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生成AIの急速な普及により、誰もが簡単に高品質なイラストを作成できる時代が到来しました。
しかし、その利便性の裏側では、著作権をめぐる複雑な法的問題が次々と浮上しています。
「AIが学習したデータの著作権は?」「AI生成物に著作権は認められるのか?」「商用利用しても大丈夫なのか?」——これらの疑問は、クリエイター、AI開発事業者、企業の法務担当者など、あらゆるステークホルダーにとって喫緊の課題となっています。
実際に、海外では大規模な集団訴訟が提起され、国内でも権利侵害を主張する声が高まっています。
文化庁は2024年3月に「AIと著作権に関する考え方について」を公表し、同年7月31日には「生成AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」を公表しました。さらに、2025年5月には文化庁・経産省連名で「AIと著作権に関する関係者ネットワークの総括」が公表され、同年9月には文化庁著作権分科会において「生成AIをめぐる最新の状況について」が取りまとめられています。これら一連の政府の取組みにより法的解釈の輪郭は整いつつありますが、なお実務上の判断に迷うケースは少なくなく、特に生成AIの急速な機能向上がさらなるグレーゾーンを生み続けているのが実情です。
参照:文化庁・経済産業省|AIと著作権に関する関係者ネットワークの総括(2025年5月30日)
参照:文化庁|生成AIをめぐる最新の状況について(2025年9月11日)
本記事では、AIイラストをめぐる著作権の全体像を基礎から実務まで網羅的に解説します。単なる法理論の解説にとどまらず、各ステークホルダーが直面する具体的な課題と、その実践的な対応策まで踏み込んでお伝えします。
まず、前提となる基礎知識として、著作権とAI生成物の著作物性に関する基本的な考え方を解説していきます。
著作権法第2条第1項第1号は、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義しています。
この定義から、著作物として保護されるためには、①思想または感情の表現であること、②創作性があること、③文芸・学術・美術・音楽の範囲に属することという3つの要件を満たす必要があります。
AIが自律的に生成した成果物については、「人の思想または感情の創作的な表現」という要件を欠くとして、著作物性が否定される可能性が高いとされています。
一方、人間がAIをツールとして利用し、その創作過程において具体的な指示や選択・判断を行った場合には、その人間の「創作的寄与」が認められ、著作権が発生する可能性があります。
文化庁「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月)でも、AIによる生成物への著作権の成否はこの枠組みで判断するとされています。
文化庁の考え方によれば、「創作的寄与」があるかどうかは、以下の観点から総合的に判断されます。
たとえば、「青いドラゴンを描いて」という短い指示のみでAIが生成した画像は、創作的寄与が薄く著作権保護が認められにくい一方、詳細なキャラクター設定・構図・配色・光源方向を複数のプロンプトサイクルを経て調整し、最終的な選択・編集まで人間が行った場合は著作権が成立しやすいとされています。
著作権の立証方法
著作権保護を受けるためには、生成プロセスにおける人間の創作的関与の記録が重要です。プロンプトの履歴、修正・選択の過程をスクリーンショットや記録として保存しておくことで、後日著作権の帰属を主張する際の証拠となります。
著作権は、著作財産権(複製権・翻案権・公衆送信権等)と著作者人格権(公表権・氏名表示権・同一性保持権)から構成されます。
著作者人格権のうち、特に「同一性保持権」(著作権法第20条)はAI生成物との関係で問題になる場合があります。AIが既存著作物に改変を加えて出力した場合、著作者の意に反する改変として同一性保持権を侵害する可能性があります。著作権譲渡によっても著作者人格権は移転しない(一身専属権)ため、AI利用において注意が必要な権利です。
AIイラスト生成の文脈では、特に①学習段階における複製権(著作権法第30条の4による制限)と、②生成物による翻案権・複製権侵害の可能性が問題となります。
AIと著作権に関する論点の基本的な整理視点
著作権の全体構造を理解するうえで重要なのは、「学習段階」「生成・利用段階」の二段階に分けて権利侵害リスクを整理することです。学習段階は主に開発者・提供者の問題、生成段階と利用段階は利用者の問題として整理すると、各ステークホルダーがどこで何を注意すべきかが明確になります。
AIイラスト生成ツールは多数存在しますが、それぞれ利用規約や著作権の取扱いが異なります。ここでは代表的なツールの規約を比較し、実務上の注意点を解説します。
