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ニュース報道などを通じて、企業の経営陣や従業員の不正が公表されるたび、自社・自分は大丈夫かと不安を覚える方は少なくないでしょう。
コンプライアンス違反とは、法令にとどまらず、社内規程や社会的な倫理観に反する行為も含む幅広い概念です。
粉飾決算のような重大な不正から、社用設備の私的利用のような身近な行動まで、違反の芽は組織のあらゆる場面に潜んでいます。
本記事では、実際に起きた最新のコンプライアンス違反事例、違反が起こる原因・有効な防止策を解説します。
コンプライアンスに違反するリスク、コンプライアンス・不祥事対応を弁護士に依頼するメリットも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
コンプライアンス違反とは、企業や個人が法令・規則・社会的な倫理規範などに背く行為を指す概念です。
法律に触れない場合でも、社会通念から外れていれば、コンプライアンス違反と評価される場合があります。
コンプライアンス(Compliance)とは、「命令や要求に従うこと」を意味する言葉です。
企業が遵守すべきコンプライアンスは、単なる法令遵守にとどまらず、就業規則・社内ルール・社会的倫理を含む広い概念として認識されています。
【関連記事】コンプライアンスって何?意味・定義や具体的な違反事例をわかりやすく解説
コンプライアンス違反には、複数の類型があります。
本章では、企業で起こりやすい代表的な類型を9つ紹介します。
粉飾決算は、刑事責任・行政処分・損害賠償など複数のリスクを伴う重大なコンプライアンス違反です。
粉飾決算とは、売上の水増しや費用の圧縮によって、財務諸表を実態より良く見せる不正会計行為です。
刑法・会社法・金融商品取引法に違反する行為に該当し得ます。
| 類型 | 行為の具体例 | 罰則 |
|---|---|---|
| 詐欺罪 (刑法第246条) |
粉飾決算をおこなって、金融機関から不正に融資を受けた | 10年以下の拘禁刑 |
| 違法配当罪 (会社法第963条5項2号) |
取締役などが粉飾決算により、本来はおこなえない額の配当をおこなった場合 | 5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金もしくはこれらの併科 |
| 特別背任罪 (会社法第960条) |
取締役などが自己や第三者の利益を図ったり、会社に損害を加える目的で会社の利益を損なった | 10年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金もしくはこれらの併科 |
| 有価証券報告書虚偽記載罪 (金融商品取引法第197条) |
重要な事項について虚偽記載がある有価証券報告書を提出した | 個人:10年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金もしくはこれらの併科 法人:7億円以下の罰金 |
たとえば、オリンパス社がバブル崩壊後の運用損失を、約20年間にわたり隠蔽していた事件が有名です。
2012年には、社長・副社長を含む7名が金融商品取引法違反(有価証券報告書虚偽記載罪)で逮捕・起訴されています。
【参考元】オリンパス菊川前社長ら逮捕 証券OB含む7人 |日本経済新聞
資金使途不正は、詐欺罪として刑事責任にも発展し得るコンプライアンス違反です。
具体的には、融資や出資を受けた資金を、申請時と異なる目的に流用する行為などが該当します。
実態と異なる事業計画を示して融資を受け、別目的に使用した場合は詐欺罪が成立し得ます。
法定刑は10年以下の拘禁刑です。
また、融資金の一括返済要求・信用保証協会の保証停止・新規融資の停止など、会社の存続に関わる致命的なペナルティも科されます。
2025年1月には、大手携帯電話会社の2次代理店として携帯電話を販売していたアミックテレコムが詐欺罪で逮捕・起訴されています。
同社は、債務超過の中、決算書を粉飾して金融機関から約12億円の融資を受けていました。
【参考元】決算粉飾し億単位の融資受けたか 容疑で携帯販売会社元社長ら逮捕 |産経ニュース
個人情報の漏えいは、行政処分と損害賠償の両方につながり得るコンプライアンス違反です。
