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【2026年4月施行】物流統括管理者(CLO)選任義務化|特定荷主の判定基準と100万円罰則を弁護士解説

2026.4.27
2026.4.27
2026年4月1日施行の改正物流効率化法で、年間9万トン超の特定荷主に物流統括管理者(CLO)の選任が義務化。対象判定・選任要件・100万円以下の罰金リスク・中長期計画の作成義務を弁護士が解説します。
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2026年4月1日、改正物資の流通の効率化に関する法律(旧:流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律、略称:物流効率化法)が施行されます。年間取扱貨物量が9万トン以上の「特定荷主」に該当する企業(国土交通省試算で約3,200社)には、物流統括管理者(CLO: Chief Logistics Officer)の選任が義務付けられ、違反した場合は100万円以下の罰金が科されます。

本記事では、自社が特定荷主に該当するかの判定基準、CLOの選任要件・業務内容、中長期計画の作成と定期報告、違反時の罰則体系、施行までに整備すべき社内規程と委託契約の見直しポイントを、企業法務に詳しい弁護士の視点で解説します。

POINT 自社が特定荷主に該当するか・CLO選任体制を弁護士に確認しませんか?

改正物流効率化法は、CLOの選任・中長期計画の作成・定期報告を一体で求めています。形式的なCLO選任で済ませると、定期報告で取組実態が伴わず、勧告・命令・公表の対象になるリスクがあります。

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この記事に記載の情報は2026年04月27日時点のものです
目次

物流統括管理者(CLO)とは|2026年4月施行の改正物流効率化法で何が変わるか

物流統括管理者(CLO)は、改正物流効率化法によって新設される企業内の役職です。年間取扱貨物量が一定基準を超える特定荷主・特定連鎖化事業者に対し、経営幹部からのCLO選任が義務化され、物流効率化を経営課題として位置付けることが法的に求められます。

本セクションのポイント
  • 正式名称: 物流統括管理者(Chief Logistics Officer、略称CLO)
  • 法的根拠: 改正物流効率化法 第47条(特定荷主)、第66条(特定連鎖化事業者)
  • 義務化時期: 2026年4月1日施行(規模要件超の特定事業者が対象)
  • 選任要件: 事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者(役員等の経営幹部)

CLOの法的根拠|物資の流通の効率化に関する法律

CLO選任義務は、2024年5月15日に公布された「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」(令和6年法律第23号)により導入されました。

同改正により、従来の「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」は2025年4月1日施行で「物資の流通の効率化に関する法律」(略称:物流効率化法)に名称変更されました。実務上は新旧名称が併存して使われていますが、本記事では現行の正式名称に統一して解説します。

改正の背景|物流2024年問題と荷主側への責任拡大

改正の背景には、トラックドライバーの時間外労働規制(2024年4月施行、いわゆる「物流2024年問題」)に伴う輸送力不足があります。これまで物流効率化は主に運送事業者側の課題とされてきましたが、改正法では荷主企業の経営層が物流を経営課題として捉え、社内横断的に効率化を推進する責任を明確化しました。

主管省庁は国土交通省経済産業省農林水産省の3省連携体制で、製造・流通・食品など各産業分野を横断的にカバーします。

施行スケジュール|段階施行の全体像

改正物流効率化法は2段階で施行されます。すべての荷主・連鎖化事業者・貨物自動車運送事業者等を対象とする「努力義務」が2025年4月に先行施行され、2026年4月から規模要件を超える特定事業者への規制的措置(CLO選任義務など)が施行されます。

段階 施行時期 対象 主な内容
第1段階 2025年4月(既施行) すべての荷主・連鎖化事業者・貨物自動車運送事業者等 努力義務、判断基準告示の遵守
第2段階 2026年4月1日施行 特定荷主・特定連鎖化事業者・特定貨物自動車運送事業者等・特定倉庫業者 CLO選任義務、中長期計画の作成・提出、定期報告

