
会社の財政状況が悪化している中で、「このまま会社をどうにか立て直すことはできないのか」「倒産・破産手続きを進めるべきか、何を基準に決めればいいのか」などと悩んでいる経営者も多いのではないでしょうか。
倒産・破産を選択すべきかは、借金額や今後の返済見込みなど、さまざまな要素を総合的に考慮して判断する必要があります。
経営者個人で冷静に判断するのは難しいですが、そうだからといって周囲の人物にも相談しづらいケースも多いでしょう。
そんなときは、弁護士へ相談することで、的確なアドバイスを得られるかもしれません。
本記事では、弁護士へ相談するメリットや注意点、倒産・破産を得意とする弁護士の探し方や選び方、弁護士費用の相場について詳しく解説します。
倒産手続きの流れについても触れているので、弁護士に相談してから倒産手続きが終了するまでの流れを具体的にイメージできるようになるでしょう。
会社の倒産に強い弁護士を探すなら「企業法務弁護士ナビ」で
会社の倒産や破産について身近に相談できる弁護士がいない場合、「企業法務弁護士ナビ」を活用して弁護士を探すのがおすすめです。
以下では、企業の倒産における弁護士選びの重要性や企業法務弁護士ナビの特徴を紹介します。
企業の倒産は実力のある弁護士への依頼が大切
会社の破産申し立ては、個人の破産申し立てとは異なり、より慎重な判断と準備が求められます。
たとえば、破産予定が債権者に知られることで会社財産が奪われるおそれがあるときは、債権者へ受任通知を送付せずに、即座に破産申し立てをおこなう場合があります。
また、財産が差し押さえされたなどの緊急性が高い状況では、事前に裁判所と協議し、申し立てと同時に破産決定を出してもらう必要があります。
このように、状況に応じた判断が必要になるので、企業の倒産については弁護士への依頼が不可欠です。
ただし、弁護士には得意分野と不得意分野が存在します。
そのため、倒産分野を得意とする弁護士を選んで相談するのが良いでしょう。
企業法務弁護士ナビでは、実績が豊富で実力のある弁護士を多数掲載
「企業法務弁護士ナビ」には、事業再生・破産・清算を含む企業法務分野を得意とする弁護士が多数掲載されています。
企業の倒産を得意とする弁護士を簡単に検索できるだけでなく、専門分野の詳細な実績などを確認できるのもポイントです。
また、地域ごとの検索機能があるため、事業所の所在地に合った弁護士を効率的に見つけられるでしょう。
法律事務所の料金体系も掲載されており、自社のニーズに合った最適な弁護士を選びやすくなっています。
会社の倒産・破産手続きを依頼する弁護士の選び方
会社の倒産や破産手続きを弁護士に相談する際には、倒産分野を得意とする弁護士を選ぶべきですが、ほかにも確認すべきポイントがいくつかあります。
以下のポイントを参考に、自社にとって最適な弁護士を見つけましょう。
実績の豊富さをチェック
倒産・破産手続きは、法的にも事務的にも非常に複雑です。
そのため、過去に同様の案件を多く扱った弁護士を選ぶのが良いでしょう。
弁護士の専門分野だけでなく、過去の実績や取り扱った経験がある事件内容を具体的に確認しておきましょう。
たとえば、債権者との調整や裁判所への申し立て、会社資産の管理・処分に至るまでを対応したことがあるかどうかなど、具体的にどこまで対応できるのかを確認してください。
親身になって相談にのってくれるか
会社の破産手続きは数年かかる場合もあるので、弁護士が親身に話を聞き、状況をしっかりと理解したうえでサポートしてくれるかどうかが大切です。
信頼できる弁護士は、手続きの流れや解決までの道筋をわかりやすく説明し、相談者が抱える不安や疑問に丁寧に答えてくれるでしょう。
初回の相談時に、丁寧に話を聞いてくれるか、弁護士の説明がわかりやすいかなど、頼れる弁護士かをきちんと見極めることがポイントです。
弁護士費用について明確な説明はあるか
破産手続きを進めるにあたっては、想像以上に費用がかかることも多いです。
費用には、「弁護士費用」のほか、「裁判所への申し立て費用」などがありますが、費用の詳細や内訳がわかりにくい場合、あとから予想外の支出が発生する可能性もあるでしょう。
そのため、弁護士費用が明確に説明され、納得できる形で提示されているかも重要です。
依頼前に見積書をもらい、何にどれだけ費用がかかるのか、追加費用が発生する可能性があるときはその条件についても確認しておくと良いでしょう。
