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顧問弁護士とは、会社と顧問契約を結んで継続的に法的サポートを提供する弁護士のことです。
顧問弁護士なら、顧問先の会社の事情を熟知した状態でアドバイスや手続きを進めてくれるため、問題が発生するたびに弁護士を探して依頼するよりも、迅速な問題解決が望めます。
大企業に限らず、中小企業や個人事業主でも顧問弁護士を雇うメリットは大きく、なかにはセカンド顧問弁護士を付けている会社などもあります。
本記事では、会社が顧問弁護士を雇う必要性やメリット、顧問弁護士の費用相場や選び方などを解説します。
ここでは、顧問弁護士の役割や弁護士との違いなどを解説します。
顧問弁護士は、ビジネスパートナーとして会社の事業活動を継続的にサポートしてくれます。
いわゆる「かかりつけ医」のようなもので、主な役割としては法的リスクの予防・トラブル対応・会社の経営強化などがあります。
顧問弁護士の業務内容は多岐にわたり、たとえば以下のような相談に対応しています。

会社が弁護士を雇う場合、顧問契約を結んで継続的にサポートしてもらう方法以外にも、「トラブルが起きるたびに弁護士を探して単発で依頼する」という方法もあります。
それぞれの主な違いをまとめると以下のとおりです。
| 顧問弁護士 | 弁護士 | |
|---|---|---|
| 契約方法 | 顧問契約 | 委任契約 |
| 契約期間 | 半年~1年程度の継続契約 | 特定の案件のみ |
| 弁護士費用 | 月単位・年単位で定額 (契約内容によって異なる) |
案件ごとに発生 |
| メリット | ・日常的に相談できる ・スピーディに対応してくれる ・契約書作成や労働トラブルの解決など、幅広い業務を依頼できる |
・利用頻度が少なければ、顧問弁護士よりも費用負担を抑えられる可能性がある ・自社に合った弁護士に依頼できれば、的確なアドバイスやサポートが望める |
| デメリット | ・顧問料を支払う必要がある ・トラブル内容が弁護士の得意分野ではない場合、的確なアドバイスやサポートが受けられないおそれがある |
・トラブルが起きるたびに弁護士探しや契約手続きが必要 ・顧問弁護士に比べると弁護士の対応が遅い ・顧問弁護士に比べると依頼できる内容が限られる |
顧問弁護士であれば、日頃から会社の状況をチェックして相談にも乗ってくれますし、何かトラブルが発生した際は問題解決に向けてすぐに動き出してくれます。
ランニングコストがかかる点はデメリットですが、企業法務全般を継続的にサポートしてくれるというメリットは大きく、費用以上の効果が期待できるため、基本的には顧問弁護士を選ぶことをおすすめします。
事業者と弁護士との間で顧問契約を結ぶ場合、毎月顧問料が発生します。
ここでは、顧問弁護士を雇う場合にかかる費用について解説します。

【参考元】アンケート結果にもとづく中小企業のための弁護士報酬の目安|日本弁護士連合会
顧問弁護士を雇うと、実際の相談や事件処理があったかどうかにかかわらず、基本的に毎月固定で顧問料が発生します。
上記の日本弁護士連合会によるアンケート調査では、月額3万円~5万円程度で受任している弁護士が多いようです。
なかには「どれだけ相談や事件処理をお願いするかわからないのに、毎月3万円~5万円程度の顧問料を支払うのは高すぎる」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、だからといって顧問料が極端に安い法律事務所を安易に選ぶのは避けましょう。
極端に金額設定が安い法律事務所の場合、顧問料自体は安くても、状況に応じてその他費用が追加請求されたりして大きな負担が生じるケースもあるため、顧問契約を結ぶ際はきちんと契約内容を確認することが大切です。
法律事務所によっては、固定報酬制ではなくタイムチャージ制を採用しているところもあります。
タイムチャージ制とは「弁護士が仕事に従事した時間分の報酬を支払う」という方式のことを指します。
タイムチャージ制の大きなメリットは、毎月決まった額の顧問料を支払わなくてよいという点です。
