事業破産の申し立てから終結までの一連の流れ・期間

専門家監修記事
会社の経営が傾き、各種支払いが難しくなってきたときは、当然、破産を検討しますよね。しかし、破産がどのような流れで行われるのか、イメージがわかない方も多いのではないでしょうか。この記事では、事業破産の申し立て~終結まで、一連の流れを追って説明していきます。
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
事業再生・破産・清算

会社の事業経営や資金繰りが困難になった場合、破産という選択肢があります。破産は法的再生の「清算型」の手続きになります。

 

具体的には、裁判所に破産の申し立てを行って、会社を解散・清算します。会社の破産手続きを行う場合は、保証人となっている会社経営者も一緒に自己破産の申し立てを行うのが通常です。

 

この記事では、事業破産の申し立てから終結までの一連の流れについて、詳しくご紹介します。

 

記事後半では、事業破産における期間についても記載しています。

 

清算型の法的再生に至る前に、民事再生手続や会社更生手続、私的再生と、早期の立て直しを考えることが重要ですが、事業を閉じる方法の一つとして、事業破産について見ていきましょう。

 

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事業破産申立から終結までの流れは10ステップ

ここでは、どのように事業破産の申し立てから終結に至るのか、その流れを詳しく解説します。

 

①弁護士への相談

 

正式な事業破産の依頼の前に、まず事業再生や破産に詳しい弁護士に事前相談をします。事業破産についての経験がある弁護士であれば、会社の状況について的確な分析・判断をしてくれます。

 

正式な依頼となった場合は、破産手続きの申し立てを弁護士へ委任します。その後、弁護士と委任契約を交わし、委任状を弁護士へ送付します。

 

委任を受けた代理人弁護士は、債権者に対して「受任通知」を発送します。受任通知を発送することで、債権者からの支払い請求や会社・自宅への督促の連絡が止まります。

 

受任通知とは

代理人弁護士から債権者へ送付する通知のこと。債権者に対して、会社が倒産状態であること、破産申し立て手続きに移行している旨を伝えることができる。債権者と依頼者の間に代理人弁護士が介入し、債権者からの連絡はすべて弁護士が担当する。

 

②会社財産の保全

代理人弁護士判断の下、破産手続きが妥当となった場合には、事業を停止した会社の財産の保全にあたらなくてはなりません。

 

会社の財産保全も代理人弁護士の重要な業務の一つ。会社財産の保全における項目は以下の通りです。

 

  1. 代表者印、銀行印
  2. 会社の預金通帳
  3. 手形帳、小切手帳
  4. 預かり手形
  5. 決算書
  6. 売掛金を裏付ける資料
  7. 不動産等がある場合の権利証
  8. 証券類、会員券
  9. 契約書類等
  10. 会社財産に関する書類等

 

③資料収集

破産手続きの申し立て前に、必要な書類等の準備をします。前章で用意した資料のほかに、依頼者の手元にある、以下の資料を確認します。

 

  1. 過去3年分の確定申告書、試算表
  2. 消費賃借契約書、リース契約書等、買掛金の請求書
  3. 会計帳簿(元帳、出納帳、売掛表、買掛帳、給与台帳等)
  4. 租税、社会保険料の金額を示す書類等
  5. 自動車、車両の車検証
  6. 会社に関係する契約書関係書類

 

④事情聴取および破産申立書の作成・従業員の解雇等

収集した各資料をもとにして、弁護士が依頼者に、支払い不能に陥った経緯について十分に事情聴取を行います。

 

関係書類を精査し、破産申立書を作成し裁判所へ提出します。また、会社の残務処理や、従業員の解雇なども行います。

 

⑤裁判所へ破産を申し立てる

裁判所へ破産申し立てを行い、「予納金」などの費用を支払います。

 

破産申し立てにおいて、依頼者自身が裁判所へ行くことはなく、通常、代理人弁護士が裁判所へ出向きます。

 

予納金は会社の負債総額によって、60〜1,500万円以上と変動します。

 

⑥破産手続きの開始決定および破産管財人選任

裁判所より破産手続きの開始が決定されます。それと同時に、「破産管財人」が選出されます。

 

通常破産管財人には、会社の経営とまったく関係のない第三者の弁護士が選ばれることが多いです。

 

さらに、破産の開始決定が官報に掲載されます。会社の財産は破産開始決定と同時に破産管財人が管理することとなります。

 

会社経営者は、財産の処分や管理を行えず、債権者も財産の差し押さえなどができない状態になります。

 

また、裁判所から、債権者に対して破産手続き開始通知を郵送します。債権者は、債権を債権届書に明記して裁判所へ提出します。

 

⑦破産管財人との協議・管財業務の遂行

依頼者と代理人弁護士、そして破産管財人による三者協議を実施。破産管財人に、会社の資産状況や負債状況の詳細を説明します。

 

その後、破産管財人は会社の財産や資産などを現金化する、という流れになります。資産の売却や、回収を行っていくのです。

 

⑧債権者集会

破産処理がある程度進んだところで債権者集会が開かれます。

 

債権者集会では、破産管財人が会社の資産状況の報告をし、債権者から届出のあった債権の認否の結果も合わせて報告します。

 

1度の債権者集会で終了しなかった場合には、2度目の債権者集会が開かれることとなります。債権者集会には、依頼者と代理人弁護士も出席します。

 

⑨債権者へ配当

破産管財人により、会社財産を売却した資金で、税金や社会保険料、さらには未払い賃金など優先的な債権に配当が支払われます。

 

もしこれらを支払っても、現金が残る場合には、債権者に配当を行います。

 

⑩終結および廃止決定

破産手続きの終了には、終結と廃止があります。終結または廃止決定がなされると、会社自体の権利義務が消滅し、会社がなくなります。

 

同時に、債務についても支払い義務がなくなります。

 

ここまでが、破産手続きにおける一連の流れです。代理人弁護士とともに協議の上、的確に手続きを進めていく必要があります。

 

まとめ

事業破産手続きは、清算型手続きであるために、会社自体の存続ができない状態となります。黒字転換の見通しが立たなくなる前に、まずは破産手続き以外の選択肢を選ぶことが重要です。

 

事業再生においては、できるだけ早期の段階で弁護士に相談しましょう。そうすることで、民事再生や会社更生、私的再生を含めた、事業破産以外の選択肢が広がります。

 

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