出典: 国土交通省「物流効率化法」理解促進ポータルサイト

CLO選任が義務化される「特定荷主」とは|判定基準と該当企業数

CLO選任義務の対象となる「特定荷主」は、改正物流効率化法 第45条で定義されます。年間取扱貨物量が政令で定める基準(9万トン)以上の荷主企業が該当し、国土交通省の試算では全国で約3,200社が該当する見込みです。これは全国の荷主企業の約2%にあたりますが、これらの企業が国内貨物輸送量の約5割(半分程度)を担っており、改正法の実効性を確保するうえで中核的な対象とされています。

特定荷主の定義|第一種荷主と第二種荷主

特定荷主は、貨物の流れの中で「発荷主(出荷側)」と「着荷主(受入側)」の2区分に整理されます。同一企業が両方の立場を持つ場合もあり、その場合は両方の貨物量を合算して判定します。

区分 定義 該当しやすい企業例
第一種荷主 主に発荷主(出荷側)として貨物の流通を担う事業者 食品・飲料メーカー、化学品メーカー、建材メーカー、自動車部品メーカー
第二種荷主 主に着荷主(受入側)として貨物の流通を担う事業者 大手スーパー、ドラッグストアチェーン、家電量販店、EC事業者

判定基準となる「年間9万トン」は、政令で具体的な計算方法・対象範囲が定められます。1日あたりに換算すると約250トン(10トントラックで約25台分)に相当し、中堅規模の企業でも該当する可能性があります。

業種別の対象になりやすい企業

9万トン基準は業種によって達成しやすさが異なります。以下は国土交通省の資料や業界団体の試算に基づく、対象になりやすい業種・規模の目安です。

  • 製造業: 食品・飲料、化学品、鉄鋼・非鉄金属、自動車部品、機械、建材など、原材料調達と製品出荷の両面で物流量が多い業種。年間売上数百億円規模で該当の可能性が高くなります。
  • 卸売業: 食品卸、医薬品卸、建材卸、総合商社など、多品種・大量の商品を取り扱う事業者。多数の取引先への配送を継続的に行う場合、特定荷主に該当しやすくなります。
  • 小売業: 大手スーパーマーケット、コンビニチェーン、ドラッグストア、家電量販店、EC大手など、多店舗展開と全国配送を行う事業者。生鮮食品や日用品など回転率の高い商品を扱う場合、9万トンを上回りやすい傾向があります。

特定連鎖化事業者(フランチャイズ本部)も対象

改正法 第66条により、フランチャイズチェーンの本部(特定連鎖化事業者)も特定事業者の対象に含まれます。コンビニ本部・外食チェーン本部・小売チェーン本部などは、加盟店舗への商品供給を一括で管理しているため、本部単位で年間取扱貨物量を集計し、9万トンを超える場合はCLOの選任が必要になります。

自社が特定荷主に該当するか判定する3ステップ

STEP 1|過去1年間の取扱貨物量を集計
自社が出荷側・受入側として関与した貨物量(トラック・鉄道・船舶・航空機の合計)を集計します。社内データに加え、委託先運送事業者からの報告値も活用します。

STEP 2|9万トン基準と照合
政令で定める算定方法に基づき、9万トン基準と照合します。グループ会社・子会社の貨物量を合算するかどうかは政令で詳細が示されるため、最新情報を確認します。

STEP 3|該当の場合、施行までに体制整備
該当する場合は、2026年4月1日の施行までにCLOの選任、中長期計画作成体制、定期報告体制を整備します。法務・物流・経営企画の横断プロジェクトとして進めるのが効果的です。

POINT 特定荷主の判定と社内体制整備を、施行前に弁護士と進めるのが確実です

9万トン基準の算定方法、グループ会社の合算ルール、CLOの権限設計、委託契約の見直し範囲は、政令・省令の確定状況に応じて検討が必要です。施行直前の駆け込み対応では、社内規程の整備や委託先との契約交渉が間に合わない恐れがあります。

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CLOの選任要件と業務内容|「経営幹部からの選任」が必須

