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弁護士監修記事
M&A・事業承継

事業承継を弁護士に依頼するメリットとは?弁護士費用・選び方・事業承継の流れも解説

2024.5.25
2025.11.28
事業承継にあたっては専門家のサポートが必要不可欠です。本記事では、事業承継を弁護士に依頼するメリットや弁護士費用の相場、弁護士の選び方などを解説します。弁護士への相談後の流れなども解説するので、事業承継を検討している方は参考にしてください。
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中村法律事務所
弁護士 町田 侑太
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事業承継は、会社の存続・発展に大きく関わる重大な決断です。

事業承継を検討している会社の中には、今後の不安や現状の課題などを抱えているところもあるでしょう。

ちなみに、東京商工会議所が中小企業を対象におこなった「事業承継に関する実態アンケート」では、事業承継をおこなうにあたっての障害・課題として以下のような回答が集まりました。

「事業承継に関する実態アンケート」集計結果について|東京商工会議所

「事業承継に関する実態アンケート」集計結果について|東京商工会議所

引用元:「事業承継に関する実態アンケート」集計結果について|東京商工会議所

特に大きな障害・課題として、まだ候補先が決まっていない会社の場合は「後継者の探索・確保」、M&Aで譲渡予定の会社の場合は「借入金・債務保証の引き継ぎ」などが挙げられています。

事業承継を成功させることは、会社そのものを守るだけではなく、後継者・従業員・取引先などを守ることにもつながります。

弁護士なら、事業承継のアドバイスや手続きのサポートなどを依頼でき、成功の可能性を高めることができます。

本記事では、事業承継を弁護士に依頼するメリットや弁護士費用の相場、弁護士の選び方や事業承継が完了するまでの流れなどを解説します。

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この記事に記載の情報は2025年11月28日時点のものです

事業承継とは?

事業承継は、親族内事業承継・親族外事業承継・M&Aによる事業承継の3つのパターンがあります。

まずは、各方法の特徴について解説します。

親族内事業承継

親族内事業承継とは、経営者の子ども・孫・兄弟姉妹・甥姪などに事業を譲り渡す事業承継の方法のことです。

親族内事業承継の場合、早いうちに後継者を決めておけば現場での経験などを積ませたりして十分な育成期間を確保でき、スムーズな経営の引き継ぎが望めるというのが大きな特徴です。

さらに、経営者の親族であれば周りからの理解や協力も得やすいうえ、贈与や相続といった税制上の優遇措置を活用しやすいという点も特徴的です。

一方、子どもが複数いる場合などは経営権をめぐって親族間で争いになることもあります。

また、経営者の親族だからといって必ずしも十分な資質を持っているとはかぎらないため、後継者選びを誤ってしまって事業承継後に業績が悪化する可能性もあります。

親族外事業承継

親族外事業承継とは、従業員や役員などに事業を譲り渡す事業承継の方法のことです。

親族外事業承継の場合、親族内事業承継よりも後継者選びの選択肢の幅が広がるため、後継者を確保しやすいというのが大きな特徴です。

さらに、これまで会社に貢献してきた従業員や役員であれば、経営理念や社内事情なども十分に理解していて人間関係も構築しており、経営の一貫性や外部との信頼関係が維持しやすいという点も特徴的です。

一方、親族外事業承継では株式などを有償で譲渡するケースが多いため相応の資金力が必要になる可能性があり、場合によっては金融機関からの融資も検討する必要があります。

また、特にこれまで親族内事業承継を続けてきた会社の場合、親族以外が経営を引き継ぐことに対して周囲が抵抗感を持つこともあります。

M&Aによる事業承継

M&Aによる事業承継とは、M&Aをおこなって第三者に事業を承継する方法のことです。

M&Aによる事業承継の場合、仲介会社を通じて広く買い手を募ることになるため、後継者問題の解決が望めるというのが大きな特徴です。

さらに、経営者としてはM&Aによって利潤の獲得が望めますし、これまでの相手先との取引や従業員の雇用を維持できるという点も特徴的です。

一方、M&Aでは必ずしも買い手が見つかるとはかぎらず、買い手が見つかったとしても思うように交渉が進まずに売却額が低額になってしまうこともあります。

また、なかにはM&Aによって経営体制が大きく変わることもあり、既存客との関係解消や従業員の退職などにつながる可能性もあります。

事業承継における弁護士の具体的な役割

事業承継において、弁護士の具体的な役割は以下のとおりです。

基本的な弁護士の役割

まず、弁護士は以下のような事業承継に関する相談や依頼に対応してくれます。

  • 事業承継のリスクや手続き方法などのアドバイス
  • 事業承継の計画策定・実行のサポート
  • 社内リスクの把握・適切な対策の提案
  • 株式譲渡契約書や事業譲渡契約書などのリーガルチェック
  • 事業承継で必要な契約書や申請書の作成
  • 名義変更や登記申請などの各種手続きの代行
  • 相続税や贈与税に関する相談・節税対策のアドバイス
  • M&Aに関する相談・交渉のサポート など