固定報酬制の場合、弁護士に仕事を依頼しない月については無駄な出費となってしまいますが、タイムチャージ制の場合は弁護士が実際に働いた分だけ支払えばよいため、経済的負担を抑えられる可能性があります。
ただし、タイムチャージにはデメリットもあり、問題解決まで長く時間がかかってしまうと費用も大きく膨らんでしまいます。
顧問弁護士を雇う際は、利用頻度なども考慮して自社に合った料金体系を選択しましょう。
月額の顧問料を支払っていても、無制限に仕事をしてもらえるわけではありません。
たとえば「毎月3時間程度の相談までは月額顧問料の範囲とする」「すぐに回答できる内容の相談なら月額顧問料の範囲とする」など、実際にどれぐらいの仕事をしてくれるのかは、契約内容によっても大きく異なります。
事前に弁護士からよく説明を受けたうえで、顧問契約を結びましょう。
もっとも、何か問題が発生して顧問料の対応範囲外のサポートを依頼しなければならない場合には、通常の費用よりも割安で仕事を引き受けてくれるのが一般的です。
法律事務所によっては、毎月の顧問料の一部をポイント還元しており、顧問料の対応範囲外のサポートを依頼したいときにお金の代わりに使用できるところもあります。
料金体系は事務所によっても異なるため、詳しく知りたい方は直接事務所にご確認ください。
顧問弁護士をつけることで、主に以下のようなメリットがあります。
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ここでは、会社における顧問弁護士の必要性について解説します。
たとえば、売掛金などを回収しようとする際、債権回収の知識や経験がないと回収不能という事態に陥る可能性もあります。
最悪の場合、債権回収できなければ会社の倒産につながることもあります。
顧問弁護士なら、適切な回収方法のアドバイスや回収手続きのサポートなどをしてくれて、迅速な回収が望めます。
債権を回収するためには、まずは内容証明郵便を作成して催告をおこなうのが一般的です。
内容証明郵便とは、差出人・受取人・差出日・文書内容などを郵便局が証明してくれるサービスのことです。
ただし、内容証明郵便は規定の形式で作成する必要があり、不備があると証拠としての価値が落ちたりして債権回収が困難になるおそれがあります。
顧問弁護士なら、内容証明郵便の作成をサポートしてくれるだけでなく、弁護士名義で送付してもらうこともでき、相手方に大きなプレッシャーを与えられる可能性があります。
内容証明郵便による催告に応じない場合は、支払督促・訴訟・強制執行などの法的手続きを検討する必要があります。
特に裁判となると高度な法的知識が必要となりますが、経営の重要課題といえる債権回収を実現するためにも、迅速かつ適切に手続きを進めなければいけません。
顧問弁護士なら法的手続きも安心して任せることができ、自力で対応するよりも手間なくスムーズな回収が望めます。
基本的に弁護士は複数の案件を抱えており、並行して対応を進めています。
弁護士によっては、スケジュールが詰まっていたり法律事務所を長期間離れていたりして、連絡してもなかなか対応してもらえないこともあります。
しかし、顧問契約をしていれば、ほかの案件よりも優先して対応してくれるのが一般的です。
取引をおこなって契約書を作成する際は、高度な法的知識が求められます。
たとえば「紛争になった場合の管轄裁判所はどこにするのか」「判決が出た場合に強制執行はできるのか」など、状況に応じて記載すべき文言は異なります。
顧問弁護士を雇うことによって、契約書の作成から最終チェックに至るまでサポートしてくれて、漏れなく適切な契約書作成が望めます。
近年、会社経営における従業員との労働問題なども大きな社会的課題となっています。
代表的なトラブルとしては、パワハラやセクハラなどのハラスメント・長時間労働・残業代未払い・不当解雇などがあります。
特に中小企業の場合、大企業に比べると資金や従業員が少ないこともあり、人事・労務問題などが起きた場合に経営に深刻なダメージが生じるおそれがあります。
顧問弁護士なら、就業規則・雇用契約書のチェックや体制改善のアドバイスなどをしてくれてトラブルの未然防止が望めるほか、もしトラブルが発生した際も迅速に交渉や裁判に臨むことができます。