個人情報保護委員会による是正勧告や命令に加え、被害者への損害賠償責任が生じる場合があります。
漏えいの原因は外部からの不正アクセスだけではありません。
退職者による持ち出しやアクセス権限の誤設定など、内部要因によるものも少なくありません。
東京商工リサーチの調査では、2024年に上場企業で180件の個人情報漏えい・紛失事故が発生しています。
漏えいした個人情報は3,063万人分を超えています。
【参考元】上場企業の「個人情報漏えい・紛失」事故 2番目の180件発生、漏えい人数は約2倍増の3,063万人分 | TSRデータインサイト | 東京商工リサーチ
ハラスメントは、個人の尊厳や人格を不当に傷つける重大なコンプライアンス違反行為です。
企業にとっても、職場秩序の乱れや業務への支障が生じるほか、貴重な人材損失など社会的評価に悪影響を与えかねない重大な問題です。
ハラスメントには多種多様な類型が存在しますが、以下の類型が特に職場でのハラスメントとして頻繁に問題となります。
| 類型 | 定義 |
|---|---|
| セクシャルハラスメント | 職場においておこなわれる労働者の意に反する性的な言動により、労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されたりすること(男女雇用機会均等法第11条1項) |
| パワーハラスメント | 職場においておこなわれる、以下の3つの要素を全て満たすもの(労働施策総合推進法第30条の2第1項)
|
| マタニティまたはパタニティハラスメント/ケアハラスメント | 職場においておこなわれる上司・同僚からの言動(妊娠・出産・育児休業・介護休業などの利用に関する言動)により、妊娠・出産した女性労働者や育児休業・介護休業などを申出・取得した男女労働者の就業環境が害されること(男女雇用機会均等法第11条の3第1項、育児・介護休業法第25条1項) |
問題が見受けられる場合には行政指導、是正勧告を受けたにも関わらず従わなかった場合は、社名公表などのペナルティを受けます。
労働者側から損害賠償請求を受けるおそれもあるでしょう。
実際に、妊娠中の軽易業務への転換を機に降格された女性が、勤務先の病院を訴えた事件があります。
最高裁は、特段の事情がない限り、妊娠中の軽易業務転換を契機とする降格は違法と判断しました。
差し戻し審の広島高裁は175万円の支払いを命じています。
【参考元】最高裁第一小法廷 平成26年10月23日判決|裁判所
品質管理の不祥事は、不正競争防止法や産業標準化法違反に該当するリスクを伴うコンプライアンス違反です。
品質管理に関する不祥事は、主に以下の3つに分類されます。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| 品質不良品 | 企業の品質管理が弱体で、製品出荷前に不良品を発見できず、顧客・社会に流出して社会的に大きな問題となるケース |
| データ改ざん | 企業の製造工程内または出荷検査において、意図的にデータを改ざんするケース |
| 法律違反 | 法律あるいはJISが定めた規格・検査方法・性能などについて、違反の認識があるにも関わらず出荷するケース |
品質管理に関わる不祥事は、行政処分や損害賠償請求(不正競争防止法上または債務不履行)を受けるリスクがあります。
自社の製品に対する信頼をうしなうのも必然です。
最近では、モーター大手のニデック(旧日本電産)が、顧客の確認がないまま部材や工程・設計を変更した疑いが判明したと発表しています。
【参考元】品質に関する不適切行為の疑義への対応について | ニデック株式会社
著作権侵害は、民事上の損害賠償と刑事罰の両方を受け得るコンプライアンス違反です。
著作権を侵害された権利者は、民事上の損害賠償請求が可能です。
さらに、著作権法には、以下のとおり非常に重い罰則規定も設けられています。
|
最近では、ある写真家が有する商業用写真を自社ウェブサイトに掲載した行為が引用には該当しないとして、著作権侵害を認めた事例があります。
被告会社は、写真家の許可を得て写真4点を小冊子に掲載したものの、ウェブページへの掲載の許可は得ていませんでした。
