
会社設立の手続きは、登記が済めば終了するわけではありません。
会社の設立が認められたら、次は会社を運営するための準備に取り掛かる必要があります。
必ず済ませなければいけない手続きもあれば、状況に応じて対応が必要な手続きもあり、会社設立者は手続きの全体像を把握しておいたほうがよいでしょう。
本記事では、会社設立後にやることのリストや、手続きごとの必要書類や提出期限、設立手続きに関する相談窓口などを解説します。
登記が済んだら何をすればよいのか確認したい場合に、参考にしてみてください。

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会社設立後のやることリスト
まず、会社設立後にやるべき主な手続きは以下のとおりです。
会社設立後のやることリスト |
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上記の手続きの中には期限が定められているものも多くあり、会社設立後は迅速かつ適切な対応が求められます。
ここでは、各手続きの対応内容や相談窓口などを解説します。
会社設立後の手続き一覧
会社設立後は、さまざまな機関に書類を提出して届出をおこなう必要があります。
各機関での主な手続きの内容をまとめると以下のとおりです。
届出先 | 提出書類 | 必須・任意 | 提出期限 |
---|---|---|---|
金融機関 |
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任意 | 口座開設時 |
税務署 | 法人設立届出書 | 必須 | 会社設立日から2ヵ月以内 |
青色申告承認申請書 | 必要に応じて ※税制優遇を受けたい場合 |
「会社設立から3ヵ月を経過した日」と「最初の事業年度終了日」のどちらか早いほうの前日まで | |
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 任意 | 提出期限の定めなし | |
給与支払事務所等の開設届出書 | 必要に応じて ※給与などの支払いがある場合 |
事務所開設日から1ヵ月以内 | |
都道府県税事務所・市町村役場 |
|
必須 | 提出先によって異なる |
年金事務所 | 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 | 必須 | 事実発生から5日以内 |
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 | 必要に応じて ※加入が必要な従業員がいる場合 |
事実発生から5日以内 | |
健康保険 被扶養者(異動)届 | 必要に応じて ※該当者がいる場合 |
事実発生から5日以内 | |
ハローワーク | 雇用保険 適用事務所設置届 | 必要に応じて ※役員以外の労働者を雇用した場合 |
適用事業に該当した日の翌日から10日以内 |
雇用保険 被保険者資格取得届 | 必要に応じて ※加入が必要な従業員がいる場合 |
対象者を雇い入れた月の翌月10日まで | |
労働基準監督署 | 労働保険 保険関係成立届 | 必要に応じて ※労働者を雇用する場合 |
保険関係の成立日の翌日から10日以内 |
労働保険 概算保険料申告書 | 必要に応じて ※労働者を雇用する場合 |
保険関係の成立日の翌日から50日以内 | |
適用事業報告書 | 必要に応じて ※労働者を雇用する場合 |
なるべく速やかに |
会社設立のおすすめ相談窓口
会社設立後の手続きについて不安な場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
会社設立の手続きに強い弁護士なら、今後の対応について的確なアドバイスが望めるだけでなく、手続きの代行を依頼することも可能です。
当サイト「企業法務弁護士ナビ」では、会社設立・会社設立後の手続きに強い全国の弁護士を掲載しています。
無料相談可能な弁護士も多数掲載しているので、まずは気軽にご相談ください。
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1.金融機関への届出(法人口座の開設)
会社名義の口座は、取引先との金銭のやり取りや会社の帳簿をつける際に必要になります。
法人口座の開設は任意ではあるものの、会社を設立する際は口座開設の手続きもおこなうのが一般的です。
口座開設の審査には2週間〜1ヵ月程度かかるため、登記が済んだら可能な限り早めに手続きに着手しましょう。
会社名義の口座を開設するためには、主に以下のような書類が必要です。
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ただし、銀行によっても必要になるものは異なるため、詳しくは直接銀行にご確認ください。
なお、口座開設の審査を受ける際、会社の事業内容が不明瞭だと審査に落ちる可能性が高まります。
口座開設を申し込む際は、銀行員に会社の実態を説明する準備を整えてから臨みましょう。
2.税務署への届出
会社を設立したら、法人として税金を納めていくための手続きが必要です。
提出書類は以下のとおりで、会社の本店所在地の地域を管轄する税務署へ提出しましょう。
税務署の管轄先は、国税庁ホームページの「税務署の所在地などを知りたい方」で確認できます。
提出書類 | 必須・任意 | 提出期限 |
---|---|---|
