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清算とは、主にビジネス上では会社の廃業や借入金の返済などの場面で用いられる用語です。
清算は「精算」や「解散」などと混同されることもあり、本記事でそれぞれの違いや正しい意味などを知っておきましょう。
なお、会社を廃業するためには定められた条件を満たしていなければならず、清算手続きではさまざまな書類の作成ややり取りなどが必要となります。
ミスなくスムーズに手続きを済ませるためにも、会社清算のポイントも押さえておきましょう。
本記事では、清算の意味や精算・解散との違い、会社清算するための条件や清算手続きの流れなどを解説します。
まずは、清算と精算の違いや、清算書と精算書の違いなどについて解説します。
清算とは、これまでの事柄にけじめを付けたり、これまでの関係性を終わらせたりすることを意味する言葉です。
清算の「清」には「けがれのない」「綺麗に片付ける」などの意味があり、主にビジネスシーンでは会社の廃業手続きをおこなったり借入金を返済したりする際に用いられます。
一方、精算とは、お金を細かに計算して金額を確定したり、ミスなく正しい金額を計算したりすることを意味する言葉です。
精算の「精」には「詳しい」「細やか」などの意味があり、主にビジネスシーンでは経費精算をしたり店舗のレジ締めをしたりする際に用いられます。
清算書とは、金銭のやり取りなどをおこなった際、その事実を証明するために作成する書類です。
たとえば、金融機関からの融資を完済した場合や、賃貸契約を解約する場合などに作成します。
清算書を作成しておくことで、のちのち何らかの揉め事が発生した際は証拠として役立ちます。
一方、精算書とは、会社の経費管理を適切におこなうために作成する書類です。
たとえば、会社の備品を購入した場合や、従業員が出張した場合などに作成します。
正確な精算書を作成しておくことで適切に税金を計算でき、税務リスクの回避につながります。
会社を廃業する場合、清算手続きとして資産や負債を整理したり、残余財産を分配したりすることになります。
清算方法に関しては、以下のように通常清算・特別清算・任意清算の3種類に分けられます。
種類 | 概要 | |
---|---|---|
法的清算 | 通常清算 | 債務が完済可能な場合の清算方法 |
特別清算 | 債務超過の可能性がある場合の清算方法 | |
任意清算 | 定款や全社員の同意など、自主的な判断で会社を解散する場合の清算方法 |
ここでは、それぞれの清算方法について解説します。
通常清算とは、解散した会社がある程度の資産を保有しており、全ての債務を完済できる場合に実施される清算方法です。
現金や預貯金だけで完済できる場合はもちろん、不動産や在庫の売却・売掛金や未収入金の回収などで得た資金を充てて完済できる場合でも通常清算の対象となります。
なお、通常清算では裁判所の監督などを受けることなく手続きが進行するため、ほかの清算方法に比べるとスムーズに済ませることができます。
特別清算とは、解散した会社の保有資産では債務完済が難しく、債務超過の可能性がある場合に実施される清算方法です。
特別清算の場合、裁判所にて申立てが受理されたあとは裁判所の監督を受けて手続きが進行するため、通常清算に比べると手続きが複雑で時間がかかるおそれがあります。
なお、特別清算の対象になるのは株式会社だけであり、株式会社以外に関しては破産手続きなどを検討することになります。
任意清算とは、定款の定めや総社員の同意など、自主的な判断で会社を解散する場合に実施される清算方法です。
任意清算の場合、会社が財産の処分方法を自由に決定でき、社外の人間が清算人を務めます。
なお、任意清算の対象となるのは合名会社や合資会社に限られます。
清算と精算だけでなく、清算と解散も混同されがちです。
会社の清算とは「資産や負債の整理・残余財産の分配」などの手続きを指しますが、会社の解散とは「事業活動の停止・法人格の消滅」などの手続きを指します。
会社を廃業する場合は「解散」と「清算」の両方の手続きが必要であり、まずは解散手続きをおこなったのち、清算手続きをおこなうことになります。
会社の清算手続きをおこなうためには、その前に解散を経なければいけません。
ただし、会社法では解散事由が定められており、解散するためには以下のような要件を満たしている必要があります。
解散事由 | 内容 |
---|---|
①定款で定めた存続期間の満了 | 定款にて会社の存続期間の定めがあり、存続期間を満了した際は解散となる |
②定款で定めた解散事由の発生 | 定款にて解散事由の定めがあり、その事由が発生した際は解散となる |