実績紹介として自社ウェブサイトに掲載したことが問題となり、被告会社と代表取締役が連帯して414万円の損害賠償が命じられています。
インサイダー取引は、課徴金と刑事罰の両方が科され得る重大なコンプライアンス違反です。
インサイダー取引とは、上場会社等の会社関係者や第一次情報受領者などが、法令上の重要事実を知った後、その事実が公表される前に、その上場会社等の株式等を売買する行為などです。
金融商品取引法166条・167条により禁止されています。
違反すると課徴金納付命令に加え、刑事罰が科される場合があります。
法定刑は、5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその併科です。
利益の没収・追徴が命じられる場合もあります。
2006年に村上ファンドの代表者が、ニッポン放送の株式をめぐるインサイダー取引で東京地検特捜部に逮捕・起訴された事件が有名です。
村上ファンド事件では、懲役2年(執行猶予3年)・罰金300万円・追徴金約11億4,900万円という判決が確定しています。
【参考元】最高裁判所第一小法廷 平成23年6月6日判決|裁判所
不当な取引制限(カルテル)は、高額な課徴金と刑事罰につながり得るコンプライアンス違反です。
カルテルや談合をおこなえば、公正取引委員会から排除措置を命じられ、課徴金や損害賠償を請求される可能性があります。
刑法上の談合罪に処される可能性も否定できません。
さらに、指名停止措置も課されることとなり、企業の社会的信用を大きく失墜させます。
近年では、関西電力・中国電力・中部電力・九州電力の4社間のカルテル問題が注目を呼びました。
2023年3月30日、公正取引委員会は独占禁止法違反で、総額1,000億円を超える課徴金の納付を命じました。
関西電力は、最初に不正を自主申告したため公正取引委員会の処分を免れたものの、株主から3,508億円の損害賠償請求を受けています。
【参考元】電力4社株主、経営陣に賠償請求 カルテル問題で|日本経済新聞
各種補助金・助成金の不正受給は、補助金適正化法違反として刑事責任に発展し得るコンプライアンス違反です。
虚偽申請や目的外使用によって受給する行為は、補助金適正化法違反にあたります。
悪質なケースでは、詐欺罪が成立する場合もあります。
| 類型 | 行為の具体例 | 罰則 |
|---|---|---|
| 補助金適正化法違反 (補助金適正化法第29条・第30条) |
虚偽申請をして補助金や助成金を不正に受給した | 5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、もしくはこれらの併科 |
| 補助金や助成金を目的外に利用した | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、もしくはこれらの併科 | |
| 詐欺罪 (刑法第246条) |
受給資格のない者が、虚偽申請などで国や自治体を騙して補助金や助成金を不正に受給した | 10年以下の拘禁刑 |
2020年以降、新型コロナウイルス感染症に関する助成金の不正受給が相次いで報道されました。
中小企業庁が、認定・公表した持続化給付金の不正受給者の数は2568者・不正受給総額は26億円超に及びます(2026年6月30日時点)。
【参考元】持続化給付金の不正受給者の認定及び公表について (METI/経済産業省)
企業の不祥事は経営陣によるものだけでなく、従業員が日常業務のなかで起こす違反も少なくありません。
本章では、従業員が陥りやすい身近なコンプライアンス違反事例を紹介します。
社用電話やメールの私的利用は、身近なコンプライアンス違反の代表例です。
労働者は、労働契約に基づき、誠実に職務へ専念する義務を負っています。
社会常識で許される範囲を超えて業務と関係のない通話やメールの送受信をする行為は職務専念義務に反する行為にあたります。
会社の設備であるパソコン端末や通信回線を目的以外の用途で使用すれば、企業秩序遵守義務に違反するリスクもあるでしょう。
企業にとっても、情報漏えいや信用失墜のリスクを招きます。
たとえば従業員の私的利用により、業務上不要なウェブサイトにアクセスし、マルウェアやウイルスに感染するリスクがあります。
誤送信などによって、会社の機密情報が外部に漏れるリスクもあるでしょう。