なお、依頼先事務所によっても対応範囲が異なることもあります。

法律相談する際に、具体的にどこまで対応してくれるのかをあらかじめ確認しておくことをおすすめします。

取引先に対する弁護士の役割

さらに、弁護士は以下のような取引先とのやり取りなども対応してくれます。

  • 取引先や支店などへの説明文の作成・送付
  • 契約書や関連書類の再確認 など

事業承継では、引き継ぎ後も取引先や支店などと円滑に連携していくために、説明などの対応が必要になることもあります。

弁護士なら、どのような形で説明すればよいか、状況に適したアドバイスが望めます。

また、引き継ぎ後に契約書の不備などのトラブルが発生しないよう、弁護士に再確認してもらうことも可能です。

金融機関や各種機関に対する役割

ほかにも、弁護士なら以下のような金融機関や各種機関との手続きも対応可能です。

  • 個人保証契約などの解消・変更
  • 各種名義の変更 など

事業承継の場合、現経営者名で個人保証している契約書については、原則として全て保証人を変更する必要があります。

弁護士なら名義変更などの手続きも一任でき、スムーズに済ませることが可能です。

事業承継を弁護士に依頼する5つのメリット

事業承継を弁護士に依頼するメリットは多々あります。

ここでは、主な5つのメリットについて解説します。

1.事業承継の方法や計画を明確にできる

「事業承継とは?」で解説したとおり、事業承継の方法は3種類あります。

どの方法が最適なのか迷っている場合、弁護士に相談すれば状況に適した方法をアドバイスしてくれます

事業承継の計画についても、弁護士に相談しながら考えることで、現実的かつ適切な期間で実現可能なものを作成できます。

なお、東京商工会議所の「事業承継に関する実態アンケート」では、事業承継計画の作成状況について以下のような回答となっています。

「事業承継に関する実態アンケート」集計結果について|東京商工会議所

引用元:「事業承継に関する実態アンケート」集計結果について|東京商工会議所

「事業承継計画は作成していない」という会社が全体の8割以上と多いものの、着実に進めていくためには事業承継計画書・事業承継計画表の作成が重要です。

弁護士のサポートを得ることで、事業承継の実施期間・費用・全体の流れなどを明確にできるというのは大きなメリットです。

2.M&Aの手続きを適切に進められる

詳しくは「【ケース別】弁護士に相談して事業承継が完了するまでの流れ」で後述しますが、M&Aでは「買い手企業の選定」や「デューデリジェンス対応」などのさまざまな手続きを経る必要があります。

弁護士なら、M&Aの手続きをサポートしてくれて、不備なく進めることができます

買い手企業の選定

M&Aは、買い手企業がなければ成立しません。

仲介会社に依頼すれば買い手候補を見つけて会社を紹介してくれて、M&Aの条件なども提案してくれます。

提案時は「ノンネームシート」「案件概要書」などと呼ばれる簡易的な資料を買い手候補に提供して、検討がおこなわれます。

買い手企業との間では、秘密保持契約書・基本合意書・最終契約書などの書類を作成することになりますが、弁護士なら記載内容が適切かどうかチェックしてくれます。

デューデリジェンス対応

デューデリジェンスとは、買い手企業が売却対象企業のリスク把握・評価のためにおこなう企業調査のことです。

デューデリジェンスによって発覚した事業に存在・内在するリーガルリスクや会計リスクなどを踏まえて企業価値を算定し、M&Aの対価を決定していくのが通常の流れです。

もしデューデリジェンスの結果、致命的なリスクが発見された場合、M&Aが中止となることもあります。

なお、そこまで大きなリスクではなくても、M&Aの契約上で前提条件や表明保証条項としてリスク回避のための規定を設けたり、対価の調整条項を設けたりすることもあります。

