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「資金繰りが厳しくなってきたものの、事業は継続したい」「取引先や従業員への影響をできる限り抑えながら経営を立て直したい」と悩んでいませんか。
民事再生は、裁判所の手続きを利用して債務を大幅に減額し、事業を継続しながら経営再建を目指すための制度です。事業の清算を前提とする破産手続きとは異なり、事業や雇用、取引関係を維持しながら再建を図れる可能性があるため、多くの企業で活用されています。
一方で、民事再生には利用条件や手続きの流れ、必要な費用など、事前に理解しておくべきポイントも少なくありません。また、債権者との調整や裁判所への対応など専門的な対応が求められるため、弁護士へ依頼することで手続きを円滑に進められるケースもあります。
本記事では、民事再生の基本的な仕組みから手続きの流れ、費用の目安、弁護士に依頼するメリットまでわかりやすく解説します。経営再建の方法を検討している経営者や役員の方は、ぜひ参考にしてください。

民事再生とは、裁判所の監督のもとで事業を継続しながら、債務の減額や返済条件の見直しを行い、会社の再建を目指す手続きです。
具体的には、会社が「再生計画」と呼ばれる返済計画を作成し、銀行や取引先などの債権者から同意を得たうえで、計画に沿って返済を進めます。破産のように会社を清算するのではなく、事業を残しながら立て直しを図れる点が大きな特徴です。
なお、会社の倒産手続きには、民事再生のほかにも破産・会社更生などがあります。また、個人を対象とした手続きとして個人再生も存在します。それぞれ目的や対象者、手続きの主体が異なるため、違いを整理しておくことが大切です。
4つの手続きの主な違いは、以下のとおりです。
| 比較項目 | 民事再生 | 破産 | 会社更生 | 個人再生 |
|---|---|---|---|---|
| 目的 | 会社の再建 | 会社の清算 | 会社の再建 | 個人の再建 |
| 主な対象者 | 法人・個人 | 法人・個人 | 株式会社のみ | 個人 |
| 手続きの主体 | 再生債務者(本人) | 破産管財人 | 更生管財人 | 再生債務者 |
| 担保権の行使 | 原則手続き外で行使 | 原則手続き外で行使 | 原則禁止 | 原則手続き外で行使 |
ここから、それぞれの違いを順に詳しく見ていきましょう。
民事再生と破産の大きな違いは、会社を残せるかどうかです。
民事再生は、会社を残したまま立て直す再建型の手続きです。事業に必要な設備や資産を手元に残せるだけでなく、元の経営陣の経営権も原則として失われません。
一方で、破産は法人が消滅する清算型の手続きです。法人名義の財産は、債権者へ公平に分配するための「破産財団」に組み入れられます。
財産の管理・処分権も原則として破産管財人(破産した会社の財産を管理・処分する権限を有する人物)に移るため、会社の財産を自由に処分できません。
【関連記事】会社破産とは?手続きの流れや費用、メリット・デメリットを解説
民事再生と会社更生の大きな違いは、経営陣が退任するかどうかです。
民事再生は、原則として元の経営陣が残って再建を進める手続きです。会社の事情をよく知る経営者が指揮を執れるため、現場を混乱させずに会社を立て直せます。また、中小企業から大企業まで、幅広い法人が利用できるのも特徴です。
一方で、会社更生を選択すると経営陣は退任しなければなりません。裁判所が選任した更生管財人が、財産を管理処分する権利を引き継ぎます。また、利用できるのは株式会社だけです。
民事再生と個人再生の大きな違いは、手続きの対象です。
民事再生は、主に会社などの法人が使う手続きです。厳しい債権調査や財産評定が求められるため、手続きの負担は重くなります。
一方で、個人再生は、個人債務者を対象に、通常の民事再生よりも手続きを簡略化した制度です。同じ民事再生法にもとづきますが、民事再生と比較すると手続きにかかる負担が軽いのが特徴です。
民事再生の進め方は、借金返済のための資金源を用意する方法によって、「自力再建型」「スポンサー型」「清算型」の3つに分かれます。
自社の力だけで立て直すのか、外部企業の支援を受けるのかで方針が変わります。会社の財務状況や事業の収益力に合わせて、適した方法を選びましょう。
ここでは、それぞれの方法を順に解説します。
自力再建型は、自社の事業で得た利益を借金の返済に充てる方法です。
利益が安定していて、今後も収益が伸びると見込まれる会社が利用するケースが多いといわれています。外部の人間が会社の経営方針に意見することが少なく、従前の経営体制を保持できるのがメリットです。