| ツール名 | 生成物の権利帰属 | 商用利用 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| Canva | 原則ユーザーに帰属 | 有料プランで明示的に許可 | 「Magic Media」等のAI機能は「AI生成コンテンツ利用規約」が適用。商用利用範囲の制限に注意。 |
| Midjourney | 有料会員はユーザーが著作権を保持(Midjourneyに広範なライセンス付与)。無料プランはCC BY-NC 4.0 | 有料プランで可能(無料プランは商用不可) | 年収100万ドル以上の企業はProプラン以上が必須。生成物を自社モデルの学習データとして利用する条項あり。 |
| DreamStudio (Stable Diffusion) | ユーザーの属地法に基づきユーザーに帰属(モデルライセンスは権利主張を放棄) | モデルライセンス上は可能 | サービスとモデルで法的枠組みが異なる。SDXL・SD3等バージョンごとにライセンス条件が変わる場合あり。 |
| MyEdit | CyberLinkに帰属 | 原則として個人利用目的のみ許諾(商用利用は許諾外) | ユーザーではなく運営会社に権利が帰属する点が他のツールと大きく異なるため要注意。 |
Canvaの利用規約では、AI生成コンテンツについて、ユーザーが生成したコンテンツの権利は原則としてユーザーに帰属します。Canva Proなどの有料プランでは、AI生成物の商用利用が明示的に許可されています。無料プランの場合、一部制限があるため注意が必要です。
また、2024年以降のCanvaでは「Magic Media」などのAI機能が拡張されており、これらの機能で生成したコンテンツについては、Canvaの「AI生成コンテンツ利用規約」が適用されます。商用利用する際は「コンテンツライセンス契約」の最新版を確認し、特に商用利用の範囲(広告・製品パッケージ・大量配布等)に制限がないか確認してください。
参照:Canva|AIサービスに関する利用規約, Canva’s Content License Agreement
Midjourneyは2024年以降も利用規約を複数回改定しており、特にv6以降のバージョンでは生成物の権利帰属について重要な変更が加えられています。
現行規約(2025年時点)では、Basic・Standard・Proプランの有料会員が生成した画像は、Midjourneyに対して広範なライセンスを付与しつつも、ユーザーが著作権を保持します。ただし、無料プランでの生成物はMidjourneyがCC BY-NC 4.0ライセンス下に置くため商用利用が制限されます。
Enterprise向けプランでは商用利用条件がより柔軟に設定されており、年収100万ドル(約1億5000万円)以上の企業はProプラン以上への加入が必須とされています。特に重要なのは、Midjourneyが生成物を自社モデルの学習データとして利用できる条項が維持されている点です。商用利用を前提に使用する場合は、必ず最新の利用規約を確認してください。
参照:Midjourney Terms of Service
Stable Diffusionはオープンソースモデルであり、DreamStudioはStability AIが提供するサービスです。モデルライセンスでは権利主張をしない一方、サービス利用規約ではユーザーが全責任を負うと明記されています。
Stable DiffusionはCreativeML Open RAIL-Mライセンスのもとで提供されており、商用利用は原則として許可されていますが、有害コンテンツの生成禁止等の利用条件が定められています。2024年以降はSDXL(Stable Diffusion XL)やSD3など新バージョンのリリースが続いており、バージョンごとのライセンス条件の変更にも注意が必要です。
参照:Stable Diffusion LICENSE, Stability AI Terms of Service
MyEditは音楽・画像・動画編集のオールインワンサービスです。AI生成機能については利用規約でユーザーへの権利帰属が定められていますが、適法な目的での使用が条件となっています。
【用途別推奨アプローチ】個人的な創作・学習目的では無料プランも活用できますが、商用プロジェクト・クライアントワークでは必ず有料プランを使用し、商用利用が明示的に許可されているツールを選択してください。なお、AIツールの利用規約は頻繁に変更されるため、定期的な再確認(少なくとも四半期に1回)が重要です。

企業がAI生成イラストをビジネスに利用する際は、以下の点を必ず確認してください。①利用するツールの最新利用規約で商用利用が明示的に許可されていること、②ツールが提供する「商用利用可能」の保証の範囲(生成AI特有の著作権侵害リスクについてツール側が何らかの保護を提供しているか)、③外部向け成果物(広告・製品パッケージ等)への使用の場合はリーガルレビューを実施すること。特に広告・マーケティング用途では既存著作物との類似性が問題になりやすいため、法務担当者または専門弁護士への事前相談をお勧めします。