CLOは、改正物流効率化法 第47条第2項で「事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者」と要件が定められています。具体的には取締役・執行役員などの経営幹部からの選任が必要であり、形式的に既存の物流部長を任命するだけでは要件を満たしません。

選任要件|「重要な経営判断を行う役員等」が原則

国土交通省の物流効率化法理解促進ポータルサイトでは、CLOの要件として「重要な経営判断を行う役員等の経営幹部から選任される必要があります」と明記されています。CLOは物流効率化を経営課題として主導する立場であり、調達・生産・販売・物流など部門横断の調整権限と、経営層への直接的な提言権限を備えていることが求められます。

  • 必要な権限: 経営判断への参画、部門横断の調整権、予算配分への関与、外部委託先との交渉権限。
  • 役職の目安: 取締役、執行役員、CSCO(最高サプライチェーン責任者)、物流担当役員など。
  • 形式選任のリスク: 物流部長を「兼任」させただけでは、定期報告で取組実態が伴わず、勧告・命令の対象になる恐れがあります。

CLOの業務内容(法第47条第3項・主務省令)

CLOには、物流全体の持続可能な提供の確保に向けた業務全般を統括管理する役割が求められます。具体的な業務内容は以下のとおり整理されています。

区分 業務内容
統括管理対象(3項目)
  • 中長期計画の作成
  • トラックドライバーの負荷低減と物資のトラックへの過度の集中を是正するための事業運営方針の作成・事業管理体制の整備
  • その他トラックドライバーの運送・荷役等の効率化のために必要な業務
具体的業務(6項目)
  • 定期報告の作成
  • 貨物運送の委託・受渡しの状況に関する国からの報告徴収への対応
  • リードタイム確保・発注適正化等のための社内関係部門(開発・調達・生産・販売・在庫・物流等)間の連携体制の構築
  • 運送・荷役等の効率化のための設備投資、デジタル化、物流標準化に向けた事業計画の作成・実施・評価
  • 運送・荷役等の効率化に関する職員の意識向上に向けた社内研修等の実施
  • 調達先及び納品先等の物流統括管理者や物流事業者等の関係者との連携・調整

出典: 国土交通省「物流効率化法」理解促進ポータルサイト「物流統括管理者(CLO)の選任」

CLO ≠ 物流部長|実務上の違いと既存組織との関係

多くの企業で「CLOと物流部長は何が違うのか」「既存の物流部長を兼任させてよいのか」が議論になります。両者の違いを整理すると、CLOは経営判断を主導する立場であり、物流部長は物流オペレーションの実行責任者という位置付けに整理できます。

区分 物流部長 CLO(物流統括管理者)
主な役割 物流業務のオペレーション責任者 物流効率化を経営課題として主導
権限の範囲 物流部門内の業務改善 調達・生産・販売など部門横断の調整
経営判断への関与 部分的(提案レベル) 経営会議・取締役会への参画
求められる視点 物流オペレーションの最適化 サプライチェーン全体・経営戦略との連携

既存の物流部長をCLOに任命する場合、形式的な兼任ではなく、取締役会の決議で経営幹部に登用するなど、法定要件を満たす権限付与が必要です。社内規程・取締役会規則・職務分掌規程の整備とあわせて検討します。

中長期計画の作成・定期報告・判断基準告示

特定荷主には、CLO選任と並行して中長期計画の作成と定期報告が義務付けられます。中長期計画の根拠条文は対象事業者ごとに分かれており、特定荷主は第46条、特定連鎖化事業者は第65条、特定貨物自動車運送事業者等は第38条、特定倉庫業者は第56条です。定期報告は第49条が根拠となり、提出を怠った場合や虚偽報告には50万円以下の罰金が科されます。

中長期計画の作成義務(法第46条)

特定荷主は、判断基準告示で示される取組事項を踏まえ、物流効率化に関する中長期計画を作成して国(主務大臣)に提出する必要があります。提出サイクル・記載事項は以下のとおりです。

