学校法人における顧問弁護士の役割について|弁護士費用はいくら

専門家監修記事
学校法人では、学生のいじめ問題から教職員の労働問題までトラブルの種が多々あります。顧問弁護士を雇うことで法的視点からの問題解決が期待できる上、トラブル発生を防ぐという点でも顧問弁護士の存在は重要です。この記事では、顧問弁護士に相談できる内容や費用を解説します。
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
顧問・セカンド顧問

学校法人に顧問弁護士を雇うことで、教職員の長時間残業問題や過労死問題、モンスターペアレントへの対応、子供同士のいじめ問題などさまざまなトラブルに対応してもらうことができます。

 

また、学校に顧問弁護士がついていることで、学生の親への安心や信頼にもつながります。

この記事では、顧問弁護士を雇うか検討している方のために、顧問弁護士に相談できる内容や費用についてご紹介します。

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学校法人における顧問弁護士の役割|相談できる具体的な相談例

学校が顧問弁護士と契約をすることで、相談できる内容の例をまとめてみました。

もちろん、下記の相談内容だけでなく、実際には顧問弁護士の業務範囲は多岐に渡りますので、あくまで参考としてご覧ください。

モンスターペアレントとのトラブル

モンスターペアレントと呼ばれる保護者からのクレームに頭を抱える学校法人も多いと思います。モンスターペアレントのクレームのほとんどが、根拠のない事実である場合も多く、学校法人としても頭を抱えてしまいます。

 

過去の裁判では、モンスターペアレントによる根拠のないクレームや理不尽な誹謗中傷によって、不眠状態が続き、健康を害したとして教師が保護者に慰謝料を請求したこともあります。

このように、モンスターペアレントによるクレームも、度がすぎると、教職員だけでは対応できず、顧問弁護士の力を借りなければなりません。

 

モンスターペアレントによるクレームは、対応を誤ると思わぬ方向へ進み、教職員の業務に重大な支障をきたす場合もあります。早い段階から顧問弁護士に相談したほうがよいでしょう。

 

顧問弁護士が早期に加入することによって、モンスターペアレントのクレーム抑止にもつながり、事態を収拾することも可能です。

いじめ問題について

学校法人にとっていじめ問題は、深刻に対応しなければならない問題の1つです。

生徒間のいじめの場合、実態調査や、アンケート調査、そしていじめの事実確認などに迅速な対応が必要です。最悪の場合、生徒が自殺をするという事態に発展しかねません。そのような事態になれば、もちろん学校側の責任が追及されます。

 

顧問弁護士と契約をすることで、いじめ撲滅のマニュアル作成や、実際にいじめが発生した場合の調査方法まで、しっかり検討してもらえます。

 

いじめ問題は生徒の命に関わる重大な問題です。日頃より教師だけでなく、顧問弁護士の協力のもと、いじめ撲滅に向けた対策を講じる必要があります。

職員による体罰・暴言について

昨今、テレビや新聞で教師による体罰問題が取り上げられることも多くなっています。教師は体罰と認識しておらず、生徒に適切な指導をしたと考える場合も多いようです。

 

しかし、いかなる場合も生徒に暴力を振るうことはあってはなりません。体罰も「暴行罪」や「傷害罪」に該当するれっきとした犯罪行為なのです。

 

このような事態を避けるためにも、教師の指導方針マニュアル作成について、法的な見解をもって助言してもらえる顧問弁護士の存在は重要です。体罰を根絶するためにも、教職員の研修などを行い、体罰防止策をすすめていく必要があります。顧問弁護士は、そのような研修にも対応してくれます。

 

また、万が一体罰が発生した場合には、迅速に事実確認や聞き取り調査などを行い、検証をしなければなりません。このような対応を学校法人だけで行うのは、非常に危険です。顧問弁護士の指導のもと、体罰を受けた生徒を保護し、学校法人は適切な処置を講じなければなりません。

