【企業からのお問い合わせ多数】インテアス法律事務所
國信 浩也 弁護士
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取引先との代金未払い、契約違反、損害賠償請求などの問題が起きたときは、すぐに訴訟を起こすかどうかを決める必要はありません。まずは契約書、発注書、請求書、メール、チャット、議事録などを集め、誰が・いつ・何を約束し、どこで認識が食い違ったのかを時系列で整理します。
そのうえで、請求したい内容、相手方の反論、回収可能性、取引継続の必要性を確認します。事実関係が曖昧なまま通知書を送ると、交渉が硬直したり、相手方に先回りして証拠を整えられたりすることがあります。東京都で企業間紛争に直面した場合も、初動では証拠の保全と法的な見通しの確認が重要です。
「約束が守られていない」というだけでは、訴訟で何を求めるのかが明確になりません。売買代金、業務委託料、貸金、損害賠償、契約解除など、請求の内容によって必要な主張と証拠は変わります。相手方から請求を受けている場合は、請求を認める部分と争う部分を分けて整理しましょう。
契約書や請求書だけでなく、契約締結までのやり取り、仕様変更の経緯、納品記録、入金履歴も重要です。電子メールやチャットは画面の一部だけを切り取らず、送受信日時や相手が分かる状態で保存します。社内担当者が退職する予定なら、当時の経緯を早めに聞き取り、記録に残しておく必要があります。
権利には消滅時効があり、請求できる期間を過ぎると回収が難しくなるおそれがあります。また、判決を得ても相手方に財産がなければ、実際の回収につながらないことがあります。期限が迫っている場合や、相手方の経営状態に不安がある場合は、交渉を続ける前に弁護士へ相談してください。
紛争解決の手段は訴訟だけではありません。裁判所も、民事訴訟のほかに民事調停や支払督促などの手続を案内しています。争点、緊急性、相手方との関係、費用、解決までの期間を踏まえて選ぶことが大切です。
| 手段 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| 任意交渉 | 取引関係を維持しながら条件調整をしたい場合 | 合意できなければ解決しない。合意内容は書面化する |
| 民事調停 | 裁判所を介し、話し合いによる解決を目指す場合 | 相手方の合意が必要になる |
| 支払督促 | 金銭の支払いを求め、相手方の反論が少ないと見込まれる場合 | 異議が出ると訴訟に移行することがある |
| 訴え提起前の和解 | 合意の見込みがあり、裁判上の和解と同じ効力を持たせたい場合 | 申立て前に相手方と十分な調整が必要 |
| 民事訴訟 | 事実関係や法的責任に争いがあり、判決による解決が必要な場合 | 主張と証拠の提出が必要で、費用と時間がかかる |
出典:裁判所「民事事件」
民事訴訟では、裁判官が双方の主張を聞き、提出された証拠を調べたうえで判決をします。手続の途中で和解が成立することもあります。訴えを起こす側は訴状を提出し、求める判決の内容と、その根拠となる事実を示さなければなりません。
2026年5月21日から民事訴訟手続のデジタル化に関する改正法が全面施行され、弁護士が代理人となる場合はオンラインでの申立てが義務化されました。自社だけで進める場合と弁護士へ依頼する場合では、書類提出の方法にも違いが生じます。
出典:裁判所「民事訴訟」
当事者間で合意の見込みがある場合は、簡易裁判所へ訴え提起前の和解を申し立てる方法があります。訴訟を起こす前に裁判所で和解し、その内容を和解調書に残す手続です。分割払いなどの条件を具体化し、合意の実効性を高めたい場面で検討できます。
次のような状況では、社内だけで対応を続けるよりも、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
訴状が届いた場合は、指定された期限までに答弁書などの対応が必要です。放置すると、自社の主張を十分に伝えられないまま手続が進むおそれがあります。受領日と期日を確認し、関係資料をまとめて相談してください。
弁護士は、契約書や交渉経緯から法的な争点を抽出し、どの事実をどの証拠で裏付けるかを整理します。自社に不利な事情も含めて早めに共有することで、訴訟になった場合の見通しや和解条件を検討しやすくなります。
交渉段階から弁護士が関与すると、訴訟に移行した場合も、これまでの経緯を踏まえて対応できます。相手方への通知、和解案の作成、訴状や答弁書の準備、期日対応まで一貫して任せられるため、社内担当者の負担も抑えられます。
法的に請求できることと、事業上それを実行すべきかどうかは別の問題です。重要な取引先との関係、回収可能性、社内外への説明、解決までのコストを確認し、判決を求めるのか、条件付きで和解するのかを検討できます。
紛争を放置すると、証拠が散逸し、当時の担当者の記憶も薄れていきます。相手方への請求が時効にかかるおそれがあるほか、相手方の資力が悪化して回収できなくなることもあります。
反対に、自社が請求を受けている場面で回答を先延ばしにすると、訴訟や仮差押えなどの手続を取られる可能性があります。取引先や金融機関への説明が必要になるケースもあるため、経営上の問題として対応方針を決める必要があります。
企業間訴訟といっても、売掛金、システム開発、業務委託、M&A、株主間紛争などで争点は異なります。法律事務所の取扱分野を確認し、自社と近い業種や契約類型の相談に対応しているかを尋ねましょう。
勝敗だけでなく、必要な証拠、想定される相手方の反論、解決までの手続、和解の可能性について説明を受けます。断定的な見通しだけを示すのではなく、不利な事情や不確定な点も説明する弁護士であれば、社内の意思決定に必要な材料を得やすくなります。
相談料、着手金、報酬金、実費の有無と計算方法を確認し、見積書をもらいましょう。訴訟では裁判所へ納める手数料なども発生し、金額は請求内容や手続によって異なります。担当弁護士への連絡方法や、社内担当者との役割分担も依頼前に決めておくと安心です。
出典:裁判所「手数料」
東京都中小企業振興公社では、都内中小企業者や創業予定者を対象に、法律を含むワンストップ総合相談を実施しています。法律相談は予約制で、対面またはオンラインで利用できます。個別の訴訟代理を依頼する窓口ではないため、具体的な交渉や裁判対応が必要な場合は弁護士への依頼を検討してください。
東京弁護士会の中小企業法律支援センターでは、中小企業や事業者の相談内容に応じた弁護士の紹介を行っています。どの弁護士へ相談すべきか迷う場合の選択肢になります。
はい。むしろ交渉の初期に相談すると、証拠の残し方や相手方への回答内容を確認できます。訴訟以外の手段で解決できる可能性も含めて検討できます。
交渉のみを依頼できる法律事務所もあります。ただし、交渉が不成立になった場合に訴訟まで依頼できるか、追加費用がどのように発生するかは事前に確認してください。
必ずしも判決まで進むとは限りません。民事訴訟では、手続の途中で裁判所から和解を勧められ、条件が合えば和解で終了することがあります。
契約書、発注書、請求書、入出金記録、相手方とのメールやチャット、経緯をまとめた時系列表を用意してください。訴状や内容証明郵便が届いている場合は、封筒を含めて持参すると、受領日や期限を確認しやすくなります。
企業間紛争では、証拠の保存、請求内容の整理、期限の確認を早めに行うことが、その後の交渉や訴訟に影響します。相手方との関係や事業への影響も踏まえ、任意交渉、調停、支払督促、訴訟などから適切な手段を選ぶ必要があります。
対応方針に迷う場合や、すでに相手方から請求・訴訟を受けている場合は、企業間紛争を扱う弁護士に相談し、見通しと費用を確認してください。