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「そろそろ会社をたたむべきか」「でも何から手をつければいいのかわからない」そんな不安を抱えている経営者の方は多いのではないでしょうか。
後継者不在で悩む方も、業績悪化で苦しい決断を迫られている方も、事業清算は決して珍しいことではありません。
結論から言えば、清算は正しい手順さえ踏めば、余計な税金や管理負担から解放される前向きな選択にもなります。
ただし解散から会社がなくなるまでには多くのステップがあり、期限を誤ると過料などのリスクも伴うため、正確な知識が欠かせません。
本記事では、清算と解散の違いから手続きの流れ、費用の目安、注意点までをわかりやすく解説します。
個人事業主特有の手続きにも触れているので、法人・個人を問わず参考になるはずですので、ぜひ最後までご覧ください。
事業清算とは、会社の営業活動を完全にやめて、残った財産を整理したうえで、会社そのものをなくす一連の手続きのことです。
会社法上、会社は解散を決めただけではなくならず、お金の回収や支払いなどの清算手続を全て終えて初めて、法律上なくなると定められています。
業績悪化や後継者不在で廃業を決めた企業では、解散後に在庫を売って借入金を返し、残ったお金を株主に分けて会社を終わらせるケースが一般的です。
| 項目 | 清算 | 精算 |
|---|---|---|
| 意味 | 会社の財産を整理し消滅させる手続き | 金額の過不足を調整する行為 |
| 対象 | 会社全体の財産・権利義務 | 個別の金銭 |
| 具体例 | 資産や負債の整理 | 出張費の払い戻し |
| 手続き難易度 | 書類作成など複雑 | 比較的簡単 |
「清算」は、会社の権利や義務、財産を整理して、会社そのものをなくす法的な手続きを指す言葉です。
一方「精算」は、金額を細かく計算して、多い分や少ない分を調整する日常的な行為を指します。
具体的には、会社をたたむために資産や負債を整理するのが清算、従業員の出張費用の立て替え分を給料日に計算して払い戻すのが精算です。
会社を清算するときは、財産の一覧表や貸借対照表を作るなど、精算とは比べ物にならないほど手間のかかる書類作成や手続きが必要になります。
| 項目 | 会社解散 | 会社清算 |
|---|---|---|
| 意味 | 営業活動を終わらせる決定 | 財産や借金を整理し会社をなくす手続き |
| タイミング | 清算より先におこなう | 解散の後におこなう |
| 会社の状態 | 清算株式会社として存続 | 手続き終了で法人格が消滅 |
会社解散とは、会社の本来の営業活動を終わらせる決定のことです。
一方で会社清算は、解散後に残った財産や借金を整理し、会社をすっかりなくすための実務手続を指します。
会社法上、会社は解散しただけでは消滅せず、清算手続きが終わって初めてなくなります。
株主総会で営業終了を決めるのが解散にあたり、解散後は数か月かけて未払いの家賃を払ったり在庫を売ったりして財産をゼロに近づけていくのが清算です。
休眠状態のまま会社を放置していると、気づかないうちに税金や管理コストがかかり続けていることがあります。
会社解散および事業清算をおこなう一番のメリットは、こうした余計な負担をきれいになくし、経営者としての責任から解放されることです。
具体的には、維持コストの削減と管理の手間の軽減という、2つの側面から負担がなくなります。
事業清算をおこなうひとつ目のメリットは、会社を維持するだけでかかっていた税金や固定費の負担をなくせることです。
地方税法上、赤字や休業中であっても法人住民税の均等割(年間約7万円)がかかりますが、清算を終えて会社がなくなれば、税金を払う義務自体がなくなります。
数年間営業していない会社をたたんだ場合、毎年払っていた7万円の税金や、税理士への決算申告の報酬といった維持コストが、翌年から一切かかりません。
事業清算によって会社をなくせば、役員の任期が切れるたびに必要な登記申請などの管理の手間が省けます。
会社法により、株式会社の役員には最長10年の任期が定められています。
休業中でも変更登記(重任登記)を忘れると罰金のようなお金を科されるリスクがありますが、清算すればこの義務自体がなくなります。
