株式譲渡とは|会社の売買・簡単ポピュラーなM&A手法

専門家監修記事
株式譲渡はM&A手法の一つで、「株の売買をして会社の経営権を他者に譲り渡す」取引のことです。売り手はお金を手にすることができ、買い手は会社を手にすることができます。内容は極力簡単にまとめていますので、株式譲渡が初めての方はぜひご覧ください。
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
M&A・事業承継

「会社の経営を続けるのが難しくなってきたので、誰かに譲ってしまいたい」

「会社の拡大のために新しい事業を始めたいが、時間をかけたくないので、どこかの企業を買い取ってしまいたい」

 

このようなことを考えていませんか? この願いを叶えてくれるのが「株式譲渡(かぶしきじょうと)」です。株式譲渡は事業承継の一つで、M&A手法のなかでも最もポピュラーなものです。

 

  • 株式譲渡とは一体何なのか?
  • 事業譲渡とはどう違うのか?
  • どんな人に向いているのか?
  • どんなリスクがあるのか?

 

この記事では、株式譲渡があまりわからない方のために、難しい部分は省いて、なるべく簡単にまとめました。概念をつかみたい方はぜひご覧ください。

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会社を売買したい|株式譲渡とはM&A手法の一つ

「会社を売りたい」「会社を買いたい」。そう考える人たちにとって、「株式譲渡」は最もメジャーで簡単なM&A手法といえるでしょう。

 

ご存知だと思いますが、会社の経営権というのは、その会社の株式を一番多く保有している人にあります(筆頭株主)。

 

事業譲渡は、金銭と引き換えに、株式を譲り渡すことで経営権が他者に移っていく、ざっくり言えばただそれだけなのです。

 

  1. 「株式譲渡契約」を締結する(株の売買の約束をする)
  2. 売却した株式の対価として金銭を受け取る
  3. 株式名簿の書き換えを行う

 

上記は非上場企業の場合の流れですが、基本的には、簡単・シンプルな流れで会社を売買できるのが特徴です。

株式譲渡と事業譲渡の違いとは?

  • 会社の株主が保有する株式を譲り渡すのが株式譲渡
  • 会社の事業の全部又は一部を譲り渡すのが事業譲渡

 

上記のような違いがあります。どちらの方が適しているかは、両者の状況や目的により異なるので、ケースバイケースだといえるでしょう。

株式譲渡には主に2パターンがある

株式譲渡は、「誰に会社を売るか」によって2パターンに分けられますが、基本はどちらも同じです。

個人に株を売却し、経営権を譲るパターン

個人に会社を売る場合、これは単純に会社の経営権を譲ることになります。

AさんがオーナーをしていたXという会社を、Bさんに譲渡する場合、Aさんは金銭を手にし、BさんはX社のオーナーになるということです。

法人に株を売却し、その会社の子会社となるパターン

法人に会社を売る場合、買い取った会社の子会社という扱いになります。

例えば、X社という会社の株式をB社に譲渡したとします。X社の経営権を持っているのはB社になります。

株式譲渡はどんな人に向いている?

次に、株式譲渡はどんな人に向いているのでしょうか?「売る側」と「買う側」それぞれの目線で考えてみましょう。

売る側:経営を続けるのが難しいが、後継者がいない人

オーナー会社について自身で経営を続けるのが難しくなった場合には、株式譲渡がおすすめです。

 

株式譲渡で会社を売却してしまえば、経営権を失いますが、一度に高額な金銭を手にすることができます。

売る側:新しいビジネスを生み出すのが得意な人

「新しいビジネスを生み出すのが得意な人」にも株式譲渡はおすすめです。

 

  • 会社を0から立ち上げ、1にする人
  • 1の状態の会社を100まで成長させる人

 

両者には別の能力が必要です。前者であれば、次々と新しい企業(ビジネス)を生み出し、それを繰り返し売却することで、大きな財産を手にできます。

売る側:早期リタイアしたい人

「働くのが嫌なので、早くリタイアしたい人」にも株式譲渡はおすすめです。

 

会社がある程度成長してきたところで、それなりの価格で株式譲渡をすれば、一度に大きなお金が入りますので、リタイアも可能です。

買う側:事業を成長させる時間がもったいないと感じる人

経営者など、「お金はあるが、会社を成長させる時間がもったいないと感じる人」は株式譲渡を利用した買収がおすすめです。

 

会社を成長させるより、すでに成長している会社を買い取る方が、圧倒的にスピードが早いからです。

買う側:会社の売買をビジネスとしたい人

「会社の売買をビジネスとしたい人」にも株式譲渡はおすすめです。

 

将来性のある会社を買い、成長後に売却し、そのお金でさらに大きな会社を買う。うまくいけば大きな財産を手にできる可能性があります。

事業承継・譲渡をご検討の方へ

「引き継いでよかった」と思える事業承継・事業譲渡をするには、事業内容に沿った契約書の作成が必要です。どのような契約書を作成すべきか、作成事例をご紹介します。

 

契約書の作成ポイントを確認する

株式譲渡の際、買う側が気をつけた方がよいこと

株式譲渡の際、買う側が気をつけた方がよいことには、どんなことがあるのでしょうか?

支払いに見合う価値がある会社なのか、自分でを判断する

お金で買えるものには、たいてい価格相場があります。例えば車を買う場合、A店とB店で価格の違いを確認したり、ネットで中古価格を調べたりすることもできます。

 

しかし、会社には参考価格や相場といったものは存在しません。したがって、支払いに見合う会社であるかどうか、自分で判断する必要があります。

問題のない企業かどうかきちんと判断する

株式譲渡の手続きに入る前に、対象となる会社の評判や過去などを、きちんと確認しておきましょう。

 

仮に、「悪い会社」を手にしてしまった場合、親会社の評判まで下がるなどの悪影響が出かねないからです。

会社が借金を背負っていないかなど、事前に確認する

事業譲渡で会社を得るということは、会社の経営権や収益など、買い主にとってプラスになるものばかりとは限りません。

 

会社の債務や、都合の悪い契約など、マイナスをもたらすものも同時に引き継ぐことになります。

 

事前にすべての情報をきっちり確認しておかないと、思いもよらない結果になる可能性があります。

株式譲渡の際、売る側が気をつけた方がよいこと

次に、株式譲渡の際、会社を売る側が気をつけた方がよいことをご紹介します。

契約内容をすみずみまで確認すること

譲渡をする前に、契約書の内容をすみずみまで確認しましょう。

 

売り手側に不利な内容が含まれていることに気づかず、そのまま合意してしまうと、会社を売却したつもりなのに大きな借金を背負うことになった、という事態にもなりかねません。

契約内容の精査は弁護士に依頼しよう

買い手側も売り手側も、株式譲渡の際には一度弁護士に相談すべきでしょう。

 

契約内容を弁護士に精査してもらうことで、思わぬ落とし穴の存在にも、事前に気づくことができるはずです。

まとめ

株式譲渡は、会社を「売りたい」「買いたい」人にとって最もポピュラーなM&A手法です。

「売りたい側の会社の株主が、他者に株式を売却し、経営権を譲り渡す」という、手続きの内容もシンプルなのが特徴です。

 

買い手にとっては、「時間をかけずに会社を拡大させたり、手に入れたりできる」などのメリットがあります。

 

売り手にとっては、「会社をお金に変えることができる」というメリットがあります。

 

その代わり、譲渡契約書の内容や、売買する会社の情報をきっちり把握しておかないと、思わぬトラブルにつながる可能性があります。

 

リスクを排除し、後悔のない事業譲渡を行うためには、一度弁護士に相談するのがよいでしょう。

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