
M&Aについて調べるなかで「法務デューデリジェンス」という言葉を聞いて、重要性を感じつつも、何から手をつければいいのか不安に感じていませんか?
法務デューデリジェンス(DD)とは、M&Aの際に対象企業が抱える法的なリスクを調査・分析するプロセスのことです。
適切に実施しなければ、予期せぬリスクやトラブルが発覚し、せっかくのM&Aが失敗に終わってしまうおそれもあります。
リスクやトラブルを回避するためにも、法務デューデリジェンスについては弁護士へ相談すべきです。
たくさんの弁護士の中から自社にあった弁護士を見つけて相談すれば、安心してM&Aを進められるでしょう。
そこで本記事では、法務デューデリジェンスにおける弁護士への相談窓口や、信頼できる弁護士の選び方についてわかりやすく解説します。
弁護士費用の相場や、具体的なサポート内容についても触れているので、ぜひ参考にしてください。
法務デューデリジェンスについて弁護士と相談できる窓口2選
身近に相談できる弁護士がいない場合は、弁護士への相談窓口を上手く活用しましょう。
ここでは、法務デューデリジェンスについて弁護士に相談したいときに活用できる窓口を2つ紹介します。
1.企業法務弁護士ナビ|M&Aが得意な弁護士を効率よく探せる
「企業法務弁護士ナビ」は、日本最大級の企業法務支援サイトで、企業法務を得意とする弁護士を効率よく検索可能です。
企業法務弁護士ナビには、M&Aや法務デューデリジェンスに加え、取引契約の法務レビュー、資金調達、著作権問題、IPO対応、企業間紛争の解決といった、弁護士ごとの専門スキルや対応可能な分野が詳しく掲載されています。
弁護士の実績や経歴、事務所情報、料金表などもあわせて掲載されているので、会社のニーズに最適な弁護士を見つけやすいでしょう。
2.弁護士会|法律相談センターなどでM&A・事業承継の相談に応じている
全国各地の弁護士会が運営している法律相談センターも、M&Aや事業承継に関する相談を受け付けている場合があります。
M&Aや事業承継に関してどのような法的リスクがあるのか、どの書類を準備すべきか、どの点に留意するべきかなどを、幅広い知識をもった弁護士にアドバイスしてもらえるでしょう。
予約方法や費用については地域ごとに異なりますが、低料金または無料で相談できるケースが多い点がメリットです。
また、中小企業の経営者や個人事業者であれば、日本弁護士連合会や全国52の弁護士会が提供する「ひまわりほっとダイヤル」を利用できます。
ひまわりほっとダイヤルでは、電話やインターネットを通じて弁護士との面談予約が可能です。
一部の都道府県を除き、初回の相談(30分間)を無料で受けられるのも大きな特徴です。
全国共通の電話番号「0570-001-240」に連絡すると、地域の弁護士会専用窓口に繋がり、折り返しの連絡で弁護士との面談予約を手配してもらえます。
また、電話だけでなく、パソコンやスマートフォンからオンラインでの申し込みも可能です。
もし、身近に信頼できる弁護士がいない場合には、これらの窓口を利用して弁護士へ相談することも検討してください。
法務デューデリジェンスを依頼する際の弁護士選びのポイント
法務デューデリジェンスには高度な専門知識と経験が求められるので、信頼できる弁護士を選ぶことが非常に重要です。
ここでは、弁護士選びで押さえておきたいポイントを3つ解説します。
1.M&Aの支援実績があるかどうか
弁護士は法律事務全般を扱えるものの、それぞれ得意分野と不得意分野が存在します。
そのため、法務デューデリジェンスについて相談する場合はM&Aの実績が豊富な法律事務所や弁護士を選ぶのがおすすめです。
とくに、同様の案件の解決実績がある弁護士を選ぶことで、より実践的なサポートが期待できるでしょう。
まずは、事務所のホームページや企業法務弁護士ナビへの掲載情報などを確認して、適切な弁護士を探してみましょう。
どのようなM&Aを得意としているのか、弁護士の専門性にも注意を払いながら探すようにしてください。
2.企業法務全般について明るいかどうか
M&Aに関する法務デューデリジェンスは、契約書のレビューや企業評価だけでなく、会社法、民法、労務、知的財産など、多岐にわたる法的領域をカバーする必要があります。
そのため、M&Aに関連する法律だけでなく、企業法務全般に関して十分な知識を持っている弁護士を選ぶことが大切です。
