会社設立とは|設立手順・設立費用や株式会社・合同会社の違いを解説

専門家監修記事
働き方が多様化する現代。『自分で会社を設立する』という話も、最近では珍しくありません。しかし、会社設立のためには『どのような手続きが必要か』『費用はいくらか』など、最低限の知識は知っておく必要があります。この記事では、会社設立のための基本知識を解説します。
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
会社設立・新規事業

会社設立は、最短2週間程度で設立できる上に、法律上は1円の資金からの設立できます。2018年に新設された株式会社は、128,610件と去年より減少したものの2016年と比較すると1,000件近く増加している状況です(東京商工リサーチ)。

 

会社設立は、資本金1円からできるといいましたが、実際に手数料としては、25万円以上必要なケースがほとんどです。また、会社設立に当たって必ずすべきことは意外と多くなってきます。この記事では、会社設立のための基本知識を徹底解説します。

 

会社設立する前に|会社の形態と基本概要

まずは、会社設立とは何かについて解説します。

『設立』と『創業』の違い

企業の会社概要をみると、設立のほかに『創業という言葉も使われていますよね。まずは、それぞれの語句の意味について確認しましょう。

 

設立とは、『会社などの法人組織を立ち上げること』を指します。一方創業とは、『事業を開始すること』を指します。

 

したがって、会社を持っていない個人事業主が事業を開始した場合は『創業』が当てはまります。また、会社を設立した翌日から事業を開始した場合などは、設立日と創業日が異なります。  

株式会社と合同会社の違い

会社には、「株式会社」と「持分会社」の2つの形態があり、会社の設立方法によって分類されます。株式会社とは、株式の発行と引き換えに、投資家から資金を集めて事業を行う会社のことです。出資者と経営者が異なり、出資比率によって配当が決定されるという点が特徴です。

 

会社を設立するなら株式会社しかない」と考えている方もいるかもしれませんが、株式会社のほかに、持分会社という形態もあります。持分会社とは、社員それぞれが資金を出し合って事業を行う会社のことで、『合同会社』『合名会社』『合資会社』を総称したものを指します。出資者と経営者が同じで、社員個別に配当の決定ができるという点が特徴です。

 

株式会社と合同会社の大まかな違いについては、以下のとおりです。

  株式会社 持分会社
資本金 1円以上 1円以上
登記費用 15万円 6万円
上場 できる できない
役員の任期 10年または2年 任期はない(手続き費用が必要ない)
節税のメリット 受けられる 受けられる(株式会社より狭い範囲)
社会的な信頼性 高い 株式会社よりは低い

持分会社の3つの種類

『合同会社』『合名会社』『合資会社』については、会社倒産時などに出資者が負う責任が有限であるか無限であるか、という点でそれぞれ異なります。

会社種類 出資者が負う責任
株式会社 有限
合同会社 有限
合名会社 無限
合資会社 有限または無限

 

株式会社や合同会社であれば、出資者が出資額以上の責任を負うことはありません(有限責任)。

会社設立の手順

会社設立の際は、以下の手順で進める必要があります。

下準備

まずは、商号(会社の名前)・役員報酬額・資本金額の決定、印鑑の作成などを行います。

 

特に、会社にとっての運転資金である資本金については、社外からの信用材料の1つとして判断されることもあるため、資本金額をいくらに設定するかという点については、しっかりと考える必要があります。  

定款の作成と認証

定款とは、会社における基本的な決まりについて定めたもので、会社にとっての憲法といえるでしょう。

 

定款には、事業目的、商号、本店所在地、出資財産額または出資最低額、発起人(会社設立に関する企画、手続き、出資などを行う人)氏名または名称住所、発効可能株式総数などの記載が義務づけられています。

 

定款作成後は、記載内容に誤りがないかについて、第三者による認証作業を行う必要があります。

 

認証作業は、定款に記載した本店所在地を管轄する公証役場にて行います。その際、収入印紙(4万円分)・発起人の印鑑証明書・発起人の実印・身分証明書・委任状(代理人が手続きを行う場合)なども持参します。

 

また最近では、書面ではなく、インターネット上で電子定款を作成することも可能です。電子定款では、書面時に必要な印紙代(4万円)がかからないため、『少しでも設立費用を抑えたい』という方にはおすすめです。