情報漏えいが起きていなくても、労務管理体制への疑念から企業の信用そのものが毀損されるおそれがあります。
自主的なサービス残業を管理職が黙認する行為も、身近なコンプライアンス違反です。
使用者は、労働契約に基づき労働者への指揮命令をおこなう立場にあります。
上司の黙認は、会社が組織としてサービス残業を容認しているのと同じです。
黙認した上司だけでなく、違法な状態を作り出した会社全体が責任を問われるでしょう。
残業代の支払いを免れる目的で黙認すれば、労働基準監督署からの是正勧告や未払い残業代請求といった経営リスクも招きます。
たとえば管理職が、部下の残業を日常的に確認しながら、退社を促す声かけをしていなかったとします。
自己申告制の勤怠管理であっても、実態と乖離した申告を会社が把握していれば、残業代の支払いは免れないでしょう。
パワハラやセクハラの相談を受けた管理職や人事担当者が、何らの対応をせずに放置する行為も、身近なコンプライアンス違反です。
事業主は、労働施策総合推進法や男女雇用機会均等法に基づき相談体制の整備などの措置を講じる義務を負っています。
担当者が調査や是正をおこなわず放置すれば、措置義務を果たしていないと評価されるでしょう。
会社は、労働契約法に基づき安全配慮義務も負っています。
放置によってハラスメントが継続すれば、義務違反として損害賠償責任を問われるリスクもあるでしょう。
顧客データなどの個人情報を興味本位で閲覧したり、私的に持ち出したりする行為も、身近なコンプライアンス違反です。
業務で取り扱う個人情報データベースなどを、自己や第三者の不正な利益を図る目的で提供・盗用する行為は、犯罪にあたります。
個人情報データベース等不正提供罪として、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される可能性があるでしょう。
個人情報取扱事業者である会社は、個人データの安全管理措置を講じる義務を負っており、従業員を適切に監督する義務もあります。
漏えいが発生すれば、会社は安全管理措置や監督の義務違反を問われるでしょう。
情報漏えいで権利を侵害された顧客などから、民事上の損害賠償責任を問われる場合もあります。
経費の水増し請求も、身近なコンプライアンス違反の一例です。
従業員が実際にかかった費用より高い金額を申告したり、架空の経費を計上したりする行為は、詐欺罪や業務上横領罪にあたります。
法定刑は10年以下の拘禁刑です。
領収書を偽造・改ざんして請求すれば、私文書偽造罪なども別途成立する可能性があります。
経理体制の信頼性が損なわれれば、企業全体としての内部統制の不備を指摘されるリスクもあるでしょう。
金額が少額であっても、悪質性によっては懲戒解雇の相当性が認められる余地があります。
従業員がSNSに不適切な投稿をする行為も、身近なコンプライアンス違反です。
投稿の内容によっては、名誉毀損や信用毀損など複数の不法行為が成立し得ます。
投稿が業務に関連する内容であれば、企業は使用者責任に基づき、被害者への損害賠償義務を負う可能性があります。
就業規則の整備が不十分な企業では、投稿者への対応や再発防止策も後手に回りがちです。
たとえば、勤務先の店舗内で撮影した動画をアルバイト従業員が投稿し、SNS上で拡散したとします。
企業は謝罪対応やブランドイメージの回復に追われ、取引先からの契約解除や店舗の閉鎖に発展するケースも生じるでしょう。
本章では、2024年以降に報道された、業種の異なる5つのコンプライアンス違反事例を紹介します。
小林製薬が製造した「紅麹」配合サプリメントを摂取した消費者に、腎疾患などの健康被害が多数発生した事例です。
同社は2024年1月に医師から健康被害の通報を受け、2月上旬には複数の腎疾患症例を把握していました。
しかし、行政への報告や自主回収の公表は3月下旬までおこなわれず、約2か月にわたる対応の遅れが生じています。
危機管理・コンプライアンス上の問題として厳しく批判され、経営陣が引責辞任しました。
大規模な回収と補償が発生し、国の機能性表示食品制度全体の信頼が揺らぐ事態にも発展しています。
【参考元】これまでの主な経緯 | 紅麹事案について | 紅麹関連製品に関して | 小林製薬株式会社
プロ野球界で、複数球団に所属する選手が、違法なオンラインカジノを利用していた疑いが発覚した事例です。