トラブルが発生するたびに弁護士を探して依頼する場合、まず相談予約を取ったあとに面談をし、企業の概要やトラブル内容などを伝えてからようやく問題解決に向けて動き出すため、どうしても時間がかかります。
顧問弁護士なら、すでに会社の内部事情を把握できているため、一から説明することなくスピーディに要望に沿った形でトラブル解決にあたってくれます。
また、弁護士によっては電話やメールでも相談に乗ってくれたり、夜間や土日祝日でも対応してくれたりする場合もあります。
顧問弁護士がいれば小さな問題でも気軽に相談できるため、アドバイスをもとに早い段階で適切に対応することで、トラブルが大事になる前に解決できる可能性があります。
問題がこじれて訴訟に発展してから弁護士が介入しても、納得のいく形での問題解決は望めないおそれがあります。
交渉や契約締結の段階で弁護士が介入すれば、訴訟に発展するリスクを減らすことができます。
たとえ訴訟にもつれ込んだとしても、自社の事情や希望を踏まえたうえで対応を進めてくれて、有利な形で裁判手続きを進められる可能性が高いです。
それでは、どのような弁護士を顧問弁護士として選ぶべきなのでしょうか。
ここでは、顧問弁護士選びのポイントについて解説します。
世の中には多種多様な業界・事業があり、それぞれを対象とした法律によって規制されています。
弁護士だからといって全ての分野に精通しているわけではなく、それぞれ得意とする分野は異なります。
弁護士は法律の専門家であるため、これまで経験のない業界・事業の案件でも一定の対応は可能ですが、会社にとって最適なアドバイスやサポートは受けられない可能性があります。
顧問弁護士を選定する際は「自社業界・事業分野についての知見や対応経験があるかどうか」が大きなポイントとなります。
もし貿易などで海外との取引がある場合には、英語力があるかどうかなども判断基準となります。
「顧問弁護士の費用・顧問料」でも解説したとおり、顧問弁護士を雇う際は顧問料を支払わなければなりません。
しかし、法律事務所によって料金体系はさまざまであり、料金体系が不明確な事務所を選んでしまうと依頼後に高額な費用を追加請求されたりするおそれがあります。
余計なトラブルを避けるためにも、料金体系が明快なところに依頼しましょう。
基本的に顧問弁護士とは長い付き合いになり、小さな問題から大きな問題までさまざまな相談に乗ってもらうことになります。
スムーズに問題を解決するためにも「弁護士からの説明がわかりやすいかどうか」も大きなポイントとなります。
弁護士の説明が専門用語ばかりで難解な場合、うまくコミュニケーションが取れずに問題解決が長引いたり、不安を抱えたまま弁護士の対応を待つことになったりするおそれがあります。
顧問契約を締結する際には、弁護士の説明のわかりやすさもチェックしましょう。
「弁護士とすぐに連絡を取れるか」「レスポンスは早いか」なども重要です。
弁護士との法律相談は面談形式が原則ですが、顧問契約を結べば電話やメールなどで気軽に相談に乗ってくれるところもあります。
また、トラブルはいつ発生するかわからず、土日や祝日でも早急な対応が必要となることもあります。
弁護士によっては土日祝日や夜間でも迅速に対応してくれる場合もあり、対応体制についてもチェックしておきましょう。
顧問弁護士を雇うことで、法的リスクの予防・トラブル対応・会社の経営強化などの継続的なサポートが受けられます。
月額3万円~5万円程度の顧問料はかかるものの、債権回収・労働問題の解決・M&Aや事業承継のサポート・契約書チェックなど顧問弁護士の業務範囲は幅広く、費用以上の効果が期待できます。
利用頻度が低い場合は、タイムチャージ制の法律事務所を選ぶことで安く済む可能性もあるため、費用面が不安な方もまずは一度相談してみることをおすすめします。
編集部
本記事は企業法務弁護士ナビを運営する株式会社アシロ編集部が企画・執筆いたしました。
※企業法務弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。
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