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市場に売られている商品や提供されているサービスの中には、商標権を侵害するようなコピー商品なども出回っています。
自社の商標権が侵害された場合は、ブランド価値や売上の低下などのリスクがあります。
一方、自社が他社から「商標権を侵害している」と訴えられた場合は、刑事罰の適用や損害賠償金の発生などのリスクがあります。
商標権侵害のトラブルに巻き込まれてしまった場合は、さらなる被害拡大を防ぐためにも、速やかに適切な対応を取る必要があります。
なお、商標利用についてはトラブル予防策などもいくつかあり、本記事で商標権侵害に関する知識を深めましょう。
本記事では、商標権侵害の定義や成立要件、実際の裁判事例、侵害時の対処法やトラブル予防策などを解説します。
商標権侵害とは「すでに登録済みの商標と同一・類似の商標について、商標権者に無断で同一・類似の指定商品や指定役務で商標的に使用する行為」のことを指します。
商標権侵害が発生した場合、侵害した側は刑事責任として拘禁刑や罰金刑が科されたり、民事責任として損害賠償請求や信用回復措置請求などを受けたりするおそれがあります。
ここでは、商標の定義や具体例などを解説します。
商標とは「自社の商品やサービスであることを示すマーク・識別標識」のことを指します。
商標の主な機能としては、以下の4つがあります。
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商標権者には、登録された商標を独占的に使用できる「専用権」と、登録商標の類似範囲における第三者の使用を排除できる「禁止権」が与えられます。
商標の種類は多岐にわたり、商標法では以下のように定められています。
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【参考元】商標法第3条
実際に企業で用いられている商標の一例としては、以下のようなものがあります。
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商標権侵害の成立要件は以下の3点です。
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ここでは、それぞれの成立要件について解説します。
商標権侵害が成立するためには、まず商標が特許庁にて登録されている必要があります。
商標権は、特許庁に商標出願をおこなったのち、審査を経て登録料を納付することで発生します(商標法第18条1項)。
なお、商標登録されているかどうかは、特許庁が提供する「特許情報プラットフォーム」にて確認できます。
「登録商標の使用」または「類似範囲での使用」に該当することも成立要件のひとつです。
具体的には以下のとおりで、商標が同一の場合はもちろん類似する場合でも商標権侵害の対象となります。
| 商標\商品・サービス | 同一 | 類似 | 非類似 |
|---|---|---|---|
| 同一 | 侵害 | 侵害 | 非侵害 |
| 類似 | 侵害 | 侵害 | 非侵害 |
| 非類似 | 非侵害 | 非侵害 | 非侵害 |
なお、類似・非類似については、主に以下のような「外観・称呼・観念」という観点から判断されます。
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商標の類否の判断は、商標の有する外観・称呼・観念のそれぞれの判断要素を総合的に考察しなければならないとされていますが、個別具体的な判断は需要者層・業界の慣行・商品の属性なども考慮に入れたうえでおこなわれます。
具体的な取引事情を考慮し、たとえば称呼が類似していても外観や観念が著しく異なる場合は全体として非類似と判断される場合もあります。
また、取引の実情をもとに「商標使用によって出所が混同する可能性があるかどうか」なども判断材料の一つとなります。
「商標的使用をしていること」も成立要件のひとつです。
商標的使用とは、自社の商品・サービスと他者の商品・サービスを区別する「識別機能」を果たす目的で使用することを指します。
具体的には「他社の登録商標または類似商標を使用し、需要者に対して自社の商品であるかのように示した」というようなケースが該当します。
一方、「あくまでも装飾的な目的で、他社の類似商標の図柄を使用した」というようなケースでは商標権侵害の対象外となる可能性があります。
ただし、実際に商標権侵害が成立するかどうかは個別の事情を総合的に考慮したうえで判断されるため、詳しくは弁護士に相談して確認してもらうことをおすすめします。
商標権を侵害してしまうと、企業にとっては以下のようなリスクがあります。
ここでは、商標権を侵害した場合のリスクについて解説します。
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商標法では、商標権侵害について刑事罰が定められており、侵害した場合は「10年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金刑、または併科」が科される可能性があります(商標法第78条)。
