ジョイントベンチャーの設立手順とは|設立のポイントもあわせて解説

専門家監修記事
ジョイントベンチャーは合弁企業とも呼ばれ、M&Aや企業提携のメリットを両取りしたものとして注目されています。この記事では主にジョイントベンチャーの設立の手順についてご紹介していきます。
ベンチャーラボ法律事務所
淵邊 善彦
監修記事
会社設立・新規事業

ジョイントベンチャーには、複数の企業が出資を行い、それによって新会社を設立するというものや、既存企業の株式の一部買収によって、その企業の既存株主や経営者とともに共同経営を行っていく、といった形態があります。

 

一般的にはジョイントベンチャーというと、複数企業の共同出資による、新会社の設立や経営を行う形態を指すことが多いので、本記事でもこの形態に焦点を当てて解説を行います。このような形態をとることから、ジョイントベンチャーは合弁企業とも呼ばれ、M&Aや企業提携のメリットを両取りしたものとして注目されています。

 

ジョイントベンチャーは大きなメリットのある選択肢ですが、同時にその成功のためには、設立手順をしっかりと把握し、円滑に手続きを進めていく必要があります。そこで、この記事では主にジョイントベンチャーの設立の手順についてご紹介していきます。

ジョイントベンチャーの設立手順

ジョイントベンチャーを設立する上で、主な流れは以下の図の通りです。

ジョイントベンチャーを設立していく上で、パートナーは大変重要な存在です。出資可能な資産や技術などについて整理したうえで、ビジョンについても整理および共有を行い、これをもとにパートナーとのすり合わせを行っていきます。

 

気を付けるべきポイントの例としては、契約内容の中に非現実的なものが含まれていないか、提携企業にとってあまりに不利な制約等がないか、といったことがあります。この段階で基本的な合意がなされていきます。場合によっては、ここで基本合意書を締結することもあります。

 

基本合意書で大まかに合意した後は、デューデリジェンスなどを行い、より詳細に分析を行っていきます。また、これをもとにしながらビジネスプランの作成も行っていきます。どのような出資比率にするか、どの程度の社員を出向させるか、といった検討もしていきます。

 

こうして詳細を詰めていき、合意に至った場合には、ジョイントベンチャー契約の締結を行い、ジョイントベンチャーの設立へと移行していくことになります。会社設立にあたっては、会社組織や役職員の採用など組織作りや取引関連の契約書の締結が行われ、これを経て業務の開始へと動いていくことになります。

情報の収集・分析

自社の状況だけでなく、パートナーとなる企業の業界や法制度などさまざまな情報を収集し、ビジョンを明確化する上で必要となる情報を分析していきます。また、パートナーが自社の風土や業界についての理解があるかどうかを把握しておくことも重要です。

基本合意書の締結

ジョイントベンチャーの枠組みに関する基本的な合意がパートナーの企業となされた場合には、基本合意書をその時点で作成する場合があります。

主要条件の確認

企業の共同出資がジョイントベンチャーの肝であるため、何をどの程度出資するかといった事項が、主要な条件となってきます。このような条件の確認を行い、ビジネスプランを作成するうえでの材料をそろえていきます。

 

提携相手に頼りきりになってしまっていないか、自社にとって不利になり過ぎるような条件がないかどうかなど、多くの視点での検討が必要です。ビジネスプランを策定する上で重要な過程となるので、漏れがないかどうか確認ができる弁護士などがいると安心です。

ジョイントベンチャー契約書の締結

詳細を分析し合意がなされた場合、ジョイントベンチャー契約が結ばれます。基本的には弁護士が中心となってこの契約の締結を行い、設立企業に関するさまざまな内容が盛り込まれていきます。 以下の場合、契約書には1から10までの条文が定められ、両社によって内容が検討されることになります。

合弁会社設立契約書(例)

 

○○株式会社(以下、「甲」という。)と株式会社○○(以下、「乙」という。)とは、共同の事業をするため、次の通り合弁会社を設立し運営する契約を締結する。

第1条(目的)