営業していない会社を放置して登記を忘れ、裁判所から数万円の罰金を請求されるリスクも、清算手続を終えることで避けられます。
事業清算は、会社の意思だけで自由に始められるわけではありません。
株式会社が解散して清算に進むためには、会社法で定められた一定の条件に当てはまる必要があります。
その条件は全部で7つあり、自主的な決断によるものから、法律上やむを得ず適用されるものまでさまざまです。
会社を作るときに定款で会社の存続期間を決めていた場合、その期間が終わった時点で会社は自動的に解散します。
例えば万博向けの期間限定の事業のために作られた会社が、定款で「存続期間を2025年12月末日までとする」と決めていた場合、その日が来ると自動的に解散します。
あらかじめ定款に特定の出来事を解散する条件として書いていた場合、その出来事が起きた時点で会社は解散します。
定款に「親会社とのフランチャイズ契約が終わった時に解散する」と決めていた場合、その契約が打ち切られた瞬間に会社は自動的に解散し、清算手続に進みます。
株主総会で株主の賛成を得ることで、会社の意思としていつでも自主的に解散できます。
中小企業で最も一般的な解散の理由が、この株主総会による解散決議です。
決議により解散するには、行使できる議決権の過半数を有する株主が出席したうえで、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成(特別決議)が必要です。
社長が高齢で後継者がおらず、業績は黒字であっても自分から会社をたたむと決めた場合、臨時株主総会を開いて特別決議を可決すれば、すぐに解散させることができます。
ほかの会社と合併し、自社が吸収される側の消滅会社となった場合、合併の効力が発生する日に会社は解散します。
A社がB社に吸収合併される場合、合併の日にA社は解散し、A社の権利や義務は全てB社に引き継がれます。
権利や義務がB社にそのまま引き継がれるため、A社が単独で財産整理をおこなう清算手続は発生しません。
会社が借金を返せなくなったり、支払いができなくなったりして、裁判所から破産手続開始の決定を受けた場合、その時点で会社は解散します。
破産手続の開始も会社法で決められた解散の理由のひとつです。
決定が出た後は通常の清算ではなく、破産法に基づく厳しい手続きが進められます。
たとえば、多額の借入金を返せなくなり自己破産を申し立て、裁判所が破産開始の決定を出すと、会社は解散し、破産管財人が財産をお金に換えて債権者に分配します。
【関連記事】会社破産の手続きを現役弁護士が完全解説|流れ・費用・期間から経営者が知るべきポイントまで
会社が違法行為や公益に反する行為を繰り返した場合、裁判所の命令によって強制的に解散させられることがあります。
会社を作った目的そのものが法律違反であったり、業務をおこなう人が法律に違反して世の中に害を与えたりする場合に、裁判所は解散を命じることができるためです。
詐欺的な投資勧誘を主な事業とし、消費者被害を多数発生させた悪質な企業に対して、法務大臣や株主の申し立てにより裁判所が解散命令を出すケースが該当します。
最後の登記から12年が経過し、法務局からの通知にも応じなかった株式会社は、営業を実質的にやめているとみなされ、強制的に解散させられます。
12年間登記をしていない休眠会社が、官報での知らせや法務局からの通知から2ヵ月以内に事業をやめていない旨を届け出なければ、解散したものとみなされるためです。
登記を長年放置している休眠会社は、気づかないうちにこの扱いを受けるケースがあるため注意してください。
会社が解散した後は、財産や負債の状況に応じて、いくつかの方法から清算のやり方を選ぶことになります。
会社の種類や借金の有無によって、進め方は大きく変わるためです。
事業清算には全部で3つの種類があり、自社がどれに該当するかを事前に正しく把握しておきましょう。
通常清算とは、会社の資産が負債を上回っている状態、つまり資産超過である場合に、裁判所を通さず自分たちで進める一般的な清算手続です。
債務を全て払ってもなお財産が残る状態であれば、清算人が自主的にお金の回収や支払いを進めることが認められています。
預金が1000万円あり、借金が200万円しかない会社を解散する場合、自力で借金を返し、残りの800万円を株主に分配します。