AIイラストをめぐる著作権紛争は、国内外で急増しています。ここでは実務上重要な示唆を含む主要事例を紹介します。
2023年1月、米国でGetty ImagesがStability AIに対し、著作権侵害を理由とした訴訟を提起しました。Gettyは、自社が権利を保有する数百万点の画像がAI学習に無断使用されたと主張しています。同月、アーティストのSarah Andersen氏らがStability AI・Midjourney・DeviantArtを集団提訴しました(その後和解等の手続きが進行中)。これらはAIの学習段階における著作物の無断使用を主な争点とし、現在も訴訟が続いています。
参照:Getty Images (US) Inc v. Stability AI Inc - CourtListener
2025年、Disney、Universal、Warner Brosをはじめとする主要エンターテインメント企業がMidjourneyを著作権侵害で提訴しました。これらの企業は、Midjourneyが自社の著作物を無断でAI学習データとして利用し、著作権で保護されたキャラクターや映像と類似した画像を生成・提供していると主張しています。訴訟規模・影響力ともに大きく、AI学習と著作権の関係について今後の重要判例となる可能性があります。
参照:Warner Bros.らがMidjourneyを著作権侵害で提訴 - Ledge.ai
米国の複数の出版社・著作者がAnthropicを相手取り、AI学習データとして著作物を無断使用したとして提訴し、約15億ドル(約2,200億円)規模での和解が成立しました。本件は、AI学習と著作権侵害の法的責任の大きさを端的に示す事例として注目されます。
2025年、千葉県警が、AI生成画像を利用した著作権侵害事件で書類送致を行いました。これは、国内でAI生成物に著作権が成立しうることが刑事実務上初めて問題となった事例として重要です。具体的には、既存の著作物を学習させたAIが出力した画像を、著作権者の許諾なく商用利用したケースで、AI生成物であっても著作権侵害が成立し得るという実務上の重要な先例となると考えられます。
参照:AI生成画像の著作権侵害で書類送致 全国初 - 日本経済新聞
従前(2024年時点)では、国内において生成AIによる著作権侵害が認められた確定判決はありませんでした。上記千葉県警事案をはじめ、特定クリエイターの作風を精密に模倣したAI生成物の無断商用利用に対して権利者が差止・損害賠償を求める動きが本格化しており、今後は司法判断の積み重ねにより実務的基準が形成されていくものと予想されます。
AIイラストの利用において最も重要な実務的問題が、著作権侵害の成否判断です。侵害となる場合とならない場合の境界線を明確にします。
AIイラストが著作権侵害となるのは、既存著作物の複製権または翻案権を侵害する場合です。
【複製権侵害(実質的同一・酷似)】特定のキャラクターイラストを詳細に説明したプロンプトで生成し、元のキャラクターと同一性が認められる画像を作成する場合、または既存イラストをAIに読み込ませ(image-to-image機能)、色調や細部のみを変更した画像を生成する場合が該当します。判断基準は「既存著作物の表現上の本質的特徴を直接感得できるか」です。
【翻案権侵害】特定のマンガキャラクターの特徴的なポーズ・表情・服装を維持しつつ背景や配色を変更した場合、または有名イラストの構図を維持したまま人物の顔や細部のみをAIで変更した場合が該当します。
著作権侵害の成立には「依拠性」(既存著作物に依拠して創作したこと)の立証が必要ですが、AI生成物の場合は以下の2類型に注意が必要です。
【意図的な依拠】ユーザーが「〇〇(特定作家名)風」や「〇〇キャラクターに似た」などのプロンプトを入力して類似作品を生成した場合、依拠性が認定されるリスクが高いとされています。文化庁の考え方(2024年3月)でも、プロンプトに特定の著作物・作家名を指定することで既存著作物の表現を再現しようとした場合の侵害リスクが明示的に指摘されています。
【非意図的な依拠】ユーザーが意識せずとも、学習データに含まれた著作物と類似する生成物が出力された場合のリスクもあります。この場合、ユーザーよりもむしろAIの開発者・提供者側が依拠性の問題を抱える可能性があります。千葉県警の書類送致事例(2025年)では、AI生成物であっても依拠性が認定され得ることが示されており、今後の判例の動向を注視する必要があります。
【パブリシティ権・肖像権侵害】著作権以外の権利侵害にも注意が必要です。実在の有名人の容姿を無断でAI生成し商用利用する場合などが該当します。
【アイデア・画風レベルの模倣】著作権法は「表現」を保護するものであり、「アイデア」や「画風」自体は保護されません。「水彩画風」「アニメ風」など一般的な画風の指定や、「ファンタジー世界の騎士」などありふれた題材・設定の利用は原則として侵害にあたりません。ただし、「〇〇(特定作家名)風」というプロンプトで、結果的に作風を超えて表現上の特徴を再現してしまった場合は侵害となる可能性があります。