第2条(新会社の概要)

第3条(設立期日)

第4条(株式の保有比率)

第5条(新会社の役員)

第6条(人員派遣)

第7条(重要事項の決定)

第8条(経費負担)

第9条(剰余金の配当)

第10条(知的財産権の処理)

第11条(競業禁止)

第12条(株式の譲渡制限)

第13条(デッドロック)

第14条(解除)

第15条(損害賠償)

第16条(解散時の処理)

第17条(秘密保持)

第18条(契約の変更)

第19条(管轄)

第20条(誠実協議)

ジョイントベンチャーの設立にかかわる合弁会社設立契約書では、上図のような事項に関する具体的内容が、交渉の結果、盛り込まれていきます。

ジョイントベンチャー設立完了

ジョイントベンチャーは設立してそれで終わりではありません。複数の企業が出資しているという性質上、今後の運営形態について随時、見直しが必要になってきます。現状の評価などを行い、場合によってはジョイントベンチャーを解消することも検討していかなければなりません。

ジョイントベンチャーを成功させるためのポイント

ジョイントベンチャーを成功させるためには、主に3つのポイントに注意する必要があります。

提携先企業を見極める

重要なのが提携先企業の見極めです。ジョイントベンチャーは、自社の強みと、共同出資を行うパートナー企業の強みで、互いの弱点を補い合うことによって大きな利益を出していく企業形態です。したがって、提携先企業が自社にない強みを持っているということを、しっかりと確認しておく必要があります。

 

また、それだけでなく、提携先企業の業界における法令なども、しっかりと把握しておく必要があります。

提携条件を明確化する

提携相手を探しているのは自社だけではなく、相手方の企業も同様です。したがって、明確化された提携条件を提示することによって、相手にとって選択されやすい企業となります。ジョイントベンチャーの組織形態、意思決定の方法、解消の方法などについてお互いに納得いく内容の合意をするべきです。

 

また、そうした配慮は相手方の負担を減らしていくことにもつながるため、ジョイントベンチャーのパートナーとして選択するメリットがある企業であると、相手方に判断される可能性が高まるでしょう。

提携先企業の利益にも配慮する

提携先の企業は、慈善事業でジョイントベンチャーを行うわけではありません。双方の利益の最大化を目標にして、ジョイントベンチャーを選択するわけです。したがって相手方の利益に配慮した提携を行うことも非常に重要です。

 

提携を行うことによって顧客が流れてしまうのではないか、技術が流出してしまうのではないか、といったリスクを必要以上に相手方に想起させてしまえば、ジョイントベンチャーはうまくいきません。両社の良好な関係性を築いていくための配慮が、お互いに必要です。

ジョイントベンチャーの事例

では、実際にジョイントベンチャーの形態をとって成功した事例を、3つ見てみましょう。

Amazon

Amazon社は、自社の膨大な顧客リストデータという強みを活かし、ジョイントベンチャーを行いました。

 

Amazonでは商品が配送された際に、梱包の中に他社のチラシが入っていることがあります。実はこれがジョイントベンチャーの一例であり、Amazonの顧客リストを頼りに、新規の顧客を探している企業が協力することによって、Amazonは多大な広告収入を得ることが可能になりました。

 

また、協力企業側としてもAmazonによる商品購入を行う顧客という、実際に購買行動をしている顧客のもとへ宣伝を届けることができるため、新たな販路の開拓に役立ちました。

サイバーエージェント×LINE

LINE社とサイバーエージェント社は、ともにインターネット関連企業ですが、得意とするサービスはそれぞれ異なります。

 

しかし、お互い強みとする販売プラットフォームや技術力を結集することにより、このジョイントベンチャーを成功させました。

 

これは、互いを補い合うことで大きな利益を生み出すジョイントベンチャーの好例であり、今後ジョイントベンチャーを見据える企業にとっては、よい参考となるでしょう。

Oisix

Oisix社は、有機野菜の宅配を主要業務とする会社です。しかし、設立当初は顧客数が非常に少なく、目標には到底届かないという状態でした。

 

