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取締役は、会社の経営陣として重要な意思決定をおこなう立場ですが、なかには考え方や方向性の相違が生じたり、会社にとって不利益な行動を取ったりして「辞めてほしい」と感じることもあるでしょう。
取締役を解任することは可能ですが、解任するためには適切なプロセスを経る必要があります。
対応を誤ると損害賠償請求などに発展するおそれもあり、なるべくトラブルなくスムーズに済ませたい場合は弁護士に相談することも検討しましょう。
本記事では、取締役を解任する場合の流れや解任後の手続き、解任手続きの注意点やトラブルを避けるための対処法などを解説します。
結論として、取締役はいつでも解任することが可能です。
取締役としての任期が途中の状態でも、株主総会決議や解任の訴えなどの手続きを経ることで辞めさせることができます(会社法第339条1項、第854条)。
具体的な手続きの進め方については「取締役の解任手続きの流れ」や「取締役の解任の訴えを起こす場合の流れ」で後述します。
なお、基本的に定められた手続きを経ていれば、正当な理由がなくても解任可能です。
ただし、正当な理由なく取締役を解任した場合、損害賠償請求を受けるリスクがあります。
取締役の解任とは、会社側の意向で、任期途中の取締役を強制的に辞めさせることです。
なお、解任と混同されやすい用語としては「辞任」や「退任(任期満了退任)」などがあります。
以下では、解任・辞任・退任の特徴や違いについて解説します。
解任・辞任・退任とは、それぞれ以下のようなことを意味します。
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解任は、会社側の意思によっていつでもおこなうことができるという点が大きな特徴です。
なかには本人が納得しないまま取締役の解任が決定することもあり、辞任・退任に比べるとトラブルに発展するリスクが高いという特徴もあります。
取締役会のある取締役会設置会社の場合、以下のような流れで取締役の解任手続きを進めるのが一般的です。
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ここでは、各手続きの進め方を解説します。
株式会社において、取締役の選任・解任の権限を持つ機関は株主総会です。
取締役を解任するためには株主総会の招集が必要であり、まずは前段階として取締役会の招集手続きをおこないます。
取締役会の招集通知は、原則として開催日の1週間前までに発する必要がありますが、この期間は定款で短縮できるほか、取締役等の全員の同意があれば招集手続自体を省略することも可能です(会社法第368条1項、2項)。
招集通知には取締役会を開催する旨を記載し、開催日時や場所なども忘れずに記載しておきましょう。
招集手続きを済ませたあとは、取締役会を開催して株主総会の招集の決議をします。
なお、会社法では取締役会の定足数について定められており、議決に参加可能な取締役の過半数の出席が必要です(会社法第369条1項)。
取締役会の参加方法に関しては、テレビ電話やZoomなどを利用して遠隔からの参加は認められますが、代理人の出席は認められていません。
取締役会での内容は取締役会議事録に記録しておき、最終的に出席した取締役の過半数からの賛成を得れば、決議は成立となります。
株主総会の招集の決議が成立したあとは、株主総会の招集手続きをおこないます。
株主総会の招集手続きでは、取締役の名義で、招集通知を原則として書面で発送します(会社法第299条1項、2項)。
公開会社の場合は開催日の2週間前までに、非公開会社の場合は開催日の1週間前までに発送する必要があります(会社法第299条1項)。
招集通知には株主総会を開催する旨を記載し、開催日時・場所・議題なども忘れずに記載しておきましょう。
招集手続きを済ませたあとは、株主総会を開催して取締役の解任の決議をします。
なお、会社法では株主総会の定足数についても定められており、議決権の過半数を有する株主の出席が必要です(会社法第341条)。
株主総会の場合、委任状を使って代理人を立てて議決権を行使することも可能です(会社法第310条1項)。
株主総会での内容は株主総会議事録に記録しておき、最終的に出席した株主の議決権の過半数の賛成を得れば成立となります(会社法第339条1項、第309条1項)。
ただし、取締役などの役員を解任する株主総会の決議では、定款により定足数を3分の1以上まで引き下げたり、賛成割合を引き上げたりすることも可能であるため、会社の定款を確認しておく必要があります(会社法第341条)。
なお、累積投票で選任された取締役を解任するためには、普通決議よりも厳しい条件が課された株主総会決議である「特別決議」にて賛成を得なければいけません(会社法第342条6項、第309条2項7号)。
取締役を解任することが決まったら、2週間以内に法務局にて登記手続きをおこなう必要があります(会社法第915条1項)。
申請先は会社の所在地を管轄する法務局で、管轄先は「管轄のご案内|法務局」から確認できます。
主な必要書類は以下のとおりで、書式や書き方などは「商業・法人登記の申請書様式|法務局」をご確認ください。
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もし期限内に手続きを済ませなかった場合は、会社の代表者に対して100万円以下の過料が科されたりするおそれがあるため、速やかに手続きを進めましょう。
株主総会決議で取締役を解任する場合は、以下のような点に注意しましょう。
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ここでは、取締役の解任手続きをおこなう際に知っておくべきポイントを解説します。
基本的に定められた手続きを経ていれば、正当な理由がなくても取締役を解任できます。
ただし、正当な理由なく解任した場合、解任した取締役から損害賠償請求される可能性があります(会社法第339条2項)。
具体的な損害額は個別の事情に応じて判断されますが、たとえば残存任期中に受け取る予定だった「役員報酬相当額」などが損害として問題になることがあります。
ほかにも「退職慰労金」などが含まれる場合もありますが、定款・株主総会決議・退職慰労金規程などの内容によって取扱いが異なります。
なお、どのようなものが正当な理由になるのかは、ケースバイケースでの判断となります。
一例として、以下のようなケースであれば正当な理由として認められる可能性があります。
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なかには「取締役に問題があることが明らかであるにもかかわらず、株主総会決議にて議決権をコントロールできないために解任議案が否決される」という場合もあります。