2025年2月、オリックス・山岡泰輔投手の利用が発覚しました。
これを受け、日本野球機構(NPB)は12球団に自主申告を呼びかけました。
同年3月20日までに7球団15人の申告があり、山岡投手を加えた8球団16人が最終的な処分対象になっています。
NPBは同月24日、対象者ごとに10万円〜300万円の制裁金を科すと発表し、総額は1,020万円にのぼりました。
違法性の認識の有無にかかわらず、社会的影響力の大きいプロ野球選手としての自覚を欠いた行動と評価されています。
実名が公表されたのは山岡投手のみで、他の選手の氏名は警察の捜査への影響を考慮し非公表とされました。
【参考元】オンラインカジノ自主申告者への対応等について | NPB.jp 日本野球機構
株式会社BALM(旧・株式会社ビッグモーター)で、従業員による保険金の不正請求を目的とした車両の故意損壊などが発覚した事例です。
過剰な営業ノルマや社員間の罰金制度といった特異な社内体質が、不正の温床になっていたと指摘されています。
組織的なコンプライアンスの欠如が問題視され、社会的信用は大きく損なわれました。
同社は2024年12月2日、未確定の潜在債務を確定させるため、東京地裁に民事再生法の適用を申請しています。
【参考元】ビッグモーター、組織的な不正請求が明らかに 調査報告書の公表めぐり晒した経営の醜態 | ビジネス | 東洋経済オンライン
株式会社すかいらーくホールディングスが運営する「しゃぶ葉」で、アルバイト従業員が撮影した動画がSNSで拡散し、炎上した事例です。
2024年2月2日、埼玉県伊奈町の店舗で、閉店後に廃棄予定のホイップクリームを使った悪ふざけがおこなわれました。
従業員が別の従業員を羽交い締めにし、口の中に大量のクリームを流し込む様子を撮影・投稿したことに、批判が集中しています。
運営会社は謝罪に追われ、ブランドイメージの低下やファン・リピート客の離反、売上の減少といった実害が生じました。
【参考元】当社従業員による不適切な行為とお詫びについて|株式会社すかいらーくレストランツ
日本旅行株式会社が、全国旅行支援キャンペーンの人件費を架空計上し、不正に請求していた事実が発覚した事例です。
実際には勤務していない従業員が勤務していたように装い、架空のタイムカードを作成するなどの手口で、不正がおこなわれています。
最終的な調査で、不正請求額は166人日・45.5時間分にあたる約564万円に確定しています。
同社は不正請求額を返還しましたが、会社の信頼を大きく損ないました。
【参考元】旅行支援運営業務で564万円不正請求(日本旅行) – 旅行新聞 – 株式会社旅行新聞新社
コンプライアンス違反が発覚すると、ブランド毀損・採用活動への影響・損害賠償・行政処分・刑事責任という重大なリスクが生じ得ます。
コンプライアンス違反の発覚は、企業の社会的信頼を大きく損なう事態を招きます。
報道やSNSで情報が拡散されると、消費者や取引先、株主からの評価が短期間で低下するでしょう。
たとえば、旧・株式会社ビッグモーターは損害保険会社7社から代理店契約を解除されています。
小林製薬は紅麹問題の報道のたびに株価が下落しました。
信頼の低下は、本業の売上や資金調達にも影響を及ぼしかねません。
コンプライアンス違反は、企業の採用活動にも悪影響を及ぼします。
求職者は就職・転職先を選ぶ際、企業の評判や社会的信用を重視する傾向があるためです。
コンプライアンス違反が報道されると、内定辞退や応募数の減少、既存社員の離職につながるケースもあります。
人材の確保が難しくなれば、事業の継続や成長にも支障をきたしかねません。
コンプライアンス違反は、多額の損害賠償請求につながりかねません。
被害を受けた消費者や取引先は、不法行為に基づく損害賠償を請求できます。
品質不正が契約内容に反する場合は、契約先から債務不履行を理由に請求を受けるケースもあるでしょう。
品質を偽って表示した場合は、同業他社から不正競争防止法に基づき損害賠償を求められる可能性も否定できません。
顧客情報の漏えいなど、被害者が多数にのぼる事案では、賠償総額が数億円規模に達する場合もあります。
コンプライアンス違反は、監督官庁からの行政処分や行政指導につながります。
許認可を要する業種では、業法違反に対して業務停止命令や許可の取消しが科される場合があります。
