ベンチャー法務の役割とは?トラブルを防ぐための体制づくりと弁護士選びのポイント

専門家監修記事
後回しになりがちですが、企業成長を支えるためにはベンチャー企業でも法務体制を構築することが重要です。本記事ではベンチャー企業における法務の役割や弁護士選びのポイントについて解説しています。法務体制強化のため、ぜひ参考にしてください。
中村法律事務所
町田 侑太
監修記事
顧問契約

ベンチャー企業を起業したばかりのときや、事業が軌道に乗ってきた段階では、「法務部門を設置したほうがよいのか?」「法務にどのくらい力を入れれば良いのか?」などと悩む方も多いのではないでしょうか。

資金調達や事業の拡大に追われる中で、法務体制の整備は後回しになりがちですが、法務は企業の成長において非常に重要な役割を果たします。

また、法的なトラブルを未然に防ぐ体制を整えることで、企業の安定した成長を支える基盤とすることができます。

そこで本記事では、ベンチャー企業における法務の役割について詳しく解説し、法務体制を強化するために必要なポイントや、どのような弁護士を選べばよいかの具体的なアドバイスをお伝えします。

顧問契約の解決実績が豊富な
無料相談できる弁護士一覧
船井法律事務所
東京都渋谷区渋谷2丁目24番12号渋谷スクランブルスクエア39階
渋谷駅直結◆アクセス至良◆】契約書作成、取引先や従業員とのトラブル対応、知的財産権の保護など◎経営者のブレインとして、法的側面から事業をサポートします。【初回相談無料【顧問先は24時間365日対応】
高井・岡芹法律事務所
東京都千代田区九段北4-1-5市ヶ谷法曹ビル902号室
豊富なノウハウ×具体的なアドバイス×解決スピード
問題社員への対応/解雇・退職交渉労働組合との折衝など◆良き相談相手としてだけでなく、実行支援までトータルサポート◎
【企業・個人事業主からの相談歓迎】直江俊弐法律事務所
東京都千代田区内幸町1-3-1幸ビル9階エキスパートオフィス810

◤当事務所へ初めてのご相談は無料◢契約書作成・チェックに注力│英文契約書にも対応可能◎】弁護士15年以上の経歴とグローバルビジネスの契約書作成の経験を持つ弁護士が対応<顧問契約も絶賛受付中

この記事に記載の情報は2025年04月21日時点のものです

ベンチャー企業の法務に任せられる3つの業務

ベンチャー企業における法務業務は、大きく予防法務・戦略法務・臨床法務の3つに分類できます。

ここでは、それぞれの内容について詳しく説明します。

1.予防法務|紛争やトラブルのリスクを未然に防ぐ業務

予防法務とは、企業が紛争やトラブルに巻き込まれるリスクを未然に防ぐためにおこなう業務です。

具体的には、契約書の作成やレビュー、社内規程の整備、機関法務(株主総会や取締役会の対応)、事業活動における法令遵守状況の確認などが含まれます。

とくに、昨今ではグローバル化が進み、企業の取引先が国内外に広がっています。

海外取引に関する契約条件や規制に適用することも求められるので、企業にとって欠かせない役割といえるでしょう。

2.戦略法務|法務の面から経営戦略の構築を支える業務

戦略法務とは、企業の経営戦略を支えるために法務の知識を積極的に活用する業務です。

具体的には、新規事業の立ち上げやM&A取引、海外進出に伴う法的サポート、知的財産戦略の策定などがあります。

状況によっては、ルールメイキングをリードすることが期待される場合もあります。

企業の競争力を高めるためには、法務の視点を経営戦略に取り入れることも重要です。

また、ベンチャー企業では新規事業の法的側面に重点が置かれることが多いですが、企業の成長を支えるために、知財戦略や法的枠組みの構築が求められます。

3.臨床法務|発生したトラブル・紛争を処理する業務

臨床法務とは、企業内で発生したトラブルや紛争に対応する業務です。

企業にとって、紛争が公になればレピュテーションに大きな影響を及ぼすおそれがあるため、紛争の予防や早期対応が極めて重要になります。

また、些細なクレームや問題であっても、対応を誤ると訴訟に発展するリスクがあるため、迅速かつ適切に対応しなければなりません。

ベンチャー法務の特徴と大手法務との違い

ベンチャー企業の法務部門は、大手企業の法務部門とは異なる特性を持っています。

ここでは、ベンチャー企業の法務部門における特徴や、大手企業の法務部門と比較してどのように異なるのか詳しく見ていきましょう。

ベンチャー法務はひとりで幅広い領域を担当する必要がある

ベンチャー企業の法務部門では、契約書の確認や資金調達、M&A、IPO準備、社内トラブル対応など、企業活動における法務全般が法務担当者の管轄となります。

大手企業の法務部門では、各分野に特化したスペシャリストが多数在籍し、業務が細分化されていますが、ベンチャーではそのような環境は整っておらず、法務担当者が幅広い領域をひとりで担当することが多いです。