ただし、自力再建型の利用には会社が安定した収益を継続できることが条件になるため、債権者に反対されるケースが多いです。
そのため、自力再建型で進めるには、裏づけのある収益予測を作成し、返済の見込みがあることを債権者に納得してもらう必要があります。
スポンサー型は、支援企業から資金や営業の手助けを受けて再建する方法です。
支援企業からまとまった支援金を受け取れるため、借金を比較的早めに返済できる点がメリットです。
多くのケースでは、事業譲渡や会社分割、増資などを通じてスポンサーの支援を受けるため、経営の主導権が移る可能性がある点には注意してください。
支援企業は、再生手続き開始後に広く候補を募集したあと、入札を経て選定されるのが一般的です。
なお、申立ての前にスポンサーと基本合意を交わす「プレ・パッケージ型」もあります。プレ・パッケージ型を選べばより早く再建を進められますが、スポンサー選びの公正さを説明できなければなりません。
清算型は、会社の財産を売って現金に換え、借金の返済に充てる方法です。
破産手続きと似ていますが、進め方に違いがあります。破産では裁判所が選んだ破産管財人が財産を処分しますが、民事再生では会社主導で手続きを進められます。会社が自らの財産を売却する時期や方法を選べるため、有利な条件で財産を換金しやすいでしょう。
なお、会社内の優良部門のみ別会社へ引き継いだうえで旧会社を清算する方法もあります。
いずれも、自力での再建が難しく、かつスポンサーも見つからない場合に選ばれることが多いです。
民事再生を申し立てるには、民事再生法21条1項が定める2つの要件のうち、どちらか1つを満たさなければなりません。
ここでは、2つの要件をそれぞれ詳しく解説します。自社が要件に当てはまるか確認してください。
1つめの要件は、破産の原因となる事実が生じるおそれがあることです。
破産の原因となる事実とは、「支払不能(破産法2条11項)」または「債務超過(破産法16条1項)」のいずれかに該当する事実をいいます。
| 用語 | どんな状態か |
|---|---|
| 支払不能 | 会社が支払能力を欠くため、弁済期が到来した債務を一般的かつ継続的に弁済できない状態 |
| 債務超過 | 借金の総額が財産の総額を上回る状態 |
なお、実際に支払不能や債務超過になっている必要はなく、支払不能や債務超過のおそれがあれば申し立てが可能です。
【関連記事】債務超過とはどういう状態?赤字との違いや判断基準・リスク・解消法を解説
2つめの要件は、借金を期限どおりに返済すると事業の継続に著しい支障をきたすことです。
たとえば、借金返済のために自社の生産設備や事業用地などを売却しなければならないケースです。
借金を返済しようと思えばできるものの、事業に欠かせない財産を手放さなければならない状態であれば、本要件を満たす可能性が高いでしょう。
民事再生の要件を満たして手続きを申し立てたとしても、民事再生法25条が定める棄却事由に当てはまると、手続きが開始されないので注意してください。
棄却事由は、以下の4つです。
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手続きが棄却されてしまうと、申し立ての準備に要した費用や時間が無駄になってしまいます。申立前の段階で、4つのケースに当てはまらないかひとつずつ確認してください。
ここでは、民事再生の代表的なメリットを3つ紹介します。
民事再生の大きなメリットは、経営陣が退任せずに残れる点です。
経営者が残るからこそ、これまで培った経験や判断力を立て直しに活かせます。自社の事業や業界を知り尽くした人物が指揮を執るため、現場が混乱しません。
また、民事再生では会社の経営権が外部の管財人に移らず、経営者が主導して強みのある事業へ人やお金を集められます。
民事再生であれば、原則として法人格を消滅させずに事業を継続できます。
会社が存続することで従業員の雇用は基本的には失われません。破産と異なり突然の倒産を回避できるため、取引先や顧客との関係性を維持できるでしょう。
また、これまで積み上げた実績や特許、許認可も引き継いで、築いてきた土台を失わずに再建を目指せる点もメリットです。
民事再生では、実際の返済能力に応じて、担保のない借金を大きく減らせます。
減額した後に残った借金は、再生計画にもとづいて分割で返済しなければなりません。しかし、返済期間は最長10年のため、無理のない範囲で長期的に返済できるでしょう(民事再生法155条3項)。
借金が減れば、返済に充てていた資金を手元に残せます。残った資金を仕入れや人件費に回せば、事業の立て直しが進むはずです。