項目 内容
提出サイクル 毎年度提出を基本としつつ、計画内容に変更がない限り5年に1度の提出となります
取組分野 ①運転者一人当たりの一回の運送ごとの貨物の重量の増加(積載率向上)
②運転者の荷待ち時間の短縮
③運転者の荷役等時間の短縮
記載4項目 ①実施する措置
②具体的な措置の内容・目標等
③実施時期等
④参考事項

出典: 国土交通省「物流効率化法」理解促進ポータルサイト「中長期的な計画の作成」

判断基準告示|目標水準を示す指標

主務大臣は、特定荷主が中長期計画の目標を設定する際の指標として「判断基準告示」を定めます。積載率の目標値、荷待ち時間の上限、荷役等時間の短縮目標などが示され、特定荷主はこれを踏まえて自社の計画を作成します。判断基準告示の達成度は、定期報告と取組状況の評価で確認されます。

定期報告と取組状況の調査・公表

中長期計画の進捗実績は、毎年度、定期報告として国に報告します。報告内容は取組状況の調査・公表制度(法第50条以下)と連動しており、取組が著しく不十分な特定荷主は名前が公表される可能性があります。レピュテーションリスクの観点からも、計画の実効性確保が重要です。

違反時の罰則と行政処分|100万円以下の罰金など

改正物流効率化法は、CLO選任義務違反に対して100万円以下の罰金を、選任の届出を怠った場合に20万円以下の過料を定めています。中長期計画の不提出・虚偽報告には50万円以下の罰金、主務大臣の命令違反には100万円以下の罰金が科されます。

罰則一覧

違反内容 罰則 根拠条文
CLOを選任しない 100万円以下の罰金 法第47条違反
CLO選任の届出を怠った/虚偽の届出 20万円以下の過料 法第48条違反
中長期計画の不提出/報告の不実 50万円以下の罰金 法第46条・第49条違反
主務大臣の命令に違反 100万円以下の罰金 命令違反
報告徴収・立入検査の拒否 50万円以下の罰金 法第76条違反

出典: 国土交通省「物流効率化法」理解促進ポータルサイト、罰則の詳細は政省令の確定状況により変動する可能性があります。

行政処分の流れ|指導・助言から命令・公表まで

違反が認められた場合、罰則の適用前に行政処分(指導・助言・勧告・命令)の段階を経るのが一般的です。各段階の運用は以下のとおりです。

STEP 1|報告徴収・立入検査
主務大臣は、特定荷主に対して取組状況の報告を求めることができます(法第76条)。立入検査では、社内規程・委託契約・物流データなどが確認対象となります。

STEP 2|指導・助言
取組状況が判断基準告示に沿っていない場合、まず指導・助言が行われます。

STEP 3|勧告(法第50条)
指導・助言で改善されない場合、主務大臣による勧告が出されます。勧告は文書で行われ、対応期限が示されます。

STEP 4|命令(法第51条)
勧告に従わない場合、主務大臣による命令が発出されます。命令違反は100万円以下の罰金の対象です。

STEP 5|公表
命令に従わない事実は公表される可能性があり、企業のレピュテーションに直接影響します。

個別の罰則・行政処分の運用は、政省令や主務大臣の運用方針によって詳細が定まります。具体的な対応については、最新の政省令・通達を確認のうえ、企業法務に強い弁護士への相談をおすすめします。

POINT CLO選任体制と社内規程は、施行前に弁護士と整備するのが確実です

形式的なCLO選任で済ませると、定期報告の段階で取組実態が伴わず、勧告・命令・公表のリスクが生じます。社内規程の整備、委託契約の見直し、データ集計体制の構築は、施行直前では間に合いません。

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特定荷主が今やるべき5つの実務対応|弁護士の視点

2026年4月1日の施行までに、特定荷主は社内体制の整備、CLOの選任、中長期計画の作成、委託契約の見直しを進める必要があります。法務・物流・経営企画の横断プロジェクトとして取り組むのが効果的です。以下、企業法務弁護士の視点で優先度の高い5つの実務対応を整理します。

