コンプライアンスを弁護士に相談する6つのメリット|相談費用の相場

専門家監修記事
「コンプライアンスをより強化したい」「コンプライアンス違反していないか知りたい」このようなコンプライアンスに関する悩みは弁護士への相談をおすすめします。どのようなメリットがあるのか、費用相場や選び方についてもご紹介します。
阪神総合法律事務所
曾波 重之
監修記事
人事・労務

コンプライアンス」とは「法令遵守」を指し、会社全体で守らなければなりません。コンプライアンスを違反したことで倒産に至るケースもあります

 

しかし、実際コンプライアンス強化に乗り出すと「専門部署の設置」や「内部通報窓口の設置」「審査機関との連携」「マニュアルの策定」などやるべきことがたくさんあり、何から始めればよいのか難しいところです。

 

1番のおすすめは、コンプライアンスに強い弁護士と顧問契約してしまうことです。ここでは、コンプライアンスに強い弁護士の特徴や選び方のポイントをご紹介致します。企業コンプライアンス強化の際は、ぜひご覧になってください。

 

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コンプライアンスを弁護士に相談する6つのメリット

ここでは、コンプライアンスについて自社だけで対応せず弁護士に相談することのメリットをご紹介します。

自社に潜むリスクを把握できる

例えば、自社で新規ビジネスを開始する場合、最初に行うべきことが適法なのか、もしくは事前に届出や認可は必要なのか、公的ガイドラインは存在しないかなど弁護士に相談することで、自社に潜むリスクを事前に把握できます

 

具体的には、取引や契約の際に法令違反をしていないか、不測の損害を被るリスクはないかなどです。

 

これらは、法律の専門知識がある弁護士のみしか知り得ないものもあり、そのような観点から弁護士にコンプライアンスについて相談することは大変重要です。

コンプライアンス専門部署の設置をサポート

コンプライアンスを強化するためには、企業内にコンプライアンス専門部署を設置することが不可欠です。専門部署の設置にあたっては、企業の実情に詳しい人物の選定が重要で、そのような人物を外部の弁護士という第三者目線で選ぶことが大切なのです。

 

専門部署を内部のみで選定してしまうと、公平性が担保されず、透明性のある経営に影響を与えます。公正公平に企業コンプライアンスを強化するためにも、第三者である弁護士に選定をサポートしてもらいましょう。

 

内部情報を管理し、守秘義務を守るためには、それ相応の人物の関与が必要となります。

内部通報窓口の設置をサポート

内部通報制度とは、企業に法令違反や不正行為等のコンプライアンス違反が生じた場合に、それを通報する窓口業務の仕組みを構築することです。

 

内部通報制度を構築するにあたっては、内部通報者に不利益が生じないよう内部通報者を保護する制度や、法令違反等の事案を調査し、適切な対応ができる制度を作る必要があります。

 

内部通報窓口が機能することで、法令違反の抑止や自浄作用が高まるなどの効果が期待でき、昨今の企業コンプライアンス強化の動きの中では、非常に重要な位置を占めます。

 

内部通報窓口を設置するにあたっては、通報される内容を外部に漏洩されることなく、各法令の要求を満たす必要性があるため、企業コンプライアンスに強い弁護士の介入が不可欠。

 

社内事情に左右されない第三者の弁護士が介入することで、より健全・透明性のある企業経営を目指せます。

コンプライアンスマニュアルの作成

コンプライアンスマニュアルとは、社内の「基本理念」や「行動規範」、「行動基準」を盛り込む必要があり、企業の実情に応じた詳細なものにする必要があります。

 

守らなければならない法令や社会規範を掲載するため、関連法令に詳しい弁護士のサポートがあれば、スムーズにコンプライアンスマニュアルを作成できます。

 

特に、法令違反に対する罰則や行動規範、行動基準を早期に定め、全従業員に共有するのは一定の時間を要します。

 

専門的な知識を有する弁護士が介入すれば、策定までスムーズにサポートしてくれるでしょう。

コンプライアンスが守られているか状況確認

企業コンプライアンスにおいて作成したコンプライアンスマニュアルを従業員が守っているかをチェックすることは大変難しいです。

 

たとえ専門部署を設置しても、法令に詳しい弁護士がサポートしなければ、詳細に法令違反に該当するかもわかりませんよね。

 

また、万一従業員が法令違反をしている場合には、その従業員に対する処分も決定する必要があります。どの処分に該当するか当然のことながら、法令に詳しい弁護士のサポートが必要です。

 

ここに時間を要してしまうと、かえって会社側が従業員に訴えられる場合もあり、迅速な対処が求められます。日々のコンプライアンスチェックもコンプライアンスに強い弁護士に依頼することが重要。