【十分な創作的付加】既存著作物を参考にしても、十分な創作的要素を付加し、元の著作物の本質的特徴が感得できなくなった場合は侵害とはなりません。
【パブリックドメインの利用】保護期間が満了した著作物(パブリックドメイン)を参考にする場合は、著作権侵害となりません。
AI生成イラストを使用する前に、以下の点を確認することで著作権侵害リスクを大幅に低減できます。
ここからは、主なステークホルダーごとに、実務上注意すべきポイントを解説していきます。まず、AI開発者が留意すべきポイントです。
著作権法第30条の4(情報解析のための複製等)により、AI学習目的での著作物の複製は、一定の要件下で著作権者の許諾なく行えます。
ただし、文化庁「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月)は、以下の重要な見解を示しました。
さらに、生成・出力段階では著作権法第30条の4ではなく翻案権・複製権侵害(同法第27条・第21条)が問題となる点にも留意が必要です。開発者は、学習データに特定クリエイターの著作物が過度に集中しないよう配慮するとともに、オプトアウト意思を表明した権利者の著作物を速やかに学習データから除外する体制を整備することが実務上求められます。
海賊版コンテンツを意図的に学習データに使用することは、著作権侵害を構成します。また文化庁の考え方では、著作権者の利益を不当に害する場合として、海賊版サイトのデータを用いた学習が挙げられています。学習データの適法性の審査体制の整備が求められます。
Retrieval-Augmented Generation(RAG)機能では、参照するデータベースに著作物が含まれる可能性があります。参照・出力時に著作物の表現が再現される場合、「非享受目的」という学習段階での権利制限規定の保護を受けられない可能性があります。RAGの設計段階から著作権リスクを検討することが重要です。
文化庁「生成AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(2024年7月31日)は、AI開発者・提供者・利用者・権利者の4区分に応じた具体的な対応事項を整理しています。AI開発者として特に重要なのは、①学習データに関する情報開示の推進(透明性確保)、②著作権者がオプトアウトできる仕組みの整備です。
実務的には、学習データのソース・ライセンス条件を記録し、権利者から削除・除外要請を受けた際にデータを速やかに除去できるデータ管理体制を構築することが求められます。なお、C2PA(Content Credentials)規格に対応することにより、AI生成物の出自情報を証明でき、透明性確保の観点から商業的信頼性の向上にも繋がります。

AI開発者・提供者は、著作権コンプライアンスを早期に経営課題として位置付けてください。2025年の大手エンターテインメント企業による提訴事例が示すように、学習データの適法性確保を怠った場合の法的リスクは甚大です。具体的には、①法務チームとエンジニアチームが連携したデータガバナンス体制の構築、②サービスリリース前の著作権リスクアセスメントの実施、③権利者からの侵害申告に迅速対応できる窓口と社内フローの整備が求められます。
次に、AIツールを使ってイラストを制作・販売するクリエイターの実務上重要な留意事項です。
AI生成物に著作権保護を求める場合、人間による「創作的寄与」の存在が不可欠です。プロンプトの工夫・試行錯誤の記録、複数の生成物の中から特定の作品を選択した経緯の記録、生成後に人間が手を加えた箇所の記録など、創作プロセスのドキュメンテーションを行うことが重要です。
商用利用の可否はツール・プランによって異なります。利用前に規約を確認し、商用利用が明示的に許可されているプランを使用してください。規約は頻繁に変更されるため、定期的な再確認が必要です。また、目的(個人利用・クライアントワーク・公開発表等)に応じてツールを使い分けることが効果的です。
生成されたイラストが意図せず既存著作物と類似してしまう可能性があります。商用利用前に画像検索などで類似作品の存在を確認することが望ましいです。特に特定キャラクター・特定作家名を参照したプロンプトを使用した場合には、類似性チェックを徹底してください。
また、クライアントから依頼を受けてAI生成イラストを納品する際は、成果物がAI生成物であること、使用ツールと規約、類似性チェックの実施状況を業務委託契約書や発注書に明記し、クライアントとの認識齟齬を防いでおくことが重要です。
2024年以降、主要AIサービス各社がAI生成コンテンツである旨のラベリングを義務化または推奨する動きが拡大しています。Adobe Fireflyなどのコンテンツクレデンシャル(C2PA規格)対応ツールを使用すると、生成物に出自情報が自動的に付与され、商用利用時の出所証明が容易になります。