独占禁止法や金融商品取引法違反では、課徴金の納付を命じられるケースも少なくありません。
行政処分を受けると、事業の継続自体が困難になるケースもあります。
コンプライアンス違反の内容によっては、経営陣が刑事責任を問われる可能性があります。
多くの業法には両罰規定が置かれており、違反行為をした役員本人だけでなく、法人も罰金刑を科されます。
自己や第三者の利益を図って会社に損害を与えたときは、特別背任罪に問われるおそれもあるでしょう。
特別背任罪が成立すると、10年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科されます。
コンプライアンス違反の背景には、複数の原因があります。
本章では、コンプライアンス違反を生み出す原因を紹介します。
コンプライアンス違反の原因として多いのが、従業員の知識・意識の不足です。
関連する法令や社内規程を正しく理解していなければ、違反行為だと気づかないまま業務を続けてしまいます。
研修や教育が形式的な企業では、現場が違法性を認識しないまま業務をおこないかねません。
不適切な慣行が、長年にわたり社内で常態化しているケースも少なくないでしょう。
コンプライアンス違反は、チェック体制や内部統制の不備からも生じます。
大会社である取締役会設置会社は、会社法に基づき、内部統制システムの整備を決定する義務を負います。
上場会社の場合は、金融商品取引法に基づく内部統制報告書の提出も必要です。
制度はあっても運用が形骸化していると、不正の兆候を見逃し、被害が拡大しかねません。
【関連記事】
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【ひな形あり】内部統制報告書とは?記載事項や作成の流れを解説
経営層と現場の間で情報共有ができていないことも、コンプライアンス違反の原因になります。
現場が把握した問題が経営層に伝わらなければ、対応が後手に回りかねません。
2022年施行の改正公益通報者保護法により、従業員301人以上の事業者には内部通報体制の整備が義務付けられています。
制度はあっても実質的に機能していない企業では、現場からの問題提起が握りつぶされるケースもあります。
コンプライアンス違反を防ぐには、行動規範の整備・通報窓口の設置・定期的な研修という3つの対策を組み合わせるのが有効です。
行動規範や社内規程を整えるのがコンプライアンス違反を防ぐ土台です。
何がしてよくて、何がしてはいけない行為なのかを、会社としてのルールにはっきり示しておく必要があります。
規程を作っただけで満足し、実際の業務とかけ離れた内容のままになっている会社も少なくありません。
現場の実態に合わせて内容を見直し、定期的にアップデートすることが求められます。
コンプライアンス違反を早期に見つけるためには、内部通報や相談のための窓口を設けるのが効果的です。
現場で問題に気づいた従業員が、安心して声を上げられる仕組みがなければ、違反が表面化しないまま放置されてしまいます。
通報した人が不利益な扱いを受けないよう、しっかりと守られる体制を整えることも欠かせません。
窓口を作るだけで終わらせず、実際に相談しやすい雰囲気づくりも意識しましょう。
コンプライアンス違反を防ぐには、定期的な研修を通じて従業員の理解を深めることも欠かせません。
ルールを一方的に伝えるだけでは、なかなか身につきません。
実際に起きた事例や身近なケースを取り上げながら、分かりやすく伝える工夫が求められます。
研修が形だけのものになっている会社では、いざというときに知識が活かされず、同じ違反が繰り返される場合もあります。
【関連記事】中小企業のためのコンプライアンス強化ガイド:リスク管理と実践的対応策
コンプライアンス違反や不祥事への対応は、弁護士に依頼するのがおすすめです。
弁護士のサポートを受けると、以下のようなメリットを受けられます。
弁護士に相談すれば、コンプライアンス違反にあたるかどうかの判断について助言を得られます。
現場で起きた出来事や取引の内容が、法律や社内規程に照らして問題があるかどうかは、判断に迷うケースが少なくありません。
自己判断で対応を誤ると、かえって問題を大きくしてしまう場合もあります。