民事再生にはメリットがある一方で、いくつかデメリットもあります。メリットとデメリットの両方を踏まえて、民事再生を進めるか慎重に判断してください。
ここでは、主なデメリットを3つに分けて解説します。
民事再生を申し立てると、取引先や世間からの信用が下がる場合があります。
手続きの開始決定や再生計画の認可決定は、官報に掲載されます。官報とは、法律の公布や裁判所の決定などを国が公表する機関紙です。
一般の方が官報を見ることは少ないものの、金融機関や信用情報機関は日常的に確認しているため、うわさが広まり経営難が取引先へ伝わることもあります。
その結果、仕入先から支払い方法を現金払いに変更するよう求められるなど、取引条件の悪化につながりかねません。
民事再生が始まると、銀行などの債権者から担保権を行使される場合があります。
再生手続きが始まると、債権者は再生計画によらなければ弁済を受けられません。しかし、抵当権のような「別除権」は再生計画に関係なく行使できます(民事再生法第53条)。
債権者に抵当権を行使されると、自社ビルや工場などが競売にかけられます。事業の拠点を失えば、会社を続けること自体が難しくなりかねません。
競売を防ぐには、金融機関と個別に「別除権協定」を結び、別除権の行使を一時的に猶予してもらうのが有効です。
民事再生には、裁判所や弁護士へ払う費用に加え、税金の負担も生じます。
民事再生を申し立てるにあたり、数十万〜数百万円の予納金と弁護士費用が発生します。費用を用意できなければ民事再生は難しく、破産手続きを選ばざるを得ません。
また、借金の減額後は、税金面の負担も生じる可能性があります。減額された分は会計上「利益」とみなされ、法人税の対象になる場合があるためです(債務免除益課税)。
過去の赤字(繰越欠損金)と相殺できれば、税負担を軽くできる場合もあります。思わぬ出費に驚かないよう、あらかじめ費用の見通しを立てておきましょう。

民事再生の各ステップは、申立てから開始決定、再生計画の認可まで、主に10ステップで進みます。
期限に遅れると、手続きが滞ったり、打ち切られたりするおそれがあるため、スケジュールをしっかり管理しましょう。
ここでは、実際の流れに沿って10のステップを見ていきます。
民事再生手続きを進めるにあたり、まずは民事再生分野が得意な弁護士に相談しましょう。
弁護士に相談すれば、自社の状況が民事再生の申立要件を満たすかを客観的に分析してもらえます。
民事再生手続には、専門的な知識や実務経験が欠かせません。弁護士に正式に委任契約を結べば、債権者との交渉や裁判所への申立て手続きなどを代理してもらえます。
弁護士への依頼が済んだら、弁護士のアドバイスのもと、裁判所へ提出する申立書と添付書類を整えましょう。
主な添付書類は、以下のとおりです。
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書類の不備は、手続きの遅れにつながります。財務や総務の担当者と連携し、なるべく早めに用意しましょう。
書類が準備できたら、管轄の裁判所へ民事再生手続きの開始を申し立ててください。
実務では、あわせて「弁済禁止の保全処分」も申し立てるのが一般的です(民事再生法30条1項)。保全処分により、会社が申立て前に発生した借金の弁済が原則として禁止されるため、債権者への支払いが一時的に猶予されます。
裁判所へ申し立てた後は、裁判所により監督委員が選ばれます(民事再生法54条)。
監督委員は、会社の業務や財産の状況を監督し、裁判所へ報告する役割を担う人物です。監督委員には、実務経験が豊富な外部の弁護士が選ばれるのが一般的です。
選任後は、重要な財産の処分や新たな借入れなどの一定の行為には監督委員の同意が必要になります。監督委員の同意を得ずに行った行為は、取り消される場合があるため注意してください。
裁判所は、申立書類の内容や監督委員の意見を踏まえ、民事再生の申立要件を満たしていると判断すると、正式に再生手続開始決定を下します(民事再生法第33条)。
開始決定によって民事再生手続きが正式に始まり、開始前に生じた借金への返済が禁止されます。
あわせて、債権者が債権を届け出る期間や債権を調べる調査期間が定められ、債権者へ通知されます(民事再生法第34条1項)。
民事再生手続きに参加するため、取引先や銀行などの債権者は、裁判所が定めた期間内に債権の種類や金額を裁判所に届け出なければなりません(民事再生法94条)。
あわせて会社は、自社の不動産・在庫・設備といった財産を評価し、「財産評定書」を作成して裁判所へ報告します。財産価値を算定する際は、手続開始の時点で処分した場合の価格(清算価値)をもとに計算します(民事再生法124条)。