また、商標権や専用使用権を侵害する行為とみなされる行為をした場合は「5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金刑、または併科」に処される可能性があります(商標法第78条の2)。
法人についても罰則が定められており、従業員などが侵害行為を犯した場合は、従業員に対して上記罰則が科されるほか、法人に対して「3億円以下の罰金刑」が科される可能性もあります(商標法第82条1項1号)。
商標権を侵害してしまうと、被害者から賠償金を請求される可能性があります。
賠償金額はケースによって異なりますが、場合によっては自社にとって多額の賠償金を請求され、経営そのものに大きな支障が生じることも考えられます。
賠償金だけでなく、被害者から商標の利用中止や変更を求められる可能性もあります(商標法第36条)。
商標権侵害の被害者は、商標のラベルなどの侵害行為を作成した物の廃棄や、ラベルを製造する機械などの侵害行為に供した設備の除去といった対応も請求できる可能性があります。
被害者から商標の利用中止を求められた場合、これまでの販売取引はおこなうことができなくなるため売上の減少は避けられません。
もし主要取引が停止した場合には大幅な売上減少となるおそれもあります。
なかには信用回復措置などの対応が求められることもあり(商標法第39条、特許法第106条)、主な対応例としては「謝罪広告の掲載」などがあります。
被害者から信用回復措置請求を受けた際は、特に慎重な対応が必要です。
もし謝罪広告の内容や表現を誤ってしまった場合、インターネット・SNSなどで取り上げられて炎上するおそれもあります。
状況によっては、対応に追われるあまり本業にかける時間が取られ、業務に支障が出てしまうこともあります。
商標権侵害の事実が発覚することで、ブランド価値が低下してしまったり、顧客離れが起きてしまったりするおそれもあります。
最悪の場合、商品が全然売れなくなってしまって経営が困難になることも考えられます。

ここでは、商標権侵害の事例について、業界ごとにいくつかピックアップして解説します。
土地や建物の売買をおこなうA社が、同業界のB社に対して「自社の登録商標と類似する名称を用いて、看板・垂れ幕・チラシ・パンフレットを作成するなどしてマンション販売をおこなった」として、商標権侵害を理由に使用差し止めと損害賠償請求をしたという事例です。
裁判所は「A社・B社ともに需要者は一致しており、B社の行為は出所の混同を招きかねないものである」として商標権の侵害を認め、B社に対して使用差し止めおよび損害賠償として約500万円を支払うよう命じました。
医薬品の製造販売をおこなうA社が、健康補助食品などの売買をおこなうB社に対して「自社の登録商標と類似する名称を用いて、ダイエット効果を謳う健康補助食品を販売した」として、商標権侵害を理由に使用差し止め・損害賠償請求・謝罪広告の掲載を求めたという事例です。
本事案では、裁判前にA社がB社に対して警告を発しており、当事者間で「B社が当該商品の販売を続けた場合、速やかに違約金を支払って謝罪広告を掲載する」という旨の合意をしていたものの、合意後もB社は販売を継続していました。
裁判所は「健康補助食品であっても『健康維持のために摂り入れる』 という点では薬剤などと並べて宣伝販売されている」としたうえで、「B社の行為は出所の混同を招くおそれがある」と判断して商標権侵害を認め、B社に対して使用差し止めや謝罪広告の掲載および損害賠償として約100万円を支払うよう命じました。
洋菓子の製造販売をおこなうA社が、同業界のB社に対して「自社の登録商標と類似する名称を用いて、包装・店舗表示・広告を作成するなどして商品販売をおこなった」として、商標権侵害を理由に損害賠償などを請求したという事例です。
裁判所は「商品の販売場所・サービスの提供場所・需要者の範囲などから総合的に考慮すると、B社の行為は出所の混同を招くおそれがある」として商標権侵害を認め、B社に対して、損害賠償として約5,000万円を支払うよう命じました。
もっとも、本事案ではB社が訴訟係属中に商号を変更したため、販売の差止めは認められませんでした。
【参考元】平成25年3月7日 大阪高等裁判所 判決

自社の商標権侵害が起きた場合、対応の流れとしては上記のとおりです。
ここでは、それぞれの対応内容について解説します。
自社の商標権が侵害された場合は、まずは商標権侵害の事実を証明する証拠を集めましょう。
たとえば「自社のコピー商品が販売されている」というようなケースでは、以下のようなものが証拠として有効です。
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証拠を確保したあとは、販売元である相手方に内容証明郵便で警告書を送付するのが一般的です。
内容証明郵便とは「いつ・誰が・誰に・どのような内容の文書を送ったのか」を郵便局が証明するサービスのことで、相手方に警告した事実や警告内容などを証拠として残すことができます。
警告書には、自社の商標内容・侵害事実・要求内容・返答期限などを記載します。
通知後は、相手方から連絡を受けて、交渉を進めることになります。
侵害行為の停止や賠償金の支払いなどについて話し合い、合意できた場合は合意内容をまとめた示談書を作成します。