特別清算とは、株式会社が借金を返しきれない疑いがある場合などに、裁判所の監督のもとでおこなわれる倒産手続の一種です。
清算を進めるうえで大きな支障がある場合や、借金が資産を上回っている疑いがある場合に、裁判所が特別清算の開始を命じます。
会社の借金が資産を上回り全額返済できない場合でも、債権者の同意を得て一部を免除してもらい、特別清算で破産より早く終わらせられるケースがあります。
任意清算とは、持分会社(※合同会社を除く合名会社・合資会社)だけに認められている、法律の手続きに縛られない自由な清算方法です。
無限責任社員がいる持分会社では、定款の定めや社員全員の同意によって、会社財産の処分方法を自由に決めることが許されています。
家族経営の合名会社であれば、官報公告などを省き、土地は社員Aが引き継ぎ、借金は社員Bが払うといった柔軟な取り決めで清算が可能です。
法人の事業清算は、意思決定から最後の届出まで、いくつもの手続きを順番に進める必要があります。
ここでは、資産が負債を上回る場合におこなう通常清算を例に、法人の事業清算手続の流れを15のステップに整理して解説します。
まずは取締役会で廃業の方針を固め、その後に株主総会を開催して、会社の解散と清算人の選任について特別決議で承認を得ます。
株式会社が自主的に解散するには、行使できる議決権の過半数を有する株主が出席したうえで、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成(特別決議)が必要です。
清算人には代表取締役がそのまま就任するケースが多く、解散後の財産整理や債務の支払いを引き継いで担当します。
解散決議後は、2週間以内に管轄の法務局で、会社が解散したことと清算人が誰であるかを登記しなければなりません。
期限を過ぎると、100万円以下の過料が科されるおそれがあるため、注意が必要です。
株主総会議事録や定款などを添えて法務局に申請し、登録免許税を納めて登記簿に反映させます。
解散登記が終わったら速やかに、各行政機関に解散した事実を届け出る必要があります。
法人の状況に変化が生じた場合、遅滞なく届出書を提出する義務が法律で決められているためです。
主な届出先と提出書類は、次の通りです。
| 届出先 | 提出書類 |
|---|---|
| 税務署 | 異動届出書 |
| 都道府県税事務所・市区町村 | 異動届出書 |
| ハローワーク(従業員がいる場合) | 雇用保険資格喪失手続 |
| 年金事務所(従業員がいる場合) | 社会保険適用事業所全喪届 |
清算人に就任した人は、解散日時点での会社の財産状況を正しく把握するため、遅滞なく財産目録と貸借対照表を作成しなければなりません。
清算人には、会社の財産の状況を調べて、解散の日における財産目録と貸借対照表を作り、株主総会の承認を得る義務があります。
調査対象には、主に以下のようなものが挙げられます。
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解散後は、会社にお金を貸している債権者を取りこぼさないため、官報での公告と、把握している債権者への個別の通知を最低2ヵ月間行う必要があります。
後から名乗り出た債権者が不利益を被らないよう、法律で定められた債権者保護の手続きです。
官報への掲載費用は約4万円が目安です。
同時に、銀行や取引先など帳簿上わかっている債権者(知れている債権者)には、各別に2ヶ月以上の申出期間を定めた催告書(通知書)を遅滞なく送付してください。
清算人は、進めていた業務を終わらせるため、従業員の解雇や退職手続きを行い、取引先に対しても廃業する旨を伝えて契約の解除などを進めます。
進行中の契約や雇用関係を、法律に従って正しく終わらせる義務が清算人にはあります。
解散日の1ヵ月前には従業員に解雇の予告をして退職金や未払い賃金を精算し、仕入先や顧客には挨拶状を送って取引停止と未払い金の支払いスケジュールを伝えましょう。
会社は解散日から2ヵ月以内に、事業年度の開始日から解散日までの期間に関する「解散確定申告」を税務署におこなう必要があります。
解散確定申告とは、会社が解散するまでの利益にかかる法人税などを計算し、納めるための手続きです。
通常の決算とは別に、解散のタイミングで一度区切って申告を行うイメージです。