財産評定の結果は、再生計画案が適正かを測る客観的な目安となるでしょう。
会社は、債権者から届出があった債権を実際に有しているか判断し、判断の結果を「債権認否書」にまとめて裁判所へ提出します。
届出額が自社の記録と食い違う場合は、認識に相違がないか厳密に調べなければなりません。
会社が把握している債権で、債権者からの届出が漏れているものは「自認債権」として申告します。自認債権を有する債権者は債権者集会で議決権を持ちませんが、再生計画にもとづいて弁済を受けられます。
認否を経て債権額が確定し、再生計画の基礎となる負債総額が明らかになります。
借金をどれだけ減らし、今後の事業からどう返すかを示す「再生計画案」を作ります。
計画の中身がしっかりしているほど、債権者の賛成を得やすくなります。不採算事業の整理や人員の見直し案などを織り込み、裏付けのある収益予測を立ててください。
なお、計画の返済額は、破産した場合の配当(清算価値)を下回ってはいけません(清算価値保障原則)。債権者が反対しにくい返済条件に設計して、裁判所へ提出しましょう。
裁判所が債権者集会を開き、債権者が再生計画案への賛否を決議します。
決議は、債権者集会への出席、事前の書面投票、または両方の併用でおこないます。
可決には、投票した債権者の頭数の過半数、かつ議決権総額の2分の1以上の同意が必要です(民事再生法172条の3)。
否決されると手続きが打ち切られ、破産手続きへ移る場合があります。可決されるために、返済の見通しが立つ計画を丁寧に作成してください。
裁判所は、再生計画案に大きな不備がなく、実現性が高いと認めると「認可決定」を下します。認可された計画にもとづき、会社は返済を進めます。
計画どおりに返済している証明として、会社は定期的に返済状況を監督委員や裁判所へ報告しなければなりません(民事再生法186条)。
認可決定の確定から原則3年が過ぎるか、返済を完了すると「手続き終結」の決定が下ります。途中で返済が滞ると破産を申し立てられるおそれもあるため、決められたとおりに返済を進めましょう。
民事再生の手続きには、「裁判所に納める費用」と「弁護士費用」の2つの費用が発生します。
ここでは、それぞれの費用相場を解説します。
金額は、会社の債務規模や事業規模によって大きく変わります。まとまったお金が必要になるため、早めに準備を進めてください。
裁判所に納める費用は200万円〜1,300万円程度です。内訳は、大きく以下3つに分かれます。
| 費用の種類 | 金額の目安 |
|---|---|
| 申立ての手数料(収入印紙) | 1万円 |
| 郵便切手代 | 数千円〜1万円程度 |
| 予納金(官報への公告費用や監督委員への報酬にあてられる費用) | 200万円〜(※下の表を参照) |
予納金の額は、負債の規模で決まります。東京地裁によれば、予納金の目安は以下のとおりです。
| 負債総額 | 予納金の目安 |
|---|---|
| 5,000万円未満 | 200万円 |
| 5,000万円〜1億円未満 | 300万円 |
| 1億円〜5億円未満 | 400万円 |
| 5億円〜10億円未満 | 500万円 |
| 10億円〜50億円未満 | 600万円 |
| 50億円〜100億円未満 | 700万円 |
| 100億円〜250億円未満 | 900万円 |
| 250億円〜500億円未満 | 1,000万円 |
| 500億円〜1,000億円未満 | 1,200万円 |
| 1,000億円以上 | 1,300万円 |
ただし金額は裁判所ごとに異なるため、申し立てる裁判所に確認してください。
弁護士費用は400万円〜800万円程度です。内訳は、大きく以下4つに分かれます。
| 項目 | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 相談料 | 依頼前の相談にかかる費用 | 30分5,000円〜1万円前後 |
| 着手金 | 依頼時に払う費用 | 200万円〜300万円程度 |
| 報酬金 | 再生計画の認可時に払う費用 | 200万円〜500万円程度 |
| 実費 | 実際に発生した印紙代・登記事項証明書取得費用・交通費など | 数千円〜数万円程度 |
金額の幅は、会社の規模や債権者数、顧問契約の有無で大きく変わります。
事務所によって発生する金額に差が出る場合があるため、費用を抑えたい場合は複数の事務所から見積もりをもらって比較してみてください。
【関連記事】事業再生にかかる費用とは?私的・法的それぞれ解説!