少数派の株主でも問題のある取締役を放逐するための手段として、裁判所にて解任の訴えを起こすという選択肢もあります(会社法第854条1項)。
取締役に職務執行に関する不正行為や法令・定款に違反する重大な事実があり、株主総会で解任議案が否決された場合に、一定の株式を有する株主などが請求できるというものです。
具体的な手続きの流れについては「取締役の解任の訴えを起こす場合の流れ」で後述します。
以下のいずれかに該当する場合は、裁判所に対して取締役の解任の訴えを起こすことが可能です。
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取締役の解任の訴えを起こす場合、以下のような流れで手続きを進めるのが一般的です。
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ここでは、各手続きの進め方について解説します。
まずは、解任決議が否決された株主総会の日から30日以内に、裁判所に解任の訴えを提起します。
手続き先は会社の所在地を管轄する地方裁判所で、管轄先は「裁判所の管轄区域|裁判所」から確認できます。
なお、解任の訴えを提起できるのは、以下のいずれかの株主に限定されます(会社法第854条1項)。
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解任の訴えが提起されたあとは、裁判所にて審理がおこなわれます。
株主は原告、会社・取締役は被告となり、取締役が解任判決の要件を満たしているかどうかについて主張立証をおこなうことになります。
たとえば、以下のような行為や事実があった場合は、解任判決の要件を満たしていると判断される可能性があります。
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十分に審理が尽くされた段階で、裁判官によって判決が言い渡されます。
取締役の解任判決の要件を満たしていると判断された場合は認容判決、要件を満たしていないと判断された場合は棄却判決となります。
もし判決に納得いかない場合は、控訴・上告をおこなって引き続き争うことも可能です。
最終的に解任判決が確定すれば、取締役は解任となります。
取締役を解任することが決まったら、2週間以内に法務局にて登記手続きをおこなう必要があります(会社法第915条1項)。
申請先は会社の所在地を管轄する法務局で、管轄先は「管轄のご案内|法務局」から確認できます。
取締役の解任が決定した場合は、以下のような対応に移りましょう。
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取締役の解任が決定した場合は、解任が決まった旨を本人に通知しておきましょう。
解任通知は義務ではないため、通知せずに済ませても問題ありません。
ただし、本人に通知しておかないと取締役として行動されて会社側が損を被ったりする可能性もあるため、念のため通知しておいたほうが安心です。
解任した取締役が株式を持っている場合は、買い取りに向けて動きましょう。
解任後も株式を持ち続けられると、株主として会社との関係が続いて運営がうまく進まなくなる可能性があります。
株式は個人の財産であり、解任するからといって一方的に回収することはできないため、買い取り価格を提示して交渉をおこなう必要があります。
なお、スムーズに株式を回収するためには、株式を付与する段階で「解任後には速やかに株を売却する」などと記載した株主間契約を締結しておくのも有効です。
取締役を解任する際は、退職慰労金の支払いについても考えておきましょう。
退職慰労金の支給については、定款・株主総会決議・退職慰労金規程などの根拠を確認する必要があります。
たとえば、定款にて退職慰労金に関する定めがあって条件を満たしている場合や、退職慰労金の支給について株主総会決議で承認を得ている場合などは、原則として退職慰労金を支払う必要があります。
状況に応じて取るべき対応は異なり、判断が難しい場合は弁護士に一度相談してみることをおすすめします。
なるべく穏便な形で辞めてもらいたいのであれば、辞任を促すのが効果的です。
辞任という形であれば、解任に比べて取引先などに対する印象を悪くせずに済んだり、手続きがスムーズに進んで損害賠償請求のリスクを抑えたりすることが可能です。
なかなか交渉がうまくいかない場合は、「辞任すれば退職時の報酬を上積みする」というようなインセンティブを与えるなどの対応も検討しましょう。
もし辞任が決まった場合は、辞任する旨・提出日・氏名・住所などを記載した辞任届を作成してもらいましょう。
辞任届を受理したら、法務局にて変更登記を済ませれば手続きは完了となります。
ここでは、取締役の解任に関するよくある質問について解説します。
取締役はいつでも解任することが可能です。
基本的に定められた手続きを経ていれば、正当な理由がなくても解任できます。
ただし、正当な理由なく取締役を解任した場合は、解任した取締役から損害賠償請求を受ける可能性があります。
取締役会設置会社の場合は、基本的に以下のような流れで解任手続きを進めます。
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なお、解任決議が否決された場合は、裁判所に解任の訴えを起こして争うことも可能です。
取締役の解任の訴えを起こす場合は、以下のような流れで進めるのが一般的です。
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取締役の解任の正当な理由に関しては、特に明確な判断基準などは設けられていません。
実際のところはケースバイケースでの判断となりますが、一例として以下のようなものは正当な理由として認められる可能性があります。
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一方で、以下のようなものは正当な理由として認められないおそれがあります。
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取締役を解任するためには株主総会での決議が必要であり、出席した株主の議決権の過半数の賛成を得れば成立となります。
ただし、なかには解任された取締役が「不当に解任された」と感じて損害賠償請求してくる可能性もあり、なるべく穏便に辞めさせたい場合は辞任を促したり任期満了まで待ったりすることも検討しましょう。
弁護士なら、取締役の解任に向けて今後取るべき対応に関するアドバイスや、損害賠償請求された場合の対応サポートなどを受けることでき、心強い味方として動いてくれます。
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