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「介護施設には一般企業のような顧問弁護士は必要ない」と思っていませんか。
しかし、介護施設のように人を預かる事業では、利用者や家族からクレームが入ったり、職員との間で労務問題が発生したりすることもあります。
トラブルのリスクを最小限に抑え、法的な視点から問題解決に導いてくれるのが顧問弁護士です。
また、年々変わっていく介護保険制度に確実に対応していくためにも顧問弁護士の存在は重要です。
本記事では、顧問弁護士を雇うかどうか悩んでいる方のために、介護施設における顧問弁護士の必要性や雇うメリットを解説します。
また、介護施設における顧問弁護士の費用相場や、弁護士の選び方なども記事後半で解説するので、参考にしてください。
介護施設で発生しうる問題としては、主に以下のようなものがあります。
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なかには迅速な対応を求められることもありますが、トラブルが起きてから弁護士を探していては対応が遅れてしまいます。
顧問弁護士と契約しておけば、すでに施設内の事情を理解している状態で迅速に動いてくれるため、スムーズな問題解決が望めます。
ここでは、顧問弁護士と弁護士の違いや、顧問弁護士の特徴などについて解説します。
顧問弁護士とは、継続的に法的サポートを提供してくれる弁護士のことです。
医師でいう「かかりつけ医」のようなもので、事業承継やM&A手続きのアドバイス・法律相談・契約書のリーガルチェック・トラブル解決など、さまざまな面から支えてくれます。
顧問弁護士には人数制限がないため、複数人と顧問契約することも可能です。
なお、具体的なサービス内容や顧問料などは依頼先事務所によっても異なるため、詳しくは直接事務所にご確認ください。
弁護士を探す際は、継続的にサポートしてもらう「顧問契約」ではなく、単発で業務を依頼する「スポット契約」という選択肢もあります。
顧問契約の弁護士とスポット契約の弁護士の主な違いをまとめると、以下のとおりです。
顧問弁護士(顧問契約) | 弁護士(スポット契約) | |
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メリット | ・日常的に法律相談やアドバイスを受けられる ・緊急時でも内部事情を理解して迅速に動いてくれる ・トラブルの経緯や相談状況などを毎回説明する必要がない ・相談回数が多い場合、スポット契約よりも安価で済む可能性がある |
・相談回数が少ない場合、顧問契約よりも安価で済む可能性がある ・状況ごとに適切な弁護士を選ぶことができれば、的確なサポートが望める |
デメリット | ・定期的に顧問料を支払わなければならない ・得意分野以外での問題に関しては、的確なサポートが受けられない可能性がある |
・相談のたびに弁護士を探して契約手続きをおこなう必要がある ・顧問契約に比べると弁護士の対応が遅く、被害が拡大するおそれがある ・トラブルの経緯や相談状況などを毎回一から説明しなければならない |
おすすめのケース | ・法務リスクなどを常に意識し、予防に努めたい場合 ・継続的なアドバイスやサポートが必要な場合 |
・事業内容がシンプルで法務リスクが低い場合 ・弁護士のサポートは必要最小限でよい場合 |
たとえば「今回の取引で交わす契約書のリーガルチェックをしてほしい」というような単発の業務を依頼したい場合はスポット契約でもよいかもしれませんが、継続的に手厚いサポートを受けたい場合は顧問契約を結びましょう。
ここでは、介護施設が顧問弁護士を雇うメリットについて解説します。
介護施設で用いる利用契約書や重要事項説明書などの書類については、法的トラブルを避けるためにも実態に合った内容のものを作成する必要があります。
また「一度定めればそれで終わり」というものではなく、定期的にチェックして最新の法制度や事業内容に対応したものでなければいけません。
インターネット上には雛形なども公開されていますが、必ずしも自社に適しているとは限らないため、そのまま流用するのは避けましょう。
顧問弁護士なら、自社に適した内容になっているかリーガルチェックしてくれて、トラブルが起こらないようにサポートしてくれます。