民事再生を選べば関係者への影響を小さく抑えられますが、まったく影響が出ないわけではありません。
ここでは、従業員と株主にどのような影響を与えるか、それぞれ解説します。
民事再生を選べば、会社は原則として従業員の雇用を維持できます。ただし、再建のために人件費の削減や人員整理が必要になるかもしれません。
ただし、給与の減額や賞与のカットは労働条件の不利益変更にあたるため、会社が一方的に決定できません。従業員全員から個別に同意を得るか、労働組合と労働協約を締結してください。
人員整理も、労働基準法などで定められた整理解雇の4要件を満たさなければなりません。会社の都合だけで自由に従業員を解雇できないため、注意してください。
従業員への給料の支払いも怠ってはいけません。手続き開始後に発生する給料は「共益債権」として、再生計画とは関係なく最優先で支払わなければなりません(民事再生法第119条2号、121条)。手続き開始前に発生した未払い給料も、「一般優先債権」として他の債権より優先的に支払う義務があります(民法第308条、民事再生法122条)。
【関連記事】整理解雇とは?整理解雇の4要件と解雇との違いを解説
民事再生手続きが開始しても、依然として株主の立場は変わりません。
ただし、民事再生を申し立てると会社の株価が下落する傾向にあるため、株主が持つ株式の価値が目減りする可能性が高いです。
上場企業であれば、民事再生の申し立てにより原則として上場廃止となるため、取引所で株式を売買できなくなってしまいます。一定の要件を満たせば上場が維持される場合もありますが、株価の下落は避けられないため、既存の株主に損失を与えかねません。
民事再生を申し立てれば、必ず会社を再建できるわけではありません。
東京商工リサーチの調査によると、2000年4月から2022年12月までに民事再生法の適用を受けた企業のうち、事業を継続できた会社は26.7%にとどまりました。
再建できるかどうかは、申立前の準備で大きく変わります。あらかじめポイントをおさえて、再建の可能性を高めましょう。
ここでは、民事再生を成功させるポイントを3つ解説します。
なるべく早い段階で民事再生を決断すると、会社を再建できる可能性が高まります。
早い決断が大切な理由は、手元資金が民事再生の元手になるからです。会社の手元資金がなくなると、経営者は民事再生の申立てに必要な費用を用意できません。
また、民事再生の申立て後も、会社の運転資金を確保しておく必要があります。再生計画が認可された後も、会社は給与や仕入れ費用を支払わなければならないからです。
将来の資金計画を見通したうえで早めに民事再生を申し立てれば、資金に余裕を持って再生手続きを進められるでしょう。
債権者と裁判所の同意を得るために、再現性の高い再生計画を作成しましょう。
まず、再生計画内の返済総額を確認してください。返済額は、会社が破産した場合に債権者へ配られる額を上回らなければなりません。破産よりも民事再生のほうが、債権者の取り分を多くする必要があるからです。
あわせて、今後も返済を続けられる見通しがあるか厳格に確認しましょう。後に経営環境や社内事情が変われば、返済を続けられなくなるかもしれません。
不安があれば、弁護士や会計士に相談して再生計画を練り上げてください。
作成した再生計画を可決してもらうには、債権者へ誠実に情報を伝えることが大切です。
再生計画案は、議決権を持つ債権者の頭数の過半数と、債権総額の2分の1以上の賛成で可決されます。可決のために、早い段階で経営が苦しい事実を債権者へ伝えてください。
状況を説明する際は、会社に都合のよい情報だけを伝えてはいけません。都合のよい話だけを並べると、あとで不利な事実が発覚したときに債権者の信頼を一気に失います。
不利な情報も隠さず伝えましょう。