なお、示談書の作成は義務ではないため、口約束で済ませることも可能です。
ただし、口約束にすると「言った言わない」などのトラブルに発展するおそれがあるため、交渉成立後は示談書を作成しておくことをおすすめします。
相手方と主張が対立したり、交渉を拒否・無視されたりして交渉成立が難しい場合は、最終的に裁判に移行することになります。
裁判では、商標権侵害の事実について証拠などを用いて主張立証をおこない、お互いに十分に尽くされたところで裁判官による判決が下されます。
商標権侵害の主張を認める判決が下されれば、相手方に対して侵害行為の停止・賠償金の支払い・信用回復措置の実施などが命じられます。
なお、弁護士なら警告書の作成・相手方との交渉・裁判手続きなどのトラブル対応を一任できます。
法律知識や交渉ノウハウを活かして的確に動いてくれるため、自力での対応が不安な場合は弁護士にサポートを依頼しましょう。
自社が商標権侵害の警告を受けた場合、対応の流れとしては上記のとおりです。
ここでは、それぞれの対応内容について解説します。
他社から商標権侵害を訴える警告書が届いた場合、まずは「相手方の主張が正当なのかどうか」を確認する必要があります。
「相手方の商標権は有効なものであるのか」「自社のものと類似しているか」などを適切に判断するためにも、弁護士に相談することをおすすめします。
もし相手方の主張内容に正当性がみられない場合は、「要求に応じるだけの十分な理由がない」という旨を書面にて回答します。
できるだけ少ないやり取りでスムーズに問題解決するためにも、「商標権侵害には該当しないこと」や「当該商標登録が無効であること」などを明確に記載しましょう。
回答後もやり取りが続いて解決が難しければ、「自社の商標権侵害が起きた場合の対処法」と同様に、最終的には裁判に移行して解決を図ることになります。
一方、相手方の主張内容に正当性がみられる場合は、商標変更や使用中止などの要求内容について検討します。
たとえ警告が正当でも「請求額が高額すぎる」「過剰な要求を受けている」というような場合は、全面的に受け入れずに交渉や裁判などで主張・反論をおこなうことになります。
なお、自社が商標権侵害の警告を受けている側でも弁護士が心強い味方になってくれます。
弁護士なら警告書の正当性を法的視点から判断でき、もし正当性がみられる場合は交渉や裁判などで的確に主張・反論してくれて、スムーズな問題解決が望めます。
【関連記事】商標権に強い弁護士の探し方|相談するメリットやポイントを解説
商標の取り扱いについては、以下3つのポイントを押さえておくことで、トラブルにならないよう先手を打っておくことができます。
ここでは、商標権侵害を防ぐためのポイントについて解説します。
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新商品の販売や新サービスの開始などで新しく商標を使用する場合は、他社から商標権侵害を訴えられないように「ほかに似たような商標が登録されていないかどうか」の事前調査が必要です。
既存の登録商標は「特許情報プラットフォーム|J-Plat Pat」で調査できます。
ただし、もし似たような商標が見つかったとしても、実際に商標権侵害に該当するかどうかを判断するには高度な知識と専門的な知見が必要となるため、判断にあたっては外部の専門家に依頼する必要があるでしょう。
知的財産に関する案件に注力していて商標法に詳しい弁護士であれば、過去の判例なども参考にしながら状況に適したアドバイスが望めます。
もし「自分だけでは判断が難しい」というような場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
事前調査をおこなって自社の商標と似たものがないことがわかった場合は、速やかに商標登録を済ませましょう。
商標登録は早い者勝ちであるため、なるべく早い段階で登録しておくことが大切です。
商標登録しないままでいると、あとから他社が同じような商標を使用してきたとしても、原則として使用中止などを求めることはできません。
もし他社が先に商標登録してしまった場合は、逆に自社が商標権侵害を理由に訴えられるおそれもあります。
すでに登録済みの商標であっても、商標権者から許可を得れば第三者でも利用することができます。
商標権者から利用許可を得る際は、必ず契約書を作成しておきましょう。
契約書がないと、利用権の範囲や利用条件などがあいまいになってトラブルに発展するおそれがあります。
なお、契約書を作成する際は、利用範囲・使用料・有効期限などの記載条項を漏れなく記載する必要があります。
弁護士なら契約内容のチェックや契約書作成なども依頼可能ですので、トラブルなく商標を利用したい場合は相談することをおすすめします。
損害賠償請求やイメージ低下などのリスクを避けるためにも、商標権侵害トラブルに巻き込まれないように十分な配慮が必要です。
ただし、なかには商標権を侵害しているのかどうか判断が難しい場合もありますし、相手方と主張が対立して思うように進まない場合もあります。
自力での対応が不安な場合は、早い段階で弁護士にアドバイスやサポートしてもらうことをおすすめします。
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