ソフトウェア契約書(そふとうぇあけいやくしょ)とは、ソフトウェアに関連する契約書のことで、主に開発委託契約や売買契約、保守契約、ライセンス契約等があります。
どの契約書も大きな金額が動きますし、その分内容にも充分な注意が必要となってきます。
よく確認しないで契約してしまうと、後に不利になってしまったり重大な責任を負う結果になってしまいます。
多くの場合は、企業が下請け企業(個人も含む)に依頼をする際に契約書を交わしますが、下請け業者に不利な契約にならないように「下請法(下請代金支払遅延等防止法)」という法律も存在します。
そういった法律も含め、本記事では開発に関する契約書に関して取り上げますので、契約書の基本的な記載事項や重要な事項についてしっかり確認していきましょう。
ソフトウェア制作を依頼する際の契約書
ソフトウェアの制作依頼をする際に締結する契約書として、主に「ソフトウェア開発委託(請負)契約書」といったものが用いられます。
契約書の名称は様々ですが、基本的な記載事項についてはほとんど一緒であり、下記の通りになります。
基本的な記載事項
①総則
契約の目的、適用範囲、委託料や支払い方法、納期等について。
②本件業務の推進体制
役割分担、責任者、担当者等、開発に際しての人員の選任等。
③本件業務
業務の遂行に際しての関係事項等。
④契約内容等の変更等
委託(業務)業務遂行中の契約内容の変更に関する事項等。
⑤資料及び情報の取扱い
開発業務に関する資料及び情報の管理や取扱いに関する事項。
⑥権利帰属
納入物の所有権、特許権、著作権等権利に関する事項。
⑦保証及び責任
納入物に関する保証や責任に関する事項。
⑧一般条項
開発委託(請負)契約に際しての禁止事項、契約解除の事由、トラブル事の損害賠償、管轄裁判所等に関する事項。
別途必要な事項は必ず記載
上記の事項はあくまで基本的な事項であり、ほとんどの場合これらの事項の他に内容に応じて別途必要になってくる事項があります。
そういった事項がある場合は必ず記載するようにしましょう。
ソフトウェア契約書において特に重要な事項
基本的な契約書に記載する事項についてはご理解いただけたかと思いますが、その中で特に重要な事項はやはり金銭面に関する事項になります。
トラブルになる大半の原因がこの金銭面に関することになっており、契約前に十分な確認をしておかないと最悪報酬を受け取れなかったり損になってしまうケースもあります。
業務上の費用の負担について
契約内容にもよりますが、基本的に開発に関係する費用の負担は委託されている側の負担になる場合がほとんどです。
その費用は立て替えて後日精算になるのか、報酬金に全て含まれるのかでだいぶ違います。
後述しますが、「委託」なのか「請負」なのかで違ってきますのでしっかり確認しましょう。
報酬面について
契約時において1番大事になってくるのがこの報酬面についてだと思います。
報酬金の金額、支払い方法については細かく確認しておきたい事項です。
特に支払い方法や支払時期についてはよく確認しておかないといけません。
支払いは一括なのか、時期を定めて複数回に分けての支払いなのかでだいぶ違ってきます。
ソフトウェア契約をする前には綿密な確認を
契約を締結する前には、記載事項について何重にも確認をするようにしましょう。
下請け側に不利な条件になりすぎてしまっているのに気づかずに契約してしまっているケースがあるようです。
下請けに不利な契約内容になっていないか
上記にも書きましたが、表面上はなんともない契約内容でも何かトラブルが起きた際に下請け側に不利な条件になっているケースがあるようです。
例えば、報酬金の支払いが滞ってしまった場合に遅延損害金や損害賠償・慰謝料等の請求ができないとなっているケースもあるようです。
そんな契約内容では委託する側の好き勝手できるような状況になってしまうといっても過言ではありません。
あくまで仕事をお願いする側と受ける側で、できるだけ対等な立場で契約することが重要です。
委任契約か請負契約か
契約の内容が「委託」なのか「請負」なのかで大きく違ってきます。
基本的に「委託」というのは、業務の(事務的な)処理のことについていうもので、報酬もその処理をしてくれる行為に対して支払われるのに対し、「請負」というのは何か依頼されたものを作成し完成させ納品するまでが契約内容になっているのが一般的です。
まとめ
何においても契約書というのは非常に大事なもので、その内容については締結前に充分な精査が必要になります。
特に、ソフトウェア関係は権利関係や納品後の問題に関する責任や保証に関して非常に大事になってきます。
せっかく素晴らしいものを開発しても、契約書の不備により正当な対価や権利を得られないと会社の経営に大きな打撃を与えてしまうことになります。
そういったことを防ぐためにも、契約書の確認を顧問弁護士等にお願いすることをおすすめします。