自社の再建だけでなく、取引先が民事再生を申請した際の対応も欠かせません。
取引先が民事再生を申し立てると、自社の連鎖倒産や売掛金の損失につながる可能性があります。リスクを防ぐには、素早い対応が大切です。
ここから、自社が取り組むべき対応を4つの手順に沿って整理します。
取引先の民事再生の第一報を受けたら、正確な事実を漏れなく集めましょう。
主な情報収集の方法は3つあります。
| 情報源 | 確認できること |
|---|---|
| 取引先の案内文書・ホームページ | 保全処分の内容、お詫び文、説明会の日時 |
| 信用調査会社 | 帝国データバンクなどの倒産速報 |
| 裁判所の事件記録 | 利害関係人として閲覧・謄写を申請できる |
噂や不確かな情報だけで判断せず、裏づけのある情報を集めてください。
集めた情報をもとに、回収できなくなる売掛金の規模を割り出し、資金繰りや仕入れへの影響を確かめましょう。
自社が取引先へ商品を販売している場合、連鎖倒産への備えが必要です。弁済禁止の保全処分が出されると売掛金や受取手形が支払われないため、資金繰りが苦しくなるおそれがあります。
資金繰りが悪化しそうであれば、資金を確保するよう動きましょう。取引銀行へ相談するか、連鎖倒産を防ぐ国の共済制度(中小企業倒産防止共済など)の利用を検討してください。
自社が取引先から原材料やサービスの供給を受けている場合は、生産を止めないことが大切です。代わりの業者へ切り替えを検討してください。
裁判所から届く債権届出書などの通知の確認を怠ってはいけません。
債権届出書には、債権額や発生原因を正確に記入してください。期限を過ぎると、原則として売掛金の弁済を受ける権利を失うため、早めに対応しましょう。
債権届出書の提出後には、再生計画案が届きます。示された減額率や分割返済が自社の基準で受け入れられるかを判断し、債権者集会の決議で賛否を投じましょう。
なお、再生手続き中に開始した新しい取引で発生した売掛金は、開始前に発生した売掛金(再生債権)と混同しないよう、請求書や帳簿を分けて管理してください。
未回収の債権があれば、別除権や相殺権を行使して優先的に債権を回収しましょう。
抵当権や質権などの担保権は「別除権」にあたるため、民事再生に関係なく行使できます。
取引先へ買掛金を有している場合は、相殺権の行使も可能です。相殺により、自社の売掛金と買掛金を差し引きすればその分を確実に回収できます。
たとえば、取引先への売掛金が300万円、買掛金が200万円あるとしましょう。相殺すれば、200万円の支払いを免れるため、実質的に資金を回収したのと同じ結果になります。
相殺するためには、相手への意思表示が必要です。内容証明郵便などで相殺する意思を早めに伝えてください。
【関連記事】取引先が倒産した際に債権回収する方法や確認すべきポイントを解説
本記事では、民事再生のメリットとデメリット、申立要件や申し立てが棄却されるケース、手続きの流れ、取引先が再生したときの対応などを解説しました。
民事再生の成否は、要件を満たすか、実現できる再生計画を作れるかで大きく変わります。要件該当性の判断や再生計画の作成には専門的な知識が求められるため、不安であれば弁護士へ相談しましょう。
事業再生が得意な弁護士は、「企業法務弁護士ナビ」を利用して探すのがおすすめです。企業法務弁護士ナビを使えば、地域や相談内容から、自社に合った弁護士を絞り込めます。
民事再生は、資金繰りが苦しくなる前に動くほど、再建の可能性が高まります。民事再生が頭によぎった段階で弁護士へ相談し、余裕を持って事業の立て直しに動きましょう。
編集部
本記事は企業法務弁護士ナビを運営する株式会社アシロ編集部が企画・執筆いたしました。
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