③株主総会の決議 | 株主総会に議決権が行使可能な株主の過半数が出席し、3分の2以上が賛成して解散の特別決議がおこなわれた場合、会社は解散となる |
④合併による会社の消滅 | 他社との吸収合併などがおこなわれた場合、会社は解散となる |
⑤破産手続き開始の決定 | 裁判所によって破産手続きの開始が決定されると、会社は解散となる |
⑥裁判所による解散命令 | 裁判所によって解散命令が下されると、会社は解散となる |
⑦休眠会社のみなし解散 | 最後の登記から12年が過ぎている株式会社に関しては、解散したものとみなされる |
【参考元】会社法第471条、第472条
解散事由については以下の関連記事でも解説しているので、詳しく知りたい場合はそちらをご確認ください。
【関連記事】事業清算・解散とは何か|清算の条件と手続きの流れを解説
会社を解散・清算する場合、基本的に通常清算では以下のような流れで手続きが進行します。
ここでは、各手続きについて解説します。
「解散」などの企業における重要な事項については、原則として株主総会の特別決議によって決定します。
特別決議では、議決権が行使可能な株主の過半数が出席し、3分の2以上が賛成した場合は可決となります。
会社の解散が決まったら、そこから2週間以内に法務局にて解散の登記と清算人選任の登記をおこないます。
一般的には取締役や代表取締役が清算人となりますが、弁護士や司法書士などが選任されるケースもあります。
清算人選任の登記が済んだあとは、税務署・都道府県税事務所・市区町村役場・年金保険事務所・労働基準監督署・ハローワークなどにて届け出をおこないます。
次に、清算人によって会社の財産状況が調査されたのち、財産目録や貸借対照表の作成をおこないます。
財産目録や貸借対照表に関しては、株主総会での承認を受けてから社内で保管することになります。
清算人は、会社の債権者に対する保護手続きとして「官報公告」や「個別催告」などをおこないます。
官報公告では、官報を通じて会社の解散について知らせて、2ヵ月以上の期間内に申し出るように求めます。
なお、会社側が把握している債権者については個別催告が必要で、個別に書面を送ったりして会社の解散について知らせることになります。
会社が解散する場合、事業年度開始日から解散日までの期間について確定申告書を税務署に提出する必要があります。
なお、確定申告書の提出期限は「会社の解散日の翌日から2ヵ月以内」です。
次に、清算人によって債権の回収・債務の返済・資産の現金化などがおこなわれます。
これらの手続き後に残った財産がある場合は、株主に対して分配します。
残余財産の確定・分配が終わったら、1ヵ月以内に清算確定申告書を準備して税務署に提出します。
清算手続きの際に所得が生じた場合は、納税しなければいけません。
ここまでの手続きが完了したら決算報告書の作成をおこないます。
その後は株主総会にて清算事務報告の承認を受けることで、会社の法人格が消滅します。
清算事務報告の承認後は、2週間以内に法務局にて清算結了の登記申請が必要です。
その際は、株式会社清算結了登記申請書・株主総会議事録・決算報告書などの書類が必要となります。
清算結了の登記が済んだあとは、税務署・都道府県税事務所・市区町村役場にて清算結了の届け出をおこないます。
その際は、異動届出書(清算結了届)や登記事項証明書などの書類が必要となり、これらの書類を提出すれば手続きは終了となります。
ここでは、個人事業主が廃業する場合の手続き方法について、ケースごとに解説します。
通常の廃業手続の流れとしては、以下のとおりです。
廃業手続での主な必要書類としては以下のとおりで、納税地を管轄する税務署などに提出します。
状況によって必要となる書類は異なるため、もし自力での対応が不安な場合は一度弁護士に相談することをおすすめします。
個人事業主が亡くなった場合、相続人が「個人事業の開業・廃業等届出書」などの必要書類を納税地を管轄する税務署に提出して、廃業手続をおこなうことになります。
手続きには期限があり、原則として「死亡日から1ヵ月以内」に済ませる必要があるため、できるだけ速やかに動きましょう。
会社の清算手続きを考えているなら、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
事業清算に強い弁護士であれば、清算手続きのアドバイスや手続き代行などのサポートを依頼でき、自力で対応するよりもトラブルなくスムーズな手続きの進行が望めます。
また、弁護士に相談すれば会社にとって最適な解決方法などもアドバイスしてくれるため、場合によっては清算以外の手段で状況が改善し、会社を潰さずに済むこともあります。
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