会社の倒産・破産手続きを弁護士に依頼するメリット
ここからは、会社の倒産・破産手続きを弁護士に依頼するメリットを具体的に紹介します。
1.倒産がベストの選択肢か適切に判断できる
会社の経営者が倒産を考えていても、必ずしも倒産がベストな選択肢とは限りません。
また、企業の倒産した際に選択できる手続きには、主に「破産型」と「再建型」の2つがあり、それぞれで特徴が異なります。
- 破産型:資産を清算して債権者に分配し、会社を終了させる手続き(破産、特別清算など)
- 再建型:債務の整理や事業の再建を通じて、会社を存続させることを目指す手続き(民事再生、会社更生など)
破産を選択するにしても、会社の状況に応じてどちらの手続きを取るべきかを判断する必要があります。
その点、破産手続の経験が豊富な弁護士に相談することで、倒産がベストの選択肢であるか、ほかに適切な手続きがあるかなど、アドバイスをもらえるでしょう。
2.今後の見通しが立つ
倒産について弁護士に相談することで、解決すべき課題や優先順位が明確になります。
たとえば、倒産する場合の具体的な手続きなどの基本的な疑問はもちろん、経営者が自己破産を検討すべきかや倒産のタイミング、従業員や取引先への説明時期など、会社運営や周囲への配慮に関する細かいアドバイスをもらえるでしょう。
3.周囲へかける迷惑を最小限にできる
会社の資金が尽きる寸前の段階になると、従業員の給与支払いも難しく、取引先への支払いも滞ることになります。
これにより、取引先は貸し倒れとなり、連鎖倒産を引き起こすリスクがあります。
弁護士は、資金が尽きる寸前でも適切に倒産手続を進めてくれるので、従業員や取引先への影響を最小限に抑えることができます。
4.債権者からの督促や取り立てが止まる
倒産手続きの依頼を受けた弁護士は、債権者に対して「受任通知」を送ります。
受任通知の送付後には、債権者が直接会社に対して取り立てや催促をすることが法律上禁止されます。
これにより、相談者が取り立てに悩むことがなくなるので、倒産後の生活の立て直しに専念できるようになるでしょう。
5.複雑な手続きを任せられる
倒産手続きでは、複雑な書類を作成し、裁判所に提出しなければなりません。
専門的な知識を持たない一般の方には難しい作業が多いですが、弁護士に依頼すれば、これらの複雑な手続きを一任することができます。
また、債権者との交渉や対応も任せられるので、相談者の負担が軽減するでしょう。
6.債務が免除になる
倒産手続きが完了すると、会社が抱えている借金だけでなく、経営者が個人保証している債務も免除される場合があります。
弁護士は、破産手続きによって確実に債務免除ができるように法的手続きを進めてくれるでしょう。
7.少額管財事件により費用や負担を軽減できる
少額管財事件とは、自己破産手続きの一種で、通常の管財事件よりも手続きの負担が少ない方法です。
また、通常の管財事件よりも手続き費用が少なく抑えられているので、個人や小規模な企業が利用しやすい特徴があります。
破産を検討する際、管財事件に該当しそうな場合は、まずは少額管財事件を選択肢とすることが重要ですが、弁護士に相談することで、少額管財事件として取り扱ったほうがよいかどうかもアドバイスをもらえます。
会社の倒産についてできるだけ早急に弁護士へ相談すべき理由
事業が行き詰まってからでも、経営者はできる限り事業を継続しようとしますが、会社倒産を検討するようになった時点で、できるだけ早めに弁護士に相談すべきです。
ここでは、その理由について解説します。
1.取引先や従業員にかける負担を軽減できる
弁護士への相談が遅れると、会社の債務が膨らみ、取引先への支払いが困難になるなど、関係者に深刻な影響を及ぼすリスクが高まります。
倒産について、弁護士へ早めに相談することで、計画的な倒産が可能になり、周囲への迷惑を最小限に抑えることができます。
2.費用を確保できず、破産できなくなる事態を避けられる
倒産に関する相談が遅れると、経営状況がさらに悪化し、破産に必要な費用を確保できなくなるおそれがあります。
さらに、弁護士へ依頼する費用も捻出できず、適切な手続きすら進められない状況に追い込まれてしまうかもしれません。
3.従業員が倒産を予期して、状況が悪化するのを予防できる
経営状態の悪化が従業員に伝わると、不安を感じた従業員が退職したり、情報が外部に漏洩したりするリスクが高まります。