コンプライアンスに関する些細な不安を相談できる

新しくスタートする事業が、コンプライアンス上問題がないか、法令違反に該当しないかをその都度相談できることは、企業にとっては大変頼もしいことです。

 

例えば、コンプライアンスに強い弁護士と顧問契約をすることにより、このような些細な不安を相談できるばかりか、顧問契約をすることで、緊急の案件にも迅速にかけつけてくれます。

 

コンプライアンスは企業にとってまったなしの問題だけに、迅速に対応できる専門家と連携しておくことは大変意義のあることです。

コンプライアンスを弁護士に依頼した場合の費用

企業コンプライアンスの作成や相談を弁護士に依頼する場合、大きく分けて2つの方法があります。1つは、「ご相談」として弁護士に相談する場合、もう1つが弁護士と「顧問契約」をして企業コンプライアンスを相談する場合です。

相談として弁護士相談する場合の費用相場

単に企業コンプライアンスについての相談をする場合は、「相談料」しかかからない場合が多いですが、この場合コンプライアンスの窓口設置や、マニュアルの作成までは対応してもらえません。

 

相談料の目安についてですが、弁護士との顧問契約の有無でもその価格に開きがあります。

引用元:弁護士報酬について|日本弁護士連合会

このことから、実際にコンプライアンスの窓口設置サポートや、マニュアルの策定、法令違反への対処などコンプライアンス全般を依頼する場合は、コンプライアンスに強い弁護士と顧問契約をした方が良いでしょう。

 

というのも、コンプライアンスはコンプライアンスについてのマニュアルのみ作成すれば良いというわけではなく、従業員へのコンプライアンス研修や実際に法令違反があった従業員への法的対処法など、継続的な弁護士の関与が必要であるからです。24時間365日、迅速に対応してくれる安心感は、顧問契約でしか得られません。

 

また費用としても、コンプライアンスに強い弁護士と顧問契約をした方が、抑えられるのもその理由の1つ。

顧問弁護士の月額費用相場

顧問契約の目安費用ですが、「日本弁護士連合会」によるアンケート調査によると、下記の通り顧問料金の費用相場は「3〜5万円」となっています。

引用元:弁護士報酬について|日本弁護士連合会

企業コンプライアンスについてのご相談の際には、ぜひ顧問契約の有無も視野に入れて、ご相談されると良いでしょう。

コンプライアンスが得意な弁護士を選ぶ際に見極める4つのポイント

ここでは、コンプライアンスに強い弁護士を選ぶ際の4つのポイントについてご紹介させて頂きます。

 

コンプライアンスマニュアル作成の実績があるなど、ポイントを確かめて、相談しましょう。

企業法務の実績がある

コンプライアンスに強い弁護士を選ぶ際に、まず重要視したいのが企業法務案件の実績です。弁護士の取り扱う案件は、非常に幅広く当然のことですが弁護士にも得意不得意が存在します。

 

まずは企業法務やコンプライアンス問題に強い弁護士の実績を判断するようにしましょう。

 

具体的には、コンプライアンス社内研修、規定やマニュアル作り、コンプライアンス違反への対処などの実績があるかどうかを弁護士事務所のホームページ等で確認してみてください。

 

また、選び方のポイントとして日本弁護士連合会の定める広告規定において、「確実に成果を出す弁護士」などと実績を過大表現することは規約違反となりますので、そのような表現を使用している弁護士事務所にはご注意ください。

自分や会社に合っている

自社の経営状況や経営規模にあった弁護士に依頼することが重要です。たとえば、コンプライアンス問題を得意とし実績が豊富な弁護士であっても顧問契約料金が自社に見合っていない高額なものであったら、顧問弁護士との契約が長続きしません。

 

顧問弁護士とは、従業員へのコンプライアンスチェックや、法令違反のチェックなど末長いお付き合いを想定して、月額費用も自社に見合ったものにして下さいい。

メールなどの対応が早く丁寧である

コンプライアンスに強い顧問弁護士とのご契約の際は、メールや電話でのご連絡が迅速な弁護士を選びましょう。

 

特に社内でコンプライアンス違反に該当する事案が生じた場合や、内部通報制度を利用して、内部通報があった場合は、迅速に委員会の開催や対応をしなければなりません。

 

このようなときに、連絡が取りづらい弁護士ですと、対応が後手に回り時として会社側が不利になってしまうことも。

 

このような事態を防ぐためにも、メールなどの返信が早い弁護士を選定しましょう。

親身に話しを聞いてくれる

企業コンプライアンスに関する法令や、規約は法的な知識を有する弁護士しか知り得ない専門的な情報も含まれます。

 

自社が置かれている状況や、契約に関しても専門用語をできる限り使用せず、または分かりやすく説明して頂ける弁護士が良いでしょう。

 

