業庁)
| フリーダイヤル |
0120-418-618 |
| 受付時間 |
平日9:00~12:00、13:00~17:00 |
| 費用 |
無料 |
| 概要 |
全国48か所に設置。下請法・取適法に関する取引上の悩みについて、弁護士等の専門家が無料で相談に応じる。電話・オンライン・対面での相談が可能。 |
出典:公益財団法人全国中小企業振興機関協会「取引かけこみ寺事業」
ひまわりほっとダイヤル(日弁連)
| 電話番号 |
0570-001-240 |
| 受付時間 |
平日10:00~12:00、13:00~15:30 |
| 概要 |
中小企業向けの法律相談。最寄りの弁護士会の相談窓口を紹介。 |
出典:日本弁護士連合会 ひまわりほっとダイヤル
法テラス(日本司法支援センター)
| 電話番号 |
0570-078374 |
| 受付時間 |
平日9:00~21:00、土曜9:00~17:00 |
| 費用 |
無料(収入が一定基準以下の場合、弁護士費用の立替制度あり) |
出典:法テラス(日本司法支援センター)
※法テラスの無料法律相談は主に個人向けの制度です。企業の法務問題の場合は対象外となることがあります。企業の下請法・取適法に関する相談は、取引かけこみ寺(0120-418-618)またはひまわりほっとダイヤルの利用をおすすめします。
公正取引委員会 相談窓口
下請法・取適法でよくある質問
Q: 取適法(中小受託取引適正化法)とは何ですか?
A: 2026年1月1日に施行された、従来の下請法(下請代金支払遅延等防止法)を改正した法律です。「親事業者」「下請事業者」という用語が「委託事業者」「中小受託事業者」に変更され、適用対象が資本金基準だけでなく従業員数基準にも拡大されました。
Q: 取適法で新たに禁止された行為はありますか?
A: はい。中小受託事業者からの価格協議の求めに応じず、一方的に代金を決定する行為が新たに禁止されました。協議の求めを無視したり、繰り返し先延ばしにする行為も違反となります。また、手形での支払いも禁止されています。
Q: 自社が取適法の適用対象になるかどうか、どう判断すればよいですか?
A: 取適法では、資本金基準に加えて従業員数基準が新設されました。製造委託等の場合は従業員300人超、役務提供委託等の場合は従業員100人超の事業者が「委託事業者」として規制対象になります。判断が難しい場合は弁護士や取引かけこみ寺にご相談ください。
Q: 下請代金の支払期日はいつまでですか?
A: 受注者が物品等を納入した日(役務の場合は提供した日)から起算して60日以内のできる限り短い期間内に定めなければなりません。60日を超える支払条件は取適法違反となります。
Q: 取適法に違反するとどうなりますか?
A: 公正取引委員会から勧告を受けると、企業名と違反内容が公表されます。罰金は50万円以下と定められています。また、減額分の返還など原状回復措置が命じられます。令和5年度には約37億円の原状回復が行われており、金銭的影響も大きくなり得ます。
Q: 手形での支払いはいつまでに廃止すればよいですか?
A: 取適法の施行に伴い手形での支払いは禁止されています。紙の約束手形・小切手は2027年3月末までの廃止が求められています。現在手形払いを行っている場合は、早急に現金振込等への切り替えを進めてください。
Q: フリーランスも取適法の保護を受けられますか?
A: フリーランス(特定受託事業者)が中小受託事業者にも該当する場合、取適法とフリーランス・事業者間取引適正化等法(2024年11月施行)の両方が適用される可能性があります。両法が重複する場合の適用関係は個別の事案ごとに判断が必要です。詳しくは弁護士にご相談ください。
Q: 下請法・取適法に詳しい弁護士をどう選べばよいですか?
A: 下請法・取適法の案件実績がある弁護士を選ぶことが重要です。公正取引委員会への対応経験、代金回収の実績、業種固有の知識(製造業・運送業等)を確認しましょう。当サイトでは対応可能な弁護士事務所を掲載していますので、まずは初回無料相談を利用してみてください。
Q: 弁護士費用はどのくらいかかりますか?
A: 案件の内容や難易度によって異なります。契約書のレビューは3万円~10万円程度、代金回収は着手金10万円~が目安です。代金回収では成功報酬型の事務所も多く、初期負担を抑えられます。多くの事務所では初回相談無料で、相談時に見積もりを提示してもらえます。