その結果、さらに会社の信用が低下したり、取引先とのトラブルも生じたりして、倒産手続きが複雑になるケースもあります。
弁護士へ早めに相談し、適切な対応を取ることで、従業員の不安を最小限に抑え、状況が悪化するのを予防できるでしょう。
4.経営者自身の負担も軽減できる
資金繰りの悪化に直面し、倒産を考えざるを得ない状況に陥ると、経営者の精神的負担が極めて大きくなります。
倒産に関わる問題が続くと、強いストレスを感じ、悩み、ときには精神的な疾患を引き起こすリスクも高まるでしょう。
精神的負担を長引かせない、軽減するためにも、早い段階で弁護士に相談し、負担を軽減することが大切です。
弁護士に依頼して会社を倒産(破産)するのにかかる費用の目安
ここでは、会社の倒産を弁護士に依頼する場合の費用相場を確認しておきましょう。
会社の倒産にかかる弁護士費用の目安
会社の倒産事案にかかる弁護士費用の内訳は、以下のとおりです。
- 着手金:弁護士が法人破産を引き受けた際に支払う費用
- 報酬金:法人破産が完了した後に支払う成功報酬
- 実費:手続きに必要な経費(交通費、宿泊費)
実際に発生する費用や内訳は、会社の規模や事業内容、法律事務所の料金体系や負債の規模によって異なりますが、合計で50万円~300万円程度になることが一般的です。
双方の認識ずれが生じないよう、事前に弁護士から見積書をもらい、内訳をしっかりと確認しましょう。
裁判所への申し立て費用も必要
破産手続きの際は、裁判所への申し立て費用も発生します。
裁判所への申し立て費用は、負債額によって大きく異なります。
まず、破産手続きを開始するには、裁判所への予納金の支払いが必要です。
予納金は、破産手続きを進める際に発生する費用として、破産管財人の報酬にあてられます。
予納金の金額は裁判所によって異なるため確認が必要となりますが、東京地方裁判所では、以下の金額に設定されています。
負債総額 | 引継予納金の額(法人の場合) |
---|---|
5,000万円未満 | 70万円 |
5,000万円以上1億円未満 | 100万円 |
1億円以上5億円未満 | 200万円 |
5億円以上10億円未満 | 300万円 |
10億円以上50億円未満 | 400万円 |
50億円以上100億円未満 | 500万円 |
100億円以上 | 700万円〜 |
また、法人破産を裁判所へ申し立てるためには、以下の費用が必要です。
- 申立手数料(収入印紙代):約1,000円
- 予納郵券(郵便切手代):約5,000円
- 官報公告費:約1万5,000円
正確な費用は裁判所によっても異なるので、事前に確認しておきましょう。
弁護士費用を支払えない場合の対処法
破産手続きにかかる費用を工面するのが難しそうな場合は、ここで紹介する2つの方法を検討してみましょう。
1.会社の資産を処分して捻出する
弁護士費用を捻出する方法として、会社が所有する資産の処分を検討しましょう。
ただし、事業運営に必要な資産を売却するのは、必ず避けてください。
また、資産を現金化して借金返済に充てるという考えもありますが、破産手続きにおいては、資産処分に関して慎重に判断する必要があります。
とくに、法人破産を申し立てる前に資産を処分した場合、破産管財人から「否認権」が行使されるリスクがあるため注意しましょう。
否認権とは、破産手続きの開始前に処分された資産を取り戻すための法的手段です。
このため、資産を売却して現金を得ても、そのあとに管財人が処分を無効にすることで、最終的に元の状態に戻される可能性があります。
会社の資産の処分方法について悩んだときは、弁護士に相談してみましょう。
費用捻出の点も含めて、破産手続きをスムーズに進めるための最良の方法を一緒に考えてくれるかもしれません。
2.分割払いに応じてもらえないか相談する
法律事務所によっては、着手金の分割払いに対応している場合があります。
分割払いが可能かどうかは、各法律事務所のホームページや問い合わせることで確認可能です。
支払い回数や金額、手数料については弁護士と合意する必要があるので、まずは法律事務所に相談してみましょう。
会社の倒産・破産について弁護士へ相談する前の注意点
会社の倒産・破産手続きについて弁護士に相談する際には、いくつか注意点があります。
ここでは、主な注意点を5つ紹介します。
