準委任契約で印紙が必要なケースや印紙税額・貼り忘れた際の罰則を解説

専門家監修記事
準委任契約については、原則的に印紙税が課税されないため印紙は不要です。ただし、なかには例外的に課税対象となるケースがあり、その場合は印紙が必要です。この記事では、準委任契約を結ぶ際に印紙が必要なケースや印紙税額、印紙を貼り忘れた場合の罰則などを解説します。
阪神総合法律事務所
曾波 重之
監修記事
取引・契約

印紙税法第2条では印紙税が課される契約書について定めており、「印紙税法別表第一 課税物件表」に該当する場合は印紙を貼り付ける必要があります。

準委任契約の契約書については特に規定されていないため、原則的に印紙を貼り付ける必要はありませんが、なかには例外的に課税対象となるケースもあり、その場合は印紙が必要です。

この記事では、準委任契約を結ぶ際に印紙が必要なケースや印紙税額、印紙を貼り忘れた場合の罰則などを解説します。

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準委任契約で印紙が必要なケース

準委任契約を結んで契約書を取り交わす際、原則的に印紙は不要です。しかし、契約書が「印紙税法別表第一 課税物件表」で定める「第1号文書」や「第7号文書」などに該当する場合は、例外的に印紙が必要となります。

ここでは、準委任契約で印紙が必要なケースについて解説します。

第1号文書に該当する場合

第1号文書については、印紙税法別表第一 課税物件表にて「無体財産権(特許権や商標権など)の譲渡に関する契約書」と定義されています。たとえ準委任契約であっても、この契約書に該当する場合は課税対象として判断される可能性があります。

契約書の具体例としては以下が挙げられます。

  • システム開発業務委託契約書
  • プログラム業務委託契約書
  • ソフトウェア業務委託契約書
  • アプリ業務委託契約書

第7号文書に該当する場合

第7号文書については、印紙税法施行令第26条にて「売買の委託に関する契約書」や「売買に関する業務の継続委託に関する契約書」と定義されています。第1号文書と同様、この契約書に該当する場合は課税対象として判断される可能性があります。

契約書の具体例としては以下が挙げられます。

  • 販売店契約書
  • 代理店契約書
  • 特約店契約書
  • アフィリエイト契約書

ただし、契約期間が3ヶ月以内で更新について規定がない場合は対象外となります。

準委任契約でかかる印紙税額

「準委任契約で印紙が必要なケース」で解説したように、準委任契約で結ぶ契約書が「第1号文書」や「第7号文書」などに該当する場合、例外的に印紙が必要となります。

ここでは、それぞれにかかる印紙税額について解説します。

なお、印紙税額の負担者については、印紙税法3条2項で「連帯して」納める義務があると規定されているだけなので、双方で話し合ったのちに折半するというケースが多いようです。

第1号文書の場合

第1号文書については、契約書に記載された契約金額に応じて印紙税額が異なり、まとめると以下の通りです。

契約金額

印紙税額

1万円以下

非課税

1~10万円

200円

10~50万円

400円

50~100万円

1,000円

100~500万円

2,000円

500~1,000万円

1万円

1,000~5,000万円

2万円

5,000万円~1億円

6万円

1~5億円

10万円

5~10億円

20万円

10~50億円

40万円

50億円以上

60万円

契約金額が記載されていない場合

200円

第7号文書の場合

第7号文書については、契約金額にかかわらず一律4,000円の印紙税額がかかります。

準委任契約で印紙を貼り忘れた場合の罰則

印紙を貼り付ける義務は、あくまで税法上で定められたものであるため、契約書の効力にまで大きな影響を及ぼすことはありません。したがって、印紙が必要であるにもかかわらず貼り忘れたとしても、それによって必ずしも契約そのものが無効になるとは限りません。

ただし印紙を貼り忘れると、印紙税法が定めるペナルティである「過怠税」の対象となり、罰金が科されます。国税局・税務署により実施される税務調査によって印紙の貼り忘れが発覚した場合、本来の印紙税額の3倍に相当する金額が罰金として科されます(印紙税法第20条1項)。

なお、税務調査が実施される前に自主的に貼り忘れを申告した場合は、実施後に発覚した場合よりも罰金額は軽減されるものの、本来の印紙税額の1.1倍に相当する金額が罰金として科されます (印紙税法第20条2項)。

また、印紙に消印が押されていない場合も「過怠税」の対象となり、本来の印紙税額と同額の罰金が科されます(印紙税法第20条3項)。

契約手続きに不安がある場合は弁護士へ相談

契約手続きについては自力で行うことも可能ですが、弁護士に依頼することで手間をかけずにスムーズに済ませることができます。

弁護士であれば、契約書の作成リーガルチェックが依頼できる上、作成後に修正点や疑問点が生じた場合も対応が任せられるなど、契約手続きに関する幅広いサポートが受けられます。また企業法務に注力した弁護士であれば、「案件に適した契約態様が選択できているか」「契約内容に不利な点はないか」など、取引スキーム全体に関するアドバイスなども期待できます。

さらに2020年4月には改正民法が施行予定であり、、準委任契約については「仕事の完成を前提に契約が締結できるようになる」など、大きく変更されます。不備なく契約手続きが完了できるか不安な場合だけでなく、民法改正を控えて、整合性の取れた契約書が作成できるか不安な場合なども、弁護士に相談するとよいでしょう。

まとめ

準委任契約を結ぶ場合、基本的に印紙は不要です。しかし、例外的に第1号文書や第7号文書などに該当する場合は印紙が必要です。第1号文書にかかる印紙税額は契約金額に応じて異なり、第7号文書にかかる印紙税額は一律4,000円です。

また、印紙を貼り忘れたとしても、それによって必ずしも契約が無効になるとは限りませんが、過怠税の対象となり「本来の印紙税額の3倍に相当する金額」が罰金として科される可能性があります。もし自力で契約手続きができるか自信がない場合は、弁護士に相談してサポートを得るとよいでしょう。

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