① 自社の取扱貨物量を正確に集計し、特定荷主該当性を判定

まず、過去1年間の取扱貨物量を正確に集計します。社内の出荷データに加え、委託先運送事業者からの貨物量データも合わせて算定します。9万トン基準の算定方法、グループ会社・子会社の貨物量を合算するかどうかは政令で定められるため、最新情報を確認します。

  • 集計対象: 自社が荷主として委託した貨物量の合計(トラック・鉄道・船舶・航空機)。
  • データソース: 出荷管理システム、TMS(輸配送管理システム)、委託先からの月次報告など。
  • グループ会社の取扱: 連結子会社・非連結子会社の貨物量合算ルールは政令で確定するため、最新情報を確認します。

② CLOを「権限ある経営幹部」から選任し、社内規程に明記

CLOには、改正法 第47条第2項の選任要件を満たす経営幹部を任命します。形式的な兼任ではなく、社内規程・取締役会規則・職務分掌規程に権限と責任を明記することが重要です。

  • 選任手続: 取締役会決議によるCLOの任命と権限付与を明確化。
  • 社内規程の整備: 職務分掌規程・物流統括規程・予算規程などに、CLOの権限・責任・予算配分を明記。
  • 体制構築: CLO直下に物流統括部門を設け、経営企画・調達・生産・販売との連携を制度化。

③ 中長期計画の作成体制を整備(経営企画・物流・調達横断)

中長期計画は、判断基準告示で示される指標(積載率・荷待ち時間・荷役等時間)を踏まえて作成します。法務・物流・経営企画・調達の横断PJチームを編成し、データ収集基盤・KPI設定・PDCAサイクルを整備します。

中長期計画作成のための社内チェックリスト

  • 判断基準告示の取組事項(積載率・荷待ち時間・荷役等時間)に対応するKPIを設定したか
  • 過去実績データの集計基盤(TMS・WMS・出荷管理システム連携)を構築したか
  • PJチームに法務・物流・経営企画・調達の責任者を含めたか
  • 計画の年次見直しサイクル(毎年度/変更ない限り5年)を社内規程に明記したか
  • 定期報告作成・提出の社内ワークフローを整備したか

④ 物流委託契約の見直し|運送事業者・倉庫業者との契約条項

中長期計画の実効性を担保するには、運送事業者・倉庫業者との委託契約の見直しが不可欠です。リードタイム条項、荷待ち時間・付帯業務の明文化、データ連携体制の規定など、企業法務の視点で精査します。

  • リードタイム条項: 発注から納品までの所要時間を契約上で明確化し、無理な短納期を回避。
  • 荷待ち時間・付帯業務: 待機時間や付帯業務(積み込み・荷卸し補助)の発生時の取扱いを明文化。
  • データ連携: 取扱貨物量・運行データを委託先と共有する体制を契約条項に組み込み。
  • 運賃改定条項: 燃料費・人件費の変動に対応する協議条項を整備(取引適正化法との整合性確保)。

⑤ コンプライアンス体制の構築|法務・物流・経営企画の連携

定期報告・立入検査への対応体制は、コンプライアンス部門が中心となって整備します。報告内容の社内チェック、虚偽報告防止の内部統制、立入検査時の窓口対応マニュアル、監査ログの保全など、複数の制度を一体で運用します。

コンプライアンス体制チェックリスト

  • 定期報告の作成・社内承認・提出のワークフローを整備したか
  • 虚偽報告防止の内部統制(複数部門のクロスチェック)を導入したか
  • 立入検査・報告徴収への対応マニュアルを策定したか
  • 取引適正化法(旧:下請法)など関連法令との整合性を確認したか
  • 違反時の連絡経路(経営層への即時報告体制)を明確化したか

よくある質問(FAQ)

Q. 自社が特定荷主に該当するかどうやって判定する?

過去1年間の取扱貨物量を集計し、9万トン基準と照合します。算定方法・対象貨物の範囲は政令で定められるため、国土交通省・経済産業省・農林水産省の最新公表資料を確認のうえ、必要に応じて弁護士・物流コンサルタントに相談してください。

