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ネットの誹謗中傷に悩まされ、費用面で相談をためらっている方は少なくありません。個人の被害だけでなく、企業の広報担当としてコストパフォーマンスを気にする立場の方もいるでしょう。
結論から言うと、弁護士費用は依頼内容によって数万円から100万円以上まで幅があります。削除だけなのか、投稿者の特定や慰謝料請求まで求めるのかによって、必要な手続きが変わってくるためです。
本記事では、ネット誹謗中傷の弁護士費用の内訳や依頼内容別の相場、具体的な費用例に加え、弁護士に依頼するメリットまで解説します。
弁護士費用は、相談料や着手金などいくつかの項目にわかれており、事務所によって金額の設定もさまざまです。ただし、料金体系のベースとなる基準はどこも共通しているため、内訳を押さえておけば見積もりの比較がしやすくなります。
また、依頼を決めた段階から解決に至るまで、費用を支払うタイミングは項目ごとに違う点にも気をつけましょう。
| 費用の内訳 | 内容 |
|---|---|
| 相談料 | 依頼前の法律相談費用 |
| 着手金 | 対応開始時の初期費用 |
| 報酬金 | 解決時の成果報酬 |
相談料は、弁護士から依頼前の段階で法的なアドバイスをもらうための費用です。正式に依頼する前に、見通しや解決方法、費用のだいたいの金額を教えてもらうための対価として設定されています。
一般的な相場は30分5,000円~1万円程度ですが、初回の相談を無料にしている事務所も多いです。無料相談を利用すれば、相談料の負担なく複数の事務所の対応や見積もり内容を比べられます。
着手金は、結果にかかわらず弁護士が事件対応を始めるために支払う初期費用です。弁護士が調査や書類作成などの活動を始めるための対価としての費用であり、開示や慰謝料獲得に至らなかった場合でも返してもらえません。
また、慰謝料などを獲得できても、回収した金額より弁護士費用の方が高くつき、費用倒れになってしまうケースもあります。依頼前に、着手金の金額だけでなく、獲得できる金額の見通しについても事前に確認しておくと安心です。
報酬金は、事件が解決した際に支払う成果報酬です。依頼者が望む結果を得られたことへのお礼であり、まったく結果が出なかった場合には発生しません。
書き込みの削除のように獲得金額が発生しないものは固定額で設定されます。一方、慰謝料請求のように金額が確定するものは、獲得額に対する割合で設定されるのが一般的です。
弁護士費用は、依頼したい内容によって金額の大きく変わります。削除だけを頼みたいのか、犯人を突き止めたいのか、慰謝料まで請求したいのかによって、弁護士に求められる作業量や手続きが違うためです。
依頼内容ごとの費用相場を紹介するので、自分が依頼する際の目安として参考にしてください。
| 裁判外 | 裁判 | |
|---|---|---|
| 着手金 | 約5~10万円 | 約20万円 |
| 報酬金 | 約5~10万円 | 約15万円 |
| 裁判費用 | 0円 | 約3万円 |
書き込みの削除にかかる費用は、裁判外なら約10万円~20万円、裁判を起こす場合は約38万円程度が目安です。掲示板やSNSの運営者に対して裁判を使わずに直接交渉する場合、手続きが比較的シンプルで済み、早く進められる分だけ費用も抑えられます。
X(旧Twitter)の誹謗中傷ポストを運営窓口経由で削除してもらう場合、着手金5万円、報酬金5万円程度で解決できるケースもあります。
| 裁判外 | 裁判 | |
|---|---|---|
| 着手金 | 約5~20万円 | 約20~30万円 |
| 報酬金 | 約10~20万円 | 約15~20万円 |
| 裁判費用 | 0円 | 約6万円 |
投稿者を特定する手続きは、正式には発信者情報開示請求と呼びます。費用相場は、裁判外なら約15万円~40万円、裁判を起こす場合は約41万円から56万円程度が目安です。
多くの場合、サイト運営者とプロバイダの双方に対する手続きが必要になる分、削除請求より費用がかさみやすいのが特徴です。また、開示までは半年から1年以上かかるケースも珍しくありません。
| 裁判外 | 裁判 | |
|---|---|---|
| 着手金 | 約10~20万円 | 約20~30万円 |
| 報酬金 | 慰謝料の約16% | 慰謝料の約16% |
| 裁判費用 | 0円 | 約3万円 |
慰謝料請求にかかる費用は、着手金が10万円から20万円、報酬金は獲得できた金額の16%程度が相場です。相手を特定できた後にお金の賠償を求める手続きで、話し合いで終わるか裁判になるかによって弁護士費用も変わります。
