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2024年10月1日に不当景品類及び不当表示防止法(以下、景品表示法)が改正されました。
確約手続きの導入や違反時のペナルティ強化など、特に違反行為に対する改正がメインです。
これにより事業者は景品表示法を守って広告をおこなうことがますます重要となっています。
本記事では、企業で広告などを担当している方に向けて、以下の内容について説明します。
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本記事を参考に、令和5年改正景品表示法の変更点についてそれぞれ詳しく確認しましょう。

改正景品表示法は2023年5月10日に成立し、2024年10月1日に施行されました。
改正の主な目的は「事業者の自主的な取組みの促進」「違反行為の抑止力の強化」です。
特に「確約手続き」と呼ばれる事業者の自主的な改善を促す制度の導入が今回の大きな目玉です。
実際、同改正法の施行後は、従来の措置命令から新制度の「確約手続き」の件数が増えています。
| 2024年(令和6年) | 2025年(令和7年) | |
|---|---|---|
| 措置命令 | 26件 | 13件 |
| 確約計画の認定 | 1件 | 8件 |
| 課徴金納付命令 | 7件 | 10件 |
そのため、同改正法については特に「確約手続き」について把握しておくことが重要といえます。
なお、景品表示法の基本情報について知りたい方は、あわせて以下のページをご確認ください。
【関連記事】景品表示法をわかりやすく解説!実務担当者が知っておくべき基本から対策まで
【参考】
消費者庁「【令和6年10月1日施行】改正景品表示法の概要」
消費者庁「景品表示法に基づく法的措置件数の推移及び措置事件の概要の公表」

ここでは、令和5年改正景品表示法で事業者への影響が大きい改正内容について説明します。
| 改正前 | 改正後 |
|---|---|
| 消費者庁の取れる選択肢が「措置命令・課徴金納付命令」「行政指導」しかなかった。 | 事業者の自主的な改善を評価するための「確約手続き」が導入された。 |
令和5年改正景品表示法から、新しく確約手続きが導入されました(同法第26条〜第33条)。
確約手続きとは、景品規制違反・表示規制違反の疑いがある事業者が自ら是正措置計画等を作成・申請する仕組みです。
この申請が消費者庁に認められると、当該違反被疑行為について、認定が取り消されない限り、措置命令・課徴金納付命令の適用を受けません。
なお、実務上は、まず消費者庁より「確約手続通知」を受け、それから申請手続きをおこないます。
| 改正前 | 改正後 |
|---|---|
| 故意の不当表示をしている者を直接罰する規定がなかった。 | 故意に優良誤認表示・有利誤認表示をした者に対する刑事罰が設けられた。 |
今回より、故意に優良誤認表示・有利誤認表示をした者を罰する直罰規定が導入されました(法第48条、第49条)。
改正景品表示法の直罰規定の主な構成要件を整理すると、以下のようにまとめられます。
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こうした故意の不当表示をしている疑いがある場合は、刑事事件になってしまう可能性があります。
そして起訴され有罪判決になれば「100万円以下の罰金(両罰規定あり)」を科されるでしょう。
2026年5月時点で同罪が適用された事例はありませんが、不当表示をしないよう注意すべきです。
| 改正前 | 改正後 |
|---|---|
| 課徴金率は一律で売上高の3%だった。 | 過去10年間に課徴金納付命令を受けていた場合、課徴金率が4.5%へと引き上げられた。 |
景品表示法には、根拠のない不当表示をおこなった事業者に対する課徴金制度があります。
課徴金率は一律3%でしたが、今回から一部4.5%に変更されました(法第8条5項、6項)。
この4.5%の課徴金率が適用されるのは、過去10年以内に課徴金納付命令を受けた事業者です。
課徴金納付命令を受けたことがある事業者は、再発防止の体制を早めに整えるようにしましょう。
令和5年ではほかにもいくつか改正点があります。
ここでは、令和5年改正景品表示法のそのほかの変更点について確認しましょう。
| 改正前 | 改正後 |
|---|---|
| 返金措置での返金方法は現金のみだった。 | 現金だけでなく、電子マネーやクオカードでの返金も認められるようになった。 |
景品表示法では、消費者に返金すれば課徴金の額を減らせる「返金措置」が導入されています。
従来は現金での返金のみでしたが、改正後は電子マネーやクオカードでも可能です(法第10条)。
なお、現金以外での返金をおこなう場合には、事前に消費者から承諾を得ておく必要があります。
| 改正前 | 改正後 |
|---|---|
| 事業者が適切な売上額を報告できないときの計算方法が設けられていなかった。 | 報告できない期間の売上額を推計するための合理的な規定が設けられた。 |
今回の改正に伴い、課徴金の根拠となる売上額の推計規定が設けられました(法第8条4項)。
具体的な計算式は「把握できた期間の売上高÷その期間の日数×把握できない期間の日数」です。
今後「売上を把握していない」「帳簿を付けていない」などの事業者側の言い分は認められません。
| 改正前 | 改正後 |
|---|---|
| 適格消費者団体が差止め請求をおこなう際は団体側が効果・効能がないことの立証責任を負う必要があった。 | 優良誤認表示と疑うに足りる相当な理由があるときは、事業者は合理的な根拠を開示する努力義務を負うことになった。 |
新しく適格消費者団体の立証の負担を軽減する「開示要求規定」が導入されました(法第35条)。
これにより一定の要件を満たせば、団体が事業者に対して開示要請をおこなえるようになります。
事業者側の開示は努力義務となっており、営業秘密が含まれる場合は義務を負うことはありません。
しかし、適格消費者団体側からこうした請求を受ける可能性があることは理解しておきましょう。
| 改正前 | 改正後 |
|---|---|
| 外国事業者に対する課徴金納付命令の公示送達の整備だけだった。 | 外国事業者に対する措置命令の送達制度が整備・拡充された。また、外国執行当局との体制強化もおこなわれた。 |
そのほか、外国事業者に対する規制や国際連携の強化も進められています(法第41条~第44条)
海外に拠点を置いていた事業者も、今後は景品表示法による規制が厳しくなると考えられます。