Q. CLOは既存の役員(経営幹部)が兼任しても問題ない?

改正法 第47条第2項の要件「事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者」を満たせば、既存役員の兼任も可能です。ただし、CLOの権限・責任・予算配分を社内規程に明記し、形式的な兼任ではなく実質的に物流効率化を主導できる体制を整備する必要があります。

Q. 中小企業も対象になる?年間9万トンの基準は厳しいのか

9万トンは中小〜中堅企業でも該当しうる規模です。1日あたり約250トン(10トントラックで約25台分)に相当し、食品・飲料メーカーや卸売業など物流量が多い業種では中堅規模でも該当する可能性があります。一方、中小企業の多くは特定荷主には該当せず、努力義務(2025年4月施行)の対象にとどまるケースが大半です。

Q. グループ会社全体で9万トンを超える場合の対応は?

グループ会社・子会社の貨物量を合算するかどうかは政令で定められます。連結ベースか単体ベースかで判定が変わるため、最新の政省令・運用方針を確認してください。グループ各社の物流データを統合管理する体制の整備は、いずれの判定基準でも先行して進める価値があります。

Q. 中長期計画の様式・提出先は?

中長期計画の様式・提出先・提出方法は、主務省令で定められます。提出先は主務大臣(国土交通大臣・経済産業大臣・農林水産大臣の3省連携)です。様式の確定状況は国土交通省の物流効率化法理解促進ポータルサイトで公開される予定です。

Q. 罰則は実際にどのケースで適用される?

罰則は、勧告・命令などの行政処分の段階を経ても改善が見られない場合に適用されることが想定されます。CLO選任義務違反の100万円以下の罰金、命令違反の100万円以下の罰金、中長期計画の不提出・虚偽報告の50万円以下の罰金が代表的です。具体的な運用は政省令・通達で詳細が定まります。

まとめ|2026年4月施行に向けた弁護士相談の重要性

本記事のポイント

  • 2026年4月1日、改正物流効率化法(物資の流通の効率化に関する法律)が施行され、年間9万トン超の特定荷主にCLO選任が義務化される
  • 該当企業は約3,200社。製造業・卸売業・小売業の中堅以上が対象になりやすい
  • CLOは取締役・執行役員などの経営幹部から選任。形式的な兼任は要件不充足のリスク
  • 中長期計画の作成・定期報告も義務化。違反時は最大100万円以下の罰金
  • 施行までに、特定荷主該当判定・CLO選任・社内規程整備・委託契約見直し・コンプライアンス体制構築の5つを進める必要

改正物流効率化法は、荷主企業の経営層に対して物流効率化の責任を法的に明確化した制度改正です。CLOの選任は単なる人事ではなく、社内規程・委託契約・データ管理を一体で整備する経営判断であり、施行直前の駆け込み対応では実効性を確保できません。2026年内に体制構築を完了させることが、勧告・命令・公表のリスク回避につながります。

企業法務に強い弁護士は、CLO選任体制の社内規程整備、委託契約条項の見直し、定期報告のコンプライアンス体制構築まで、改正法対応を一体で支援します。施行までの限られた時間で抜けなく対応するためにも、早期の弁護士相談をおすすめします。

POINT まずは無料相談から:CLO選任・社内規程・委託契約の見直しを弁護士と進める

2026年4月1日の施行まで、社内規程の整備・委託契約の見直し・コンプライアンス体制構築に必要な期間を逆算すると、いまから準備を始めても余裕があるとはいえない状況です。施行直前では弁護士・物流コンサルタントの予約も取りづらくなる可能性があります。

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弁護士登録後、東証プライム(旧東証一部)の企業内弁護士として商事契約を含む企業法務を中心に活動を行い、2025年に当社に入社。現在インハウスローヤーとして多方面から事業サポートを行う。
編集部

本記事は企業法務弁護士ナビを運営する株式会社アシロ編集部が企画・執筆いたしました。

※企業法務弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。

本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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