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偏頗弁済

読み: へんぱべんさい 

偏頗弁済(へんぱべんさい)とは、支払不能状態にある債務者が、倒産手続き申請前の一定期間内に、特定の債権者(関係会社・取引先・個人保証人等)に対して優先的な返済または担保提供を行う行為のことです。他の債権者を害するため、法的手続きにおいて否認権の対象となります。

否認権の対象となる偏頗弁済の要件

破産法・民事再生法では、以下の場合に否認権(行為を取り消して財産を回収する権利)の対象となります。

  • 危機否認(破産法第162条):支払不能後または破産申立て後に行われた弁済・担保提供で、受益者が支払不能であることを知っていた場合
  • 内部者に対する否認:支払停止・破産申立て前1年以内に、支払不能が発生した後に、内部者(取締役・親族・関係会社等)に対して行われた弁済・担保提供
  • 義務なき行為の否認(破産法第160条):詐害行為(廉価売却・無償譲渡等)として否認される場合も含む

具体的な偏頗弁済の例

  • 倒産前夜に代表者個人や関係会社への借入金を優先返済する
  • 一部の取引先にのみ買掛金を前払いする
  • 担保のなかった特定の金融機関に新たに抵当権を設定する
  • 個人保証をしている代表者が自社から資金を回収する

企業法務での実務ポイント

法務部門は、経営が悪化した局面で「誰かに優先して返済したい」という経営者の意向に対して、否認権リスクを明確に説明することが求められます。支払不能が疑われる状況での弁済・担保提供は、後に管財人から取り消される可能性があるだけでなく、取締役の善管注意義務違反・背任責任にもつながるリスクがあります。倒産手続き申請を検討する際は、直近の弁済・担保設定の履歴を弁護士に開示し、否認権対象の有無を事前確認することが不可欠です。

関連法令

破産法第160条(詐害行為否認)、第162条(偏頗行為否認)、民事再生法第127条(否認権)

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