どこか接する態度が横柄である、上からモノを言うなどの弁護士は避けましょう。

 

企業のお悩みを相談し親身に話を聞いてくれる弁護士がベストな選択でしょう。

コンプラアンス違反がもたらす主な会社経営のリスク

ここでは、コンプライアンス違反がもたらす会社経営の具体的なリスクについてご説明致します。

 

コンプライアンス違反には、どのような種類があるのか、どのような損失が予想されるのかをイメージしておきましょう。

製造物責任法違反により損害賠償請求される可能性がある

製造物責任法とは、製造物の欠陥によって損害が生じた場合の製造業者等の損害賠償責任を定めた法律を言います。造物責任法違反が認められる条件については、以下を参照してください。

  • 損害を発生させた物が製造物であるとき
  • 被告が製造物の製造業者等であること
  • 被告が当該製造物を引き渡したこと
  • 製造物の引き渡し時点で当該製造物に欠陥が存在したこと
  • 原告の生命、身体または財産が侵害され、当該製造物以外のものについても損害が発生したこと
  • 欠陥と損害との間に因果関係があること

このような条件に該当した場合、製造物責任法違反に基づき、損害賠償請求の対象となる場合があります。

業務上過失により法定刑が科される可能性

花火大会屋台で使用していたガスボンベが爆発し、多くの観客を巻き込んでしまったというニュース等が聞かれることがありますが、このような事案に適用される刑法こそ『業務上過失』です。業務上過失とは、刑法211条にこのように記載されています。

<刑法211条>

業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

引用元:刑法|電子政府の総合窓口e-Gov

業務上というキーワードが焦点にあたると思いますが、これは職業上の仕事と認識されがちですが、それだけではなく営利目的以外の仕事も該当します

独占禁止法違反により行政処分になる場合も

独占禁止法とは、企業により健全な市場競争を確保するための法律となります。独占禁止法を制定する目的は、企業の自由な競争を促進するためにあり、企業が市場を独占するような、不当な取引等を制限しています。

 

具体的には、独占禁止法に「私的独占」「不当な取引制限」「不公正な取引方法」などが禁止事項に定められており、これを違反すると独占禁止法違反に該当してしまいます。違反してしまうと、その措置として「行政処分」や「刑事処分」が科せられ、「民事訴訟」になる場合もあります。

 

行政処分としては「排除措置命令」課徴金納付命令」などがあります。

横領や背任により会社イメージの損失や経営状況の悪化

従業員のコンプライアンス違反に、「横領」や「背任」があります。会社の売上金を着服する、会社の命令に背く背任は重大なコンプライアンス違反として、従業員に対する損害賠償請求に発展するだけでなく、着服や横領が公になれば、会社イメージのダウンにつながります。

 

また、従業員の横領や背任が発覚すれば、不祥事が起きた会社として従業員からもあまり良い目では見られず、会社内の指揮系統の低下にもつながりかねません。

情報漏洩・取得情報の目的外利用により信頼の失墜や行政処分も

情報セキュリティに対する消費者の目線は一層厳しくなっています。株式会社ベネッセコーポレーションによる会員情報の流出事件は、記憶に新しい方もいらっしゃるはずです。

 

平成26年6月に株式会社ベネッセコーポレーションが、委託先にしていた元社員が顧客リストを他社へ売却したことにより、約3,504万もの顧客情報が流出してしまったのです。

 

これらの事態を受けて、株式会社ベネッセコーポレーションは、警視庁に刑事告訴をし、情報セキュリティの強化を図るだけでなく、データベースを抜本的に見直すなど、多くの事後対処が生じました。

 

その後、株式会社ベネッセコーポレーションには、経済産業省からの勧告も入り、行政対応にも追われるかたちに。さらに、個人情報の流出によって消費者からは、信用を失う形になりました。個人情報は紙媒体でも発生します。ネットの有無にかかわらず顧客の個人情報を扱う場合、適切な処置や個人情報保護の強化が必要です。

従業員の言動・行動へもマイナスな影響が

勤務している会社が重大なコンプライアンス違反となれば、従業員そのものへの影響として会社への信頼を失墜、辞職につながるなどが挙げられます。

 

さらに、精神的にも従業員の周囲から不祥事を起こした会社に勤務しているという苦痛を味わう結果となる場合もあるでしょう。このように一度、会社がコンプライアンス違反を引き起こすだけで従業員からも会社へのイメージが全く変わってしまいます。

まとめ

企業コンプライアンスが強化される中で、専門的な知識を所有する弁護士の存在は不可欠です。新事業をスタートするにも、法的に違反していないか、行動規範が問題ないかなど、弁護士に相談を仰ぎましょう。

 

企業コンプライアンスに強い弁護士に相談することで、法的なリスクを回避し、より健全な会社経営につながります。

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