
医療費は病院にとって大きな収入源の1つです。しかし、なかには医療費の未払い問題なども発生しており、未払い分がかさむと経営に大きな悪影響が生じる可能性もあります。回収できていないものについては、債務者である患者に対して回収対応を行うべきでしょう。
回収にあたってはさまざまな方法があり、ケースごとに適切な回収方法は異なります。
また医療費には時効が定められており、時効期間を過ぎて時効が成立したものについては、原則回収することができません。回収方法の選択だけでなく、回収対応が行える期限についても注意する必要があるでしょう。
この記事では、医療費の未払い分の回収方法や回収期限などを解説します。
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医療費の未払い分を回収する方法
未払い分の医療費を回収する方法としては、以下のように「任意的手段による回収」と「法的手段による回収」の2つがあります。
任意的手段による回収 |
法的手段による回収 |
・内容証明郵便 ・任意交渉 |
・支払督促 ・民事調停 ・訴訟 ・強制執行(差押え) |
それぞれの回収方法について比較すると、主に以下のような特徴があります。
- 任意的手段による回収…対応にかかる時間・コストは小さく、回収効果は低い
- 法的手段による回収…対応にかかる時間・コストは大きく、回収効果は高い
また法的手段については、裁判所にて請求が認められることで、債務の存在・範囲を示す債務名義という文書が取得できる点も特徴的です。債務名義があることで、強制執行(差押え)への移行が可能となります。
ここでは、医療費の未払い分を回収する方法について解説します。
内容証明郵便
債務の支払いについて記載した「催告書」や「請求書」などの書類を作成し、内容証明郵便にて通知することによって回収を行う方法です。
内容証明郵便とは、提出日・差出元・差出先・記載内容などについて日本郵便が証明を行うサービスです。内容証明郵便を利用することで、書面通知の事実について証拠を残すことができます。なお、作成にあたっては以下の作成条件に則る必要があります。
- 文字数(縦書きの場合)…1行20字以内・1枚26行以内
- 文字数(横書きの場合)…1行20字以内・1枚26行以内、1行13字以内・1枚40行以内、1行26字以内・1枚20行以内
- 用紙…提出用・郵便局保管用・自社用に3通ずつ作成
- 印鑑…実印以外でも可能。また書類が複数枚の場合は、綴目に契印が必要
一例として、以下のような形式で作成します。
任意交渉
電話や面会などにて、債務者と話し合いをすることによって回収を行う方法です。ただし、あくまでも任意交渉であるため、場合によっては応じてもらえないこともあります。
支払督促
簡易裁判所を通じて、債務の支払いについて記載した「督促状」を送付することによって、回収を行う方法です。また、支払督促によって取得できる債務名義として仮執行宣言付支払督促があります。
支払督促については、書類審査のみで手続きが進められます。訴訟のように、証拠提出や出廷などの裁判手続きを行う必要がないため、法的手段のなかでは比較的手間がかからないという点が特徴的です。ただし、債務者が異議申立てを行った場合は、訴訟に移行します。
民事調停
裁判官や調停委員などによる仲介のもと、債務者と話し合いをすることによって回収を行う方法です。また、民事調停によって取得できる債務名義として調停調書があります。
民事調停については、手続きが非公開で進められます。したがって、発言内容などが外部に漏れる心配がないという点が特徴的です。ただし債務者が対応に応じない場合などは、訴訟に移行します。
訴訟
債務の支払いについて、裁判を起こすことによって回収を行う方法です。また、訴訟によって取得できる債務名義として確定判決や仮執行宣言付判決があります。
訴訟については、証拠提出や出廷などの裁判手続きを行う必要があります。法的手段のなかでも手間・時間がかかる方法であるため、特に対応に慣れていない場合は、弁護士などのサポートを受けた方が良いでしょう。
強制執行(差押え)
債務者の保有財産などについて、強制的に取得することによって回収を行う方法です。
しかし、債務者の保有状況など、なかには望ましい結果とならないこともあります。「ほかの法的手段を行っても回収できない」場合など、あくまでも最終的な手段として考えた方が良いでしょう。
なお実施にあたっては債務名義・裁判所の命令等が必要となります。
医療費の未払い分を回収できる期限
医療費には時効が設定されており、回収できる期間には期限があります。ここでは、医療費の未払い分が回収できる期限や、時効期間を過ぎた後の対応などを解説します。
時効期間
医療費の時効は3年と定められています(民法第170条1号)。