加害者に内容証明郵便を送って示談交渉を行い、100万円の慰謝料で合意したとします。この場合、着手金10万〜20万円に加え、報酬金としてその16%にあたる16万円を弁護士に支払う形になります。
弁護士費用は、裁判所を使うかどうかで総額が大きく変わります。任意の交渉だけで済むケースもあれば、仮処分や訴訟を経て解決に至るケースもあり、どちらを選ぶかによって弁護士に依頼する内容や実費の有無も変わってくるためです。
実際のケースに沿って、費用がどのくらいになるか見ていきましょう。
| 着手金 | 約5~10万円 |
|---|---|
| 報酬金 | 約5~10万円 |
| 費用総額 | 約10~20万円 |
裁判所を使わずに削除請求をおこなう場合、総額で10万円から20万円程度で済むケースが多いです。裁判所を通さず、サイトの利用規約違反を理由に運営者へ直接交渉するため、印紙代などの実費がかからず、弁護士の手間も少なく済みます。
| 発信者情報開示請求 | 損害賠償請求(示談交渉) | |
|---|---|---|
| 着手金 | 約5~20万円 | 約10~20万円 |
| 報酬金 | 約10~20万円 | 獲得額の約16%(※) |
| 費用小計 | 約15~40万円 | 約26~36万円 |
| 費用総額 | 約41~76万円(開示請求費用 + 損害賠償請求費用) | |
裁判所を使わない示談交渉で損害賠償請求までおこなう場合、費用総額の目安は約41万円~76万円となります。この金額は、投稿者を特定するための「発信者情報開示請求費用(約15万~40万円)」と、特定後に示談交渉をおこなう「損害賠償請求費用(約26万~36万円)」を合算したものです。
※損害賠償請求の報酬金は、回収できた慰謝料額(例:100万円獲得で16万円)によって変動します。また、裁判を通さない手続きのため裁判実費(印紙代や切手代など)は発生しませんが、法的な交渉や示談書の作成・締結に伴う着手金や成果報酬が必要です。
| 削除請求 | 発信者情報開示請求 | 損害賠償請求 | |
|---|---|---|---|
| 着手金 | 約20万円 | 約20~30万円 | 約20~30万円 |
| 報酬金 | 約15万円 | 約15~20万円 | 16万円 |
| 裁判費用 | 約3万円 | 約6万円 | 約3万円 |
| 費用総額 | 約118~143万円 | ||
裁判所を使って削除請求から損害賠償請求まで行う場合、総額118万円から143万円程度になります。削除の仮処分、発信者情報の開示命令、慰謝料請求の裁判と複数の法的手続きを踏む必要があり、長期にわたる対応が求められるためです。
弁護士費用は決して安くありませんが、支払った費用以上の効果を得られることも少なくありません。個人で削除依頼や交渉をしようとしても、証拠の集め方や相手とのやり取りには限界があります。
具体的にどのようなメリットがあるのか、4つのポイントに分けて説明します。
弁護士に依頼することで、過去の判例に基づいた妥当な相場での慰謝料請求が可能になります。法律の専門家である弁護士は、被害の深刻さや相手の立場を考えたうえで、裁判で使われる基準に沿って金額を計算してくれます。
個人で請求すると相手に足元を見られて数万円の提示で丸め込まれてしまうかもしれません。しかし、弁護士が間に入ることで名誉毀損に見合った対価として50万円から100万円程度の示談金を引き出すことも可能です。
犯人を特定した後の慰謝料請求では、特定にかかった弁護士費用を相手への請求に上乗せできるケースがあります。
不法行為をもとにした損害賠償請求では、加害者の行為と因果関係が認められる範囲で、調査にかかった費用も損害として認められる可能性があります。
ただし、費用が損害として認定されるかどうかや、認定される金額は裁判所の判断次第であり、必ず回収できるわけではありません。
弁護士が窓口になれば、被害者は加害者と直接関わる必要がなくなり、精神的な負担が大きく軽減できます。誹謗中傷の加害者と直接連絡を取ることは二次被害のリスクが高く、感情的な対立から交渉がこじれるケースが多いです。
弁護士に任せれば、加害者からの謝罪の連絡や示談の言い分などを全て弁護士が間に入って受け止め、法的な論点のみを整理してくれます。依頼者は加害者とのやり取りでストレスを抱えなくて済みます。
万が一相手が慰謝料の支払いを拒否した場合でも、強制執行による回収まで見据えたプレッシャーを与えられます。
