この記事では契約書を内容変更する方法を解説します。
契約条件の変更などにより、契約書の記載項目の追加・修正が発生した場合、内容変更手続きを行う必要があります。
記載項目の大部分を変更する場合などは、協議を行って一から契約書を作成し直すこともありますが、一般的には変更点について記載した「覚書」という書類が取り交わされます。
なかには、覚書ではなく「変更契約書」「変更合意書」「変更確認書」などの名称が用いられることもありますが、名称はあくまで慣例的なもので効力に違いはありません。「どのような内容が記載されているか」という点がポイントとなります。
契約書内容の変更に伴う覚書の雛形
ケースにもよりますが、契約書を内容変更する場合は以下のような覚書を作成します。
覚 書 A社(以下「甲」という。)とB社(以下「乙」という。)は、令和○○年○月○日に甲乙間で締結した○○契約書(以下「原契約書」という。)について、以下の通り変更することを合意する。 第1条(○○料の変更) 原契約書第○条の○○料「金○○円」を「金○○円」に変更する。 第2条(契約期間の変更) 原契約書第○条の契約期間「令和○○年○月○日まで」を「令和○年○月○日まで」に変更する。 第3条(原契約書の適用) この覚書に定めのない事項については、原契約書のとおりとする。 第4条(効力発生日) この契約の効力は令和○○年○月○日より発生する。 本契約の成立を証するため、本書2通を作成し甲乙両者が記名押印の上、各1通ずつ保有するものとする。 令和○○年○月○日
甲 (住所)○○ (会社名)株式会社○○ (代表者氏名)○○ 印
乙 (住所)○○ (会社名)株式会社○○ (代表者氏名)○○ 印 |
契約書を内容変更する際の流れとポイント
契約書を内容変更する際は、以下の流れで行うのが一般的です。
- 契約書を確認したのち、内容変更について合意を取る
- 覚書を作成する
- 課税文書の場合は収入印紙を貼り付ける
ここでは、それぞれの手順について解説します。
契約書を確認したのち、内容変更について合意を取る
まずは、契約書の契約条件について確認します。内容変更に関する条件が記載されている場合は、記載内容に則って手続きを行う必要があります。
契約条件について確認したのち、双方で変更箇所を確認・共有し、変更手続きを行うことについて合意を取ります。
覚書を作成する
覚書も契約書と同様に契約書類の一つであるため、適正に作成することで契約書と同等の効力を発揮し、トラブルやリスクなどが未然に回避できます。覚書を作成する際は、主に以下の項目について記載すべきでしょう。
- 変更前の契約書の特定
- 変更箇所
- 効力発生日
- 記名押印
また、契約書を作成する場合と同様に「内容に法的問題はないか」「解釈に疑義が生じるような表現はないか」などの点についても注意する必要があります。
課税文書の場合は収入印紙を貼り付ける
作成した覚書が課税文書に該当する場合は、収入印紙を貼り付ける必要があります。
課税文書に該当するかどうかは、その変更契約書に「重要な事項」が含まれているかどうかにより判定することとされています。
すなわち、原契約書により証されるべき事項のうち、重要な事項を変更するために作成した変更契約書は課税文書となり、重要な事項を含まない場合は課税文書に該当しないことになります。
この場合の「重要な事項」とは、印紙税法基本通達「別表第2 重要な事項の一覧表|国税庁」において、文書の種類ごとに例示されています。
1 第1号の1文書
第1号の2文書のうち、地上権又は土地の賃借権の譲渡に関する契約書
第15号文書のうち、債権譲渡に関する契約書
(1) 目的物の内容(2) 目的物の引渡方法又は引渡期日
(3) 契約金額
(4) 取扱数量
(5) 単価
(6) 契約金額の支払方法又は支払期日
(7) 割戻金等の計算方法又は支払方法
(8) 契約期間
(9) 契約に付される停止条件又は解除条件
(10) 債務不履行の場合の損害賠償の方法
また、印紙税額も文書の種類によって異なり、「課税物件表:No.7140|国税庁」または「課税物件表:No.7141|国税庁」から確認できます。
契約書の内容変更が不安な場合は弁護士に相談
契約書を内容変更する上で覚書を作成する場合、契約書と同様に不備なく記載する必要があります。記載内容に不備があると、トラブルが発生した際に予期せぬ不利益を被る可能性があります。
- 「不備なく手続きが進められるか不安」
- 「スムーズに内容変更を行いたい」
という場合などは、弁護士に覚書の作成やチェックを依頼するとよいでしょう。
弁護士であれば、法律の専門家として、適切な対処方法、解決策のアドバイスを受けることができるため、法的トラブルの未然防止も望めます。
ちなみに、覚書の作成を依頼する場合の弁護士費用は5~10万円程度、チェックを依頼する場合の費用は2~10万円程度が相場です。
ただし、細かい料金設定は事務所ごとに異なるため、具体的な費用については直接事務所に確認を取るとよいでしょう。
まとめ
契約書を内容変更する場合は、双方で合意を取った上で、覚書を作成して取り交わします。
覚書の作成方法に関する厳格な決まりはありませんが、「変更前の契約書の特定」「変更箇所」「効力発生日」「記名押印」などの項目は最低限記載し、課税文書に該当する場合は収入印紙も貼り付ける必要があります。