そのため、法務担当者は常に新しい知識を学び、自己研鑽を続けることが求められます。

新しい法令をいち早くキャッチアップするなど、自己研鑽ができる人材はとくに重宝されるでしょう。

ベンチャー法務は、大手法務に比べスピード感が求められる

大手企業の法務部門では、プロジェクトの開始に時間がかかり、法律業務にも余裕が生じます。

しかし、ベンチャー企業は意思決定が迅速なので、ベンチャー法務の業務にはスピード感が求められます

また、ベンチャー企業は組織が発展途上段階で、人的資源が限られているため、法務担当者が多くの業務を引き受けることが一般的です。

そのため、法務担当者は会社の全体像を把握し、業務の優先順位を設定して効率的にタスクをこなすことが求められます。

ベンチャー企業の法務と外部弁護士との連携

ベンチャー企業では人的資源が限られていることが多いため、法務業務においては外部弁護士と連携することが非常に重要です。

ただし、企業の成長段階によって外部弁護士との関わり方は異なるので、以下で詳しく解説します。

スタートアップ期は、必要に応じて顧問弁護士に任せる程度で十分

創業初期のスタートアップ期では、法務業務自体が少ないため、顧問弁護士に外注したり、社内の法的知識があるスタッフが対応したりするだけでも十分です。

近年では弁護士の数が増加したため、ベンチャー企業でも比較的簡単に顧問弁護士を見つけられるでしょう。

この段階では、まだ法務部門を設置する必要性は低いといえます。

なお、資金調達に関する法務についても弁護士に対応をしたい場合には、初期の資本政策は非常に重要で、資本政策に失敗すると後々取り返しがつかなくなることもあることから、資金調達に詳しい弁護士をアドバイザーとして迎えるべきでしょう。

公認会計士も一緒にアドバイザーとしてつけると、さらに安心です。

拡大期以降は法務業務が増えるが、全て弁護士に外注するのは現実的ではない

事業を軌道に乗り、プロダクトやサービスがスタートすると、法務業務が増加し始めます。

ベンチャーキャピタルからの出資を受け、IPO準備を意識し始めることも多いでしょう。

IPO準備を進めるには、内部統制の整備が必要です。

優秀なCFOがいれば法務も担当できる場合もありますが、基本的には法務専任者を採用したほうがよいでしょう。

また、以下のようなタイミングで、法務専任者を採用すべきです。

  • 監査法人や証券会社から法務専任者の入社を打診された
  • 月の契約件数が40件を超えた
  • 法務業務が増え、外部弁護士の顧問料が高くなった

状況や内容に応じて外部弁護士への依頼を検討する

法務専任者を採用した場合、法務業務を外部弁護士に依頼するかどうかは、業務負担や企業の成長段階、具体的な状況に応じて判断すべきです。

たとえば、社内で発生する簡易な法務相談への対応や、契約書の管理・更新作業といった日常的な業務は、社内で対応するのが一般的です。

一方で、新規事業における法令への適合性の確認や、企業活動の根幹に関わる重要な契約書の作成・レビューなど、事業に大きな影響を及ぼす可能性がある業務については、外部の弁護士に依頼することが適切でしょう。