改正景品表示法で導入された確約手続きの流れは以下のとおりです。
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なお、申請をおこなわなかったり、計画が却下されたりした場合はペナルティのリスクが生じます。
次項で「実際にどのような理由で消費者庁から確約手続きの指摘を受けたのか」を確認しましょう。
改正景品表示法が施行されて、実際に確約手続きの運用もおこなわれています。
ここでは、どのような事案で確約手続きの対象になったのか3つの事例を確認しましょう。
| 事業者 | caname株式会社 |
|---|---|
| 問題点 | 景品表示法第5条違反の疑い |
| 掲載場所 | 自社Webサイト |
| 違反内容 | 期限付きの無料体験を開催し、その当日に入会した場合に限り入会金割引がされる表示をしていたが、実際は期限後の無料体験であっても同割引が適用されていた。 |
本件は、景品表示法の改正後に初めて確約手続きが実施された事例です。
いわゆる「キャンペーンの繰返し」という有利誤認表示に該当することが疑われたケースとなっています。
なお、計画が認定されたため、caname社に対する措置命令や課徴金納付命令は出ていません。
【参考】caname株式会社から申請があった確約計画の認定について|消費者庁
| 事業者 | 株式会社ソシエ・ワールド |
|---|---|
| 問題点 | 有利誤認表示(景品表示法第5条2号違反)の疑い |
| 掲載場所 | 予約サイト |
| 違反内容 | 有効期限付きの割引クーポンを掲載していたが、実際は有効期限を過ぎても同等以上の割引クーポンを利用できていた。 |
本件は、自社サイトではなく「予約サイト」での不当表示が問題になった事例です。
こちらも「キャンペーンの繰り返し」であり、有利誤認表示の疑いがかけられています。
自社サイトだけでなく、自社の商品・サービスを掲載しているサイトも規制の対象になります。
【参考】株式会社ソシエ・ワールドから申請があった確約計画の認定について|消費者庁
| 事業者 | 株式会社イングリウッド |
|---|---|
| 問題点 |
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| 掲載場所 | 自社Webサイト・SNS |
| 違反内容 |
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本件は、優良誤認表示とステルスマーケティング告示(ステマ)が問題になった事例です。
優良誤認表示に関しては「No.1表示」をはじめ複数の表現について問題が指摘されています。
また、口コミを集めて自社製品が優れているように見せたステマについても指摘を受けています。
2023年10月1日以降、ステマは規制されているため口コミなどの扱いにも注意が必要といえます。
【参考】株式会社イングリウッドから申請があった確約計画の認定について | 消費者庁
近年は景品表示法が厳しくなっており、より不当表示をした場合のリスクは高まっています。
そのため、景品表示法の改正をきっかけに改めて自社の広告について確認しておきましょう。
現在実施している広告などに景品表示法に違反する文言がないかを確認しましょう。
| 不当表示に関する区分 | 具体的な表現 |
|---|---|
| 優良誤認表示に関するもの |
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| 有利誤認表示に関するもの |
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ポイントは「根拠がないにもかかわらず、その表示をおこなっていないか」です。
点検対象は、自社Webサイト、SNS、チラシ、パンフレットなど多岐にわたります。
手間はかかりますが、自社のためにも消費者のためにも、漏れなく確認することをおすすめします。
社内で広告についてチェックできる体制を構築することも重要です。
たとえば、消費者庁の「景品表示法のガイドブック」では以下のような対策を紹介しています。
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特にチェックリストの作成や、承認フローの整備などは、不当表示の回避に役立つでしょう。
【参考】消費者庁「事例でわかる景品表示法 不当景品類及び不当表示防止法ガイドブックP16~」
広告に不安がある場合は、景品表示法が得意な弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。
景品表示法が得意な弁護士であれば、広告リーガルチェックなどに対応してくれるでしょう。
また、業界ごとの広告規制も存在するため、自社の業界に明るい弁護士のほうが適しています。
なお、万が一消費者庁から確約手続通知を受け取った際も早めに相談するほうが望ましいです。
確約手続きは60日以内という期限が設けられているため、迅速な対応が必要になるでしょう。
令和5年改正景品表示法は、事業者の自主的な改善促進と違反行為の抑止力の強化が主な目的です。
確約手続きや直罰規定が設けられたほか、従来どおりの措置命令や課徴金納付命令などもあります。
事業者側は今後も適切に広告をおこない、不当表示によるペナルティを避けるように努めましょう。
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特に「ネット法務」が得意な弁護士であれば、広告のサポートをしてくれる可能性が高いでしょう。
編集部
本記事は企業法務弁護士ナビを運営する株式会社アシロ編集部が企画・執筆いたしました。
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