特にクライアントワークでは、C2PA対応ツールで生成した素材を使用することにより、著作権的な透明性を確保できるため、紛争リスクを低減する実務的メリットがあります。また、SNSへの投稿・商用素材への利用においては、AI生成物である旨を明示することが、誤認トラブル防止の観点から推奨されます。なお、利用規約は頻繁に改定されるため、少なくとも四半期に1回は最新規約を確認する習慣をつけてください。

AIクリエイターとして商用利用を行う場合、「どのツールで生成したか」「その時点の利用規約で商用利用は許諾されていたか」を記録しておくことが重要です。後日紛争になった際、この記録が重要な証拠となります。契約書にAI生成物の利用を明記し、依頼者側の同意も取得しておくことも推奨します。
最後に、イラストの原著作者・クリエイター側が、AIによる著作権侵害から自分の権利を保護するためのポイントを解説します。
日本の著作権は「無方式主義」を採用しており、創作と同時に自動的に権利が発生します。権利の存在や帰属を明確にするため、文化庁への任意の登録制度(実名の登録(第75条)、第一発行年月日等の登録(第76条)、著作権譲渡等の登録(第77条))の活用が有効です。
AI時代における登録のメリットとして、①AI生成物との前後関係の明確化(創作時期の証明)、②共同制作時の権利帰属の明確化、③訴訟における立証負担の軽減が挙げられます。
第三者機関によるタイムスタンプサービスの利用、ブロックチェーン技術を活用した証明(NFTなど)、画像ファイルへの著作権情報(電子透かし・メタデータ)の埋め込みが実務上有効です。特にAI学習時にも残る耐久性の高い透かし技術(C2PA等)の活用が注目されています。
自身の作品をAI学習データとして利用されることを拒否する意思表示の方法として、以下が挙げられます。
なお、日本著作権法上、現状ではオプトアウト意思表示の法的効力については解釈が分かれており、立法的解決が議論されています。
現行著作権法上、AI学習データとして使用されることへのオプトアウト意思表示に法的拘束力があるか否かは解釈が分かれています。文化庁の考え方(2024年3月)は、著作権者がオプトアウトの意思を明示している場合、「著作権者の利益を不当に害する」可能性が高まるとの見解を示しましたが、明示的な法的拘束力を認めるには至っていません。

robots.txtによるクロール拒否はAI学習データ収集の一定の抑止力となりますが、AI学習のためのクロールが必ずしもrobots.txtに従うとは限らず、法的効力については現時点で未確立です。実効的な対抗手段としては、①利用規約でAI学習への利用を明示的に禁止する条項の設置、②C2PA等の透かし技術の活用、③著作物の登録(著作権登録・文化庁への任意登録)による権利の可視化、④AI企業に対する直接のオプトアウト申請(主要AI企業が専用フォームを設けている場合あり)が挙げられます。
さらに、法令面の今後の動きを注視しておくことが重要です。
①著作権法改正に向けた議論:文化庁・経産省は2025年以降、AI学習と著作権に関する制度的対応を本格的に検討しています。AI生成物への著作権付与・保護期間・オプトアウト制度の法制化が議題となっており、将来的には大幅な法改正が行われる可能性があります。
②EU AI Act(2024年発効・段階的適用):EU AI Actでは、高リスクAIシステムにおけるAI生成コンテンツのラベリング義務が定められています。日本企業がEU市場向けにAI生成コンテンツを提供する場合にはこれらの規制への対応が必要となり、グローバルなビジネス展開においては各国法制の動向を把握することが不可欠です。
③国際的なAI著作権基準の収斂:米国著作権局・EU・英国・日本それぞれが独自のアプローチを取っており、国際的な基準統一に向けた議論が進んでいます。特に、AI生成物に著作権を認めるか否かについて各国の立場が異なる現状では、国境を越えたビジネスにおいて複数の法制を同時に考慮する必要があります。

AIをめぐる著作権の法的状況は、今後数年で大きく変わる可能性があります。現時点でのグレーゾーンが将来的に明確に違法と判断されるリスクも否定できません。今のうちから著作権コンプライアンス体制を整備し、利用規約・契約書を適時アップデートすることが、変化する法的環境への最善の備えとなります。ご不明な点は専門弁護士への相談をお勧めします。
本記事では、AIイラストをめぐる著作権の全体像について、①著作権法の基礎知識、②主要ツールの規約比較、③最新の紛争事例、④著作権侵害の判断基準、⑤各ステークホルダー(開発者・AIクリエイター・原著作者)の実務上のポイントという観点から解説しました。
AIイラストをめぐる著作権の法的状況は現在も急速に発展しており、文化庁の考え方や海外の判例が実務の指針となっています。
生成AI利用の基本原則
これらの基本原則を守ることが、法的リスクを最小化する上で不可欠です。
重要な判断に迷う場合や、具体的な案件で法的リスクが懸念される場合は、必ず知財に詳しい弁護士など専門家に相談することをお勧めします。
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