通常4時間勤務のアルバイトは4時間を超えたら残業代はつく!?アルバイトの残業代計算の基本

専門家監修記事
アルバイトを雇用している企業では、時給制で賃金を支払うことが一般的です。アルバイトを、雇用契約で定められた時間を超えて働かせた場合、給与はどのように支払えばよいのでしょうか。本記事では、アルバイトの残業代計算の基本事項について解説します。
Ad Libitum(フリーランス人事)
松永 大輝
監修記事
人事・労務

アルバイトを雇用している企業では、通常時給制で賃金を支払うことが一般的です。

この場合、「勤務時間×時給単価」で給与を計算することになります。アルバイトの勤務時間は、雇用契約で1日○時間などと定めていると思いますが、この時間を超えてアルバイト従業員を働かせた場合に、給与はどのように支払う必要があるのでしょうか。

本記事では、アルバイトの残業代計算の基本事項について解説します。

この記事に記載の情報は2024年08月16日時点のものです
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「残業」の定義

残業代を計算するに当たっては、どこからが残業になるのか?を理解する必要があります。一般的に残業とは、「規定の労働時間を超えて仕事をすること」を指しています。

よって、1日の労働時間が契約上4時間と定められている場合には、4時間を超えて仕事をすれば残業をした、ということになるでしょう。

残業をすれば残業代の支給が必要か?

結論から言えば、正社員であってもアルバイトであっても、契約で定めた時間を超えて働かせた場合には残業代の支給が必要となります。

上記の例に当てはめれば、4時間で契約したアルバイトに5時間働いてもらった場合には、通常支払っている4時間分の給与プラス残業させた1時間分の給与を支払わなければなりません。

ここまでは、法律の知識がない方でも理解されているのではないでしょうか。

残業代=必ず割増賃金となるのか?

問題となるのは、残業代として通常通りの賃金を支払えばそれで足りるのか、あるいは割増賃金として支払う必要があるのかという点です。

正社員で働いている方であれば、残業をした場合の残業代=割増賃金というイメージが強いかもしれません。では、正社員であってもアルバイトであっても、契約で定められた時間を超えて働いた場合は割増賃金が支給されることになるのでしょうか?

法定労働時間と所定労働時間の違い

この疑問について理解するには、まず「法定労働時間」と「所定労働時間」の違いを明確に区別しなければなりません。

法定労働時間とは「労働基準法」で定められている労働時間の上限のことを指します。同法では1日8時間・週40時間を超えて労働させてはならないと規定されています(労働基準法第32条)。

この上限時間は原則として全ての労働者に当てはまるため、正社員やアルバイトなど社員区分によって法定労働時間が異なるということはありません。

一方で、所定労働時間とは「会社」が個別の従業員ごとに、あるいは社員区分ごとに定めた労働時間のことを指します。

例えば、正社員は9時から17時半まで、アルバイトはシフトにより1日4時間などと定めていれば、それぞれ7時間半、4時間が所定労働時間となります。よって所定労働時間は企業や働き方によって異なります。

法定労働時間を超えた場合の残業代

法定労働時間を超えて従業員を働かせた場合、25%以上の割増賃金を支払わなければなりません(労働基準法第37条)。

割増率は深夜や休日かどうかで変わりますが、例えば1日9時間勤務させた場合には、法定労働時間の上限である1日8時間を超過した部分の「1時間分」が割増賃金の支払い対象となります。

所定労働時間を超えた場合の残業代

一方、所定労働時間を超えて従業員を働かせた場合、割増賃金の支払いが必要になるとは限りません。労働基準法では「1日8時間・週40時間」を超過した場合に割増賃金の支給を義務付けているに過ぎないからです。

よって、1日4時間のアルバイトであれば1日の残業時間が4時間までであれば、「通常の賃金」を支払えば足りることになります。つまり割増はせず、「超過時間 × 通常の時給単価」で残業代を支給すればよいのです。

ただし、この解説はあくまで法令の定めにのみ則って計算をした場合に適用されます

就業規則に「所定労働時間を超えて労働させた場合は割増賃金を支払う」などと規定してあれば、所定労働時間を超えた勤務すべてに割増賃金を支払う義務が発生します

判断に迷う場合は、弁護士や社会保険労務士などに自社の就業規則を共有しながら相談してみるとよいでしょう。

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