法人設立届出書 | 必須 | 会社設立日から2ヵ月以内 |
青色申告承認申請書 | 必要に応じて ※税制優遇を受けたい場合 |
「会社設立から3ヵ月を経過した日」と「最初の事業年度終了日」のどちらか早いほうの前日まで |
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 任意 | 提出期限の定めなし |
給与支払事務所等の開設届出書 | 必要に応じて ※給与などの支払いがある場合 |
事務所開設日から1ヵ月以内 |
法人設立届出書【会社設立日から2ヵ月以内】
法人設立届出書とは、会社を設立したことを税務署に把握してもらうために提出する書類です。
新たに法人を設立した場合は、この書類を提出しなければいけません。
法人設立届出書の提出期限は「会社設立日から2ヵ月以内」で、定款の写しとともに提出する必要があります。
法人設立届出書の書式は、国税庁ホームページの「C1-4 内国普通法人等の設立の届出」からダウンロードできます。
青色申告承認申請書【「会社設立から3ヵ月を経過した日」と「最初の事業年度終了日」のどちらか早いほうの前日まで】
青色申告承認申請書とは、確定申告を青色申告でおこなうために提出する書類です。
この書類を提出することで税務署から青色申告が認められ、控除の適用が受けられます。
税制優遇を受けたい場合は、青色申告承認申請書を提出する必要があります。
青色申告承認申請書の提出期限は、「会社設立から3ヵ月を経過した日」と「最初の事業年度終了日」のどちらか早いほうの前日までです。
青色申告承認申請書の書式は、国税庁ホームページの「A1-8 所得税の青色申告承認申請手続」からダウンロードできます。
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書【提出期限の定めなし】
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書とは、源泉所得税の納付手続きにかかる手間を省くために提出する書類です。
給与などの支払いを受ける者が常時10人未満の場合に限り、この申請ができます。
通常だと源泉所得税は毎月収める必要がありますが、この書類を提出すれば年に2回の納付だけで済ませることができます。
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の書式は、国税庁ホームページの「A2-8 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」からダウンロードできます。
給与支払事務所等の開設届出書【事務所開設日から1ヵ月以内】
給与支払事務所等の開設届出書とは、従業員などに対して給料を支払うことを税務署に通知し、源泉所得税の納付書を送付してもらうために提出する書類です。
従業員への給与や役員への報酬を支払う場合は、この書類の提出が必要です。
給与支払事務所等の開設届出書の提出期限は、事務所開設日から1ヵ月以内です。
給与支払事務所等の開設届出書の書式は、国税庁ホームページの「A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」からダウンロードできます。
3.都道府県税事務所・市町村役場への届出
会社設立をしたら、本店所在地を管轄する都道府県税事務所と市町村役場にも、会社を設立して事業を開始することの届出が必要になります。
主な必要書類は以下のとおりです。
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ただし、必要書類や提出期限などは地域によっても異なります。
たとえば、本店所在地が東京23区内の場合、提出するのは都税事務所だけでよく、市町村役場への提出は不要です。
届出をおこなう際は、各地域のホームページなどを確認しましょう。
4.年金事務所への届出
健康保険や厚生年金保険などの社会保険の手続きもおこなう必要があります。
提出書類は以下のとおりで、会社の本店所在地の地域を管轄する年金事務所へ提出しましょう。
年金事務所の管轄先は、日本年金機構ホームページの「年金事務所管轄区域」で確認できます。
提出書類 | 必須・任意 | 提出期限 |
---|---|---|
健康保険・厚生年金保険 新規適用届 | 必須 | 事実発生から5日以内 |
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 | 必要に応じて ※加入が必要な従業員がいる場合 |
事実発生から5日以内 |
健康保険 被扶養者(異動)届 | 必要に応じて ※該当者がいる場合 |
事実発生から5日以内 |
健康保険・厚生年金保険 新規適用届【事実発生から5日以内】
新規適用届とは、健康保険・厚生年金保険に加入するために必要な書類です。
会社を設立する場合は社会保険への加入が義務付けられているため、会社設立後は必ず提出しなければいけません。
新規適用届の提出期限は「加入が必要となる事実が発生してから5日以内」で、履歴事項全部証明書の原本や、法人番号指定通知書の写しとともに提出する必要があります。
新規適用届の書式は、日本年金機構ホームページの「新規適用の手続き」からダウンロードできます。
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届【事実発生から5日以内】
被保険者資格取得届とは、従業員が新たに保険加入する際に必要になる書類です。