企業法務を得意とする弁護士であれば、M&A実施後の会社の事業運営における法的アドバイスにも期待できます。
M&Aが成立したあとにさまざまな法的問題に直面することも多いため、引き続き顧問弁護士としてサポートを受けられるとより心強いでしょう。
3.弁護士との相性がよいと感じるかどうか
M&Aをスムーズに進めるためには、弁護士との間に良好な信頼関係を築くことが重要です。
そのためには、弁護士との相性が鍵となります。
M&Aの進行過程では、弁護士と頻繁に連絡を取り合わなければなりません。
場合によっては、1日に何度もやりとりが必要となることもあります。
迅速かつ正確なコミュニケーションが不可欠なため、信頼できる弁護士であることはもちろん、円滑に情報を交換できる関係が築けるかどうかも重要なポイントです。
【関連記事】M&Aが得意な弁護士の選び方と事務所で違う特徴の見極め方
法務デューデリジェンスにかかる弁護士費用の相場・目安
法務デューデリジェンスについて弁護士に相談する際には、以下のような費用が発生するのが一般的です。
- 相談料:1時間あたり5,000円〜1万円程度(初回相談に限り無料の事務所あり)
- 着手金:100万円〜200万円程度
- 報酬金:M&Aが成功した際に得られる経済的利益の10%〜20%程度
- タイムチャージ料金:1時間あたり2万5,000円〜8万円程度
- 契約書作成:50万円〜100万円程度
- デューデリジェンス費用:100万円〜1,000万円程度
- 顧問契約(リテイナーフィー):30万円〜200万円程度
ただし、発生する費用は案件の規模や内容、依頼する法律事務所の料金体系によって大きく異なる場合があります。
具体的な金額については弁護士に相談し、事前に見積もりをもらうことが大切です。
また、見積もりをもとに、費用に含まれるサービス内容をしっかり確認しましょう。
法務デューデリジェンス以外に弁護士から受けられるM&Aのサポート内容
M&Aの各種手続きのなかでもとくに重要なのは法務デューデリジェンスですが、それ以外にも弁護士にはさまざまな手続きを依頼できます。
ここでは、M&Aについて弁護士から受けられる主なサポート内容について説明します。
1.M&A全般に関する支援
弁護士はM&Aにおいて、法務デューデリジェンスだけでなく、売却スキームの提案やM&A戦略の立案、交渉のサポート、クロージングまで、幅広いプロセスを一貫して支援可能です。
また、相手方との条件交渉や契約条件を調整するなど、買収者と売却者の交渉支援のサポートもおこなうことができます。
弁護士がついていることで取引の透明性が高まり、交渉や手続きをスムーズに進行できるでしょう。
2.各種契約書の作成・チェック
M&Aを進めるにあたっては、以下のような書類が必要になります。
- 秘密保持契約書
- アドバイザリー契約書
- 基本合意書
- 最終契約書
弁護士は法律の専門家として、これらの書類をチェックし、正確に作成可能です。
3.法務DDに関するセカンドオピニオン
法務デューデリジェンス(DD)は、買収対象企業の法的リスクを評価するプロセスですが、その内容や結論が正しいかどうか慎重に判断するために、セカンドオピニオンを求めたほうがよいケースもあります。
M&Aの過程で専門家や弁護士から提供された法務DDに関する意見に対して、別の弁護士の意見を求めることで、より深くリスクを把握し、慎重に進めることができます。
さいごに|小規模なM&Aでも法務デューデリジェンスはおこなおう!
M&Aにおける法的リスクを明確にし、将来的なトラブルを未然に防ぐためには、法務デューデリジェンスは欠かせないプロセスです。
しかし、法務デューデリジェンスには高度な専門知識や経験が必要なため、弁護士のサポートを受けることが不可欠です。
弁護士の適切なアドバイスを得ることで、不備なく実施することができるでしょう。
とくに、小規模なM&Aだからといって手続きを軽視してしまうと、後々予期せぬ問題が発生し、想定以上の損害を被る可能性があります。
大規模なM&Aだけでなく、小規模なM&Aの場合でもしっかりと法務デューデリジェンスを実施して、将来的なリスクを回避するようにしましょう。
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