また国立・公立病院における医療費については、5年と定める法律もあります(地方自治法第236条1項・会計法第30条)。
ただし、2005年に行われた最高裁判所による判決では「公立病院の時効も3年とするべき(文献番号|2005WLJPCA11210002)」との考えが示されています。
したがって、医療費に関する時効は基本的に3年と考えておいた方が良いでしょう。
中断方法
医療費の時効は以下の方法によって中断できます。ここでは、医療費の時効の中断方法を解説します。
- 請求
- 差押え(仮差押え・仮処分)
- 債務承認
請求
請求には「裁判上の請求」と「裁判外の請求」の2つの手段があります。
裁判上の請求としては、「医療費の未払い分を回収する方法」にて解説した、支払督促・民事調停・訴訟などの実施があります。これらの手続きを行って請求が認められ、債務名義を取得することができた場合、時効期間を10年延長することができます。
裁判外の請求としては、「医療費の未払い分を回収する方法」にて解説した、催告書による通知の実施があります。この手続きを行うことで、時効完成を6ヶ月延長することができます。特に「時効成立が間近に迫っている」というケースでは効果的でしょう。
差押え(仮差押え・仮処分)
差押えや仮差押え・仮処分などの手続きを行うことでも、時効期間を延長することができます。
なお「仮差押え・仮処分」は差押えの前段階にあたり、財産処分の禁止など、債務者の保有財産を仮押さえする手続きを指します。また差押えの場合は債務名義が必要ですが、仮差押え・仮処分の場合は不要です。
上記手続きについて申立てをし、差押命令等があった場合、時効期間が中断されます。なお手続きにあたって、債務者から異議が出されて、申立てが却下された場合は中断されません。
債務承認
債務者が債務があることを認める行為を行うことでも、時効期間を延長することができます。「債務があることを認める行為」としては、主に以下の3つがあります。
・同意…「支払約束書」「債務確認書」など、債務について記載した書類作成に対応すること。
・一部弁済…債務のうちの一部を弁済すること。
・支払猶予願…支払期限や支払金額といった、債務支払いについて猶予の申し入れを行うこと。
上記いずれかの債務承認が行われた場合、時効期間はリセットされます。なお、これは時効経過に関係なく適用されるため、時効期間後でも債務承認が行われることで、時効を主張することができなくなります。
時効期間後の対応
すでに医療費の時効期間を過ぎている場合でも、なかには回収可能性が残っている場合もあります。時効が成立するには、時効が成立していることを主張する時効の援用を債務者が行う必要があり、ただ時効期間を過ぎただけでは支払義務は消滅しません。
もし時効期間を過ぎていても、債務者による時効の援用が行われておらず債務承認が行われた場合などは時効が成立しないため、回収対応を進めることができます。
ただし時効の援用は、「時効を援用する」という意思さえ明らかにすれば認められるため、書面・メールなどで行うことでも認められます。また援用前に訴訟提起したとしても、訴訟手続きにて援用意思が示されれば時効が完成します。
回収側としては、なるべく時効期間を過ぎる前に対応を済ませた方が良いでしょう。
医療費の未払い分の回収を弁護士に依頼するメリット
未払い分の医療費の回収にあたっては、ケースに応じて回収方法を選択する必要があります。
また時効も定められているため、特に時効期間が迫っている場合などは時効の中断などの対応が必要になることもあります。
「どの回収方法を選択すればよいか判断できない」「スムーズに回収対応を進める自信がない」などの場合は、債権回収に注力している弁護士にサポートを依頼することをおすすめします。
弁護士であれば、これまでの知識・経験なども活かした上で、回収方法の選択に関する助言が見込めます。また債務者との交渉手続きの代理や、裁判手続きの代理なども依頼できるため、対応にかかる負担の軽減なども望めます。
まとめ
未払い分の医療費を回収するには、内容証明郵便や任意交渉といった任意的手段による回収のほか、支払督促・民事調停といった法的手段による回収など、さまざまな方法があります。
また医療費の時効は原則3年と定められており、時効が成立するまでに回収対応を済ませる必要があります。なお時効成立が間近に迫っている場合などは、「請求」や「債務承認」などを行うことで中断することもできます。
回収対応にあたって、トラブルなくスムーズに進められる自信がない場合は、債権回収に注力している弁護士にサポートを依頼すると良いでしょう。弁護士であれば、回収方法に関する助言や手続きの代理なども依頼できるため、問題の早期解決だけでなく、本業に集中する時間的・精神的余裕の確保なども望めるでしょう。
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