3月決算の会社が8月31日に解散した場合、4月1日から8月31日までの5ヵ月間をひとつの事業年度とみなし、10月31日までに法人税などの申告と納付を行います。
賃貸しているオフィスや店舗がある場合、賃貸借契約を解約し、内装などを借りる前の状態に戻す原状回復工事をおこなう必要があります。
賃貸借契約が終わるときには、借主として原状回復の義務を果たし、差し入れている敷金や保証金を会社の資産として取り戻さなければなりません。
飲食店を廃業する場合、家主に解約通知を出し、業者に依頼して厨房機器の撤去や壁・床の修繕をおこなった後、退去の立ち会いをして敷金の返還を受けます。
清算人は、未回収の売掛金を回収し、在庫や設備などの資産を売却して、全ての財産をお金に換えなければなりません。
借金を返したり株主に分けたりするためには、不動産や物品を分配できるお金に換える必要があるためです。
取引先に残っている売掛金を振り込んでもらい、倉庫に残っている在庫商品や社用車を中古買取業者に売却して、会社の銀行口座にお金を集めていきます。
債権者に申し出てもらうための2ヵ月間の申出期間中は、原則として一切の債務の弁済(返済)を行うことができません(※裁判所の許可を得た少額債権などを除く)。
債権者全体の公平性を保ち、すべての債権を正確に把握するため、会社法上で弁済が禁止されているためです。
期間が終わったら、お金に換えた資産の中から、指定の口座に以下を振り込み、借金をゼロにします。
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全ての借金を返し終えた後に会社に残った財産(残余財産)を確定し、株主が持っている株式の数に応じて分配します。
清算株式会社は、借金を全て返したあとでなければ残余財産を株主に分けることができず、分配は株式の数に応じて平等におこなうと決められています。
全ての借金と税金を払い終えて会社の口座に400万円が残った場合、株式の60%を持つ社長に240万円、40%を持つ親族に160万円を振り込んで、現金をゼロにするイメージです。
残余財産が確定した日の翌日から1ヵ月以内(または最後の分配日の前日のいずれか早い方)に、税務署への「清算確定申告」が必要です。
清算確定申告とは、解散日の翌日から残余財産が確定するまでの期間について、最終的な収支をまとめて法人税などを申告・納付する手続きです。
会社にとって、これが最後の税務申告となります。
清算確定申告は、STEP7の解散確定申告とは別の手続きなので、混同しないよう注意してください。
株主への分配額が決まった段階で、解散日の翌日から残余財産確定日までの収支を計算し、法人税や消費税などの最後の申告・納付を済ませます。
清算手続が全て終わったら、清算人はこれまでの収支や分配の結果をまとめた「決算報告書」を作成し、株主総会で承認を得なければなりません。
清算人には、清算の事務が終わったときに遅滞なく決算報告を作成し、株主総会の承認を受ける義務があります。
借金の回収や返済、残った財産の分配が全て終わったら、臨時株主総会を開いて決算報告書を提出し、株主から承認を得ます。
清算事務報告の承認後は、2週間以内に法務局で清算結了の登記申請をおこなう必要があります。
申請の際は、以下の書類が必要です。
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登録免許税は2,000円で、登記が完了すると登記簿が閉鎖され、会社そのものが完全になくなります。
清算結了登記が終わり閉鎖事項全部証明書を取得したら、各機関に「清算結了届」を提出して全ての手続きが完了します。
会社がなくなった事実を知らせることで、税金や社会保険の手続きを正式に止められるためです。
閉鎖登記簿謄本のコピーを添えて、税務署や県税事務所、市役所に提出すれば、翌年以降の税金の申告書類が送られてこなくなります。
15ステップに及ぶ手続きはミスが起きやすいため、不安な場合は早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
法人と違い、個人事業主の事業清算はもっとシンプルな手続きで完了します。
とはいえ、廃業する状況によって、必要な手続きや期限は変わってきます。
ここでは、通常のケースと、やむを得ない事情が生じたケースに分けて、それぞれの流れを解説します。