学校で起きた不祥事の対応

教職員が学校で起こすセクシャルハラスメントや、パワーハラスメント、さらにアカデミックハラスメントなどは、正しい手順で調査を進めなければ、被害に遭った生徒を精神的に追い込んでしまいます。

 

被害に遭った生徒をしっかり守れるよう、調査の手順処分の方法などを顧問弁護士と整備しておきましょう。これらの調査を学校法人だけで行うと、客観性を欠いたり、証言の整合性がとれなくなったりしてしまう危険性があります。

職員の人事・労務問題について

学校側と職員の間で、人事や労働に関する問題が生じる場合もあります。

たとえば、「教師の無断欠勤」、「規則を守れない教師を解雇したい」、「教師に未払い残業代を請求された」などです。このような問題は必ず顧問弁護士に相談するようにしましょう。

 

過去には、学校法人が常勤講師を安易に雇い止めして訴えられ、学校側が敗訴するという事例も発生しています。職員の人事や労務問題は、顧問弁護士に相談し、正しい判断ができるようにしましょう。

学校行事や部活動中の事故について

学校行事や部活動中、不慮の事故により生徒が命を落とす事案も発生しています。

このような場合、訴訟に移行するケースも多く、学校側が不慮の事故をどの程度予見していたのかが焦点になります。

 

日頃から、適切に学校行事や部活動、イベントを運営するためのマニュアルを作成し、教職員に周知徹底する必要があります。これらを怠ると、生徒の安全を守ることができず、命に関わるような事故が起きてしまう可能性もあります。

 

顧問弁護士は、学校行事の適切な運営にも重要な役割を担ってくれるでしょう。

ネット上での誹謗中傷などに関する問題

インターネットの普及によって、学校の内部情報がネット上に拡散されたり、生徒や教師に対する誹謗中傷が書き込まれたりすることもあります。このような場合には、迅速に発信者を特定し、書き込み削除申請を行わないと、被害者を精神的に追い込む状況となってしまいます。

 

誹謗中傷の書き込みなどのネット犯罪への対応は、時間との勝負です。顧問弁護士に相談し、迅速に対応してもらう必要があります。

授業料未払いに関する問題

学校法人が抱える問題として、授業料滞納問題もあります。

そのような場合、学校法人だけで対応すると、正しい督促の方法がわからず、なかなか支払ってもらえないこともあります。

 

顧問弁護士であれば、双方が合意する適切な方法で解決できるはずです。

学校法人における顧問弁護士費用について

ここでは、学校法人における顧問弁護士費用について詳しくご紹介します。

顧問料金目安

学校法人の顧問弁護士の契約プランは、基本的には弁護士事務所によって異なります。

ただ、一般的には生徒数や相談時間の制限の有無などによってプランが設定されていることが多く、月3万円〜5万円が目安となっているようです。

 

契約プランの中には、緊急時に備えて土日、祝日や夜間でも弁護士と連絡がとれるプランや、相談回数が無制限のプランなどもあります。

 

また、月額料金が安くなればなるほど、サービス内容に制限がかかる場合もありますので、事前に確認をしておきましょう。

訴訟に発展した場合には追加料金がかかる可能性も

基本的な顧問弁護士料金は前述した通りですが、通常の業務範囲を超えて訴訟に発展した場合には、裁判の手続きや、関連資料の準備などに対する追加料金がかかる場合もあります。

 

どのようなときに追加料金がかかるのかも、しっかりと確認しておきましょう。

まとめ

昨今の学校法人は、さまざまな問題を抱えています。モンスターペアレントのクレーム対応や、労務問題、ハラスメント問題、授業料金の未払い、体罰やいじめ問題などです。これらすべての問題を学校法人だけで対応するとなると、初動に遅れが生じてしまい、迅速な対応ができない可能性が高いです。

 

生徒や学生の命を預かる場所だからこそ、顧問弁護士の協力のもと、どのような問題でも適切な対処をする必要があります。

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