1.一部の債権者に偏った支払いをしない
倒産手続き中に特定の債権者に優先して弁済することは、破産法で禁止されています。
一部の債権者だけを優遇してしまうと、破産管財人が否認権を行使して、返済を受けた債権者に対して返還を求める可能性があります。
返還がおこなわれない場合には裁判に発展し、倒産手続きが長期化するリスクがあります。
破産手続きをおこなう際は、債権者に公平な対応を心がけましょう。
2.不当に安い金額で財産を処分しない
破産法において、破産の事情を知らない人に対して、財産を適正価格で売却する行為は禁止されていません。
しかし、会社の財産の事情を知る人物に安価で売却した場合、破産管財人が否認権を行使して取引が無効になる可能性があります。
また、「相当な対価」で売却した場合でも、対価を隠匿する意思があるなど、破産法161条の要件を満たす場合には、否認権を行使されることがあります。
不相当な金額で財産を処分することは控えましょう。
3.破産手続きを検討・準備していることを、従業員や取引先などに話さない
経営者は、会社の破産を検討中であることを従業員や取引先に話すべきではありません。
破産の話を打ち明けられた従業員は混乱してしまい、家族や友人、外部に漏らす可能性があります。
また、従業員が取引先に情報を伝えることで噂が広がり、債権者が債権回収を急ぐなどで混乱が生じるおそれがあります。
破産準備は、計画的に進めるようにしましょう。
4.社会保険料や税金の滞納はできる限り避ける
社会保険料や消費税などを滞納すると、日本年金機構や国税庁が会社の預金や売掛金を差し押さえるケースがあります。
とくに、売掛金が差し押さえられると、取引先に滞納の事実が伝わり、経営が苦しい状況にあると認識されてしまうおそれがあります。
その結果、取引先や関係者との信頼関係に悪影響を及ぼし、会社の経営がさらに厳しくなることも考えられるでしょう。
破産を検討している段階で合っても、税金の滞納には十分注意してください。
5.代表者も自己破産せざるをえない可能性もある
法人が破産する際、代表者を破産させずに法人だけ破産することは一般的に難しいとされています。
なぜなら、法人の財産と代表者個人の財産が混同しやすい場合や、代表者が法人の債務を個人保証している場合など、調査が必要な事例が多く存在するためです。
また、代表者のみが破産手続きを進めた場合、代表者が取締役を退任することになるため、法人に代表者がいなくなります。
その結果、法人が清算されないまま放置され、債権者は回収困難となり、税務上の処理も問題となる可能性があります。
これらの事情から、法人破産を申し立てる際は、代表者の破産も同時に申し立てることが推奨されています。
詳細については、一度弁護士に確認してみましょう。
弁護士に依頼した場合の会社の倒産(破産)手続きの進め方
会社の倒産手続きの流れは、以下のとおりです。
- 今後の進め方について弁護士と相談する
- 弁護士と委任契約を締結する
- 債権者へ弁護士が受任通知を送付する
- (必要な場合)従業員の整理解雇
- 破産申し立て準備〜申し立て
- 管財手続きの開始
- 債権者集会へ出席
- 破産手続きの終了
それぞれの手順について、詳しく見ていきましょう。
1.今後の進め方について弁護士と相談する
まずは、どのように倒産手続きを進めるか、方法や対応方針について弁護士に相談しましょう。
具体的には、以下のような事項について話し合います。
- 破産以外の選択肢の有無
- 代表者の破産の必要性の有無
- 債権者への対応方法
- 従業員の整理解雇の対応方針
2.弁護士と委任契約を締結
弁護士に相談したあと、正式に依頼する場合は委任契約を締結します。
委任契約を締結することで、弁護士が正式に代理人として手続きを進めることになります。
3.債権者へ弁護士が受任通知を送付する
委任契約の締結後、弁護士はまず全ての債権者に対して受任通知を送付します。
通知を受けた債権者は、それ以降直接的な取り立てや催促をすることができなくなります。
受任通知の送付後は、債権者とのやり取りは全て弁護士が代理で対応することになるため、相談者は直接的な交渉に関わることなく、手続きを進めることが可能です。
4.従業員の整理解雇
法人破産を進める際、従業員を解雇しなければならない場合もあります。
弁護士は解雇に関する相談を受け、解雇のタイミングや解雇手続きの進め方について、相談者をサポートします。