個人事業主が廃業する場合、まず税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。
法律により、事業をやめた事実があった日から1ヵ月以内に、税務署長へ届け出なければなりません。
たとえば、12月31日で事業をやめた場合、翌年1月31日までに廃業届を提出します。
青色申告をしていた場合は「青色申告の取りやめ届出書」も併せて提出したうえで、翌年の確定申告で最後の事業所得を申告する流れです。
個人事業主が死亡して事業を清算する場合、まず相続人が税務署へ廃業届を提出します。
そのうえで、死亡日の翌日から4ヵ月以内に、故人の所得を計算した準確定申告をおこなわなければなりません。
個人で工務店を営んでいた父親が亡くなった場合、息子である相続人が税務署に廃業届を出します。
父親の1月1日から死亡日までの売上と経費を計算し、4ヵ月以内に準確定申告と納税を行います。
相続人自身が慣れない申告作業を短い期間で進める必要があるため、早めに税理士へ相談しておくと安心です。
法人の事業清算手続きが完全に終わるまでには法律上の待機期間があり、最短でも解散決議から2ヵ月半〜3ヵ月程度かかります。
債権者を守るため、官報公告で「2ヵ月間」の申し出期間を設けることが決められており、この期間中は原則として清算を終わらせることができません。
4月1日に株主総会で解散を決議し即日官報公告を申し込んだ場合、公告期間が終わるのは6月上旬となります。
残った財産の分配や清算結了登記を含めると、順調に進んでも6月下旬〜7月頃の完了となります。
会社をたたむ手続きには、想像以上にさまざまな費用がかかります。
登記や公告といった法定の費用だけでなく、店舗や在庫を抱えている場合は、それに伴う出費も発生します。
法務局で解散および清算結了の登記をおこなう際、国に納める税金として合計4万1,000円の登録免許税が必ず発生します。
株式会社の解散登記に3万円、清算人の選任登記に9千円、清算結了登記に2千円という金額が、法律で決められています。
内訳をまとめると、以下のとおりです。
| 登記の種類 | 登録免許税 |
|---|---|
| 解散登記 | 3万円 |
| 清算人選任登記 | 9千円 |
| 清算結了登記 | 2千円 |
| 合計 | 4万1千円 |
債権者に解散を知らせるための官報公告を掲載する費用として、約4万円強(文字数による)が実費として必要になります。
債権者を守る手続きとして、政府が発行する官報への掲載が決められており、国立印刷局が定めた掲載料金を支払わなければなりません。
通常の株式会社が解散公告を官報販売所に申し込むと、掲載枠に応じた料金が計算され、一般的な長さの公告文であれば約42,000円前後が目安です。
| 項目 | 費用目安 |
|---|---|
| 官報公告費用(一般的な長さの場合) | 約42,000円前後 |
事務所や店舗を借りている場合は退去時の原状回復工事費用がかかり、不要な備品や在庫を処分するための廃棄費用が発生することもあります。
賃貸借契約を結んでいる借主として原状回復の義務を果たす必要があり、また会社の財産をお金に換える過程で、産業廃棄物の処理費用もかかります。
費用の目安をまとめると以下のとおりです。
| 項目 | 費用目安 |
|---|---|
| 原状回復工事(飲食店のスケルトン戻しなど) | 数十万円~100万円以上 |
| 在庫・備品の廃棄処分費 | 数万円程度 |
登記や税務申告、法務手続を専門家に依頼する場合、それぞれ数万円〜数十万円程度の報酬費用がかかります。
事業清算は会社法や税法が絡む複雑な手続きであり、それぞれの分野は担当する専門家でなければ対応できない仕事も多いです。
専門家ごとの役割と費用目安は以下のとおりです。
| 専門家 | 主な役割 | 費用目安 |
|---|---|---|
| 司法書士 | 解散・清算結了登記の代理 | 5〜10万円 |
| 税理士 | 解散確定申告・清算確定申告の代理 | 10〜20万円 |
| 弁護士 | 債権者とのトラブル対応 | 数十万円程度 |
自社の状況が複雑なケースにあたるか不安な場合は、早めに専門家へ相談してみてください。
【関連記事】事業清算を弁護士に相談する大きなメリットとは?