このように、法務担当者にはどの業務を社内で処理し、どの業務を外部弁護士に任せるかを的確に判断する能力が求められます。

外部弁護士との適切な連携を保ちながら効率的に業務を進めることが、ベンチャー企業の成長を支える重要な要素となります。

ベンチャー企業の法務と連携する弁護士の選び方

弁護士選びは、ビジネスの成長と安定に大きく影響を与えます。

ここでは、ベンチャー企業が弁護士を選ぶ際に重視すべきポイントを詳しく見ていきましょう。

企業法務に強い弁護士を選ぶ

弁護士は法律事務全般を取り扱うことができますが、全ての弁護士が全ての分野に精通しているわけではありません。

弁護士にはそれぞれ得意とする分野と不得意とする分野があります。

顧問弁護士を選ぶ際には、企業法務を得意とする弁護士や法律事務所を選ぶことが非常に大切です。

企業法務を得意とする弁護士や法律事務所は、豊富な実績と専門的な知識を有しています。

過去の実績をホームページで公開している弁護士や法律事務所も多いため、参考にしてみましょう。

自社のビジネスに理解を示してくれる弁護士を選ぶ

弁護士は、単に法律的なアドバイスを提供するだけでなく、企業の成長を支えるパートナーとしての役割を果たします。

そのため、自社のビジネスモデルや理念、業界特有の課題を理解し、企業の発展を積極的にサポートしてくれる弁護士を選ぶとよいでしょう。

とくに、新しいビジネスモデルを採用している場合、弁護士がビジネスの趣旨や目的に共感し、法的なアプローチに適応できるかどうかが重要です。

自社の事業がどのような方向に進もうとしているのか、そのビジョンに賛同してもらえる弁護士であれば、法的な助言もより適切で実践的になるでしょう。

自社が属する業界に知見のある弁護士が望ましい

一部の業界では、特有の法律や規制があり、これに精通していないと法的なリスクが高まります。

たとえば、医療機器業界では、薬機法などの厳格な法的規制が存在します。

業界固有の法律や規制に精通し、実務経験を積んだ弁護士であれば、これらのリスクを回避できるでしょう。

ベンチャーやスタートアップ企業の支援に積極的

企業法務を得意とする法律事務所の中でも、大企業のみを顧客としている事務所もあります。

そのため、弁護士を選ぶ際はベンチャー企業法務に積極的に取り組んでいるかどうかも確認しましょう。

ベンチャー企業に詳しい弁護士なら、ベンチャー企業におけるビジネス感覚や考え方を理解し、適切なサポートを提供してくれる可能性が高いです。

スピーディーに対応してもらえる

ベンチャー企業では、迅速な対応が求められる場面が多いです。

仮に契約書の確認や修正、取引先との交渉などが遅れてしまうと、ビジネスチャンスを逃す可能性があります。

そのため、素早く対応してくれる弁護士や、事務手続きを効率的に処理してくれる弁護士を選ぶことが重要です。

話しやすいなど、弁護士との相性も大切

企業法務おいては、ベンチャー企業であるかどうかにかかわらず、少しでも気になることや不安に感じることがあれば、気軽に相談できる関係であることが大事です。

無料相談などを活用して、弁護士との話しやすさを確認しておきましょう。

また、法律に関する相談だけでなく、経営や事業戦略についても意見を聞ける関係が望ましいといえます。

弁護士が単なる法律の専門家としてではなく、ビジネスのパートナーとして戦略的なアドバイスを提供してくれることが重要です。

なお、コミュニケーション手段にも注意が必要です。

従来は電話での相談が一般的ですが、最近では、チャットワークやZoomといったITツールを活用することが増えています。

こうしたツールに対応している弁護士を選ぶことで、迅速かつ効率的に連絡を取れるでしょう。

さいごに|ベンチャー法務のサポートは企業法務に強い弁護士へ

ベンチャー企業が直面する法務課題は多岐にわたり、予防法務、戦略法務、臨床法務において迅速かつ適切な対応が求められます。

その点、弁護士に相談することで、企業のビジネス環境を踏まえた実践的なアドバイスをもらえるでしょう。

とくに、ベンチャー企業特有の課題には弁護士によるサポートが不可欠といえます。

信頼できる弁護士と連携し、早期にサポートを受けて企業の法的体制を強化させましょう。

顧問契約の解決実績が豊富な
無料相談できる弁護士一覧
船井法律事務所
東京都渋谷区渋谷2丁目24番12号渋谷スクランブルスクエア39階
渋谷駅直結◆アクセス至良◆】契約書作成、取引先や従業員とのトラブル対応、知的財産権の保護など◎経営者のブレインとして、法的側面から事業をサポートします。【初回相談無料【顧問先は24時間365日対応】
高井・岡芹法律事務所
東京都千代田区九段北4-1-5市ヶ谷法曹ビル902号室
豊富なノウハウ×具体的なアドバイス×解決スピード
問題社員への対応/解雇・退職交渉労働組合との折衝など◆良き相談相手としてだけでなく、実行支援までトータルサポート◎
【企業・個人事業主からの相談歓迎】直江俊弐法律事務所
東京都千代田区内幸町1-3-1幸ビル9階エキスパートオフィス810

◤当事務所へ初めてのご相談は無料◢契約書作成・チェックに注力│英文契約書にも対応可能◎】弁護士15年以上の経歴とグローバルビジネスの契約書作成の経験を持つ弁護士が対応<顧問契約も絶賛受付中

貴社の課題解決に最適な
弁護士とマッチングできます
契約書の作成・レビュー、機密性の高いコンフィデンシャル案件、M&A/事業承継など、経営者同士でも話せない案件も、
企業法務弁護士ナビでは完全非公開で相談可能です。貴社の課題に最適解を持つ弁護士、最大5名とマッチングできます。
弁護士の方はこちら