介護施設では、利用者の転倒や誤嚥(ごえん)などの介護事故による損害賠償請求事件も発生しています。
介護事故は介護サービス中や送迎中に発生することが多く、状況によっては不法行為責任が問われる可能性があります。
不法行為責任とは、介護施設側の故意や過失によって生じた損害を賠償する責任を負うというもので、民法709条では以下のように明記されています。
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
万が一介護事故に直面した場合には、介護施設の過失の有無が大きな争点になります。
具体的には「介護施設側が利用者の病院との引き継ぎ事項をきちんと把握していたのか」「従前の対応を変更する際には家族に説明し同意は得られていたか」「介護事故の事例をもとに対策は講じられていたか」などから、十分に注意義務を尽くしていたかどうかが判断されます。
介護施設が顧問弁護士を雇用していれば、介護事故を防ぐための対策を考えてくれるだけでなく、実際に介護事故が生じた際の対応や訴訟に発展した場合の対応までサポートしてくれます。
介護事故を未然に防ぎ、万が一の事故に備えて対策を強化できるという点が、顧問弁護士と契約する大きなメリットのひとつです。
介護業界の場合、他業種と比較しても深刻な人手不足の状態にあり、十分に目が行き届かないことも多くあります。
利用者本人や利用者家族から介護サービスに関するクレームが来ることも珍しくありませんし、クレーム対応を巡って大きなトラブルに発展するケースもあります。
なるべくトラブルを避けるためにも、普段から顧問弁護士による指導のもと、業務マニュアルや各種規定をチェック・整備することが大切です。
顧問弁護士の指導により、常に介護サービスの改善をおこなうことで、クレームが起きにくい介護施設の運営を目指せますし、もしクレームを受けた際も顧問弁護士と連携することで誠実な対応が望めます。
クレーム対応を誤ると損害賠償請求事件などにも発展しかねないため、事前に顧問弁護士とクレームに関する対策を考えておくことが得策です。
利用料の滞納は、介護施設でよくあるトラブルのひとつです。
主な滞納理由としては「浪費や借金返済による資金不足」や「利用者家族による使い込み」などがありますが、いずれにしても時効を迎える前に速やかに回収する必要があります。
基本的な回収方法の流れとしては、まず口頭や書面にて請求し、それでも応じない場合は支払督促や訴訟などの法的手段を取り、最終的には退去や強制執行などに移行することになります。
顧問弁護士なら、滞納状況に応じた適切な回収方法を助言してくれるだけでなく、利用者や連帯保証人に対する回収手続きも代行してくれて、手間なくスムーズな回収が期待できます。
介護保険制度は2000年にスタートした制度で、制度改正が頻繁におこなわれており、内容も都度更新されています。
介護施設側としては、適切かつ健全な運営を続けるためにも、常に最新の情報をキャッチして対応していく必要があります。
介護施設が顧問弁護士と契約をすれば、介護保険制度が改正された際も速やかに情報を得ることができ、適切な意思決定が可能となります。
介護施設では、利用者だけでなく職員との間でトラブルが発生することもあります。
トラブルの一例としては「残業代の未払い請求」「雇用状態にある職員との音信不通」「不当解雇の主張」などがあります。
顧問弁護士と契約していれば、問題が生じるたびに相談してアドバイスを受けることができ、スムーズな問題解決が望めます。
なかには施設職員による利用者虐待の疑いが生じることもあります。
介護施設側としては、速やかに利用者の安全確保や事実確認をおこない、利用者家族への連絡・行政への通報・行政担当者によるヒアリングなどにも対応する必要があります。
顧問弁護士なら、虐待疑いが発生した際の初動対応をアドバイスしてくれるため、法的リスクを最小限に抑えて大事にならずに解決できる可能性が高まります。
なお、2024年度からは全ての介護施設で虐待防止対策の実施が義務付けられており、未実施の場合は介護報酬が減算されます(その他【高齢者虐待の防止、送迎】(改定の方向性)|厚生労働省)。
顧問弁護士であれば、施設内の規程整備や職員研修の実施といった虐待の発生防止・再発防止に関するサポートを依頼することも可能です。
上記のほかにも、顧問弁護士なら以下のような相談にも対応してくれます。