デューデリジェンスは買い手側がおこなうのが通常ですが、売り手側が自社を分析するためにおこなうこともあり、弁護士なら適切に実施してくれます。

3.スムーズな事業承継が望める

事業承継するには、一般的に5年~10年程度の期間が必要とされています。

特に親族や従業員に事業承継する場合、後継者の育成なども必要となって長期間かかる可能性があります。

東京商工会議所の「事業承継に関する実態アンケート」では、事業承継を意識してから後継者の承諾を得るまでに「1年未満」、後継者の承諾を得てから事業承継を完了するまでに「5年以上10年未満」という回答が多く挙がっています。

「事業承継に関する実態アンケート」集計結果について|東京商工会議所

引用元:「事業承継に関する実態アンケート」集計結果について|東京商工会議所

また、後継者の育成以外にも、必要書類の作成・各機関との手続き・社内外への説明なども必要です。

弁護士に依頼すれば、書類作成や各手続きの対応、社内外へどのように説明するかなどをアドバイス・サポートしてくれます。

弁護士のサポートによって、事業承継の手続きにかかる負担が軽減されて後継者育成に専念でき、適切な期間でスムーズに事業承継を済ませることが可能です。

4.相続争いの予防や問題解決を依頼できる

事業承継と相続は密接に関係しており、なかには親族同士で誰が引き継ぐのか争いになることもあります。

あらかじめ弁護士に依頼しておけば、どのように引き継ぎをすれば相続問題が起こらずに済むか考えてくれて、穏便な形で引き継ぐことができます。

万が一トラブルが発生してしまった場合でも、弁護士なら交渉や裁判などの手段で問題解決してくれるため、ご安心ください。

5.自社の問題点を早期発見してくれる

事業を引き継いだあと、なかには今まで見えていなかった問題点が発見されて新たな経営者が苦労することもあります。

自分の代で整備・解決できる部分については、早いうちに解決しておきましょう。

弁護士なら、自社にどのような問題があるのかを第三者の視点から評価してくれます。

早期に問題が抽出されれば、事業承継の準備とともに解決に向けて取り組むことも可能です。

事業承継にかかる弁護士費用の相場

事業承継を弁護士に依頼した場合の費用相場も、あらかじめ確認しておきましょう。

主な弁護士費用としては「相談料」「着手金」「報酬金」などがあり、ここではそれぞれの相場や計算方法について解説します。

相談料|1時間あたり1万円~3万円程度

相談料は、事業承継の方法などについて弁護士と法律相談する際にかかる費用のことです。

1時間あたり1万円~3万円程度が一般的な相場ですが、なかには「初回面談無料」「初回30分は相談無料」などの法律事務所もあります。

着手金|約30万円~

着手金とは、事業承継の手続きを弁護士に依頼する際にかかる費用のことです。

着手金の相場は約30万円~ですが、会社の規模や顧問契約の有無などによっても大きく変動します。

正確な金額を知りたい場合は、直接事務所にご確認ください。

報酬金|依頼状況によって異なる

報酬金とは、弁護士に依頼して事業承継が完了した場合にかかる費用のことです。

報酬金については「親族・従業員に事業承継する場合」と「M&Aで事業承継する場合」で計算方法が異なるのが一般的です。

親族・従業員に事業承継する場合

親族・従業員に事業承継する場合、「事業承継で得た利益によって報酬が決まる場合」と「会社の総資産によって報酬金が決まる場合」の2種類に大きく分けられます。

着手金と同様に、具体的な金額は法律事務所によっても異なるため、依頼前には必ずご確認ください。

M&Aで事業承継する場合

M&Aで事業承継する場合、基本的には売却価格によって報酬金額が決まります。

報酬金の目安は以下のとおりですが、法律事務所によっても金額設定にはバラつきがあります。

株式譲渡(売却)価格 報酬金
5億円以下 2,500万円以下
5億円超~10億円以下 2,500万円超〜4,000万円以下
10億円超~50億円以下 4,000万円超〜1億5,000万円以下
50億円超~100億円以下 1億5,000万円超〜2億円以下
100億円超 2億円超

【ケース別】弁護士に相談して事業承継が完了するまでの流れ

ここでは、事業承継の流れについて「親族・従業員に事業承継する場合」と「M&Aで事業承継する場合」に分けて解説します。

親族・従業員に事業承継する場合

親族や従業員に事業承継する場合、基本的には以下のような流れで進みます。

  1. 事業承継の検討
  2. 弁護士への相談
  3. 現状の分析
  4. 相続財産の評価
  5. 後継者の選定・役員や取引先への説明
  6. 承継方法の決定
  7. 事業承継計画の作成
  8. 計画実行
  9. 事業承継の完了