会社解散・事業清算の手続きには、各段階で見落とすと法的なリスクにつながる落とし穴があります。
ここでは、解散と清算、それぞれの場面で気をつけておきたいポイントを解説します。
会社解散の決議をおこなう際は、解散日以降は通常の営業活動ができなくなることや、従業員の雇用契約を適切に終わらせるタイミングに注意しなければなりません。
解散した会社は「清算の目的の範囲内」でだけ存続すると決められており、新たな仕入れや新しい契約といった積極的な営業活動が法律で禁止されるためです。
解散登記後に「もう一件だけ大きな取引をしたい」と思っても新しい契約は結べないため、解散日より前に、進行中のプロジェクトを全て終わらせておいてください。
清算手続き中においては、官報公告の2ヵ月が経過するまでは、原則としてすべての借金や買掛金の返済を行ってはならない点に注意が必要です(会社法500条1項)。
申出期間中に弁済を行ってしまうと、後から申し出た債権者への支払いができなくなるおそれがあり、清算人が個人として損害賠償責任を負うリスクがあります。
社長が個人的に付き合いの深い特定の取引先にだけ先に買掛金を全額支払ってしまうと法律違反となり、ほかの債権者から損害賠償を請求されるリスクがあります。
後継者不在や業績不振で会社をたたむと決めた経営者には、事業清算・会社解散に強い弁護士を探せる企業法務弁護士ナビがおすすめです。
通常清算・特別清算・破産といった手続きの選択や、債権者との交渉など、事業清算で起こりやすい問題を得意とする弁護士を探せます。
初回相談無料の事務所や、オンライン相談に対応する事務所も掲載されているので、費用や相談のしやすさに応じて事務所を選べます。
会社の状況を整理し、後悔のない廃業を実現するためにも、早い段階での相談を検討してみてください。
ここまで事業清算の流れや費用、注意点を見てきましたが、実際には会社ごとに状況が異なり、判断に迷う場面も多いです。
借金の有無や手続き中の制約、残余財産の扱いなど、実務で疑問を持つ経営者は少なくありません。
ここでは、そうした代表的な疑問をQ&A形式で解説します。
会社に借金があっても、資産をお金に換えて全額返せる資産超過の状態であれば、通常清算が可能です。
一方、全額返せない債務超過の場合は、特別清算や破産手続をおこなう必要があります。
通常清算は、すべての借金を返せることが前提です。
借金が資産を上回っている疑いがある場合は、裁判所が関わる倒産手続に移らなければなりません。
借金が500万円でも資産が800万円あれば通常清算で進められますが、資産が300万円しかなければ、裁判所に破産などを申し立てる必要があります。
事業清算の手続き中は、新しい商品の仕入れや新規契約の締結など、積極的な営業活動が法律上できなくなります。
解散した株式会社は清算の目的の範囲内でだけ存続するとみなされ、それ以外の活動は権限を超えた行為になるためです。
アパレル会社が解散決議をした後に、新作を大量に仕入れて新規顧客に売ることはできず、今ある在庫を売って現金化することしか認められません。
全ての借金や税金を支払った後に会社に残ったお金は、株主が持っている株式の数に応じて平等に分配され、株主個人のものになります。
清算株式会社は、借金を全て返した後でなければ残った財産を分配できず、分配は各株主が持つ株式の数に応じておこなわれます。
清算手続の最後に1,000万円が残った場合の分配例は、以下のとおりです。
| 株主 | 保有株式割合 | 分配額 |
|---|---|---|
| 社長 | 70% | 700万円 |
| 専務 | 30% | 300万円 |
事業清算は、解散決議から清算結了登記まで、多くの手続きを段階的に踏まなければ完了しません。
官報公告による債権者保護期間が必要なうえ、清算の種類によって進め方も異なり、期限を誤ると過料のリスクもあります。
だからこそ、会社の状況を正しく見極め、後悔のない形で事業を終わらせるには、専門知識を持つ弁護士のサポートが欠かせません。
特に債権者との交渉や資産超過・債務超過の判断が絡む場面では、早めの相談が円滑な清算のカギとなります。
事業清算でお悩みの方は、企業法務弁護士ナビで実績豊富な弁護士を探し、まずは無料相談を利用してみてください。
編集部
本記事は企業法務弁護士ナビを運営する株式会社アシロ編集部が企画・執筆いたしました。
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