新たに人材を採用したりして加入対象者が増える場合、この書類を提出しなければいけません。
被保険者資格取得届の提出期限は、加入が必要となる事実が発生してから5日以内です。
被保険者資格取得届の書式は、日本年金機構ホームページの「健康保険・厚生年金保険の適用関係届書」からダウンロードできます。
健康保険 被扶養者(異動)届【事実発生から5日以内】
被扶養者(異動)届とは、新たに被保険者となる人に扶養している家族がいる場合に必要な書類です。
被扶養者(異動)届の提出期限は、加入が必要となる事実が発生してから5日以内です。
被扶養者(異動)届の書式は、日本年金機構ホームページの「2-3:家族を被扶養者にするとき、被扶養者となっている家族に異動があったとき、被扶養者の届出事項に変更があったとき」からダウンロードできます。
5.ハローワークへの届出
会社設立後に従業員を雇う場合、ハローワークへの届出も必要になります。
提出書類は以下のとおりで、会社の本店所在地の地域を管轄するハローワークへ提出しましょう。
ハローワークの管轄先は、厚生労働省ホームページの「都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧」で確認できます。
提出書類 | 必須・任意 | 提出期限 |
---|---|---|
雇用保険 適用事務所設置届 | 必要に応じて ※役員以外の労働者を雇用した場合 |
適用事業に該当した日の翌日から10日以内 |
雇用保険 被保険者資格取得届 | 必要に応じて ※加入が必要な従業員がいる場合 |
対象者を雇い入れた月の翌月10日まで |
雇用保険 適用事務所設置届【適用事業に該当した日の翌日から10日以内】
適用事務所設置届とは、雇用保険の適用を受けるために必要な書類です。
従業員を雇用した場合は、この書類を提出しなければいけません。
適用事務所設置届の提出期限は「適用事業に該当した日の翌日から10日以内」で、次に解説する「被保険者資格取得届」とともに提出するのが一般的です。
適用事務所設置届の書式は、ハローワークホームページの「雇用保険適用事業所設置届」からダウンロードできます。
雇用保険 被保険者資格取得届【対象者を雇い入れた月の翌月10日まで】
被保険者資格取得届とは、従業員を雇用保険に加入させるために必要な書類です。
週20時間以上の労働をする従業員・パートを雇用した場合は、この書類を提出しなければいけません。
被保険者資格取得届の提出期限は「対象者を雇い入れた月の翌月10日まで」で、以下の書類とともに提出する必要があります。
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被保険者資格取得届の書式は、ハローワークホームページの「雇用保険被保険者資格取得届」からダウンロードできます。
6.労働基準監督署への届出
会社設立後に従業員を雇った場合には、労働基準監督署にも届出が必要です。
提出書類は以下のとおりで、会社の本店所在地の地域を管轄する労働基準監督署へ提出しましょう。
労働基準監督署の管轄先は、厚生労働省ホームページの「全国労働基準監督署の所在案内」で確認できます。
提出書類 | 必須・任意 | 提出期限 |
---|---|---|
労働保険 保険関係成立届 | 必要に応じて ※労働者を雇用する場合 |
保険関係の成立日の翌日から10日以内 |
労働保険 概算保険料申告書 | 必要に応じて ※労働者を雇用する場合 |
保険関係の成立日の翌日から50日以内 |
適用事業報告書 | 必要に応じて ※労働者を雇用する場合 |
なるべく速やかに |
労働保険 保険関係成立届【保険関係の成立日の翌日から10日以内】
保険関係成立届とは、初めて従業員を雇用して労働保険に加入する際に必要な書類です。
保険関係成立届の提出期限は、保険関係の成立日の翌日から10日以内です。
保険関係成立届の書式は、労働基準監督署やハローワークの窓口、または郵送で請求することで入手できます。
記入方法は、厚生労働省ホームページの「①保険関係成立届の記入見本」をご確認ください。
労働保険 概算保険料申告書【保険関係の成立日の翌日から50日以内】
概算保険料申告書とは、労働保険料の見込み額を納付するために必要な書類です。
概算保険料申告書の提出期限は、保険関係の成立日の翌日から50日以内です。
概算保険料申告書の書式は、保険関係成立届を提出したあとに労働基準監督署から渡されます。
記入方法は、厚生労働省ホームページの「②概算保険料申告書の記入見本」をご確認ください。
適用事業報告書【なるべく速やかに】
適用事業報告書とは、従業員を雇ったことを労働基準監督署に報告するために提出する書類です。
従業員を雇った場合は、この書類を提出しなければいけません。
適用事業報告書の書式は、厚生労働省ホームページの「主要様式ダウンロードコーナー(労働基準法等関係主要様式)」からダウンロードできます。
さいごに|会社設立の手続きが不安なら、まずは専門家に相談を
会社を設立したあとも、ケースによってさまざまな手続きが必要になります。
なかには期限が短く設定されているものもあるため、自力での対応が難しそうな場合は速やかに弁護士などに相談しましょう。
企業法務弁護士ナビでは、会社設立に関する手続きに強い全国の弁護士を掲載しており、地域ごとに対応可能な弁護士を一括検索できます。
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