そこで同社が目をつけたのが、販売網を広げるためのジョイントベンチャーです。 Oisix側は自社の品質のよい商材を強みにし、各地の牛乳店などと提携することによって、その販売網を拡大していきました。牛乳店側にとっても、質のよい商品を提供できるようになり、大きなメリットを享受できました。

 

こうして、Oisixは順調に売り上げを拡大させていきました。

ジョイントベンチャーについて弁護士に相談するメリット

ジョイントベンチャーを設立していく上では、出資比率、運営方法、知的財産の共有など、互いの企業にとってセンシティブな問題も存在します。自社の強みを生かして行うのがジョイントベンチャーの特徴である以上、提携先の企業に対して自社の重要な情報を開示する機会は少なくありません。

 

そうした際に弁護士がいれば、適切に情報を保護し、各種契約で不利益を被らないようにするためのアドバイスをしてもらうことが期待できます。 また、それだけではなく、ジョイントベンチャーの設立、運営、解消それぞれのノウハウを持つ弁護士事務所に依頼した場合、実際の事業を行っていく上や紛争を解決していく上での知識や経験もあるので、最適なアドバイスをしてもらうことが可能になります。

 

また、設立時だけではなく、解消時にも多くの法律問題が生じる可能性があります。その場合の交渉や紛争処理も代理で行ってもらえます。 ジョイントベンチャーは、自社の利益を大きくするために行っていくものです。したがって、提携先の企業と契約する際も、解消時の状況や利害関係を想定し、相手に配慮しつつも有利に進めていくことが望ましいです。

 

契約の交渉を含め、ジョイントベンチャーを検討するあらゆる場面で、的確なアドバイスや支援をしてもらえる弁護士を選択すれば、メリットが大きく、精神的にも安心して設立の手続きを進めていくことができます。

弁護士に相談するメリットまとめ

弁護士相談することで、以下のようなサポートを受けることができます。

  • 提携先への適切な情報開示
  • 提携に伴う契約書の作成・チェック
  • ジョイントベンチャー設立・運営・解消に関する法的な対応
  • ジョイントベンチャー設立後の従業員の契約書作成
  • 各種法律相談 など

 

相談料は初回無料もしくは30分5,000円と事務所によって異なります。なお、顧問弁護士として契約すれば、会社の規模によりますが毎月5万円程度で会社の専属として弁護士へ相談することができます。少しでも設立に不安がある人は、お気軽に弁護士に相談ください。 

まとめ

ジョイントベンチャーは、企業の成長を目指す上でとても魅力的な選択肢です。

 

M&Aよりも小さなリスクで、自社の弱みを補いながら、事業を大きく展開していくことができるのは、経営者にとって大きなメリットであるといえるでしょう。 設立手順についてしっかりと把握しておくことで、実際の設立を円滑に進めていくことが可能です。スムーズに進められる用意をしておくことで、魅力ある提携相手だと相手にアピールできる可能性もあります。

 

一方で、運営上のリスクや解消の方法についても把握しておくことが重要です。自社の強みが相手に漏れる可能性がありますし、契約の内容によっては顧客を取られてしまう恐れもあります。

 

こうしたリスクを小さくするためには、弁護士などへ相談し、安心できる環境を作ったうえでジョイントベンチャーを検討していきましょう。

弁護士に相談するメリットまとめ

弁護士相談することで、以下のようなサポートを受けることができます。

  • 提携先への適切な情報開示
  • 提携に伴う契約書の作成・チェック
  • ジョイントベンチャー設立・運営・解消に関する法的な対応
  • ジョイントベンチャー設立後の従業員の契約書作成
  • 各種法律相談 など

 

相談料は初回無料もしくは30分5,000円と事務所によって異なります。なお、顧問弁護士として契約すれば、会社の規模によりますが毎月5万円程度で会社の専属として弁護士へ相談することができます。少しでも設立に不安がある人は、お気軽に弁護士に相談ください。 

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