【定款記載例:株式公開している大会社】

定款記載例
引用元:定款等記載例|日本公証人連合会

資本金の振込み

会社の銀行口座(法人口座)については、後のステップの『登記手続き』が一通り完了したのちに開設可能となります。

 

したがって、まずは準備として、発起人個人の銀行口座に、定款に記載した資本金を振り込みます

 

その際、資本金の口座振り込みを行ったことを証明する『払込証明書』を作成しておくのが一般的です。

 

資本金については、法人口座の開設が完了次第、個人口座から移動させます。  

登記手続き

登記とは、会社に関する主要事項について、公にアクセス可能な状態に置くための手続きのことです。

 

登記にあたっては申請書を作成する必要があります。

 

記載例や様式などについては、法務局HPより確認・ダウンロードが可能です。

 

商号・本店所在地・登記事項など必要項目の記入が完了したら、定款に記載した『本店所在地』を管轄する法務局の窓口に提出します。

 

【登記申請書記載例:株式会社の発起設立】

登記申請書記載例
引用元:商業・法人登記の申請書様式|法務局

登記簿謄本の取得

登記簿謄本(正式名称:登記事項証明書)とは、商号・本店所在地・資本金・役員など、会社に関する主要事項が記載された書類のことです。

 

登記簿謄本は、法務局窓口、郵送、オンラインなどから請求手続きが可能ですが、請求にあたっては請求書の作成が必要です。

 

記載例や様式などについては、法務局HPより確認・ダウンロードが可能です。

 

【登記簿謄本請求書記載例】

登記簿謄本記載例
引用元:登記事項証明書(商業・法人登記)・印鑑証明書等の交付請求書の様式|法務局

必要書類の提出

最後に、税務署、都道府県税事務所・市町村役場、年金事務所などに、各書類を提出します。

 

税務署には、以下の書類を提出します。

 

  • 法人設立届出書
  • 青色申告の承認申請書
  • 給与支払事務所等の開設届出書
  • 源泉徴収の納期の特例の承認に関する申請書
  • 棚卸資産の評価方法の届出書(任意提出)
  • 減価償却資産の償却方法の届出書(任意提出)

 

都道府県税事務所・市町村役場には、以下の書類を提出します。

 

  • 法人設立届出書

 

年金事務所には、以下の書類を提出します。

 

  • 健康保険・厚生年金保険新規適用届
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
  • 健康保険被扶養者(異動)届

 

会社設立の費用相場

会社設立にあたっては、主に以下の費用が発生します。

 

合同会社については、株式会社よりも登録免許税が低額で、定款認証手数料も発生しないため、会社設立にかかる費用を抑えることができます。

株式会社の場合
定款認証手数料 5万円
定款印紙代(電子定款の場合は不要) 4万円
定款謄本代 2,000円
登録免許税 15万円
合計 約25万円

 

合同会社の場合
定款印紙代(電子定款の場合は不要) 4万円
定款謄本代 2,000円
登録免許税 6万円
合計 約10万円

会社設立の際は弁護士のサポートを得るのがオススメ

「会社を設立したいけど、知らないことばかりで、1人では不安」という方については、弁護士行政書士に相談することをおすすめします。

 

弁護士や行政書士に相談することで、定款作成登記業務など、会社設立に関するさまざまな手続きについてサポートが受けられます。

 

また、相談する際は、会社法商法などを取り扱っている事務所を選ぶとよいでしょう。

 

費用は、弁護士・行政書士のいずれに頼むかにもよりますが、おおむね10~20万円の範囲に収まるのではないかと思われます。

 

ご自身で会社設立する場合と、ほぼ同等の額で弁護士のサポートが得られるという点からも、特別な事情がない限り、弁護士や行政書士に相談した方ほうがよいでしょう。  

まとめ

かつては『株式会社の設立には資本金1,000万円が必要』という時代もありましたが、現在は『資本金1円』からでも会社設立が可能です。

 

しかし、会社設立について何の知識もなく進めてしまうと、のちのちトラブルの元となってしまうこともあるかもしれません。

 

『会社設立を考えているが、正しく手続きが進められるか不安』という場合は、弁護士に相談してサポートを受けることで、スムーズかつよりよい方向に進められるでしょう。  

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