弁護士は示談の段階から、支払いが滞った場合は給与や預金を差し押さえるという法的な手続きを前提に交渉を進める知識と経験を持っています。
加害者が「お金がない」と逃げようとしても、弁護士が示談書を強制執行認諾文言付きの公正証書で作っておけば、裁判をやり直すことなく確実に給与を差し押さえられます。
投稿者のIPアドレスなどの接続ログには保存期間があり、対応が遅れると開示請求ができなくなるおそれがあります。
弁護士への依頼から解決までは、以下のような流れで進みます。
|
ネットの誹謗中傷で悩んでいる場合は、ログが消えてしまう前に対応できるよう、早めの相談をおすすめします。
悪質な書き込みを放置すると、求職者の辞退や取引停止など、弁護士費用を遥かに上回る損害が発生し続けます。
「デジタルタトゥー」として定着する前に、削除・特定の手を打つことが、結果として最も経済的なリスク管理となります。
誹謗中傷被害への対応を任せられる弁護士を探したい方には、ITトラブルに強い弁護士を探せる企業法務弁護士ナビがおすすめです。
削除請求や発信者情報開示請求、慰謝料交渉など、誹謗中傷対応で起こりやすい相談内容を得意とする弁護士を、全国から探せます。都道府県や分野で絞り込んで検索できるため、自分の被害状況に合った弁護士を見つけやすいです。
初回相談無料の事務所や、オンライン相談に対応する事務所も掲載されているので、費用や相談のしやすさに応じて事務所を選べます。気になる事務所が見つかったら、まずは無料相談を利用して、料金や対応の内容を確認してみてください。
弁護士費用の支払いタイミングや相手への請求など、依頼前に気になる点は人によってさまざまです。こうした疑問をあらかじめ解消しておくことで、依頼後に想定外の不安を抱えずに済みます。
弁護士費用は、契約時に着手金、事件が解決したタイミングで報酬金を支払う2段階が一般的です。
依頼を決めたタイミングで、着手金10万円を銀行振込で支払います。半年後に加害者から慰謝料が支払われた段階で、慰謝料の中から報酬金15万円を差し引いて精算するといった流れになります。
削除代行業者に報酬を支払って削除交渉を依頼する行為は、弁護士法第72条に違反する違法行為(非弁行為)です。最終的に費用が無駄になる可能性が高いためおすすめできません。
弁護士法では、お金をもらって法的な交渉や削除請求を代理できるのは弁護士だけと定められています。
安いからと代行業者に依頼しても、サイト運営者から「弁護士以外の請求には応じない」と断られたり、逆に業者が違法行為で摘発されてトラブルに巻き込まれたりするケースもあります。
ネット誹謗中傷の慰謝料相場は、一般的に10万円から100万円程度ですが、被害の内容によって大きく変わります。
裁判所が認める精神的な苦痛への金額は、主に以下の要素によって変わってきます。
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単なる悪口であれば10万円前後にとどまることが多いです。一方で、企業の事業に深刻な損害を与えたり、個人への悪質な名誉毀損の場合は、100万円以上の慰謝料が認められることもあります。
裁判所に納める印紙代や郵便切手代などの訴訟費用は、勝訴すれば原則として相手方に負担させることが可能です。民事訴訟法では、訴訟費用は敗訴した側が負担すると定められています。
一方、弁護士費用は原則として自己負担ですが、不法行為による損害賠償請求では例外的に一部を請求できます。慰謝料として認められた金額の1割程度が目安とされ、投稿者特定にかかった調査費用も、因果関係が認められる範囲でのみ加算されます。
なお、裁判で相手方に認められる弁護士費用は認容額の1割程度が目安であり、実際に発生した弁護士費用の全額を回収できるわけではない点にご注意ください。
ネット誹謗中傷への対応にかかる弁護士費用は、相談料・着手金・報酬金という項目にわかれています。
削除だけなのか、投稿者の特定や慰謝料請求まで求めるのかによっても、総額は大きく変わります。裁判外か裁判かという選択も、費用を左右する大きな要素です。
誹謗中傷は放置すればするほど、投稿者を特定できなくなるリスクが高まります。費用が心配な場合も、慰謝料や調査費用を相手に請求できるケースがあるため、まずは企業法務弁護士ナビから弁護士に相談してみてください。
編集部
本記事は企業法務弁護士ナビを運営する株式会社アシロ編集部が企画・執筆いたしました。
※企業法務弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
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