弁護士に相談すれば、個別の事情を踏まえたうえで、違反の有無や今後取るべき対応を整理してもらえます。
弁護士に依頼すれば、コンプライアンス違反が疑われる事案の調査を任せられます。
社内の人間だけで調査をおこなうと、身内をかばう意識が働いたり、証拠の集め方に不備が出たりするおそれがあるでしょう。
弁護士に依頼すれば、客観的な立場から事実関係を整理し、証拠を適切な手順で集めてもらえます。
関係者への聞き取りや資料の分析といった手間のかかる作業も任せられるため、経営陣は本来の業務に専念できます。
弁護士に依頼すれば、社内向けのコンプライアンス研修を実施してもらえます。
法律の内容をそのまま伝えるだけでは、従業員の理解が深まらないケースも多いでしょう。
弁護士であれば、実際の裁判例や不祥事の事例を交えながら、現場の業務に即した形でわかりやすく説明してもらえます。
研修を外部の専門家に任せることで、社内の担当者だけで準備する手間を省きながら、内容の質も担保できます。
弁護士に依頼すれば、コンプライアンスに違反した社員への対応を委ねられます。
懲戒処分の内容や進め方を誤ると、処分を受けた社員から不当な処分だと争われる場合もあるでしょう。
弁護士に相談すれば、違反の内容や程度に見合った処分を検討したうえで、手続きを適切に進めてもらえます。
本人や周囲の社員への説明、労働組合とのやり取りなど、負担の大きい部分も任せられます。
【関連記事】コンプライアンスを弁護士に相談する6つのメリット|相談費用の相場
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コンプライアンス違反に関して、読者からよく寄せられる3つの疑問にQ&A形式で回答します。
不正のトライアングル仮説とは、動機・正当化・機会の3要素が揃うと不正が発生するという理論です。
アメリカの犯罪学者ドナルド・R・クレッシーが提唱した仮説です。
たとえば「自分が担当する部門の経営成績を良く見せたい」という意識が、不正・不適切事案の動機になるのは容易に理解できるでしょう。
「品質が良ければ、契約と異なる部品を使っても問題ないだろう」と正当化する心理が働くことも考えられます。
品質についてチェックシステム・モニタリング体制が不十分であれば、不適切行為の機会となるでしょう。
就業規則に懲戒の定めがあり、内容が相当であれば、懲戒処分は可能です。
労働契約法15条は、懲戒が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合、懲戒権の濫用として無効になると定めています。
就業規則に懲戒事由と処分の種類を明記し、従業員に周知しておくことが前提です。
処分は戒告から懲戒解雇まで段階があり、違反の程度に見合ったものを選ぶ必要があります。
本人に弁明の機会を与えるなど、適正な手続きを踏まなければ、処分自体が無効と判断されるおそれもあります。
違反の内容によっては、従業員個人が逮捕され、刑事罰を受ける場合もあります。
業務上横領罪や個人情報データベース等不正提供罪など、多くの犯罪は行為者本人を処罰の対象としているためです。
多くの業法には両罰規定があり、行為者本人が罰せられるとともに、法人にも罰金刑が科される場合があります。
逮捕は、嫌疑の相当性や身柄拘束の必要性などの要件を満たした場合におこなわれる手続きで、役職や立場にかかわらず対象になり得ます。
コンプライアンス違反とは、法令だけでなく社内規程や社会的倫理に反する行為までを含む幅広い概念です。
粉飾決算やインサイダー取引のような重大な不正から、社用設備の私的利用のような身近な行為まで、違反の類型はさまざまです。
違反の背景には、従業員の知識や意識不足・チェック体制の不備・経営層と現場の情報共有不足といった原因があります。
行動規範の整備・内部通報窓口の設置・定期的な研修の実施を組み合わせると、違反の芽を早期に摘み取れるでしょう。
対応を誤れば、信頼の失墜や損害賠償、刑事責任にまで発展しかねません。
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本記事は企業法務弁護士ナビを運営する株式会社アシロ編集部が企画・執筆いたしました。
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