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ここでは、介護施設における顧問弁護士の費用相場や、追加料金が発生するケースなどを解説します。
介護施設における顧問弁護士費用の相場は、月額5万円程度と言われています。
かつては「(旧)日本弁護士連合会弁護士報酬基準」という決まりがあり、事業者の顧問料は月額5万円以上とされていましたが、現在では廃止されて自由に金額設定することができます。
また、現在では「土日や祝日でも顧問弁護士に連絡でき、緊急時でもかけつけてくれる」というような顧問契約プランなどもあり、サービス内容によって料金は変動します。
なかには月額数千円~1万円程度と安く設定している法律事務所もありますが、月々の相談時間に制限が設けられていたり、緊急時には対応してくれなかったりすることが多く、契約時は介護施設の事情に合った最適なプランを選択することが大切です。
介護施設が顧問弁護士と契約する場合、追加料金が発生することもあります。
ただし、法律事務所によっても料金体系は異なるため、契約前には必ず直接確認するようにしてください。
介護事故が発生して訴訟に発展した場合には「過失の有無」などが大きな争点となりますが、弁護士は当事者への聞き取り調査や関連資料の準備などの業務が新たに発生することになり、追加料金がかかるのが一般的です。
また「未払い残業代の請求」などの労働問題が発生した場合も、弁護士は職員との交渉や関連資料の準備などに対応することになり、追加料金が発生するのが一般的です。
事業破産・事業再生・M&Aなどを依頼する場合も、追加料金が発生するのが一般的です。
たとえば、事業破産では破産申立てをするための書類準備が必要ですし、破産管財人との打ち合わせなどの業務も発生します。
事業再生やM&Aに関しても同様で、もしこれらの手段を検討している場合は、どのような料金体系になっているのか事前に確認しておきましょう。
ここでは、介護施設の顧問弁護士の選び方について解説します。
弁護士に相談する際は、注力分野・解決実績・弁護士歴などを確認し、介護保険制度や介護施設の内情に詳しい弁護士を選びましょう。
一口に弁護士といってもタイプはさまざまで、企業法務・顧問業務に力を入れている弁護士もいれば、刑事事件や離婚問題などに力を入れている弁護士もいます。
「弁護士なら誰を選んでも同じ」というわけではなく、対応実績の浅い弁護士では思うようなサポートが得られずに不満を感じることもあります。
介護施設と顧問契約を結んだ実績のある弁護士であれば、これまで培ってきた知識やノウハウを活かした的確なアドバイス・サポートが望めます。
相談内容に真摯に向き合って、迅速丁寧に対応してくれる弁護士を選ぶことも大切です。
特に顧問契約の場合、弁護士とは長い付き合いになるため、法律相談を通じて弁護士の人柄や雰囲気などもよく確認しておきましょう。
もし「初回の法律相談時に横柄な態度をとられた」などと少しでも不安に感じることがあれば、すぐに依頼せずに一旦別の弁護士に相談してみることをおすすめします。
多くの場合、顧問弁護士の料金はサービス内容ごとに設定されています。
たとえば「毎月の相談時間は2時間まで」などの相談に関して制限がある安価なプランもあれば、料金は高いものの「時間無制限でメールや電話で相談できる」というプランや、「土日祝日や緊急時でもかけつけてくれる」という手厚いプランなどもあります。
顧問契約を検討する際は、料金やサービスが納得のいくものであるかどうかも確認しましょう。
職員との労働問題・利用者本人や利用者家族とのトラブル・介護保険制度の改正・経営問題など、介護施設が抱える問題は多岐にわたります。
トラブルによっては一刻も早く適切な対応が必要となることもあり、十分な法律知識がないと大きな損失を被ることになるおそれがあります。
できるだけトラブルのリスクを減らし、適切かつ健全な運営を続けていくためにも、顧問弁護士のサポートが必要不可欠です。
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本記事は企業法務弁護士ナビを運営する株式会社アシロ編集部が企画・執筆いたしました。
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