事業承継をおこなう際、弁護士にはできるだけ早いうちに相談しておくことをおすすめします。

早い段階で弁護士に相談しておくことで、多くの選択肢の中から最善の計画を立てることができ、納得のいく形での事業承継が望めます。

なお、事業承継の手続きを進めていくうちに会社の業績などに変化が起きた場合は、都度軌道修正していくことになります。

M&Aで事業承継する場合

M&Aを利用して事業承継する場合、基本的には以下のような流れで進みます。

  1. 事業承継の検討
  2. 弁護士への相談
  3. 事業評価
  4. 秘密保持契約の締結
  5. 基礎情報の開示・事前交渉
  6. 基本合意の締結
  7. デューデリジェンス
  8. 条件交渉・最終契約締結
  9. クロージング

基本的にM&Aでは後継者を育成する必要がないため、親族や従業員などに事業承継するよりも短期間で成立するのが一般的です。

なお、なかには後継者へのアフターフォローとして、事業承継後の一定期間、前経営者が顧問として会社に残ることもあります。

事業承継を依頼する弁護士の選び方

事業承継を弁護士に依頼する際、弁護士なら誰でもよいわけではありません。

ここでは、事業承継を依頼する弁護士の選び方を解説します。

弁護士のレスポンスは早いか

弁護士を選ぶ際、レスポンスが早いかどうかは重要な判断材料のひとつです。

たとえば「メールを送っても数日以上返信がない」というような対応が遅い法律事務所の場合、依頼後の対応も遅い可能性があり、おすすめできません。

法律事務所の規模や弁護士・事務員の人数なども判断材料にはなりますが、実際にメールや電話などでやり取りした際の対応状況もチェックしましょう。

事業承継・M&Aを得意としているか

一口に企業法務といっても実務はさまざまで、なかには事業承継・M&Aよりも、クレーム対応や人事労務などを得意としている弁護士もいます。

全ての弁護士が事業承継・M&Aの対応に慣れているわけではないため、企業法務の中でも「事業承継やM&Aに注力している弁護士」を選ぶことが大切です。

弁護士の注力分野は、各法律事務所のホームページや当サイト「企業法務弁護士ナビ」で確認できます。

企業法務弁護士ナビは弁護士ポータルサイトで、事業承継・M&Aに実績のある全国の弁護士を掲載しています。

地域や相談内容を選択するだけで対応可能な弁護士を一括検索できますので、弁護士を探す際はおすすめです。

自社業界での解決実績は豊富か

自社業界で実績のある弁護士を選ぶことも大切です。

業界によって適用される法律や商慣習は異なりますが、業界事情を把握している弁護士であれば状況に合った的確なアドバイスやサポートが望めます

弁護士の解決実績に関しても、各法律事務所のホームページや企業法務弁護士ナビなどで確認できます。

説明が丁寧で相性が合っているか

弁護士の対応の丁寧さや相性の良さなども確認すべきポイントのひとつです。

事業承継では5年~10年程度かかることも多く、弁護士とは長い付き合いになります。

「こちらの話をしっかり聞いてくれるか」「親身になって丁寧に説明してくれるか」だけでなく、感覚的な部分で「相性が合うか合わないか」も確認しましょう。

たとえ解決実績が豊富な弁護士でも、相性が合わないとやり取りのたびにストレスや不満を感じてしまい、トラブルに発展することもあります。

余計なトラブルを避けるためにも、法律相談の際にしっかり確認しておきましょう。

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さいごに|事業承継が得意な弁護士を探すなら、企業法務弁護士ナビがおすすめ

事業承継では長い準備期間がかかるうえ、会社の現状の整理・後継者の育成・相続問題など、さまざまな課題があります。

不安を抱えたまま事業承継を進めることは望ましくありません。

弁護士に依頼すれば、事業承継の計画策定や手続き方法のアドバイス、契約書のリーガルチェックやトラブル対応などの幅広いサポートが受けられます。

企業法務弁護士ナビでは、初回相談料0円・電話相談可能などの法律事務所も多く掲載しているので、まずは一度話を聞いてみることをおすすめします。

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中村法律事務所
町田 侑太
会社設立から顧問、セカンド顧問、人事労務問題、M&A、IPOなど、幅広い分野での法的サポートを提供。丁寧なヒアリングを通じて、最適な解決策を提案することを大切にしています。
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編集部

本記事は企業法務弁護士ナビを運営する株式会社アシロ編集部が企画・執筆いたしました。

※企業法務弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。

本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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