なお、会社倒産に伴う解雇は「整理解雇」とも呼ばれます。
整理解雇を実施する際は、未払いの給与や解雇予告手当をきちんと支払うなど、法律で定められた手続きに則って進める必要があるので注意しましょう。
5.破産申し立て準備〜申し立て
次に、破産申し立てをするために、必要な書類を準備します。
必要書類は、以下のような、主に記入書類と収集書類の2つに分類できます。
事案によって準備する書類が異なりますので、弁護士に確認をしましょう。
①記入書類 | ②収集書類 |
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・破産手続開始申立書 ・破産申立についての取締役会議事録又は取締役の同意書 ・債権者一覧表 ・債務者一覧表 ・財産目録 ・代表者の陳述書(報告書) ・委任状 |
・法人登記の全部事項証明書(3ヵ月以内のもの) ・決算書 (直近2期分) ・不動産登記の全部事項証明書(3ヵ月以内のもの) ・賃貸借契約書のコピー ・預貯金通帳のコピー (直近2年分) ・手形、小切手帳、受取手形 ・車検証又は登録事項証明書のコピー ・ゴルフ会員権証書のコピー ・有価証券のコピー ・生命保険証券(生命保険証書)のコピー ・解約返戻金計算書のコピー ・自動車価格査定書のコピー ・リース契約書(自動車、プリンターやFAX等の通信機械など)のコピー ・訴訟関係書類のコピー |
準備が整ったら、所定の裁判所に対して破産手続きの申し立てをおこないます。
6.管財手続きの開始
破産手続きの申し立てが裁判所に受理されると、破産手続開始の決定がされます。
破産手続開始の決定がされると、会社の有する一切の財産は、破産管財人の管理下の「破産財団」となるので、会社が自由に処分することはできません。
その後、裁判所は破産管財人を選任し、相談者と破産管財人で打ち合わせをおこないます。
破産管財人とは、破産する法人の財産を集め、債権者への配当をおこなう役割を担う弁護士のことです。
破産管財人は、破産申し立てを担当した弁護士とは別の弁護士が選任されます。
打ち合わせの際は、相談者と破産申し立てを担当した弁護士が一緒に破産管財人の事務所を訪れるのが一般的です。
打ち合わせでは、会社が破産に至った背景や、破産管財人に事前に伝えておくべき重要な事項を伝えます。
担当弁護士が同行するので、必要に応じてフォローしてもらえるでしょう。
7.債権者集会へ出席
破産管財人との打ち合わせが終わると、裁判所が指定した期日に債権者集会が開催されます。
債権者集会では、会社が破産に至った背景や事情を説明し、会社の財産状況について債権者に対して報告することになります。
債権者集会には、債権者本人が欠席することも多く、実際には会社の代表者や弁護士、裁判官の間で集会が進行されることも多いです。
ただ、会社の大きさや影響、債権者数によっては、多数の債権者が参加する債権者集会もあります。
8.破産手続きの終了
次に、破産財団が処分・換価され、債権者への配当が可能な原資が確保された場合、債権者に対して配当がおこなわれます。
一般債権者への配当は、各債権額に応じて公平におこなわれますが、優先的破産債権者は、優先して配当を受けられるので、場合によっては一部の債権者が配当を受け取れないこともあります。
優先的破産債権とは、たとえば破産申し立て以前に発生し、納付期限から1年以上経過した租税などが該当します。
配当手続きが完了すると、破産手続きは終了です。
申し立てをしてから破産手続きが終了するまでの期間は、債権者の数や会社の財産状況により異なりますが、半年から1年以上かかることも多いので覚悟しておきましょう。
さいごに|倒産を考えているなら速やかに弁護士に相談を
当初は借金が少額でも、時間が経過するごとに会社の借金が膨らむケースがあります。
破産申し立てを開始しようにも、借金が膨らんだ状態では取引先や従業員への影響も大きくなってしまうでしょう。
なるべく影響を最小限にするためには、倒産が少しでも頭をよぎった段階で、速やかに弁護士に相談することが大切です。
倒産手続きは非常に複雑で、手続き完了までに多大な時間を要します。
弁護士の助けを借りながら、一連の手続きを適切かつスピーディーに進めましょう。
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